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少しはおしゃれに登山をしようと自分用に新しいリュックを買った。
こんな年までと思う。子供のころ、冷戦できっとそのうち世界的な戦争が起きて、死んでしまうんじゃないかと思っていた。テレビを見れば戦争の話が流れていた。今とあんまり変わらない。
ソ連は恐怖だった。赤の広場で戦車が行進する映像が流れ、函館にミグが飛んできたときなんか、子供心に私の世界は終わったと思った。
子供のfeve「ソ連がやってきたらどうなるの?」
大人が答える「feveは鍋にされて食われる」(←だいぶ曲がったソ連への偏見)
年月は流れ、ソ連が崩壊し冷戦が終わった。頭に世界地図の模様がある大統領が現れ、ロシアは平和な国なるといった、ような記憶がある。そこでfeveはこれからは安心して寝れると思った。しかし、全然世の中は変わらなかった。安心なような不安なような日々が続く。
そんな中でロシア行きの話が来た。ツアーに紛れ込んで訪問できると。すぐに飛びつき、通帳と相談し、なんとか費用を工面した。
ツアー名は「シベリア鉄道全線を乗るロシアの旅」だったと思う。
要するにウラジオストークからモスクワまで9297キロを乗ってゆくというものである。
シベリア鉄道にはトイレットペーパーがない、とか食堂がないのでコーヒーやカップラーメンを持ってゆくとか、一週間風呂に入れないとか情報を調べて、荷物を詰め込んでウラジオストーク行きの便のある新潟へ向かった。
ルーブルは日本の銀行で売ってなかった、のか、ロシアで交換したほうがいいとかどちらかだったと思う。
ウラジオストークからロシア号に乗った。
季節は8月、シベリアは夏だった。暑い。しかも冷房が壊れていて、コンパートメントは蒸し風呂状態。Tシャツと短パンで過ごした。
でもなんだか楽しい。平原が続いて、スケッチをしたが、描くものが草原だけなので、すぐに飽きてしまい、登る太陽と月をぼんやりとみていた。
停車時間が長いので駅に停車するたびに降りて、線路のわきでピロシキや餃子を売っているおばちゃんと話した。ジャガイモの入った餃子と上げたピロシキを食べて、持ってきたコーヒーをサモワールで入れて、旅行を続けた。
普通のおばちゃんだった。ここで私はロシア人が普通の人たちだと初めてわかった。怖いのは戦争をしている人たちで、ほかの人たちは普通に暮らしている人たちだと当たり前のことを始めて認識した。
牛乳だと思って買ったら、サワークリームで添乗員さんが「飲まないでください」といった。生ものはまずいらしい。大きい2リットルほどの瓶に入ったサワークリーム、もったいなかったが、おいておいても真夏の旅なので、捨てることにした。
途中のイルクーツクで一回降りて、一泊してバイカル湖を探索し、抑留された日本人の墓に手を合わせ、村を訪問してコサックダンスを見た。バイカル湖でとれるオムリという魚とボルシチを食べた。3日ぶりにホテルでシャワーを浴びて人間性を取り戻した。
イルクーツクからはロシアが誇る近代的な列車(バイカル号だったと思う)になった。エアコンが効いて、蒸し風呂は解消され、エアコンは人類の至宝だと思った。
学生さんが乗ってきて、囲まれた。「日本語をかけ」と英語で言われたので、英語と日本語で一言二言をかいて手渡した。そしたらその晩学生さんを引率していた先生たちが飲みに来いと言ってくれて、コンパートメントを訪ねた。
ウオッカを回し飲みをし、英語とロシア語で話した。「日本とロシアの今後どうしてゆけばいいか」と言われ、ロシアの歌を日本語で歌って(中学校で習ったリンゴの唄である)、「仲良くできると思う」と答えた。酔っていたんだと思う。
モスクワにつく手前で、列車は止まり、軍人さんと軍用犬が乗ってきた。
「なになに?」聞くと、チェチェンの連中が列車に爆弾を仕掛けたという。2時間ほど止まっていた。何も出てこなかったが、首都を守るようにしているんだなと思った。緊張感が漂っていた。
モスクワに入る2時間前で列車のトイレは全部使えなくなった。そのままぽっとん式なので、首都が匂ってはいけないということだそう。feveは緊張のあまり、水も飲めなくなった。
そしてモスクワに到着し、乗り継ぎがあったので10日ほど列車に乗っていたことになる。地球は大きいと思った。
地球は大きいけど、一個しかないし、しかも地球は今病気で、温暖化しているし、火山は噴火しているし、地震は起きるし、人類は戦争をしている場合じゃないと思うのはfeveだけだろうか?
今日は震災の日が近いのと誕生日だったので感傷的になった。
おまけは「うちのリドさんNO34,35,36」リドさんというのはうちで住み込みをやっている猫の名前である。
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