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HOME > ヤマレコのおすすめルート > 針ノ木岳・烏帽子岳縦走【特集・夏のアルプスを歩く!後編】
ルートID: r1038 上級 3泊4日 槍・穂高・乗鞍 「特集・夏のアルプスを歩く!後編」

針ノ木岳・烏帽子岳縦走【特集・夏のアルプスを歩く!後編】
はりのきだけ / えぼしだけ

濃い緑山行に最も適した時期 薄い緑山行に適した時期
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
北アルプスの主稜線上でありながら訪れる人も少なく地味で不遇な山域ですが、ここの素晴らしさは言葉では言い表せません。筆者お奨めの好ルート!
※2017年07月04日更新
ルート長27.1km
登り標高差1398m
下り標高差1547m
行程概要: 大沢小屋(1675m) → 高巻き入口(2000m) → 針ノ木峠(2536m) → 針ノ木岳(2821m) → 針ノ木峠(2536m) → 蓮華岳(2799m) → 北葛乗越(2275m) → 北葛岳(2551m) → 七倉乗越(2316m) → 七倉岳(2509m) → 船窪小屋(2450m) → 船窪天場(2390m) → 船窪乗越 → 船窪岳(2303m) → 船窪第2ピーク(2459m) → 不動岳(2601m) → 南沢岳(2625m) → 烏帽子岳山頂分岐 → 烏帽子岳(2628m) → 烏帽子岳山頂分岐 → 前烏帽子岳(2605m) → 三角点(2208.7m) → 権太落し → ブナ立尾根取付(1330m) → 高瀬ダム テント場(1288m) → 高瀬ダム濁沢登山口(1270m)

【立山・薬師岳・黒部川源流域】針ノ木岳・烏帽子岳縦走の詳細解説

\ おすすめポイント /
  • 北アルプスの主稜線ながら静かな山歩きを楽しめる
  • 変化に富んだルート
  • 魅力的な山小屋に宿泊
モデルプラン
1日目
歩行時間:6時間30
信濃大町駅〜扇沢〜大沢小屋〜針ノ木雪渓〜針ノ木小屋〜針ノ木岳〜針ノ木小屋
2日目
歩行時間:5時間40
針ノ木小屋〜蓮華岳〜北葛乗越〜北葛岳〜七倉乗越〜七倉岳〜船窪小屋
3日目
歩行時間:8時間
船窪小屋〜船窪乗越〜船窪岳〜不動岳〜南沢乗越〜南沢岳〜四十八池〜烏帽子岳〜烏帽子小屋
4日目
歩行時間:3時間45
烏帽子小屋〜ブナ立尾根〜権太落し〜高瀬ダム〜七倉〜信濃大町駅
コース概要 初日は扇沢から針ノ木雪渓を登り針ノ木峠から針ノ木岳を往復、針ノ木小屋に宿泊する。
針ノ木雪渓は雪の状態により登路が大きく変化する。
雪が少ない年は殆ど雪の上を歩かないこともあるので、最新の情報は大沢小屋で尋ねてみるといいだろう。
針ノ木峠の直下はザレたつづら折りとなり、厳しい登りが続く。
針ノ木峠に到着後、宿泊予定の針ノ木小屋に荷物を置いて針ノ木岳を往復しよう。
途中にニセピークが一つあるが、それを越えると剱・立山連峰を一望する山頂に到着する。
眼下には黒部湖が輝き、遊覧船の航行まではっきりと確認することができる。
山頂で展望を堪能したら針ノ木小屋へ戻る。
2日目は船窪小屋までと距離は短いが、内容は濃い行程となるので早出を心掛けよう。
コマクサが咲き乱れる蓮華岳に登ると、北アルプスの主稜線が南へ向かって険しく連なる。
蓮華岳からは急な下りとなり、梯子や鎖を使って岩場を下る。
下りきったところが北葛乗越だ。
ここからは再び登りに転じる。
大きくそびえる北葛岳へ登り返し、今度は七倉乗越へ向けて再度下りとなる。
岩場を通過し七倉岳への登りとなれば、台地状の山頂を越えて船窪小屋に到着する。
3日目は船窪岳・南沢岳・烏帽子岳を越えて烏帽子小屋へ至る長い行程だ。
できるだけ早い時間に船窪小屋を出発したい。
小屋を出るとすぐさま船窪乗越へ急降下していくが、足元が悪いところがあるので転落や転倒には十分注意したい。
船窪乗越からは小さなピークを越え、急な梯子やロープが設置された岩場・痩せ尾根を通過していく。
船窪第2ピークまでは悪場が続くので、慎重な行動を心掛けよう。
ピークからは緩やかに下り、最低鞍部から不動岳への登りとなる。
不動沢の大崩壊地に沿って登り、最後に足場の乏しい岩場を越えれば不動岳に到着する。
ここはオコジョの出現率が高いところだ。
山頂を辞して下りきったところが南沢乗越だ。
さらにハイマツ帯から砂礫の道を登り返せば南沢岳に到着する。
南沢岳を境にして雰囲気は一変する。
多くの池塘とお花畑が点在する四十八池(烏帽子田圃)を通過すると烏帽子岳への分岐点に到着する。
烏帽子岳へは岩場に設置されて鎖を伝って登るが、山頂部は狭く転落や滑落には気を付けたいところだ。
山頂から慎重に下り、分岐点から前烏帽子岳を越えればまもなく烏帽子小屋に到着する。
4日目はブナ立尾根を下るだけだ。
この尾根は急な下りが続くが比較的歩きやすい。
権太落しを過ぎて鉄製の階段を下れば裏銀座登山口に到着する。
山と高原地図 《ヤマプラ》
http://yamare.co/BA2hDE
計画書提出先 長野県警察本部地域課または大町警察署地域課
※長野県警のホームページより電子申請可
※扇沢に登山計画書提出ポストあり
宿泊 針ノ木小屋:0261-22-1584
http://www.harinoki.com/
船窪小屋:090-2409-6311
https://funakubogoya.net/
烏帽子小屋:090-3149-1198
http://home.384.jp/happy/
交通 JR大糸線信濃大町駅より松本電鉄アルピコバス(扇沢バスターミナル行き:1,360円)にて扇沢バスターミナルへ。
