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20代の頃当時所属していた会に、80代の妖怪と呼ばれる女性がいた。手はリウマチで、靴紐も上手く結べない。疲れて、途中リタイアも多かった。「もう辞めなきゃ、辞めなきゃと思っているんだけど、山を好きで辞めれないのよね」と言う言葉を聞いて、ずっと自分の山終いはいつ来るんだろう?線を引けるだろうかと考えている。
もちろん私の年で山を辞めるには、まだ早い。むしろこれから始める人も多いだろう。でもどこかで、いつかは線を引く勇気が必要だと、ずっと思っている。
たまたまその日体調不良などを除けば、山で見かける歩けない方には2パターンある気がする。
山を始めたばかりで自分の実力が分からず、山選びを間違えている方。ツアーなどで、よく見掛ける。
もう1つが、本人談でかつては凄い山に登っていて、月日を重ねた方。コロナ禍で数年山を休んでいた年配の方に、「だって私、以前は槍も赤岳も行ったんですよ!コロナの間3年休んでいたけれど」と言われ、その間全く山に行かず、久しぶりに山に行ったら全く歩けなくてびっくりしたと70代の方に言われ、こちらがびっくりした。3年歩かなかったら、年代に関係無く歩けないと思う。
自分も20代の頃に比べると、無謀さは無くなったが、体力は格段に落ちた。若い頃には無かった病気や怪我も、抱えている。
山は一か八かではなく、安全に家に帰ることが私の信条なので、間を空けないように、低山でもいいから歩いて、体力を維持するようにしている。
今年の夏も、山での死亡事故や遭難のニュースがたくさん入って来た。
年齢は様々。その年齢や経験でそんな無謀なコースを、と思うものもあれば、「あの山で、何故事故が起きるのか?」と思う場所もあった。
私の好きな登山家松濤明さんは山で亡くなったし、著名な登山家の多くが山で亡くなっているが、私は山で亡くなることを英雄視するべきでは無いと考えている。
何十年かまだ時間はあると思うけれど、山を好きだからこそ安全に山終いを迎えたい。山を好きでいるために。
槍も赤岳もピーク単体では難易度的には大した山ではないと思うんですが、自己評価が正しく出来てないんでしょうかね…。加齢には肉体的なものもそうですが、判断力の低下&硬直も大きいですよね。退職後に山を始めるような方だと、そのあたりの意識が希薄なんでしょうか。
最初の方の気持ちはわかりますし、自分もちゃんと線引きできるかなぁとは思います。せめてその意識の有無だけでも持っておきたいですね。
家族でもなければなかなか、「もう山お辞めになった方が」とは言えませんし、でも大きな事故にでもなったら大変ですし、難しい問題ですね。
誰もが平等に年を重ねる訳で、「もう歩けない」の前に、まだ歩ける内に山終いをしたいなと思っています。
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