天照大神とトトロの道

まだまだ若いころでした（20代後半）。
印刷室で仕事をしていたら　校長に「ちょっと　話がある。」と言われ、
「何ですか？」と　ぶっきらぼうに答えると
「来年度は　１年生を担任してほしい」

「えー！無理です。無理。」

で、人生初めて　ちっちゃいお子を　相手することになりました(*_*;。

４月はそりゃもう、大変💦
なんせ　児童文学作家「灰谷健次郎」さんの経営する「保育園」出身のおこちゃま方が、じっと45分も椅子に座っているのが　まるでできませーん。3分も持たないのです。

裸足になるわ　チャイムが鳴ると、教室の窓から運動場に飛び出すし・・・
まぁ、野生児でした。

他のクラスの先輩センセー方も　困り果てていました。
私は、学生時代から灰谷文学を読んでいましたので（「兎の眼」「太陽の子」等）「なるほどぉー」
と、まぁ、感心していたのもありますがっ（笑）

ううむ。
しかし、学校は「勉強」をしなくちゃならない所。自由気ままもいいのですが。。。
はてさて？　どうしましょう。。

「おいおい、窓から裸足で運動場に飛び出したらアカンって・・・」
彼・彼女たちは　くったくのない眼で
「なんであかんおぉ？　ちかいやん。ろうかまわってたら　あそぶじかんがへるやん。」

「裸足やと　怪我するしぃ・・・靴、履こか？」
また、きょとんとした眼で
「くつ、きゅうくつやねん　はだし　きもちええでぇ。なぁ？」
「うん　うん」
と、言うなり、窓を超えて　見る見るうちに運動場へ・・・

「うーん・・・どうしたことか・・・」

まぁ、灰谷さんは、子供と添いなさい・・・って　感じの方でしたので、添ってみることにしました（笑）

私も裸足で　窓から飛び出しました(^^)/
そしたら
「へへへ」
「ふふふ」

お子たちが　寄って来しました。

「センセー、足痛いわ！」そう言うと
「へへへ。ふふふ。」

「いっしょ、あそぼっ」の女の子。
知らぬ間に　手を繋いでいました。

授業中は、授業がしんどいのか　窓の長いカーテンにくるまって隠れてしまうお子。授業ボイコットかぁ？（笑）　顔くらい見せてちょうだいなっ。

うーん・・・子供に添ってみることにしました。

「むかーし　むかーし　アマテラスオオミカミと　いう　女の神様がいました。その弟のスサノオノミコトと言う神様が、こりゃもう　めっちゃめちゃ　あばれまくって　ものすごく強い　神様だったのですぅ。キングギドラよりも強い怪獣もやっつけちゃいましたっ」

こういう話をしますと、眼ががキラリ。
「うるとらまんより　強いんか？」
「そりゃ、つよい。なんせ　神様やからなっ」
「きんぐぎどらを　やっつけたんか？」
「ほい。いちころですがなぁー(^^)/　しかもキングギドラは、首が三つ。スサノオノミコトがやっつけたのは、なぁーんと　首が八つもある怪獣なんやでぇ・・・」

お子たち「・・・・」沈黙。
「きんぐぎどらは、ごじらより　つよいんもん！」
と、キングギドラを愛してやまないお子が　食いついてきました。
「いや、いや、首が八つの　ヤマタノオロチは、もっと　もぉーっと　強いんや！なんせ、首が八つもあるねんでぇー。みんななんか　ぺろりと食べちゃうからなぁ。」

「まだ、いきてるん　やまたのおろちって？」
「うーん・・・生きてるかもよ？」
「ええー！！！！」

すると、カーテンにくるまっていたお子の目が、カーテンの隙間からチラリと見えました（笑）

「でも、安心しいな。ヤマタノオロチは、スサノオノミコトに　やっつけられたから大丈夫や。」

「よかったぁ・・・」のお子たち。

「すさのぉのみことって、やっぱ　うるとらまんより　つよいんや！」

「いやいや、そのスサノオノミコトより強ーい神様がおってなぁ・・・」

「だれなん？　だれなん？」

「スサノオノミコトのお姉ちゃんの神様や！」

「なぁーんや　女かっ」のボスタイプの男子。

「いやいや、このアマテラスオオミカミ様は、神様の中でも　一番偉くてつよいんやでー。お父ちゃんよりお母ちゃんの方が強いやろ？」

「うん。うん。」

「アマテラスオオミカミは、太陽の神様なんや」
「たいようのかみさまぁ？」

「ほいよ。」
「太陽がかくれたら　こまるもんなぁ・・・」
「でてきてほしいなぁ・・・」

すると、カーテンに隠れていたお子が　出てきましたっ！
「おいら　亀。亀やから　出てきた。」

何やら、この子　アマテラスオオミカミじゃなく、亀テラスオオミカミかっ（笑）

でも、この子　その後は　クラスの太陽みたいな存在になりましたっ。

そして２学期。学校の近くの里山を　一周まわるハイキング道（藍那古道）をこのクラスみんなでお散歩に行った時のことです。（秋みつけの学習）

そこで事件が起こりました。　この太陽くんのチームが　途中で行方不明になっちゃったのです。

待てども待てども　集合場所に現れません。
「遭難かっ・・・」
焦っていますと、しばらくして林の奥のバリルートから、「♪歩こう　歩こう　私は元気ぃー。歩くの大好きぃー　どんどん行こぅ。」の歌声が聞こえてきましたっ。男女全員手をつないでいました。

「おーい、心配したでぇー。もう！」

「あっ、とちゅうで　おちばのすべりだいしていたら　みちがなくなって・・・でも、とちゅうで　池があって　ヤマタノオロチみたいな　木があって、石を投げてみんなでやっつけたら　おもしろかったよ・・・」と　あっけらかん。

そして、この子たち　素晴らしいスーパー１年生として　逞しく育っていきました。その後、この子たちの歩いたコースが「トトロの道」と学校が任命し、学年行事で毎年　どのクラスも歩くことになったのです。

昔の言葉で言う「わんぱく」な　お子たちでした。

4年生にドッジボールを挑んだら、何と勝ってしまい、4年生がくやしがっていましたねー（笑）
もう、この子たちも　今ではパパ　ママの30代。

わんぱくなＤＮＡは　しっかりとおこちゃまに受け継がれているのかな？（笑）

ファミリーで　また　「トトロの道」を　歩いてほしいですね(^^)/
あの時の「わんぱく」を想い出して・・・