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中央アルプスのライチョウ保護増殖事業
http://chubu.env.go.jp/shinetsu/%E4%B8%AD%E5%A4%AE%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%97%E3%82%B9%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%81%E3%83%A7%E3%82%A6%E9%87%8E%E7%94%9F%E5%BE%A9%E5%B8%B0%E4%BA%8B%E6%A5%AD%E5%AE%9F%E6%96%BD%E8%A8%88%E7%94%BB.pdf
この中で、特に目を引いた部分を張り付けます。
・・・・・・以下引用開始・・・・・・・・・・・
<ライチョウにおける野生復帰の個体条件>
A. 野生復帰地域に固有の遺伝組成を持ち(地域固有性に対応した保全単位)、同
時に集団内に個体群存続可能な遺伝的多様性を保持していること。
>これまでに行われた遺伝子解析から、5つの遺伝集団に分類され(頸城山塊(くびきさんかい:妙高連峰のこと)、北アルプス、乗鞍岳、御嶽山、南アルプス)、保護増殖事業では、この5つの山岳集団を独立の保全単位として設定している。このため野生復帰する個体は、同じ保全単位の山岳由来の個体から繁殖した個体を活用することが条件となる。また、野生復帰後の個体群維持を念頭に置き、集団内の遺伝的多様性を可能な限り維持することが求められる。
B. 野生由来の母鳥からの学習により、高山環境で生存するに十分な判断能力を
有していること(または、見込みがあること)。
>ライチョウの場合は家族(母鳥+雛鳥群)で過ごす期間が長く(約 4 か月)、十分な学習により、過酷な高山帯で生き抜く術を獲得しているとされている。つまり、高山環境で生存するに十分な判断能力を得るためには、生息地での経験のある母鳥からの学習が必要と考えられる。
C. 高山環境で生存するに十分な身体能力(体力・運動能力)を有していること
(または、見込みがあること)。
>生息環境での基本的な生存に必要な、歩行、飛翔、闘争、繁殖等の身体能力及び体力の獲得となる。これは野生復帰において、野生動物の多くに共通する事項となるが、本種の場合、高山帯が生息地となるため、悪天候による体力消耗や非常に過酷な冬季の越冬が可能な身体能力が必要となる。一方で、身体能力の獲得は現地での保護ケージを用いた野生順化において獲得できる可能性があるとされている。
D. 高山植物を主食とするに十分な分解能を持つ、特有の固有種を含む腸内細菌
叢を継承し、これを発達させていること(または、見込みがあること) 。
>孵化後数日の雛鳥が母鳥の盲腸糞を食糞することで腸内細菌叢を獲得することが知られており、この腸内細菌叢がなければ高山植物の毒素を分解できずに生息地で生き残ることは不可能とされている。
E. 特有の固有と考えられる種を含むアイメリア原虫を継承し、これに対する耐
性を有していること(または、見込みがあること) 。
>野生のライチョウの腸管には Eimeria uekiiと Eimeria raichoiの 2 種のアイメリア原虫が寄生することが報告されており、前者はニワトリに寄生するアイメリア原虫に近縁であり、後者は北米産のシチメンチョウに寄生するアイメリア原虫に近縁で 2018 年に新種記載された固有種と考えられる。これらは別亜種スバールバルライチョウを用いた研究で多量摂取時や衰弱時に腸管細胞にダメージを与える悪影響が確認されているが、生息地でのライチョウの各個体群では定常的に確認されている。このため、野生個体はアイメリア原虫に対し一定の抵抗性を有すると考えられている。また、何らかの免疫向上作用といったプラスの影響の可能性が専門家から指摘されており、高山環境に特化したライチョウとの共生関係が示唆されている。
・・・・・・引用終了・・・・・・・・・・・
・ライチョウの腸内細菌についての情報。腸内フローラが重要。
https://www.yamakei-online.com/yama-ya/detail.php?id=580
・書籍案内。
「神の鳥ライチョウの生態と保全: 日本の宝を未来へつなぐ」
これ、欲しい・・・。でも高いです。
以下、個人的な雑多な感想。
1.以前生息していて、現在絶滅してしまった種を生態系再生と合わせて自立個体群の再生を図ることは意味があると考える。
2.ライチョウ生残・生息に腸内フローラとアイメリア原虫の関係が特に興味深い。また、アイメリア原虫が何らかの免疫向上作用や共生関係を有している可能性があることも面白い。人間のアレルギー治療で、体内に原虫を取り込む民間療法(アメリカで一部の人がやっていた。違法)があり、一定程度の効果を発揮している可能性があるという話を思い出した。
3.中央アルプスに設置されたケージは、梅雨時の雨からひなを守るためだったことであり、南アルプスで実績があることに合点した。