高瀬ダム〜七倉間は徒歩(1時間20分)かタクシー(2,200円前後)のみ可。
七倉からはタクシーにて信濃大町駅まで。
駐車場 扇沢に市営無料駐車場あり。
アドバイス 針ノ木雪渓は落石に注意。
蓮華岳からの下り・北葛乗越・七倉乗越付近は鎖と梯子が多いので注意すること。
3日目は行程が長くアップダウンも多いので早立ちを心掛けたい。
船窪岳周辺は登山道の崩壊が激しく一部ヤセ尾根になっている部分がある。
南沢岳周辺はオコジョの発見率が高い。
ブナ立尾根の下りは長く急な部分も多いので転倒等に注意を払うこと。
サブコース 特になし。
エスケープルート 船窪小屋から七倉尾根を経て七倉へ下山可能。
針ノ木谷を経て黒部湖へ下るルートは、道が安定せず不明瞭なのでエスケープには不適だ。
入浴 《大町温泉郷・薬師の湯》
利便性が高く気軽に立ち寄ることができる。
http://www2.plala.or.jp/yakushino-yu/index.html
おすすめ周辺情報 《三洛》
大町駅の近くにある老舗大衆食堂「三洛」は定食メニューが豊富だ。
https://goo.gl/maps/43Lo3WouhN92
《豚のさんぽ》
大町駅前の「豚のさんぽ」は文字通り豚料理専門店。ラーメンとカレーが人気のお店だ。
http://buta3.jp/
《コンディトライ・アン・マリーレ》
大町温泉郷の「コンディトライ・アン・マリーレ」のチーズケーキは絶品。
http://anne-marille.com/
1
【1日目】
扇沢バスターミナルから登山開始。
左手にある関電専用の車道をわずかに進む。
2
ゲートの左手に針ノ木自然遊歩道の看板がある。
ここが針ノ木岳への登山口だ。
3
遊歩道は何度か関電専用道と交差しながら上流方面へ進む。
4
篭川左岸の高台を緩く登っていく。
ブナの林が気持ちいいところだ。
5
赤沢を対岸へ渡る。
早い時期には雪渓が残るところだ。この沢は暴れ沢として知られており悪天候時には渡渉できないこともある。
6
再び樹林帯を進むと大沢小屋に到着する。
ここで針ノ木雪渓の最新情報を聞くことができる。
7
大沢小屋から左岸の道をたどるとほどなく針ノ木雪渓に降り立つ。
8
【注意】
雪渓の状態によっては雪渓に降りず左岸を高巻きながら進むことがある。
この場合は微妙な岩場の通過が多くあり時間が掛かる。
9
針ノ木雪渓が一番狭まるところ「喉」を通過する。
10
【注意】
「喉」は早い時期に雪が割れて通行不能になることが多いので注意が必要だ。
この場合も下部と同じく左岸から高巻くが不安定な岩場が続く。
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針ノ木雪渓の終了点に到着。
ほぼ毎年場所が変わるので右岸を注意深く確認しながら歩くこと。
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沢を横切りながら右岸のガレを登る。
傾斜も急で不安定なガレが多いので落石には要注意だ。
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いよいよ針ノ木峠へ向けての急登が始まる。
雪解け直後は浮石などが安定せず落石が多いところなので注意が必要だ。
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ザレ場のつづら折り詰め上げると針ノ木峠が見えてくる。
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針ノ木小屋が建つ針ノ木峠に到着。
初日はここに宿泊となる。
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小屋に荷物を置いて針ノ木岳を往復しよう。
登山道は長野県側に付けられていて急登が続く。
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標高を上げていくと針ノ木岳とスバリ岳の鞍部から剱岳が見える。
圧倒的な存在感。
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山頂直下はザレ場が続くので足元に注意したいところだ。
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針ノ木岳山頂に到着。
できれば時間を取って絶景を楽しもう。
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山頂から立山連峰を望む。
薄い藍色の黒部湖に浮かぶ遊覧船まではっきりと見て取れる。
21
槍・穂高連峰方面。
(クリックで山名表示)
22
裏銀座方面。
(クリックで山名表示)
23
薬師岳方面。
(クリックで山名表示)
24
立山連峰・剱岳方面。
(クリックで山名表示)
25
後立山・頚城山塊方面。
(クリックで山名表示)
26
山頂を辞して針ノ木小屋へ戻る。
27
小屋の規模は小さいが食事の内容は充実している。
品数が多くボリューミーだ。(一例)
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【2日目】
翌日は蓮華岳・北葛岳・七倉岳を越えて船窪小屋までの行程だ。
距離は遠くないが悪場も多く時間が掛かることがあるので注意しよう。
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小屋を出発するとすぐに蓮華岳への登りとなる。
尾根を跨いで富山県側に出るまでは急な登りが続く。
