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更新日:2020年05月09日 訪問者数:207
ジャンル共通 技術・知識
日本の山々の地質;第2部 北アルプス、2−4 霞沢岳〜蝶が岳(常念山脈南部)
bergheil
2−4章 霞沢岳〜蝶が岳(常念山脈南部)

 さてこれから、北アルプスの主な山について、南から順に、その地質を説明していきます。まずは常念山脈の南部から始めます。

 槍穂高連峰の入り口、かつ人気の山岳観光地でもある、上高地に降り立つと、ほとんどの人は、眼前にそびえる穂高連峰の威容と、目の前に流れる梓川の清流に目を奪われるでしょう。一方、上高地の南側の山列は、あまりに近すぎて山頂も見えず、ほとんど注目する人はいません。また登山対象としても、穂高連峰に比べると地味なので、登山者も少ない山域です。

(広義の)常念山脈は、この上高地の裏手にひっそりそびえている霞沢岳(標高;2646m)から始まり、徳本峠(とくごうとうげ)を越えて、東へと緩やかな稜線が続き、大滝山(標高;2615m)に至ります。さらに、そのあたりから山脈は北へと方向を変え、蝶が岳(標高;2664m)で、ようやく再び森林限界を抜けて展望が開けるとともに、登山者の姿も多くなります。

 この霞沢岳から大滝山、蝶が岳までの稜線とその山腹を構成している地質は、「丹波・美濃帯」と呼ばれる堆積岩でできており、その地層の正体は、ジュラ紀(約2.0憶年〜約1.5憶年前)にできた、「付加体」です。

 「丹波・美濃帯」とは、西南日本内帯における代表的な付加体性の地質帯で、西はその名の通り、兵庫県中部の丹波地方から始まり、京都府の中北部、琵琶湖の北岸、岐阜県の中部(奥美濃)、そしてこの、北アルプスの南部へと続きます。

 構成している岩石は典型的な付加体であり、陸地起源の砂岩、泥岩、海洋起源のチャートなどで構成されています。おそらくジュラ紀の時代、この付近には、今の南海トラフのような海洋プレート沈み込み帯があり、長い間かけて、長くて幅広い付加体が形成されたものと思われます。

 霞沢岳から大滝山、蝶が岳までの稜線は、地質図によると主に陸源の砂岩でできています。砂岩はそれほど浸食に強い岩石ではないので、おそらくそのせいで、この稜線はなだらかなのでしょう。岩場などほとんどありません。大滝山、蝶が岳も、なだらかな馬の背状で、どこが山頂かわからないほどのなだらかさです。

 なお、この山稜の南側の、島々谷の流域は、地質図によると「混成岩」(メランジュ)が主体で、陸地起源の砂岩、泥岩と、海洋起源の玄武岩、チャートが入り混じっているようです。

 また、霞沢岳は、対岸の西穂高の稜線から見ると、わりと目立った山頂をしています。地質図によると、霞沢岳山頂近辺に地層の境目があり(北東―南西走向)、山頂より南側は丹波・美濃帯の砂岩ですが、北側は、途中の六百山(標高;2443m)も含め、槍穂高連峰を構成する深成岩(花崗岩)、火山岩(溶結凝灰岩)でできています。そのせいで、山容もやや険しくなっているものと思われます。
2−4章 霞沢岳〜蝶が岳(常念山脈南部)
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この記録へのコメント

登録日: 2012/8/31
投稿数: 130
2020/5/10 22:40
 勉強になります
蝶から常念へ行くとき、常念山頂に向けて「うへ〜」とする登りがあります。
あの辺りから花崗岩帯なんですね。そしてところどころ砂岩帯に。
地質は時間の流れが大きすぎて?ですが、興味深く読ませていただきました。
ありがとうございます。
登録日: 2011/5/3
投稿数: 381
2020/5/10 23:35
 Re: 勉強になります
tati87さん、コメントありがとうございます。コメントを頂くと、励みになります、

私は山歩きを始めた頃から、地質、地形に興味が出始め、素人ながら、自分で勉強した内容を、このヤマノートに連載しはじめました。

地質、地形学の専門家では無いので、多少の間違いもあるかも知れませんが、これからしばらく、北アルプス編を続けていきますので、読んで頂けると幸いです。
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