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ヤマレコ

記録ID: 1226314 全員に公開 無雪期ピークハント/縦走白馬・鹿島槍・五竜

栂海新道 〜テント泊〜親不知海岸から白馬三山、唐松岳へ〜

日程 2017年08月10日(木) 〜 2017年08月14日(月)
メンバー
天候9日前日入り、夜晴れ
10日 親不知〜栂海山荘 晴れ高湿度
11日 栂海山荘〜朝日小屋 曇り時々晴れ、一時小雨
12日 朝日小屋〜白馬頂上宿舎 雨、強雨のち晴れのち雨のち晴れ
13日 晴れのち一時曇りのち晴れのち小雨
14日 曇り
アクセス
利用交通機関
電車タクシー、 ケーブルカー等
9日最終電車で親不知駅、徒歩で道の駅ピアパーク
10日道の駅から糸魚川タクシー利用で登山口
14日白馬駅から電車
表示切替:

コースタイム [注]

1日目
山行
9時間20分
休憩
1時間40分
合計
11時間0分
S親不知海岸05:3005:40栂海新道登山口06:40入道山07:50尻高山08:0010:00シキ割水場10:3011:40白鳥山12:1013:10下駒ヶ岳13:2013:50菊石山14:1015:10黄蓮山16:30栂海山荘
2日目
山行
6時間20分
休憩
2時間0分
合計
8時間20分
栂海山荘05:1005:15犬が岳06:20サワガニ山07:30黒岩山08:30黒岩平(昼寝)10:0011:20長栂山ヨコ12:00吹上のコル12:2013:00朝日岳頂上13:1013:30朝日小屋
3日目
山行
6時間40分
休憩
2時間10分
合計
8時間50分
朝日小屋04:5006:30ツバメ岩(水平道)06:4008:30雪倉岳頂上09:00雪倉避難小屋10:5012:20三国境12:3013:10白馬岳頂上13:40白馬岳頂上宿舎
4日目
山行
7時間20分
休憩
1時間30分
合計
8時間50分
白馬岳頂上宿舎04:3005:30杓子岳頂上05:5006:40白馬鑓ケ岳頂上07:0008:10天狗小屋08:3008:50天狗ノ頭09:0010:20不帰1峰10:3012:30唐松岳12:4013:20唐松テント場
5日目
山行
3時間0分
休憩
20分
合計
3時間20分
唐松テント場06:0008:00八方リフト乗り場08:2009:20ゴンドラ駅G
コースタイムの見方:
歩行時間
到着時刻通過点の地名出発時刻
コース状況/
危険箇所等
栂海新道はルート上に危険個所は殆どありません。
低山のロングトレイルにつき、高温、高湿度に注意です。
水の補給箇所をしっかり押さえておけばOKです。
その他周辺情報道の駅ピアパークは高速道路下で雨が凌げます。
自販機、トイレあり朝発ち拠点として便利です。
過去天気図(気象庁) 2017年08月の天気図 [pdf]

装備

個人装備 長袖シャツ Tシャツ ソフトシェル タイツ ズボン 靴下 グローブ 防寒着 雨具 ゲイター 日よけ帽子 着替え 予備靴ひも ザック ザックカバー サブザック 行動食 飲料 ハイドレーション ガスカートリッジ コンロ コッヘル 食器 調理器具 ライター 地図(地形図) コンパス 計画書 ヘッドランプ 予備電池 筆記用具 ファーストエイドキット ロールペーパー 保険証 携帯 時計 サングラス タオル ストック ナイフ カメラ ポール テント テントマット シェラフ ヘルメット

