続 野鳥ケリの話 ６

　午前中、畑の持ち主さんが農作業にやって来ました。巣から離れた作業では平然としていたケリMamaも、近くで作業を始められると畑地を無断借用している弱みがあり、「チチ―（ごめんなさい！）」と鳴いて巣を離れました。そして、少し離れた邪魔にならない場所に移動し、そこで巣と作業の様子を見守っていました。
　親鳥が巣を慣れているので、畑の持ち主さんにお願いして、巣の様子を見せて頂くことにしました。持ち主さんの案内で巣を見に行くと、見聞きしていたような巣はありません！　耕作されていない畑地の一画で、灰色地に黒の迷彩柄の小さな卵が3個ありました。畑の土の上に、ぽつんと置かれた状態で、周りは小石や枯れ草があるだけで、卵を守ったり隠す物は何もありませんでした。ケリの巣は、とてもシンプルでした。持ち主さんに御礼を言って、畑を出ました。この間ケリMamaは近くにいましたが、何時も見かける顔で害を与える敵でないと認識している様で、静かに見守っていました。
　午前中に農作業が終ると、ケリMamaは巣に戻り抱卵を再開しました。午後になって少し雨が降りましたが、その後は何事もなく無事に一日を終えそうです。