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やがて傾斜が緩み穏やかな尾根道を進むようになる。
頂上は正面のピークではなく更に奥となる。
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山頂直下は砂礫混じりの広々とした稜線だ。
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山頂付近はコマクサの大群落になっている。
北アルプスのみならず国内でも最大規模の自生地だ。
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蓮華岳の山頂に到着。
山頂には麓の大町市にある若一王子神社の奥宮が祀られている。
34
山頂から右へ90度折れれば蓮華の大下りだ。
ここから北葛乗越まで標高差で約500m下ることになる。
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蓮華の大下りには白花のコマクサが数株咲いている。
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ハイマツ帯に入ると次第に尾根が痩せて岩稜となる。
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徐々にザレ場と岩場を交互に通過するようになる。
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中間部はザレ場とガレの急斜面が続く。
鎖は設置されているが古いものも多いので注意すること。
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さらに急な岩場が続く。
ここは滑落や落石に要注意。
40
岩場を下った鞍部は北葛乗越だ。
ここからは北葛岳へ約300mの登り返しとなる。
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北葛岳は麓からもほとんど見えず目立たない山だ。
ただし山容が大きく登りも長くきつい。
42
山深い北葛岳に到着。正面には槍・穂高連峰を遠望。
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北葛岳から七倉乗越までは約200m弱の下りとなる。
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途中の岩場には梯子が設置されている。
とにかく急な下りなので転倒や滑落には注意したい。
45
下りきると七倉乗越に到着する。
次は七倉岳へ約200m強の登りとなる。
46
登り始めは岩場となっている。
梯子・鎖と続くので足元に注意して登ろう。
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七倉岳は台地状になっていて頂上付近は傾斜が緩い。
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七倉岳に到着。
あとは船窪小屋まで緩く下るだけだ。
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ハイマツの尾根を下ると出迎えの鐘が鳴る船窪小屋が見えてくる。
50
船窪小屋に到着。
北アルプスの中でも名物小屋のひとつでファンも多い。
発電機がないランプの小屋だ。
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ご主人が囲炉裏に火を入れる。
良き古き山小屋の雰囲気だ。
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電気(冷凍庫)がないので全て手作りになる。
手間と時間をかけた心のこもった素晴らしい夕食だ。
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ランプが灯ればまもなく就寝時間だ。
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【3日目】
今日は船窪岳・南沢岳・烏帽子岳を経て烏帽子小屋までの長い行程だ。
船窪小屋の鐘の音に見送られて出発する。
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七倉岳への道を分けて船窪乗越への下りとなる。
不動沢の崩壊地際を下るが悪場が多いので転落や転倒に注意したい。
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小屋から1時間弱で船窪乗越に到着する。
右手は針ノ木谷を経て黒部湖へ至る船窪新道だ。
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わずかに登ると船窪岳の山名表示板が建つピークに到着する。
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ここから第2ピークとの鞍部へ下る。
階段が連続する急な下りなので転落には注意しよう。
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年を追うごとに崩れていく痩せ尾根を通過する。
滑落注意。
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気の抜けない痩せ尾根が続く。
不動沢の崩壊地は深く切れ落ちている。