写真

えちごトキめき鉄道の最終電車で親不知。そこから徒歩でピアパーク。
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えちごトキめき鉄道の最終電車で親不知。そこから徒歩でピアパーク。
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ピアパークの朝です。タクシーお願いするときは、一番奥にある大きな亀のモニュメントが目印です。
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ピアパークの朝です。タクシーお願いするときは、一番奥にある大きな亀のモニュメントが目印です。
栂海新道の起点の海岸
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栂海新道の起点の海岸
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海岸です。けっこうゴロ石で打ち寄せて来ます。注意。
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海岸です。けっこうゴロ石で打ち寄せて来ます。注意。
1
波から逃げてこけそう。
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波から逃げてこけそう。
足を水につけて。
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足を水につけて。
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相棒と波に気を付けて。
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相棒と波に気を付けて。
1
栂海新道の登山口。
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栂海新道の登山口。
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入道山。うっそうとした森を登っていきます。
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入道山。うっそうとした森を登っていきます。
サワガニ山岳会の目抜き道標。
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サワガニ山岳会の目抜き道標。
一旦道路に出て階段を上る。
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一旦道路に出て階段を上る。
尻高山。気温は30度越え。
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尻高山。気温は30度越え。
坂田峠。ここまでタクシーを呼べます。
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坂田峠。ここまでタクシーを呼べます。
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相棒、まだ行けます。
湿度高くズボンは染みだします。
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相棒、まだ行けます。
湿度高くズボンは染みだします。
1
坂田峠から再出発。
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坂田峠から再出発。
木が吸収した道標。
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金時坂の頂にある金時の頭。
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シキ割の水場。豊富でした。
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シキ割の水場。豊富でした。
2
ここで水をしっかり補給。
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ここで水をしっかり補給。
白鳥小屋。けっこう登ります。
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白鳥小屋。けっこう登ります。
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白鳥山は一度かなり下降します。
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白鳥山は一度かなり下降します。
そしてまた登ります。
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下駒ヶ岳・・・ほかに撮影するものがありません。
マムシたくさん
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下駒ヶ岳・・・ほかに撮影するものがありません。
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菊石山・・・ほかに撮影するものがありません。
マムシたくさん
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菊石山・・・ほかに撮影するものがありません。
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1
黄蓮水場の表示。道の反対にテント1張りなら可能。
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黄蓮水場の表示。道の反対にテント1張りなら可能。
ほぼ標高が変わらない低い山をひたすら苦行に耐える
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ほぼ標高が変わらない低い山をひたすら苦行に耐える
1
じゃーん。栂海山荘。
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じゃーん。栂海山荘。
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人の手でこのようなものが造られたことに感慨深く
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人の手でこのようなものが造られたことに感慨深く
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小野建さん。ありがとうございます。
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サワガニ山。少し歩きやすく感じられる稜線です。
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サワガニ山。少し歩きやすく感じられる稜線です。
やっと花に会えました。ニッコウキスゲ
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チングルマ ヒゲ
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黒岩平のベンチ。どうしても寝たかった。
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3
池。美しい景色が始まりました。最後の楽園。
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雪渓も 標高はまだ1,800m付近
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もうここでビバークしたかった。
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照葉ノ池。キャンプ禁止。
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もう吹上コルまで近い。
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もう吹上コルまで近い。
吹上コル。栂海新道終わりました。
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2
小屋の管理人さん
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水平道を歩きツバメ岩
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水平道を歩きツバメ岩
水平道からの雪倉はかっこいい
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水平道からの雪倉はかっこいい
この後、雨がひどくなり雷鳴。
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晴れました。花が一斉に。
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2
三国境に向かうまでには雪渓もわたります。
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鉱山道と三国境の間あたりから。
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2
雨がまた強く。でもサミット達成です。
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2
白馬岳頂上宿舎のテント場はほぼ満杯
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白馬岳頂上宿舎のテント場はほぼ満杯
2
テントを張ったら晴れました。
濡れものが乾きます。
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濡れものが乾きます。
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干します。靴も水没。
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やられてしまっています。雨の片づけ。
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1
青空に乾杯。明日はいい天気。
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1
白馬から杓子へ。
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夜が明けてきた。雲海
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打ち寄せる雲海。
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3
日の出です。いつみてもいい。
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2
劔が日に当たり始めます。
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劔が日に当たり始めます。
3
先行者を撮らせてもらいました。ブルーバックはかっこいい。
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先行者を撮らせてもらいました。ブルーバックはかっこいい。
ガスで霞んだ白馬鑓方面
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ガスで霞んだ白馬鑓方面
この場所、超かっこいいです。
雲海をバックに。6時半頃か。
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雲海をバックに。6時半頃か。
1
天狗山荘は今年テント場のみ。9月18日まで。
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天狗山荘は今年テント場のみ。9月18日まで。
2
大きく下ります。
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大きく下ります。
不帰キレットへの道。ワクワクします。
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岩はやっぱり楽しい。
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夏は岩尾根です。
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夏は岩尾根です。
もう不帰の楽しみもおしまい。
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もう不帰の楽しみもおしまい。
唐松岳は足を動かしていれば到着します。
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唐松岳は足を動かしていれば到着します。
テント場、やばくね?張れるスペースあるのか。
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テント場、やばくね?張れるスペースあるのか。
1
土留めの上になんとか。でもウンコあり。
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土留めの上になんとか。でもウンコあり。
雪渓近くは落石もあり、テント危険です。
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雪渓近くは落石もあり、テント危険です。
2
八方尾根を下ります。
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八方尾根を下ります。
これがわかりやすい。
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これがわかりやすい。
自動で下ります。
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自動で下ります。

