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2018年08月18日 09:11山の雑学全体に公開

山の神 マタギ秘儀秘伝奇譚

【 東北・山の神マタギ秘儀秘伝奇譚 】 
東北、マタギ文化の残る阿仁山麓に纏わる『山の神』のお話。

山形・湯殿山の山神様は「大山祇命」で男神。これは空海(弘法大師)開山起源絡みからだろうが? 東北の多くの「山の神」は女性であることがほとんどだ。

奥羽山脈、岩手の和賀山系の山懐に住む高橋喜平氏は「山の神」の興味深い本を残している。
彼の著書『東北のロビンソン』を読んだとき、初めて知る摩訶不思議な「山の神」の奇譚世界に思わず引き込まれて・・・。

本の内容は、戦時中兵舎から脱走した若者が(兵隊)実家の和賀山中に隠れ一冬を越す。
四季織り成す山深い和賀山系で主人公はお爺ちゃん(マタギ)から伝授された山で生き抜く知恵を駆使し岩魚、山の幸、狩りをし、独り、和賀山中でマタギの知恵を駆使し、生き抜いて行く葛藤を描いた物語。 
物語の随所にマタギの知恵や「山の神」に纏わる奇譚話が描かれている。

氏は『雪国炉辺譚』の著書のなかで「山の神」について興味深い奇譚話をされていた。
チョット“きわどい”下ネタ話もあり、そこは筆を抑えて話を進める。
語られた話しの深層には、我々祖先の民俗学的、“山の人々”の遠い縄文文化にまで辿りつく“影”が濃厚に反映しているような気がしてならない。

「山の神」と言っても、山に従事する仕事によって神様の性格も違いが有り、炭焼き林業は男神、農業は田の神、猟師が信じるのは女神様であると。 ここではその女神の奇譚話を。

昔は装備も貧弱で、奥深い山中で狩りをすることは命がけの大仕事。鉄のような意思とマタギ仲間との固い団結。さらに「山の神」の加護が必要だった。
山は「山の神」の支配するところであり「山の神」に反したことは絶対してはいけないと信じられ、それ故厳しい掟がつくられ、守られ、全ては代々口伝で奇想天外な秘事秘法(マタギの掟)が伝えられてきた。

氏は秋田、阿仁地方のマタギが信奉する「山の神」の調査に行った際、部落の長に「山の神は見てはだめだ!拝むものだ・・・」と、叱られたが、なんとか拝みたおして山の神様を拝見させて戴いた。
(阿仁マタギは有名な鈴木牧之の「北越雪譜」にも出てまいりますね)

山の神様は嫉妬深い醜女で、その時拝見させて戴いた女神像はふくよかな顔だちで長い髪をし、身体全体が肉付きが良く“あちら”が大好きなタイプの印象を受けた。(注! 氏は“あちら“と記述)
眼が十字でくぼみ醜い醜女のため男神は見向きもしない。しかたなく山の神はマタギに、つまり人間に想いをはせた。

そのためマタギ達は山に入るときは、山の神に気に入られるように“妻を遠ざけ”(交わり)身を綺麗にし、山の神は嫉妬深いため、狩りの途中女性に出会っても見知らぬ振りをし、帰りを待つ妻はその間化粧などもってのほか。それほどまで山の神に気をつかったのである。

嫉妬深い「山の神」にはたまらなく好きなものが二つ有り、ひとつは“オコゼ” ひとつは“男根”
オコゼというのも面白いね。山の神はオコゼを見て自分より醜いものがいると喜ばれると言われ、マタギは狩りに出かけるときは必ずオコゼを持参し、オコゼの姿をチョット見せて豊猟を祈る習わしであった。山の神がそれ以上お喜びになるのは“男性のシンボル”をご覧になることだとか。
(先年、鶴岡から酒田にかけての道中、村の神社に立ち寄った際、神社の由来記に「・・・毎年山の神にオコゼを奉納・・・」の文言が)
             
氏はかって同僚とマタギの調査で山に入り、同僚が時計を落とした際、同行したマタギが「俺が探してくる」と言って、自分の“シンボル”を股間から引き出し、男根をぶらぶらさせながら探し「ありました」と言って拾って帰って来たそうだ。
山で物を紛失すれば男根を出し、山の神にお願いする風習は東北各地に残っているとか。

阿仁地方では戦前まで“クライドリ”と言われる秘義があった。
熊を獲った夜は、マタギは小屋で円座を作り、若いマタギに男根を出させ、燃えている薪に麻ひもをぶら下げ男根を左右にぶらぶら振る。
本人は熱くて苦しいが、ころ合いを見てマタギ頭が音頭をとり全員で口に手を当て「ほほほほほ・・・」と笑う。そうすれば山の神が大喜びするするとか。
それがクライド秘義のあらましで、若いマタギの元服式でもあったそうだ。
(なんとも土俗的な秘義ですね。御先祖、縄文から脈々受け継がれてきた秘義でしょうか?もしかしたら蝦夷やアイヌ民族の土俗的風習の残滓・・・?)

女神である「山の神」に誠意を尽くせばその恩恵を受けることができるという素朴な山岳信仰で、その根底には山の神を怒らせないための掟と、山(自然)そのものに対するマタギの畏敬の念が感じられる。

マタギは山での事故、遭難など、山の神の怒りを買うことを非常に恐れた。
何れにしても奇怪な風習であるが、その行為は山の神の歓心を得ようとする下心が隠されているのであろうと・・・。

氏は最後に、醜女で、やきもち焼きで”男根”が大好きという山の神の不思議な魅力にひかれ調査を続けていると結んでいる(高橋喜平氏は12年前、96歳の長命で旅立たれた)

【写真説明】
・東北の山の辻々に祀られる山之神
・秋田 阿仁のマタギが信奉する山神様
・奉納された山神様が大好きな”逸品”
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