金峰山
- GPS
- --:--
- 距離
- 10.3km
- 登り
- 1,181m
- 下り
- 1,171m
コースタイム
瑞牆山荘 0705
富士見平 0745
大日小屋 0820
大日岩 0850/0900
砂払いの頭 1010/1020
金峰山頂 1130/1200
砂払いの頭 1230
大日岩 1320/1340
富士見平 1420/1430
瑞牆山荘 1455
過去天気図(気象庁) | 2014年01月の天気図 |
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アクセス |
写真
装備
個人装備 |
靴:シリオP.F.301
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感想
先日の雲取山で厳冬期の2,000mを経験したので、今度は厳冬期の2,500m級を、ということで金峰山(2,599m)へ行ってみることにした。金峰山は高校の春合宿で何度か行ったことがあるけど、それ以来、実に25年ぶりか。懐かしい。
今回の新アイテムは、マウンテンダックスのソーカー28と、ヘリテイジのバラクラバ。いつもの夏山装備品に、スキーの手袋を持っていくことにした。
横浜から瑞牆山荘までは車でおよそ3.5H。須玉ICからは増富ラジウムラインという県道を走る。往路は塩川ダムから黒森経由、復路は増富経由にしてみた。どちらも除雪はされているが、凍結はどっちもどっちといった感じで、往路はダムからチェーンを着け、復路はダムでチェーンを外した。
瑞牆山荘の無料駐車場は山荘目の前の林道を入ってすぐで、除雪されてない。帰りの中央道は小仏渋滞もなくスムースだった。3連休初日というのはそんなものなのかもしれない。八王子からR16で戻ったがこれも意外と速くて、1H強だった。
県道の表示では朝方−7℃。富士見平までの積雪はざら目。しばらくはアイゼンなしで行く。富士見平を過ぎると新雪でさらさら感が増した。徐々に積雪量も増える。大日岩から砂払いの頭は、時折膝下までのラッセルが必要になった。僕の前に先行者が一人いて本日分のトレースはついていたものの、雪を掻き分けて進むのは二番手でもかなりの体力を消耗した。砂払いの頭の手前で軽アイゼン装着。
砂払いの頭から稜線上に出るともっと大変なことになった。天気は良いが風が強く、新雪が巻き上げられて吹雪のようになっていた。おまけに、2日前に降ったと思われるその新雪の量が半端なくて、膝どころかところによっては腰まで埋まる。先行者のトレースも地吹雪ですぐに薄くなるのか時折分からなくなる。バラクラバが必須だったが、お陰で眼鏡が曇るので地吹雪の中でルートを見つけるのがとても難しくなった。立っているのもやっとの強風(15m/s以上か)で風に向かって歩くのが困難。そんなこんなで、頂上にたどり着くのに思いのほか時間がかかった。
山頂でも地吹雪は続き、景色を堪能する余裕もない。晴れてはいるのだが八ヶ岳は雲に覆われている。山頂から戻る単独の先行者とは途中ですれ違っていたし僕の後ろにはしばらく人はいない様子だったので山頂はもちろん僕一人で、何というかちょっとだけ不安になった。この積雪量と強風の中、常識的な登山者は果たして登ってくるものなのだろうか? 八ツのように雲が湧いてホワイトアウトになってしまったら、この稜線上を戻る道を僕は自力で見つけられるだろうか? もしかしたら僕は来てはいけないところに来てしまったのか?
というのはちょっと大袈裟だが、初めて雪山の洗礼を浴びたような気分だった。穏やかに晴れてトレースのしっかりしている雪山なら大した問題もない。しかしひとたび条件が悪化すれば簡単に遭難できる、それが雪山なのだろう。
岩場で強風を避けて昼食をほおばると、すぐに下山に取り掛かった。案の定、トレースは(降雪がないにも拘わらず)強い風で既に薄くなっているようだった。それでも自分と先行者のトレースを頼りに先を急ぐ。五丈石あたりで登りの人に会って、少しだけ不安が解消した。ああこんな状況でもみんな登ってくるんだ。砂払頭まで戻るとようやく一息ついた。これで生きて帰れそうだ。
砂払頭で軽アイゼンを外し、踵で滑りながら下った。樹林帯に入れば風の影響はほぼない。大日岩に寄り道し、金峰山の山容を眺めた。青空の下で優美な姿は惚れ惚れするのだが、稜線上では相変わらず強風が吹き荒れているのだろう。大日岩にも頑張って途中まで登ってみたけど、すぐに手掛かりがなくなったので素直に諦めた。厳冬期の強風の中で無理をするほどのことではない。
下りですれ違った登山者は20名弱、3連休初日でもそんなに人は多くないようだ。もう昼過ぎだったが、彼らは日帰りなのだろうか?それとも金峰山小屋にでも泊まるのかしら? トレースを期待するなら遅い出発がいいのかもしれない。
帰途で増富の湯に寄ってラジウム風呂にゆっくり浸かった。ラジウム風呂はぬるいのだけど、熱い温泉も用意されていたので、交互に入って身体を温めた。身体が冷え切っていたのでありがたい温泉だった。
★装備について
靴は相変わらず無雪期用シリオP.F.301で、雪に埋もれてラッセルまでしたが、足は濡れもせずまったく問題なかった。無雪期用でもここまで行けることは行けるのだ。足先用カイロも役に立ったかもしれない。しかし、靴の外側は濡れていたし、中も少し湿っていたので多少は浸水しているのだろう。深雪にはやはり冬用登山靴があったほうがよさそうだ。この限界を知るために少しずつステップアップしてきたのだ。しかし、今回も6本爪軽アイゼンで事足りて、12本爪アイゼンの必要性は感じなかった。どこに行けば必要になるのかしら。
服装も無雪期用で、上はヒートテックのネックTシャツにウィンドブレーカという2枚だけだったが、暴風の山頂(たぶん−15℃くらい?)でもまったく寒気を感じなかった。手足はさすがに冷たいのだが、身体が寒いという感覚がなく、何故なのか自分でも不思議。下はヒートテックのタイツに綿パン、レインウェアにスパッツで、これも問題なしだったけど、雪に腰を下ろしていると尻は濡れた。シェルなら濡れないのだろう、たぶん。
吹雪の中では吹上げてくる雪で眼鏡でも目を開けていられず、ゴーグルの必要性を感じた。大日岩から上ではオイルが気化せず、ライターがつかなかった。これは盲点だった。おかげで山頂での一服すらできなかった(余裕もなかったけど)。冬山用のライターがきっとあるのだろう。
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