感想/記録

★Sea to Summit〜Day1★
8月10日 親不知〜栂海山荘
栂海山荘は標高1592mの犬ヶ岳直下にある無人の小屋で、地元の青海デンカ社員であった小野健さん率いるサワガニ山岳会が栂海新道を開拓される中で建造された。今の姿は数代目だそうだ。小野健さんが亡くなってからも後進に引き継がれ、登山道や山荘の維持管理が行われている。栂海山荘を利用する者は志として利用料を備え付けの木箱に入れることになっている。
後輩N君とは東北や北アルプスの沢や山に20代後半から一緒に登ることが多かった。どんなにハードな行程でも眼を瞑ったまま登山を続けられる頼もしい?後輩で、リーダーに絶対服従という隊員である。
そんな彼は山好きが高じて東京大学近くのエリート高校から信州大に進み、山の植樹などしながら長野県の山を楽しんでいたが、飽き足らずさらに奥深い東北の山に近づくため東北大に転学したという経歴の持ち主で、私が宇都宮勤務時に入社してきた。今は仕事でも一人前となり、家族を持って横浜で暮らしている。
今回はお互いに出発前の9日最終時刻の糸魚川駅で待ち合わせとなり親不知行き最終電車に乗って移動した。
そのN君が登山開始から4時間経った頃、金時坂を登り終え、シキ割の水場を過ぎた辺りから変調をきたした。休むことが多くなり、その後、自らリタイヤを申告した。N君はまだ標高を稼がないとたどり着けない白鳥小屋まで行き、体調回復を待って下山すると言う。しかし、明らかに熱中症の症状で汗が流れても体温が調整できていない。私は携帯電話の繋がる今なら下山させられると思ってタクシーと連絡をとって、休み休みでも山を下らせて車が入れる坂田峠まで迎えに来てもらうよう進言した。N君は、先輩の立てた計画だから必ず実行してください、と言って別れた。
この選択肢は後になって正解だったと思い知らされた。
真夏の低山、繰り返す激しいアップダウン、無風の樹林帯の高湿度。これに縦走装備が加わり、悪い条件に満たされた初日の行程となる。
この日、同じ海抜0mからスタートした30代のソロハイカーが追い抜いて行った。彼は上高地まで抜ける計画で今日中に白馬岳山頂を目指すと言っていた。確かにその足取りからは達成できそうだった。しかし、彼とは栂海山荘の直前で再会した。彼も熱中症寸前の様子に加えて無理をしたせいで足が回復しない様子だった。
私自身も汗が止まらず、呼吸が苦しくて標高を10m上げる度に立ち止まった。あまりに湿度が高過ぎてシャツもパンツもびしょ濡れで汗が浮き出てベッタリと貼り付いたまま。下半身を動かすだけの苦行の繰り返し。相棒を失い精神的な支えもなく、湿地が殆どで腰掛ける場所もビバークできる場所もなく進退窮まる。纏わりつく虫の多さにうんざりして、出会ったマムシ数知れず。体力も気力も削がれた。
栂海山荘に到着しても他に上がってきた登山者は居らず、海に下る登山者1人がテントを張り、私と熱中症ソロハイカー君とは小屋を利用させてもらった。体を回復させて明日は出来るだけ距離を延ばすと彼は話していたがどうなっただろう。
日の落ちる前に食事を掻き込み、泥のように眠った。
夜中、カサコソと大きな音で目が覚め、ヘッドライトを照らすと巨大なカマドウマが何匹も床を歩いていた。気味が悪いので備え付けのキンチョールを撒き散らして、また泥のように沈んだ。

