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今後の頑張りにより、どんな形であれ、登山へ復帰できた場合、同様の怪我で悩まれている方への励ましや参考になるように記録に残そうと思う。
これまでの経緯、経過はVOL.13までに整理。
今シーズンの山スキーはおおよそ終了。
これからは無雪期登山へ移行していく。
現状、負傷した左膝はまだ少し痛く、足首も違和感あり。少し痛い。
未実施の改善事項は無雪期登山用のトレランシューズへの変更だ。
これまでは、11mmドロップ(踵が11mm高い)サロモンのスピードクロスを使用。ラグ(アウトソールのブロック)も深くとても良い靴。11mmのドロップがヒール部分のクッションの役目も果たす。つまり、ヒール着地歩行を前提とした靴だ。剛性も高い。着地時の大きな衝撃にも耐える。そのため、この靴の剛性やヒールのクッションを最大限に活用して、重力に任せて落ちるがままに斜面を駆け下っていた。体の使い方も、足の筋力に頼らずに、骨盤を左右に回転して膝をできるだけ曲げずに踵から着地し、骨盤で衝撃を受け止めるようなスタイルだった。骨盤の回転、左右の足の入れ替えを小刻みに行う。筋力は疲労し難い。ゲーム感覚で瞬時のルーファイさえ楽しんで継続できれば(集中力が必要)、長時間の継続が容易で、かつとても楽しい走法だった。スキーのショートターンを極端にしたようなスタイルだ。膝周りの靭帯や筋肉の負担も少ないため、それらの組織も運動強度の割には優しいスタイルだったと考えている。
しかし、このスタイルには弱点があった。骨格の一部である膝関節、足首関節などへの過度な負担だ。骨格で衝撃を受け止めるため楽に大きな力に耐えられるが、その反面、骨格の中でもクッションとなる部位(膝や足首)への負担が大きいのだ。この負担が4、5年間蓄積し、半月板損傷へとつながった可能性が高い。しかも、半月板は他の組織と違い、運動によって強化や再生ができない組織だ。つまり、使用すればするほどすり減り、痛み、寿命が尽きたら終わりだということだ。そのような組織、パーツであることを自分は知らなかった。
こういった経緯と結果を踏まえ、これからは、膝関節、足首関節への負荷が少ないスタイルへと変更する必要に迫られている。これまでの、靴の性能、ヒールからの着地、膝や足首へ過度に負荷をかけるようなスタイルからの脱却だ。具体的には、フォアフット(足先から着地)、ミッドフット(足を平らに着地)歩行、走法となるだろう。このスタイルに適合したトレランシューズとして、ゼロドロップのトレランシューズを検討した。果たしてこれが正解なのだろうか。そこで、実際にゼロドロップシューズを使った結果や感想、それらの経験から分かるメリット、デメリットなどの情報を探したが、良い情報ばかりが目に付く。メリットしかないなんて、そんなはずはない。きっとこれがSNSの限界なのだろう。
そこで、自宅近くの個人経営のトレラン専門店、「one on one」(愛知県春日井市高蔵寺)の店主に相談した。すると、流石、専門店だ。以下の回答を頂けた。
・ゼロドロップの靴は、足の先から着地するフォアフットができる人は良いが、そのためにはその走法にあった筋力をつける必要がある。
・ヒール部分の位置が下がるので、ふくらはぎを酷使し易く、アキレス腱にも負担がかかるためアキレス腱が故障し易い(私の考えでは、筋肉は鍛えれば強化できるが、靭帯や腱の太さ、強度は強化できないと認識)。
・このため、ゼロドロップシューズを取り入れる場合、靴だけでなく、歩き方も全て変えなければならない。結果として、ゼロドロップに切り替えた人のほとんどが、故障する結果となっている。
