こういうとき、どう答えるのが最適解なのかってのは、結構悩ましい問題だったりする。
こういう質問をする人は大抵の場合おつかれモードなので、安易に「ええ、すぐですよ」と答えてしまうと、その先で「なんやねん、全然すぐやないやんけ適当ぬかしよーたなあんガキャー」(関西弁なのは他意ありません)となる可能性がある。しかし逆に「すぐですよ」という言質を与えてあげることで気力が湧いてもうひと踏ん張りする力が出る、ということもあるかもしれない。
とりあえず現時点での俺の対処方針としては、どんなに足の遅い人でも5分以内には確実に山頂に着けるだろう、という場所以外では、無条件の「すぐ」という答えはしないようにしてる。
例えばこの間は、赤岳から文三郎道方面へ降ってるとき、ちょうど岩場が終わる(つまり登る人から見ればこれから岩場が始まる)ところで聞かれた。ここまでクッソだるい南沢コースを歩き、クッソ急な文三郎道を歩いてきた(と思われる)人にとっては、時間的・距離的には残りは確かにもう「すぐ」だ。が、ここからは手足を使って登らないといけない岩場の連続である。時間に対する主観的感覚は、二本の足で歩いてる時とはかなり変わるはず。なのでこのときは「すぐっちゃーすぐだけど、この先はずっと岩場ですからねぇ」と言っておいた(ま、元気そうな中高生集団だったのでどうとでもなっただろうけど)。
別のときには、瑞牆山から富士見平に下るコースで、山頂の手前にあるでかい岩(大ヤスリ岩だっけ?)のところで聞かれた。このコースも、山頂に近づくほど険しくなる道である。自分もここを初めて登ったときは「ええいまだかよ面倒くせえ」と思いながらこの先を登った記憶がある。なので「いやーまあ、まだまだだと思いながら登った方が気分的に楽っすよw」とお茶を濁しておいた。
この方針だと、「まだまだだぞ」と言われたことでガックシ来てしまう可能性というのはあるが、そもそもエクストリームでもなんでもない普通の登山で「気力に頼らんと登り切れない」って状態はすでにヤバイ、と言えるんじゃなかろーか。なので、そういう方は早め早めに心折れていただくのもまた一つの親切かなぁ、などと勝手な割り切りをしていたりする。
写真は赤岳県界尾根上部の鎖場。「すぐですか?」と聞くまでもなく、上を見れば赤岳頂上小屋が「まだだぞ」と無言で答えてくれた。
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