![]() |
危ぶむなかれ、危ぶめば道はなし。
踏み出せばその一足がみちとなり、その一足が道となる。
迷わず行けよ、行けばわかるさ。」
アントニオ猪木氏が、プロレスを引退する時に引用した有名な言葉だ。
アントニオ猪木氏自身は、この言葉を一休禅師が言った言葉だと思っていたらしいが、実際には清沢哲夫(清沢満之の孫)の『無常断章』という詩の一節だ。
アントニオ猪木氏のカリスマ性からすれば、誰が言ったかは、どうだって良い事に思えるが。
この言葉通りに、登山をすると、たぶんとても危険な事になる。
まさに、前回の登山が、それだった。
危険な雪渓を前に頭に浮かんだのは「危ぶむなかれ」であった。
でも、逆に、もし私がその場で諦めてしまって、気持ち的にひるんでしまっていたとしたら、どうなっていただろうか?
前にも進めず、後ろにも引けない、という状況で、それでも敢えて前に進まなかったとしたら、その場でじっと救助を待つだけになったであろう。それでは「自分として」どうしても納得が行かないし、後悔した事であろう。
わたしは、そこで「どうなるものか」と思わず、敢えて前に進むしかない、と思った。
結果、少し滑り落ちたとしても。
登山に限らず、人間は人生において、多少の危険に怯む事無く、勇気を持って行動しなければならない状況に追い込まれる事がある。
その時に「あの時は、勇気を出して一歩を進んだのだ」という事を思い出せば、大抵の試練は乗り越えられるような気がする。
「運は、勇気のない者にはめぐってこない。
何が起ころうとも、総てに感謝。
ありがとう。」(アントニオ猪木)