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今回のルートは、一般的に紹介される南岳から北穂高岳ではなく、北穂高岳から南岳へと通過。ご一緒したご夫婦とも「この方向の方がおすすめ」という意見で一致しました。
おすすめする理由は三つあります。
まず一つ目は全体的に下り基調であること。
大キレットは体力・気力ともに消耗するハードなルートなので、下り基調の方が体力を温存しやすく、飛騨泣きや長谷川ピークといった核心部にも余裕をもって臨めます。実際に歩いてみても、登り基調より疲労の蓄積が少ないと感じました。
二つ目は危険箇所を前半に通過できること。
梯子の少ない急な下り(逆方向なら急登)、飛騨泣き、長谷川ピークといった難所を、まだ体力・集中力が十分残っている段階で越えられます。最低鞍部を過ぎ南岳方面に入ると、北穂方面よりも道は平坦で梯子も多く整備されているため、多少疲れていても比較的安全に登れました。
三つ目は通過後の登山道のハードさです。
南岳に出れば、緩やかな稜線歩きで槍ヶ岳を経由し、ババ平から上高地に下るだけ。一方、北穂高岳に出る場合は、「破線ルートを通って涸沢岳方面へ」「北穂高岳から涸沢小屋へ下る」「再び大キレットを通って南岳へ下る」などしか選択肢がなく、いずれも疲れた身体には危険度も負荷も高いルートです。もちろん、余力を十分に残せる方には問題ありませんが、国内一般登山道最難関クラスの大キレットに挑むなら、体力面で少しでも余裕を残す意味で、北穂高岳から南岳方面をおすすめしたいです。
なお、北穂から南岳方面へ向かう場合は、飛騨泣きの下りで足場が上から見えにくいので要注意です。また、大キレット通過後には絶景の展望スポットがあるので、ぜひ立ち寄って撮影を。南岳側は早朝にガスがかかることが多く、絶景を逃す場合もあります(実際、北穂のテラスも朝は真っ白でした)。
大キレットはその難易度や危険性で知られますが、無事に通過できた時の達成感と、目の前に広がる壮大な景色は格別です。今回得た経験を胸に、次はジャンダルムへの挑戦を視野に入れながら、さらに技術と体力を磨いていきたいと思います。
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