4.中央アルプスはこれまで、長野県立自然公園だったが、2020年に国定公園となった。遅すぎる感があるが、ライチョウ保護ととともに豊かな自然環境を保全していってほしい。本当に素晴らしい山脈ですから。
ここまで書いて思い出したことがある。
以前、北岳に行ったときに、自分の子供と同じ歳位の女子高校生が1人で登っていて、「こんなところで大丈夫かな?」と思い、心配になり話しかけたことがある。その際、その女子高生が、ライチョウの保護のために北岳山荘で数週間、ボランティア活動をしていると言っていた。ライチョウの散歩と外敵からの保護、ケージにいれることが主な仕事と話していた。その目がとても輝いていたことを思い出しました。今思うと、あれが梅雨時の雛の保護活動だったのだろう。
こういった子供たちが増えて行って、研究者などになってくれたら良いなあ・・・と強く思った。
追記
本買いました。
こんにちは。
大変興味深い内容ありがとうございます。雷鳥は写真でしか見たことないですが、多くの研究がされてるんですね。
sikakaiさん、こんにちは。
ライチョウ、いつか本物をお山で見れたら良いですね。
めちゃくちゃかわいいですよ。
ちなみにこの事業は環境省主導の事業のようですが、その背景にはいろんな研究者や、それこそ女子高生など心あるボランティアの方々が動いているんですね。
また、某省庁とは違い、環境省はあまり予算がでませんので、職員の方々は自分達が現場へ動くことが多く大変だと思います。色んなご苦労があるのだろうなあ・・・と思います。登山中でも、ちょこちょこ環境省の方、調査や定点観測と思われるところを拝見しますから。
youtube観たら、保護活動の動画が
ありました!鶏やウズラ的な体型
だけどふわふわで可愛いお目めですね。
外敵や環境変化で減ってるそうで、
保護されなかった数組は、卵やヒナが
全滅したとナレーションしてました(*´Д`*)
天敵も、生きないといけないでしょうが…
実物は意外とでかいですよ。それと、鶏とは別物です。本当にまん丸な感じの奴もいますよ。いわゆる玉ですね。そこに頭がついて、動いてるって感じです。
外敵で最近話題なのが猿ですね。たしかに中央アルプスの標高高いところでたまにみます。沢沿いにコルへ向かって登ってきてるような感じがしました。
中央アルプスは南アルプスより山頂まで登りやすいし基本的に稜線一本なので、天敵は南アルプスより山頂まで登りやすいかもされませんね。
でも、餌環境や生活環境は問題ないらしいので、やはり一番弱い卵と幼鳥期の保護と、賢く強い野生個体の導入が妥当な対策になるのだと思います。
なんとか天敵にも負けないで頑張って欲しいです。
greenriverさんこんにちわ!🐔
4、5年前に木曽駒ケ岳に訪れたっきり一度も行けてないので、日に日に中央アルプスへの恋が焦がれる毎日なんですが(苦笑)
その初木曽駒の山行中
11月初旬で初雪(吹雪ぎみ)降るなか濃ヶ池を周回していた時、ばったり出会ったホシガラスを撮っていたら
後続を歩かれていた男性に「ライチョウですか!?」と寒さで鼻水垂らしながら聞かれ
「いいえ!?ライチョウは中央アルプスでは絶滅していますよ!」
と、こちらも鼻水垂らしながら答えると、その男性が残念そうな顔を返してきたのを思い出します。
greenriverさんがご紹介してくださっていた本…実は自分も読みたいけど、とても高くて読めていないんですが 💦
『二万年の奇跡を生きた鳥 ライチョウ』 中村 浩志 著
で
ざっくりと日本のライチョウ保護の取り組みと今後の流れが掴めるのでオススメです。
我々、登山者たちができることは些末ですが天上で生き、天上で滅びかけながらも2021年も生き残るニホンライチョウたち。
保護にご尽力され携われている方々も含めて、応援せざるをえない気持ちです。
sanaguさん、こんばんは。
鼻水垂らしながらのやりとり。目に浮かび、「ふふふっ」となりました(笑)。
もし、今度、同じ状況になったら、「まだ見れてないですが、きっとその辺にいますよ。」と返したいですね。
それと、濃ヶ池のあたり、凄くいそうな感じしますよね。将棋頭山の付近で足跡らしきものは見たことがあるのですが、あの辺にもいるのかもしれません。そんなふうに思えるだけで、ちょっと夢が広がりますね。
greenriverさん、こんにちは
「神の鳥ライチョウの生態と保全: 日本の宝を未来へつなぐ」の一部金はライチョウ保護活動の資金に使用されます。
本当にライチョウ保護を応援してくださるのであれば、
ぜひ購入よろしくお願いいたします。(笑)
ラジャー(-。-)y
追記:今、amazonで注文しましたm(__)m。
追記:購入した本の写真添付しました。
早速読みました。ただいま、会社の鳥屋さん(専門家)で回覧中です。決して読みやすい本ではありませんが、いろんな専門家や中央アルプスのライチョウ保全の当事者の方々の執筆があり、勉強になる本です。かなり忙しい中、皆さんが頑張って1冊の本にしたという感じがします。ちなみに、空木岳を北アルプスと間違って記載している箇所があり、ちょっと気になりました(笑)。
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