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夏休み開始から3日目。
堆く積んだレポートと教科書の山に耐えられなくなるも
あいつ今年こそ退学か…を懸念している家族の手前
「山に行く。」とは言いがたい。
そこで全く問題を解決しない方便は
「気分転換にちょっと釣りに行ってくる。」である。
とはいえ管釣りで練習にかける金もなし、海に行くわけでもなく、
正体は山に変わりないのだが。
釣り好きのおっさんに釣りの基本を教えてもらいたい!と
誘ってみると「講習してやるか。」と二つ返事でOKがでた。
かくして釣り狂いのおっさんと酒好きの野良ハイカーは
別々の思惑をもって山に向かった。
今思えばこの時おっさんは尺を狙う気満々だったのだろう。
自分は自分でやった!キャスティング講習だ!と思っていたのだが
それはそれは見事に裏切られた。
【1、釣りが絡まないとやる気がない。】
ゆるゆる支度をしていたら、途中ナイトハイクになりかけた。
早く現地で落ち着きたい自分の足は急ぐが
「おい。早いよ。どうせ今日は釣れないんだからゆっくり行くぞ。」
と暑さで少々ご機嫌斜めである。
自分の釣行の日は急かすくせに勝手なものだ。
【2、どんな状況でも釣り優先。】
翌日は新たなオカズ沢を開拓後、本流に戻ってキャス練という計画だったが
脇の尾根道に魅惑の赤テープを発見してしまう。
気になる!ちょっとだけ行こう!ちょっと見るだけ!と提案した自分も悪かった。
「よく後ろを見て形状を覚えろ!」と言われたのにズンズン進んだ自分も悪かった。
迷っても最悪尾根を登りつめれば登山道に出ると安易に考えた自分も悪かった。
戻ると決めたら…案の定迷った。
もう釣りをしたくてしょうがないおっさんはカンカンである。
「今日は釣りに来たんだ!こんなことはシーズンオフにやれ!
だからテープも持ってないのに勝手に登るなって言っただろ!」
まあ、ここまではご尤もである。
が、途中までは同意していたはずなのに
「もう、おまえの言うことは聞かないからな!」
とかなりのご立腹。なぜこの状況でその一言…
急峻なやせ尾根の上で始めなくてもいいだろうに。
しばし下ると「もう等高線緩そうだから適当におりるぞ!」
ちょっと待て。
以前どんな時でも分かる場所まで戻るのが基本だと言わなかったか?
人の高所恐怖症を知っているくせにノーザイルでここを下れと?
という悲痛な叫びもむなしくさっさと1人下ってゆく。
判断決定理由「釣りする時間がなくなるだろうが。」
ここ滑落したら本流まですっ転がっていきませんか?
と怯える自分に唯一与えられたクモの糸はお助け紐。以上。
無事に下りて息も絶え絶えな自分にとどめの一言。
「釣りするやつは皆こうだ。時間の無駄だ。」
それは絶対嘘だろうが…
【3、とにかく自分の釣り優先。】
本流に戻って遡行を開始すると少々ご機嫌の治ったおっさん。
しかし、想像以上に流れが速くポイントが少ない。
「俺の後ろからきてやれ。」と言ったきり黙々遡行。
おっさん一匹釣った→ご機嫌ホイミ。
おっさんまた釣った→ご機嫌べホイミ。
おかしい。講習メインて言わなかったか?
【4、自分の釣果第一。】
幕営地に戻るとご機嫌ベホマ。
「おまえが釣ったらどうしようかと思ったよ(ニヤニヤ)」
と入門者相手でも容赦のない大人気なさに完全に脱帽。
【5、撤退は人のせい】
翌日はいざ支流へ。
こんなに長い竿ここで振れるかな?どうやって振るんだろ?
という入門者の疑問に答えは与えられぬまま黙々遡行。
依然としてアドバイスは0。
滝現る。
水量が多すぎて完全にシャワーになる。
新しい防水携帯をザックに押し込んでとりついた自分。
行ける!
