「日本アルプス縦走記」の著者、窪田空穂は山案内人の歩き方に感嘆している(大正時代)
「山案内人を雇って登山し、前を歩く山案内人の歩く姿を見て、背中に荷を背負って、屈み腰になって腰で調子を取って、のそりのそり動いていく格好と速度は一つの機械のような正確さをもっていた。・・・平地を歩くのも、上りを歩くのも淡々と同じように・・・」
山歩きは走らないのが原則。まあ重荷を背負っているので走ろうにも走れない。ただ走らなくても踏み石がグラりとしたら素早く身をひるがえすとか、そんな機敏性は必要だ(最近、山を走っている目的の違う方も見うけられるが)
山歩きの初心者と熟練者の歩き方の違いは一目瞭然。初心者の方はコセコセと大股の足の運び、そして出発間際の歩き初めの早いこと。
ベテランの方の歩行は、先述の山案内人のように、歩き始めから同じ歩調、同じリズム歩き。坂道であろうが、登り道であろうが一定の歩行術。
山道を登るには一歩一歩ユックリ歩くのがいちばんいい方法だとの結論に。
ところで今では杖(ストック)をついて登っている方が一般的な主流となっている。即ち第三の足ともなりましょうか。
第三の足で思い出した。『鼎・かなえ』なる器。古代中国で祭儀のときに用いられる三本足の器。写真機の三脚。岩登りの三点支持。三点はモノを安定させるあり方なのですね。
ということで、杖にすがる三点歩き(四点歩きも)は確かに楽になる。荷物や体重の負荷を一時的に足腰から腕に分散軽減される理屈である。
とまあ、いろいろ屁理屈を述べたが、山登りの歩行は十人十色、百人百様。それがその人に合っていれば、他人は口出しできない領域だ。
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