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仕方なく、殺虫剤で、タタイタ。
ほにゃららOLをやめて実家に戻ったfeveは母の手伝いをし、小遣いをため込んでは旅行に使っていた。母の手伝いとは?どこかに連れてゆけと言われれば、車の運転をし、家が古かったので、リフォームをし、まだ元気だった母の相手をしながら、なんとか食べていた。
そんな時に新聞に安いモロッコ旅行の広告が載る。小遣いはたまっていた。
「砂漠が見たい。本物の」母に夏休みを取りたいといったら、許可が下りたので、モロッコ行きのツアーに参加した。
本物の砂漠は砂ではなく、岩がゴロゴロと転がった乾燥地帯だった。そんな中をツアーのバスは進み、マラケッシュの迷路やフェスの市場、やらなにやら、あちこち引っ張りまわされた。フランス語が通じたので仲良くなったツアーの人の買い物を手伝ったりした。
そんな時に、ツアーはとあるお店で休憩をした。普通のお店で、コーヒーを飲んだり、トイレを借りたり、まぁ、そんなこと。
そして驚いたのはその普通の店で大量の化石が売られていたのである。それも巨大なアンモナイト、人の頭ほどもある、アンモナイト、や、岩ごと持ってきたような、たくさんのアンモナイトが詰まった岩、そして三葉虫、握りこぶしほどもある、それが、現地価格で売られていたのである。たぶん、近くで化石が出るのだろう。
feveは財布をのぞき、丸ごと買い占めたかった。しかし、それをやったら岩手には帰れない。成田から先に、京成線で上野まで行き、そこからとーほぐ新幹線に乗って家に帰らないと。カードでもいいとは言われたが、限界があった。
そして近くにあった磨き込まれたアンモナイトと握りこぶしほどの三葉虫を手に取り、二つでいくら?と交渉しようと。しかし値札から値段が動くことはなかった。
どちらかを取らないといけない値段だった。アンモナイトが一万円、三葉虫が5000円ほどだった。アンモナイトかな?とその時は簡単に考え、アンモナイトを買った。
お店の人は「三葉虫も買っていけ」といったが、feveは断ってしまった。
そしてツアーが化石のお店にとまることは二度となかった。握りこぶしほどもある三葉虫、かっときゃよかったが、もうモロッコに行く機会はなかったし、どこかで見かけることもなかった。
そして家に帰ったら母は怒っていた。一週間以上もほおっておいたので、機嫌が悪くなっていた。今度から遠くに行くときは自分も連れてゆけと暗に言っていた。
そして何年か経ち、母を連れてイギリスへ行くことになった。これもお安いツアー、季節は4月だったが、ロンドンはまだ冬だった。現地発着ツアーでウィンザー城を見て、あとはロンドンを母を連れてふらふらした。
母を連れてあるくのは大変であった。まずご飯、中華かインド料理ぐらい、母の口に合うものは。ホテルで食べた朝ご飯は気に入ってクレタ。そして何事にも、マダム、Please,pardon、をつけてね、という習慣を教えては見たが、昭和一桁の頑固な母はロンドンでも昭和一桁だった。とにかく赤いバスに乗って、大英博物館でロゼッタストーンを見たり、パディントンベアを買ったり、あちこちを見物した。
そしたら、市場が出ていて、なんと化石が売られていた。しかも三葉虫もあった。しかし、あのモロッコで見た巨大な三葉虫はなく、石の上に張り付いたたしか、3000円ぐらい。買ってしまった。
今でもモロッコのあのおにぎりサイズの三葉虫をカットきゃよかった、と思い出す。
写真はモロッコで買ったアンモナイトとロンドンで買った三葉虫の化石。
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