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鞍部まで下ればザレ場の登り返しとなる。
鎖やロープが設置されている急斜面をよじ登る。
62
登り返すと船窪第二ピークに到着する。
こちらの方が本峰より標高が高い。
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第二ピークからは樹林帯と崩壊地の際を出入りしながら緩く下っていく。
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鞍部からは不動岳への登りとなる。
左側は相変わらず崩壊地が続くので注意が必要だ。
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しばらく登ると背後の展望が開ける。
前方には崩沢の崩壊地と歩いてきた稜線が見えている。後方は針ノ木岳と蓮華岳だ。
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岩場の基部を登る。
鎖が設置されているので補助に使って登ろう。
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ハイマツの尾根道を緩やかに登っていく。
68
不動岳に到着。南北に広く休憩適地。
オコジョの出現率が高いところだ。
69
この周辺にはコマクサの大群落が広がる。
蓮華岳に負けず劣らずの規模だ。
70
山頂を辞して正面に見える南沢岳へ向かう。
まずはわずかに下って南沢乗越へ下る。
71
南沢乗越は暴れ沢として知られる濁沢の源頭だ。
眼下には高瀬湖が見える。
72
南沢乗越から南沢岳への登りとなる。
左手には烏帽子岳の岩峰と三ツ岳が大きくそびえる。
73
砂礫の道を進むと南沢岳の山頂に到着する。
74
南沢岳から見る烏帽子岳。
手前には烏帽子田圃(四十八池)が見える。
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南沢岳から下ると烏帽子田圃(四十八池)を通過する。
今までとは雰囲気の違う光景が広がる。
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点在する池塘とお花畑が綺麗なところだ。
チングルマ・ミヤマダイコウンソウ・キジムシロが多い。
77
湿地帯を抜けると烏帽子岳への分岐に到着する。
荷物を置いて山頂を往復しよう。
78
山頂へは難しくはないが鎖場が続く。
79
烏帽子岳山頂に到着。
岩峰で非常に狭いので転落には注意しよう。
80
山頂を辞して分岐まで戻る。
さらにコマクサが多く咲く尾根道をたどり前烏帽子岳を越える。
81
砂礫の道を緩く下ると烏帽子小屋に到着だ。
3日目はここに泊まる。
82
烏帽子小屋は昔ながらの雰囲気が漂う。
今時の山小屋にはない時間の流れ方が心地よい。
83
烏帽子小屋のメインはボルシチだ。
(※2016年時点)
品数も多くボリューム満点。
84
【4日目】
翌日はブナ立尾根から高瀬ダムへ下るだけだ。
小屋が富山県側に建っているので尾根を乗越してから下りとなる。
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ブナ立尾根を下る。
急勾配の下りが続くが比較的歩きやすい道が続く。
86
小屋から登山口までは番号がふってあり目安になる。下りの場合は烏帽子小屋が0番で登山口が12番だ。
権太落しの大岩(9番)を通過する。
87
11番を通過すると鉄製の階段を下る。
88
裏銀座登山口に到着。
烏帽子小屋から3時間弱の行程だ。
89
濁沢に沿って歩く。
この周辺は雨が降ると大きく地形が変わるので留意すること。
90
濁沢を対岸へ渡る。
増水時にこの橋は流失するので要注意だ。渡れない場合は速やかに東京電力の高瀬ダム事務所か烏帽子小屋へ連絡を入れること。
過去には無理をして流された事故が数件発生している。
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砂地を歩くと不動沢の吊橋だ。
92
不動沢トンネルを抜ければ高瀬ダムに到着する。
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高瀬ダムに到着。
夏期は一般車両の通行が禁止されているのでタクシーで七倉へ戻るのが一般的だ。
(徒歩約80分)
94
【入浴】
大町温泉郷の「薬師の湯」は利便性が高く気軽に立ち寄ることができる。
95
【おすすめ周辺情報】
大町駅の近くにある老舗大衆食堂「三洛」は定食メニューが豊富だ。

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【おすすめ周辺情報】
大町駅前の「豚のさんぽ」は文字通り豚料理専門店。
ラーメンとカレーが人気のお店だ。
97
【おすすめ周辺情報】
大町温泉郷の「コンディトライ・アン・マリーレ」のチーズケーキは絶品だ。
※上記の情報は記事更新日(2017年07月04日)時点の情報です。最新の情報については、出発前に現地の各関係機関にお問い合わせいただく事をおすすめします。

※本記事内にて各山域に生息する動植物の紹介を行う場合がありますが、自然保護区域への立ち入りや希少生物の採取・捕獲・譲渡・販売等は、法令により禁じられています。多くの方が自然を楽しみながら登山ができるよう、動植物の保護にもご協力ください。
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