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9年前の雲取山での大失敗から、いくつかの教訓を得ました。その後現在に至るまで、数々の山行を経験し、およそ次のような自分なりの山登りのルールが確立してきました。ヤマレコの皆さんにとってみれば、あたり前の事かもしれませんが、当時の私にはほとんどできていない(考えていない)事ばかりです。
(1)初めての山あるいはルート(特にマイナールート)を歩く場合、十分に下調べをすること。
(2)一日の行動時間は8時間までと計画すること。
(3)予定していた登山道あるいは林道が通行不能の場合、引き返すかエスケープルートに変更すること。
(4)下山ルートを予定より難しいルートに変更しないこと。
(5)自分の実力をはるかに超える山行をしないこと。
(6)登山計画書あるいはメモを作成すること。
(その他)体力をつけること。装備を整えること。良く考えて行動すること。地図を良く見ること。周囲の状況を良く観察すること。水と食料を十分に持つこと。山に関する本や雑誌を良く読むこと。
私が重要視しているのは、(3)〜
(5)です。この三つを鉄則としています。他の項目も大切ですが、厳密に守っているわけではありません。今だにツェルトを持っていない等、装備不足は否めません。
単独行の可否については、危険であることを十分に理解した上で、私は単独行をやめるつもりはないので、ここでは触れないことにします。
クマ対策ですが、今のところ、出会わないように鈴をつけることくらいしかやっていません。
その後、雲取山には4回ほど日帰りで登りました。全て鴨沢から登り始め、下山ルートを変えて歩きました。石尾根から峰谷へ、富田新道で日原へ、往復で鴨沢へ、三峰神社へ、と。全てうまく歩けました。さて次は・・・。
そこで今年のGWに、かねてから考えていた、9年前の失敗の検証をしたんです。山小屋泊の一泊二日で、計画を立てました。山小屋泊は未経験だったので、去年の10月の平日に三条の湯に泊まって、山小屋泊の練習をしました。その時は、丹波天平〜飛龍山〜三条の湯(泊)〜雲取山〜七ツ石山〜鴨沢と歩きました。
今回もやはり鴨沢から。雲取山荘に着く時間を計算して、スタートは9時過ぎとし、急ぐ必要もないので、ゆっくり登りました。雲取山荘への登山道は、その日も雪解けでグチャグチャでした。
山小屋に慣れていないせいか、あまり良く眠れませんでしたが、4時半の朝食をがっつり食べ、水をたっぷり汲んで、5時に万全の態勢で出発しました。天気が良く、日の出がとてもきれいでした。
当時の事を思い出しながら、ゆっくりとあれこれ確認しながら歩きました。時間に余裕があるので、芋ノ木ドッケから続く長沢背稜を悠々と進み、長沢山を越えて、問題の地点まで来ました。今回は道標通りに進んで、迷う事なく天祖山の手前に着きました。
さて、9年前はどこで間違えたのか?
やはり、長沢山の先で稜線を外れて北側に巻く所を、尾根通しに進んだとしか考えられません。去年購入した奥多摩登山詳細図には、その道が掲載されています。そのまま進めば、天祖山へのルートに乗れたはずです。おそらく焦りがあったのでしょう。この後の事は、前回書いた通りです。
天祖山山頂で休憩した後、八丁橋に向けて下山を開始しました。途中かなり分かりにくい箇所もあり、一般ルートにしては難しいな〜と思いながら歩きました。
もう少しで日原林道に降りる所に、超危険箇所がありました。ロープがついているものの、滑落したらまず助からないと思います。実際、過去に滑落死された方がいるそうです。ここを、月明りのみで良く通過できたものです。一歩間違えばあの世行きでした。空恐ろしくなりました。今回も無事八丁橋に辿り着く事ができました。
これで9年前の検証は終わりましたが、どうしても分からない事があるんです。天祖山の手前で日が暮れて、八丁橋に着いたのが19時30分ですから、天祖山への登りに要した時間と山頂での休憩時間を考えると、天祖山から2時間そこそこで下山した事になります。山登りの初心者が、月明りを頼りに、あの難しい登山道を迷う事なく、危険箇所も無事通過して下りてきたのです。自分の事ながら不思議でなりません。
また、天祖山から八丁橋の間の事は、全くと言って良いほど覚えていないんです。他のところは部分的にかなり鮮明に覚えているのに・・・。なぜか?これは最近になって考えた事ですが、おそらく、生きて帰る事のみに神経が集中し、一切の感情(つらい・苦しい・怖いなど)を自ら無意識のうちに排除していたのではないのか、と。
ともあれ、結果的には単なる下山遅れであって、遭難ではありませんが、遭難一歩手前であった事は確かです。天祖山から八丁橋の間の事は、もう考えないことにします。無事に生きて帰れて、現在も元気に山歩きを続けられているという事で、良しとしようと思っています。
長くなりましたが、これで「雲取山の苦い思い出」は完結です。つたない文章ですが、一生懸命書き綴りました。それではまた。
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