Twitterのモーメントにも
「【漫画編】#夏だしフォロワーさんの怖い話教えてください」
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というのがあったことですし、自分の山での体験も書いてみようと思います。
あれは奥多摩だったと思うのですが、平日にソロで山へ行ったときの出来事。良く晴れた冬の日の14時頃で、目的の登頂を終えて下山していました。朝8時頃から登山を開始しているのでそこそこ疲れていることもあり、「早く下山して休憩したいな。ビールでも飲みたいな。」と思いつつ足早に歩を進めます。
私は人が居ない(会わない)静かな山行が大好きなので、平日にマイナーなルートを選択するのですが、さすがに奥多摩は登山道が整備されていますし、林業の人たちもいます。この時も、登山道の横には植林された針葉樹が並び、伐採された丸太も纏めて積み上げられていました。
風の音と野鳥の囀りしか聞こえない静かな山の中を歩いていると、登山道の横手の開けた方向から、人の声がするんです。社内放送の呼び出しみたいな「ピンポンパンポーン」というチャイムの後に続くアナウンス(ただし、内容はゴニョゴニョ言ってるだけで聞き取れない)だったり、大人の男性数人での話し声がしています。
最初は、疲れた頭で「この辺にも林業の会社の事務所があるんだろうな」と漠然と思って、「もしかしたら、人の声がする方向に進めば近道できて早く下山できるんじゃない?」という誘惑に駆られました。しかし、何度地図を見直しても、声がする方向には広大な森が広がるだけで道も無ければ人が住めるような場所も何もありません。
あれ?空耳だったか?と思ってたら、また聞こえるんです。お祭りでもやっているかのような喧噪が聞こえてくるんです。いくらなんでも、平日にこんな山奥でお祭りをやってる訳がありません。でも、はっきり聞こえるんです。たくさんの人たちがわいわいザワザワと騒いでる音が。またも「予定のルートよりこっちへ行った方が良さそう」となぜか登山道から外れて森の中へ進んでみたい誘惑に襲われます。人がたくさん居るんだから、そっちへ行けばすぐに駅やバス停に出られるって。根拠なくそんな気分になりました。
でもおかしい。予定では、あと2時間近く歩かないと下山しないはず。立ち止まってしっかり聞いてみると、「人の喧噪にしては、同じような音の単調な繰り返しだな」と感じました。たくさんの人がいるお祭りのはずなのに、テープレコーダーのリピートのように同じようなざわめきを繰り返しているんです。
冷静になって分析すると
・風が強い日に尾根道を歩いていたので、遠くの音もよく聞こえた。
・風で揺れた木々の音が人の声に聞こえた。
・早く下山したい願望が、人の声と間違わせた。
これらの複数の要因によるものだと結論付けました。
しかし、疲労困憊だった訳でもなく、晴れた日の昼間に、こんなに幻聴というか空耳を聞き続けることになるとは。これが道迷いなど追い詰められた心境で地図も持っていなければ、「これだけはっきり人の声がするんだから、人がたくさん居る方に進んでみよう」という誤った判断を下して誰も居ない森の中で遭難することも十分考えられます。どう聞いても、はっきりと人の声がしたんですから。
私は超常現象を信じない性格ですが、この日の体験にはさすがに複雑な気持ちにさせられました。登山歴が長い皆さんは、もっと不思議な体験をされた方もいらっしゃることでしょう。「怖い話」で済まさず分析してみると、もしかしたら何か新しい発見があるのかもしれません。
その山には初めて登り、登山用GPSアプリを使うのも初めてでした。
尾根沿いの目的地の方向から大勢の子供たちが遊ぶ声がしてきました。感覚的には数十メートル先です。初めての山でアプリ地図の距離感もよくわかりません。
ゴールはもうすぐだと思い足を早めました。
きっと低い山なので山頂には広場や遊具があり、親子連れの子供たちも遊んでいるのだろうと思いました。
ところがなかなかゴールにはたどり着きません。いつの間にか子供たちの声もしなくなりました。
やっと頂上に到着すると思っていたより狭い場所で、一組の老夫婦がおにぎりを食べているだけの淋しい場所でした。
広場も無ければ子供もいません。子供たちの声はどこから聞こえたのでしょうか?
後日ふもとには小さな公園があるのを見つけたのですが、花見の季節以外は人けが無く淋しい場所です。
たまたま登山道の目的地と声の方向が同じだったので救われましたが、迷いやすい道で声の方向がずれていたら遭難するかもという恐怖が後で襲ってきました。
個人的には「音の蜃気楼」と名付けました。
●幻聴では無く物理的に音が聞こえている
●音源そのものは実在の音
●遠い場所の音で、なおかつ音源は音が聞こえる方向にあるわけでは無い
●リアルタイムでの音源とは限らない 時間差があるかも 日にちのズレすらもあるかも知れない
●感覚異常や心霊現象では無く、未知の自然現象
但し「山が人間に与える感覚異常」の可能性もある
「山怪」という山での不思議な体験のドキュメンタリー本にも同じ現象が報告されていました(全3巻 山と渓谷社 田中康弘著)興味があったら読んでみてください。
本当に怖くなります。
コメントありがとうございます。
「音の蜃気楼」というのは、なかなか興味深い考察ですね。
ヤマケイ文庫 「マタギ奇談」は読みましたが、機会があれば「山怪」も読んでみたいと思います。
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