案内板には「急斜面なので軽装での見学はご遠慮ください」とさらに小さな文字で書かれている。ここまで来て、折角、この案内に出遭ったからにはと、細い林道に入ってみることにする。やがて道は未舗装の悪路となるが、今しがた通ってきた平家ヶ岳の林道に比べれば、大したことはない。
やがて霧降の滝、60m先↓という案内があり、林道の脇が広くなっているところで車を停めるが、肝心の下降点がなかなか見当たらない。なぜ、下降点に案内板を立てないのか不思議にも思う。注意深く探すと、檜の植林地の急斜面を降下してゆくけもの道さながらの細い踏み跡があることに気付き、踏み跡を辿ってみる。ジグザグと斜面を折り返しつつ下ると、ビンクテープがついているが、踏み跡は藪の中へと入ってゆく。
足元が緩く、靴の中には崩れた斜面からの小石が多数入りこみ、痛みを伴う。藪の中の竹をつかみながら降下すると、忽然と目の前に轟音をたてて滝壺に流れ落ちる滝が出現した。滝壺までのの滝の高さは30m近くあろうかと思われる。踏み跡は滝壺の正面を目指して下降してゆくようだ。深い碧色の水を湛えた滝壺は水底が全く見えない。下に降りるにつれて傾斜はきつくなるのだが、滝壺の手前で羊歯が密生して傾斜が緩やかな箇所がああるお陰で、一歩間違えると滝壺に落下して、しかもそのまま這い上がれなくなるという最悪の事態に陥る危険は少なさそうだ。可能な限り滝壺に近づいてみる。
この滝へのルート、ルート・ファインディングやそれなりの登山経験があるものでなければ到底、滝壺の正面に降りることは叶わないだろうと思う。もとより道と呼べるようなものではないが、今後は荒廃が進み、さらに滝への到達が困難となることが懸念される。滝が立派なだけに、そのような事態に陥るのは残念なことだ。
滝から再び国道434号線に戻ると深谷峡への分岐を過ぎたあたりでそれまで二車線であった国道は急に細くなり、山間の断崖の上を行く一車線の細い道となる。道のガードレールに小さな案内板が宇佐大滝28mとある。この滝も、雙津峡の滝の案内板で紹介されていた滝の一つであることを思いだす。車道が広くなっているスペースに車を停めると、歩いて滝の案内板のところに引き返す。山口県固有の夏蜜柑色のガードレールから下を覗き込むと、下の滝壺に垂直に落ちて轟音を立てている二丈の瀑布が目に飛び込む。
ガードレールの下には滝の落口の近くまで細い踏み跡が続いているので、滝に近づいてみる。案内板に示すとおり、落差は28mとあるが、下から眺めることが出来たらどれほど素晴らしいことだろうかと思う。下流で沢に降りて、遡行すれば近づけるのかもしれないが、そこまで冒険するためには綿密な下調べが必要と思われる。
国道に戻るとすぐに二車線の広い道となる。翌日、寂地山からの帰路で、同じ箇所を通過するのだが、この山間の断崖を通過する細い道路バイパスするトンネルを工事していることに気がついた。そうなると、この宇佐大滝を通るこの細い道が廃道となる日はそう遠くはないのかもしれない。
画像1;霜降の滝
画像2;滝への下降路;かなりの急斜面です
画像3;宇佐大滝
木谷峡のレコから続く
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