論理的でわかりやすい説明だった。この店主は今までも色々と相談してきたが、どれだけ深堀りして質問しても、ご自分の経験・知識、考えからくる正しかろう答をくれる稀有な方だ。そして分からないことは、明確に分からないと返答してくれる。しかも、熱心に自分事のように相談にのってくれる。初めて訪問した時にも、2時間以上、自分の相手をしてくれた。靴下しか買わなかった一元さんにだ!!その時からちょいちょい通っているお店だ。それでも、その後も熱心に相談に乗ってくれている。他店では手に取って確認できない靴や用品も多く、それらの商品の知見にも詳しい。実際に使用してみて、そのメリットデメリットもきちんと説明してくれる。こういったお店が自宅近くにあることは幸せなことだ。店主にはとても感謝している。この日記を読んでいただいた方で興味がある方は是非とも訪問してほしい。悩みがあればあるほど、力になってくれるお店だ。そして、できれば何か買ってほしい(笑)。それが優良店の継続に繋がっていくだろうから。ちなみに、クロスカントリースキーもされているので、スキーにも知見が深い。
ここまでで店主の説明を受けたが、では、これまでと同じ靴を履き続けるのか?ということとなる。いや、それでは単純に登山頻度を抑え、スピードを落とすだけとなる。これでは進歩がないばかりか、故障頻度が増えていくだろう。よって、やはり打開策としては、歩き方も改善しつつ、ドロップの低い靴にチャレンジしてみるしかない。
そこで店主と相談すると、以下のお話があった。
・一気にゼロドロップではなく、これまでよりドロップが低めのものへ変更する。トポではドロップ5mm、サロモンでも6mmがある。まずはこれらで試してみてはどうか。
・足への負担軽減という観点から、厚底、クッションの効いたものへ変更してはどうか?
この提案については、実は自分でもつい先日、全く同じ結論に達していたので驚いた。よって、そういった靴を紹介してもらった。サロモン ウルトラグライド2だ!!スピードクロスより0.5cm大きいサイズがジャストフィットだった。つま先は反りかえっているので、つま先まで踏み込むと推進力がでるが、岩場への乗り込みには少し不安を感じる。クッションはかなり厚い。ドロップは6mm。ラグはスピードクロスほどではないが、それなりにある。クッションの厚さ、高さ故の足の挫きやすさがないか聞いたが、アウトソールの面積を広くすることで対応しているということだ。確かにアウトソールが外側へ張り出していて面積が広くなっている。但し、その分、横方向への不安定感はスピードクロスよりは大きくなるとのことだ。ラグは少し浅く、泥場へのグリップ力はスピードクロスより弱いが、接地面積を広げることで、ある程度は改善されているとのことだ。これらの説明を受け、その場で即買いした。20800円!!安くはないが、店主の説明含めて高くない買い物だ。
これからは、まだ持っているスピードクロスとウルトラグライド2を交代交代で使ってみることで、その違いと効果を検証していこう。得られた情報をフィードバックしていくことで、自分なりの落としどころを見つけていこうと思う。そして、自戒の念を込めて言い聞かせよう。「スピード自慢や体力自慢は正しい方向性ではない。長く楽しく自分のスタイルで登山を続けていく、楽しんでいくことが目的だ!」と!!その結果として、スピードや体力の向上となるならば、それは嬉しい褒美として受け入れよう。加齢とともに、こういった生き方、楽しみ方が重要となってくる。いや、むしろそういった経験を通して、自分を知りながらも豊かな山遊びが可能となっていくのだろう。加齢にも良いことや楽しみがあるのだ。
ちなみに、トポもお店にはあったが、自分のサイズがなかった。ゼロドロップで有名なアルトラは、上記のような店主の考えより、お勧めできないとのことで置いていない。また、アルトラはこれまではドロップ0mmしか販売していなかったが、近いうちに4mm、5mmなどの販売を検討しているらしい。今後、トレラン業界では、4~10mmの踵着地も可能なミッドフット走法を主体とした靴が増えていくような気がする。
写真は、今回購入したサロモンのウルトラグライド2。楽しみが1つ増えた。
以上
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