★Sea to Summit〜Day2★
8月11日 栂海山荘〜朝日小屋
朝、隣人の早発ちの仕度で目が覚めた。トタン屋根の雨音が徐々に弱くなって夜が明けた。胃が悪く食欲がなかった。湯を沸かしてスプーンですすった。少し温まって食べられそうだったからインスタント麺を食べた。昨日の濡れたままのパンツとシャツに着替え、不快感を我慢して夜明けを迎えた。薄暗い外は雨に近い濃霧。ソロハイカー君が5時ちょうど、挨拶して出発していった。前に進むしかありませんから、と。確かにここからは引き返しても10時間かかる。
ところで、朝、栂海山荘のキジ場を試してみたがすごい。急傾斜の崖に足場の単菅が組まれていて雨凌ぎに板屋根とブルーシートが掛けられていて、渡された板を跨いで用を足す。下を覗くと絶対落ちたくはないので力が入る。
ソロハイカー君に遅れること30分、気持ちを整理して出発。出発して標高1612mのサワガニ山に到達する手前で若いトレイルランナーに抜かれる。彼は何と今日1日で五竜岳を目指すという。午前2時、親不知をスタートして、4時間で登ってきた強足であり信じさせられるものがあった。気が狂ってるなぁ、と誉めてやると、こんな奴もいるんですよ、と笑顔で返事してくれた。トランスアルプスジャパンのレーサーはああいう奴らなんだろう。しかし、彼の行動から軽量装備で低山区間を気温の上がらない深夜の時間帯に通過するというスタイルは栂海新道の登りでは正解だとも思った。
栂海山荘のテント場で下山するハイカーからの情報で水は黒岩平でとれると聞いた。北俣の水場は見つからなかったそうだ。
体調は良くはなく歩いては立ち止まりの感じで標高2000m越えまで耐えた。2000m以下は日が射すと湿地帯のお花畑もムッとしてキツい。水分の摂取しすぎで流れてしまったミネラルを補給するためVAAM粉末を口に入れる。そうすると30分くらいは体が動く気がした。
それでも回復しないので誰とも出会うことのない木道に横になって半時ほど寝た。長栂山に至る手前に、やっと雪渓がみえ、樹林帯を登っていくと岩に囲まれた砂礫の平地が広がった。風が通り、そこの平らな岩に寝転んで、山頂まであと600mの標高を稼ぎ朝日岳に進むか悩んだ。このままここビバークしてしまおうか、幸い水はある、、、、。しかもここは北アルプス最後の楽園と言われるが本当に頷ける素晴らしいロケーションだ。普通の人が容易に近寄ることができない場所だ。
でも明日は朝から崩れる予報で、朝日小屋のテント場にいた方が万が一停滞するときには安全。
迷いながら少し歩き出すと栂海新道を下るハイカーとすれ違った。久しぶりの人。彼は大学生で上高地焼岳をスタートして9日目、台風の中も稜線でやり過ごしてきたと話していた。
人と会話したことで少し元気になり、吹き上げコルまで進んだ。
蓮華温泉から上がってきた人がいた。60歳代後半と思しき女性でホッとした。こういうハイカーが来れる場所。栂海新道を抜けた。
天気は曇り、たまにピリピリと小雨。
標高2417mの朝日岳を越えて朝日小屋。
テント場確保。少し経って高校生山岳部の団体のテントに囲まれた。高校生たちは栂海新道を明日下り、栂海山荘に1泊して親不知の海に抜けるようだ。女子生徒たちも楽しそうに話していたが、16時のNHK気象予報ラジオを契機に予定変更して、北又小屋へ下山する決定をしたようだった。
高校生たちは下山決定を機に夜まで騒ぎ、尻取りが終わらないので、やむなく20時半にテント越しに声をかけて黙らせた。ほかにも多くの早発ちハイカーがいるであろうテント場に静けさが戻った。
この日、自炊しないで、美味しいと評判の朝日小屋の夕食を特別にオーダーした。予約制だが管理人の清水さんが受けてくれたのでお願いした。清水さんの山の日トークで盛り上がり、食堂は打ち解けた。同じ机はソロハイカー同士で、私と同じように栂海新道を目指す人たちだったので情報交換した。トレランスタイルで、年下のバリバリの人が多かったが、やはり、栂海新道では失敗していて、ライトウェイト、ファストパッキングで挑む方が成功率が高いということだった。