けど…帰りはノーザイル…か。
嫌だな。戻ろう…か?と躊躇した自分もそれは悪かった。
「こんなところで撤退なんてありえないなあ。
まあ、おまえが竿振れないから戻ったってことで(ニヤニヤ)」
とは言っているが着替えも持ってきていないし、
下降の世話するのが面倒臭いと思ったのはお見通しである。
【6、それでも先輩風は吹かせたい】
何一つ教わってはいないのに「昼飯食ったら帰るぞ。」
そりゃあないだろう。講習って言っただろうと食いさがったら
やっとこ教えてくれたこと→「10時12時だ。以上。」→自習→自分は昼寝。
もういいです。と1人で遡行を始めたら
見るに見かねたのかストーキングやキャスティングの基本を教えてくれた。
目から鱗!は落ちたが腑に落ちない。
この人…どうして昨日教えてくれなかったのかしら…
「こういうところにいるんだ見てろ!」と一振り。
釣りやがった…
人間に最上級のしたり顔というものがあるとすればそれに認定できるであろう。
ご機嫌ベホマズンである。
そして、ようやっと始まった下山30分前の純・基本講習は
もちろん自慢話の数々を聞くこととセットであった。
【7、いろいろどうかと思う発言】
「俺の前を歩いたら殺す。」
後ろじゃ釣れる見込みないじゃないか。
「事件発生?人が来なくなっていいな。」
人としていかがなものか。その発言は。
「おまえ絶望的に下手だなあ。(延々続く)」
自分が初めて竿を持った時のことを思い出してくれよ。
「釣り師は常に1人だ。(加齢臭と哀愁を漂わせながら)」
ほう。ではなぜ釣友という言葉があるのだ。なぜ私は薪集めをしているのか。
「釣り上がるには軽量化が大事なんだ。」
みんながそうじゃないだろう。メットくらい持とうよ…
これは心底そう思う。
「釣るだけじゃ駄目だ。渓について考えないなら…(しみじみ続く)」
珍しく全うそうな事を言われると信用できない。
この男、釣り師である。
しかしこの項目に全て該当する源流釣り師が何人いるものだろうか。
「○○のことになると人が変わる」という人はいると思う。
今回同行のおっさんは普段から人柄や素行に問題があるので対象外だが
普段は温厚で人柄の良い釣り師さん達でも
後ろから人が来た時に瞳の奥に火が灯る。
ハイカーと判明した途端に「お気をつけて」といつも通り
菩薩の笑みをたたえたその瞬間を自分は見た。
釣り師を熱くする「釣り」とはなんであろうか。
ただ釣るだけでは知れない「渓に秘められた自然と人の歴史。」とはどんなものなのだろうか。
公園で竿をふりふり考える夏がやってきた。
【備忘録】
初釣行@蝉丸
気温・22度
水温・不明
天候・曇り(時に小雨)
鉤♯12
ライン♯4(本流4.7支流3.5)
★ストーキング
☆フォルスキャストをなるべくしないこと
☆ピックアップ&レイダウンの練習
☆バックキャストが弱い遅いタメがない
(サイドでよく確認、矯正すること)
☆ナロウループを意識すること
★★★渓について勉強すること
すごく面白いお父さんですよね。
私もNZにいったとき、勢いで高いフライ用の竿を買ったままお蔵入りしているの思い出しました。
でも、こうまでしないと渓流釣りができないなら、もっと鍛えないとだめですね。
NZに行かれたことがあるのですね。
友人に見せてもらった写真の景色は素晴らしかったです。
私は全くのド素人なのでよく分りませんが、フライフィッシングはNZのような海外の雄大な川でやるのが元々なのかなあとイメージしておりました。
日記に登場したようなフライマンは天然危険物かと思います。
日本の渓でもゆったりフライを楽しんでいる方は
多いかと。
ぜひその竿を使ってあげて下さい^^
fooさん こんばんは。
山菜獲りに渓流釣・・・山仙人を目指してますか?
なんて冗談はさておき、山女・・・美味そう。
私も釣をするのですが、残念ながら、海専門です。
ところで、宿題は進んでいるのでしょうか?
花より団子の最高峰におりますので、どうも山でも呑み食いする志向になってしまうようです(笑)
海に山にと美味しい趣味を沢山お持ちでいいなあ。
芝刈り後のビールも美味しいのでしょう?
ちなみに宿題はですね…
えーと…
今年も単位は滑落寸前ですね^^;
>>この男、釣り師である。
壮絶に吹いたwwwwwww
俺と殿下の時は素晴らしい先生、
自分の釣りは一切無しで、
余すことなく伝授してくれたのに・・・
釣りたい欲に火がついた先生も魅力的ww
是非また御供させていただきたいと
お伝えください^^
山休ゅー^^
しかしお伝えするとますます調子に乗りそうなので黙ってますw
ふぁんくさんと管さんは最初からキャス上手かったぞ!ってボロクソ言われてるの(;_;)
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