韓国のハイカーさんウォッチング＠済州島漢拏(ハルラ)山

　GW前の26日、人生初にして多分最後の海外登山となるであろう韓国済州島の漢拏山（ハルラ山）に登ってきました。天候はあいにくの雨のち曇りで、せっかくの山頂からの景観がただ真っ白で、面白味はその時点で7割は消えてしまった印象です。地元丹沢のバリルートなんかも、ずっと木々や周辺の山々の斜面に遮られて、晴れていてもなかなか見晴らしポイントがないことなども多々あります。それでも、個人的に「道」そのものを楽しんでいますので、今回の漢拏山登山が悪天候でも、ルート自体の歩く楽しみを期待していました。往路で使った韓国版「バカ尾根」とも言える城坂岳（ソンパナク）登山道は、入口の標高が750mで、9.6kmの距離で山頂の1950m地点に至るルートで、下山に利用した観音寺（クァヌムサ）登山道は入口の標高が580m、距離が8.7kmのルートです。向こうの人達は皆比較的楽な城坂岳（ソンパナク）登山道を推しますが、実際ハイカーの9割以上はそちらを利用し、さらにピストンで同じルートで戻る人がそのうちの9割にもなるような感じです。こちらは当初ハイカーが少ない観音寺（クァヌムサ）登山道で登ろうと思いましたが、あいにくの天候でしたから、勾配が厳しいところが長く続く観音寺は下りで使うことにして正解でした。
　それはともかく、城坂岳（ソンパナク）登山道は丹沢大倉尾根のように正に「バカ尾根」。なだらかな登りが延々と続き、後半から一般登山道並みの勾配になって、最後の登りで勾配が多少キツくなる道です。ただ、大倉尾根は花立の手前辺りから富士の絶景が絶えず目に入るような爽快感のある道ですが、城坂岳（ソンパナク）登山道は最後の残り標高200m地点まで前後左右とも木々に阻まれ、展望が利きません。道はこれでもかと言うくらい人の手が入って整備されていて、「道」自体を楽しむこともできず、退屈な歩きになりがちでした。
　しかし、そんな中、地元韓国のハイカーさんウォッチングをしていたら、ナンだか日本と大分異なっていて面白かったです。まず、第一に彼らは天気予報で雨だと分かっていても、誰一人としてレインパーカーを用意しておらず、登山道入口の売店で購入するビニール合羽を皆羽織っていること。風が吹くとばたばたと音を立てていますが、本当に誰一人としてレインウェアを用意していなかったです。アウェーの自分一人がレインパーカーを着ていましたが、なんだか浮いていました（笑。
　次に、いくら整備されているとは言え、片道10km近くて高低差1200mもあるルートなのに、スニーカー率が非常に高いです。当初ローカットのトレッキングシューズかと思いきや、半数くらいの皆さんがナイキやリーボック等の普通のスニーカーを履いていました。ミドルカットや上まであるしっかりした登山靴を履いていた人は皆無でした。かく言う自分も荷物が嵩むので、ローカットのトレッキングシューズでしたが、合計21kmの歩き＆高低差が大きい登り下りで、さすがに足首から下も結構痛くなりました。また、向こうの人らは靴下もくるぶしの下までの短いものを履いている人が多く、そもそも靴下なしで直履きしている人もいました。多分帰り道では足指や踵等がズリむけて悲惨な状態になっていそうです。
　半ズボン率も高かったです。この日の済州市の最高気温は13℃くらいで、もちろん雨で日が出ていないために登山道での気温は10℃以下。日本でも雪の残るところを半袖で歩く人がいますが、それは晴れていればこそですね。雨だと気温だけでなく水ですからより強く冷たさを感じますが、別段気にしないんでしょうね。この日もTシャツ+短パン+スニーカー+折り畳み傘のツワモノにいちゃんを目撃しましたが、強風の山頂での彼の様子はそりゃもう悲惨でした。
　そして、向こうのハイカーさんらは皆せっかちなのか、早足で歩きますね。「ヤマレコ」の「歩くスピード」の自動判定をやったら、皆「0.4〜0.6倍　大変速い」になりますね。ただし、多くの皆さんが複数設けられた休憩所でどっしり腰を落ち着けて休むので、さっき抜かされた人達がいつの間にか後ろにいることが結構ありました。また、往路で分岐があって、片道15分ほどの距離に中腹の小ピークにある雨天直後までしか見られないクレーターの池があるんですが、誰もそちらには足を向けず、とにかく真っ直ぐ先を急いでいました。せっかく来たのだから、そちらも楽しみたいと思うのですけどね。道中で写真を撮る人の数が少なかったのも不思議でした。
　もう一つ、まだまだハイカーのマナーが今一歩なのか、結構他に迷惑をかけても気にしない感じですね。その第一がゴミ捨て。もちろん日本でも山中にゴミは見かけますが、向こうは世界遺産登録されてこれでもかと言うくらいきれいに整備したのに、結構ペットボトルや缶、弁当の皿や小さいガムか飴の包みのビニールがちょくちょく見かけられました。そして、グループで歩く人達の話し声が結構大きいこと。さらに他人がいてもお構いなしに音楽をスピーカーから鳴らして歩く人も2人いました。でも、個人的に一番イヤだったのが、男性なのにモーレツな香水臭を振り撒いて歩く人。さっさと前に行ってもらい、しばらく経って臭いが消えてから歩き出しました。
　こんな感じで、日本のハイカーとは大分異なった点が見られますが、すれ違いざまに挨拶を交わす習慣もない点はかえって気が楽でした。ただし、向こうの人達が皆つっけんどんかと言うとそうではなく、一人の女性が「写真を撮りましょうか？（たぶん）」と言ってくれたように、基本的に皆親切なんでしょうが、まずは何よりも他人に迷惑を掛けないようにすると言った感覚が薄いのでしょうね。韓国でも登山がブームとかで、是非とも今は円安ですから日本の山に来て、ほどほどに整備された登山道と美しい景観、そしてマナーのしっかりしたハイカーの姿を見てもらいたいなと思いました。
※ 当日のレポはこちらになります→https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-1117115.html