冬の北鎌で生涯を終えた単独行登山家『加藤文太郎』氏の生き様を綴った小説です。(この時点で小説のオチがばれてますが。)
戦前のまだ登山が貴族階級のみに許されていた時代に、一会社員の加藤文太郎が単独でその道を切り開いていく生き様には感銘を覚えます。もちろん登山というアプローチだけではなく、そこには普段の生活描写があったり、恋愛もあったり、会社の上司との関係もあったり、政治的な要素もあったりと、様々な描写が巧みに織り交ぜられており、戦前を生きた登山好きのこの青年加藤文太郎に大変な親近感を感じずにはいられませんでした。
それにしても、新田次郎による表現(特に山や山行記録の部分)は実にリアルで、その空間に置かれたような感じにさせてくれるのが、またすごい。
非常に面白く、一気に読んでしまいました^^
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