★Sea to Summit〜Day3★
8月12日 朝日小屋〜白馬岳頂上(サミット到達)
栂海新道を終え、ここからはハイカーも多く、北アルプスの稜線を目指し標高を上げていくだけのはずだった。ただ午前4時40分、テント撤収と同時に強い雨が降り出した。
標高2610mの雪倉岳は昨年も来ているので安心感があった。朝日岳頂上を回避して向かった水平道は、ただ粘り強く雨のなかでも耐えれば大丈夫と思いつつ大きなアップダウンを繰り返した。決して水平ではない。1時間も歩いたところで、体調不良と冷えから辛抱できなくて、藪や沢筋に何度もキジ場を求める始末。雨の中、とても辛かった。
ツバメ岩まで1時間45分歩いたところでやっと腰掛けできる岩がある。そこまでは笹薮や低木に挟まれた道で、木道も沢となり泥のヌタヌタ。水平道側からの雪倉岳はとてもかっこいいと思った。ほかのハイカーは見た限り5人ほど。ソロは自分だけ。
雨が降り続いていた。
標高が上がりだし、隠れる場所のない雪倉岳の斜面、2300m付近から豪雨。加えて雷鳴。雷鳴。雷鳴。近い。
雨の勢いがドンドンキツくなりレインウェアを浸透。体は完全に水没。水没したパンツを伝って靴のなかも水没。夏山とはいえ、強風と雨でどんどん体温が奪われる。実感した。
立ち止まれば危険、登り続けて気がつけば雪倉山頂に達した。雨脚は少し遅くなり、そのまま避難小屋まで下降。避難小屋の床も先人らによって水没していた。仕方がなく裸足になり、タオルで床の水を吸い取り冷たい床半畳だけ確保。小屋の中は冷えきった湿気でガタガタとてが震えて体温が戻らず、何とか火を起こして湯を沸かしてスプーンですすって体を温めた。手の感覚が戻った頃には、白馬から朝日岳を目指すハイカーたちも避難してきたので、場を譲ることにした。靴下を絞り、水没した靴のなかをタオルで拭いて、レインを着て再出発。ここで2時間停滞した。
歩き出すと運よく雨が上がり晴れ間が射した。
雪渓でレインウェアを脱いだ。晴れた。
雪倉避難小屋には朝日小屋から管理の方が草刈りにみえていて、三国境に向かう遠くまで草刈りがされていた。ほんとうに大変な作業だ。避難小屋でラジオが付けっぱなしだったのはこの方が来られて居たからだった。
白馬山頂に向かう途中は、ずっと晴れていて、コマクサの群落があり、ほかの高山花と一緒に夏の短い時間を惜しむように咲き乱れていた。三国境からまたレインウェア装着。白馬山荘で少し休憩し、白馬岳山頂宿舎テント場まで下降。まだ少し雨。運よくテント場確保。テント場は満杯の大にぎわい。晴れた。
幸い周りのテントに騒ぐ連中がおらず、また、夜もこれだけの数のハイカーにも関わらず静かだった。
ここまで携帯の電波が取れていないが初日下山したN君は無事だっただろうか。

★Sea to Summit〜Day4★
8月13日 白馬岳〜唐松岳
隣にテントを張った大阪からというソロハイカーと話すうち、栂海新道でここまでこれたことで達成感もあり、不帰キレットを通過して南下する行程を見送り、白馬鑓温泉小屋に向かい、そこで一泊してのんびりしようという気分になっていた。白馬頂上のテン場にはそういった雰囲気がある。そのつもりで昨晩は眠りについたのでタイマーもセットしなかったが、やはり午前3時目が覚めた。外は晴れ。まだ胃が悪いのでお湯を沸かし、スープを持っていないので、VAAM粉末と芍薬甘草湯粉末を溶いて、スプーンですすっただけの朝食とした。テントを撤収し4時半出発。
晴れの稜線。雲海が見渡す限りに広がり、日の出を待ちながら歩く。目的地には午前の早い時間に到達する予定なので気持ちが軽い。でも、鑓温泉には40張り分しかテン場がないので早いに越したことはない。
杓子岳の頂上で携帯電話の接続を試みる。上手く繋がりメールと電話の履歴。おっと、N君だ。
〇笋六綉川のホテルで宿泊し体調が戻ったので大糸線で白馬大池から登山再開です。
白馬山頂です。大雨ですが、このまま天狗に向かいます。
12日は当初予定では天狗のテン場の予定だったので、N君はそこで合流しようとしたらしい。
E袈蕕離謄鷯譴郎嚢發任后これから不帰に向かいます。今、どこにいますか。
このメールに返信した。鑓温泉の向かうと。そしたら電波の切れたあとに返信があったようで、白馬鑓岳頂上にて、
せ笋睫温泉に向かいます。
すぐに携帯電話をかけたら、繋がった。彼は稜線から鑓温泉小屋に向かう分岐にいた。鑓の頂上で手を振っていることを伝えたら、気づいてくれた。下降し、N君と4日ぶりに再会した。そこでしばらく話して、お互いのことを伝えた。
晴れ。青空。気温も高くなく最高の稜線となったことで、お互いに気分が盛り上がり、やはり当初計画どおり唐松に向かうことにした。少し出発は遅れたが、まだキレット通過しても十分に間に合う時間だった。天狗の大下りからヘルメット装着して岩登りを楽しみながら、不帰1、2峰を越えた。
参ったのは唐松岳のテン場。唐松山荘は八方からのアクセスが楽なため異常とも言える人の多さで、小屋宿泊は畳1畳に4人とアナウンスしていたほど。13時に到着したので大丈夫だろうと思っていたら、テン場は崖の一番下の雪渓近くまで伸びており、ほとんどスペースが残されていなかった。そんな中でも幸い、土留めのうえに私たちはシングルテント2つ張ることができた。
雪渓近くに張ったテントに落石が向かった。ギリギリ止まったが、それ程危険な場所にまでテントを張らざるを得ない状況だった。
私のテントの横20センチに古くなったウ〇コ。臭うので砂をかけ誤魔化した。小屋のトイレまで標高差がかなりあるテン場で、水を買いに行くのも一苦労、さらにトイレ1回300円とか何でも有料なのでこういう輩はいる。後の人のことは考えない。
唐松のテン場は南西斜面で、晴れて太陽を直接受けると日中は耐えられない。ふたりで斜面を登って、2時間以上も岩陰で潜んでいた。夜も気温はさほど下がらず、あまり快適とは言えない夜だった。

★Sea to Summit〜Day5★
8月14日 唐松岳〜白馬駅
予備日として15日があり五竜岳に向かう計画だったが、お互いここまであった事の大変さと再会できたことの満足であえて五竜岳に行くのはやめておいた。そもそも二人とも人だらけの稜線に興味がない。また次回、どこかの山臭いルートをやろうということで、八方尾根から楽々下山と決めていた。
下山して、温泉に浸かり、旨いものを食って、酒を飲んで電車でゴーに決めていた。
私が登った累積標高はすでに6,000m近く十分満足できた。
案の定、八方尾根を下る登山道はまったく記憶にないくらい興味がなく、ただ無になって下っただけ。八方池も、あら、もうこんなところに着いたという感じ。観光登山の人がいると山ではないという気持ちにしかならないので困る。
ゴンドラに乗った。狭いカプセルの中、N君が私に、先輩臭い、臭すぎます。獣というかゲロというか、臭いです。と伝えてきた。そりゃそうだろう。6日間下着は替えてもシャツもパンツも汗染みの跡すら見えないほど、汗風味に仕上げてある。
下山した白馬村は涼しく、八方の湯に歩いて擦り倒してきれいになった。短パンにビーサンという軽快スタイル。ヘルメットぶら下げたザック背負って歩く白馬のメインストリートは気分がいい。
レンタカーを探して、ジェラート食べたり白馬村を巡ろうと探したけど、あいにく世間はお盆休み。仕方ないので、白馬駅で切符を買い、近くのそば神にて特大ザルそばを食べておなか一杯になり、N君と別れた。
さて、次はどこの山に登ろうか。


思い出に残る山行となりました。
序盤からトラブル続きで何とか別れてしまった後輩とも出会えてハッピーエンドでした。

道中出逢った皆さん、ありがとうございました。
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