記録ID: 1347447
全員に公開
積雪期ピークハント/縦走
槍・穂高・乗鞍
槍ヶ岳中崎尾根末端
2017年12月27日(水) 〜
2017年12月31日(日)


- GPS
- 104:00
- 距離
- 23.4km
- 登り
- 2,354m
- 下り
- 2,361m
コースタイム
12月26日 雪
新宿⇒平湯温泉⇒新穂高温泉→中崎根末端取り付き
バスタ新宿にて部員たちの見送りを受け、高速バスにて平湯温泉まで。平湯温泉からは路線バスに乗りこみ、新穂高温泉へとアプローチした。しんしんと雪は降り積もり、肌に感じる冷気は頬に刃物を当てられているような冷たさだった。取り付きと思しき地点まで10分ほど新雪をトレースした後、幕営とした。
12月27日 風雪
6:30 新穂高温泉林道発→8:10 1400m地点→13:50 1670P→15:10 1700mP幕営
正確な取り付きが前夜に判然としなかったため夜明けを待っての出発とする。末端から1650mPまでは樹林帯の藪の中に雪が薄く積もった、非常に歩きづらい急傾斜が続く。特に急登の後半では複雑に絡み合った木々が行く手を阻み、アスレチックを抜けていくような感覚に陥る。傾斜が落ちてからは平均して膝上ほどのラッセルとなり途端に速度が落ちるが、幸か不幸か日大山岳部の13人パーティーに追いつかれる。ここからは同部の上級生4名ほどと協力してひたすら膝〜腰ラッセルを進めていくこととなった。風雪の中の行動ではあったが、基本的に危険個所のない緩傾斜をラッセルしていき、15時に1700mP付近にて幕営とした。
12月28日 風雪
6:30出発→11:50 2100m地点→14:00 2360m付近幕営
5時に起床して朝飯を作っていると、すぐにテントの外を無数の足音が通過していく音が聞こえる。日大山岳部は昨晩の幕営を我々よりだいぶ手前で行っていたことを考えると、非常に早起きであった。我々が出発した時にはすでに高速道路のようなトレースがつけられており非常に申し訳ない気持ちを覚えたため、急いで彼らに合流する。1時間ほどで追いつき、昨日と同じく6~7名でひたすらラッセルを回していく日であった。積雪は全体を通して非常に多い。この日は平均的に腰上ラッセルで、2100m台地直下などでは頭上を越える新雪を掻き分けて進む場面もあった。2100m台地手前の岩峰を右から巻いて通過してしばらくラッセルしていくと、微かなトレースの気配を足元に感じ、1時間ほどで東農大山岳部との邂逅を果たした。彼らは我々の1週間ほど前から中崎尾根上を行ったり来たりしていたらしく、誠にご苦労なことである。陽気なリーダーと今後の予定について言葉を交わした後、30分ほど彼らのトレースを辿るとキレットの頭へと到達した。頭からの下りは急ではあるが慎重にステップを刻めば特に問題ないものの、コルからの登り返しは思っていたよりも急で、薄く雪が積もったぐずぐずの斜面は若干いやらしく感じた。その後は登り返し終了地点からわずかに標高を上げた場所で幕営とした。
12月29日 晴れのち風雪
5:40出発→6:30 奥丸山→9:30 2388mP→10:10 2381m幕営
午後から急激に天候が崩れていく予報を知り、午前中のうちに翌日アタックを敢行できる場所までテントを上げるべく、夜が明ける前に出発とした。すでに樹林は薄く、風が吹き抜ける稜線に出ているというのに相も変わらず雪は深い。前日までより雪が重いためザックを置いての空身ラッセルで道を切り開いていく。自分の番を終えてザックを回収するために振り返ると、眼下には数日ぶりの星空の下で街の灯りが煌々と輝いていた。奥丸山の頂上付近で日の出を迎えるが、右手には穂高連峰の稜線が悠然と姿を現し、前方には我々が目指すべき尖峰が超然と天に向かって突き立っていた。日大は追いついてこない。明日に予想される晴天を狙って無数の登山者が奥丸山から先の稜線をトレースしていくだろうが、彼らが辿っていく道は我々が末端から切り開いた道程の一部に過ぎない。まだ登頂を果たしたわけではないのに、その優越感は我々の足取りを軽くさせた。結局最後まで深雪の重さに足を取られ、天候の悪化が予想よりも早かったことから予定よりも手前の2388mPを越えたところで幕営とした。
12月30日 晴れ
6:00出発→7:10 2500mプラトー→8:50 千丈沢乗越→10:10 槍肩冬季小屋→11:30出発→St1P 40m 12:20 槍ヶ岳頂上 12:30 St3P 40/30/15m→13:40 槍肩冬季小屋
防風ブロックを積んでいてもテントを弛ませる強風が吹きつける中出発する。上空には星々がくっきり輝き、我々の祈りに応えてくれた。すでに日大と思しき光の連なりが遙か前方に見え、眼下に目を向けると槍平付近にもいくつかヘッドライトの明りがちらついている。日大がつけてくれたトレースを辿り、千丈沢乗越まで。数々の記録で非常に狭いとされているプラトーも、我々のテントほどの大きさであれば容易に幕営できそうであった。千丈沢乗越下部には日大が残置したFixが残されており、ロープを交錯させるのも気が引けるのでありがたく使わせてもらうことにする。ルンゼ上に雪が薄くついた雪壁を2P分上がると、人一人分の幅のナイフリッジの雪稜を1P分ほど歩く。そこからすぐに西鎌尾根上に出るが、風は思ったより強くない。尾根上を忠実に詰めた後、岩峰右の急傾斜を巻いて槍肩まで。冬季小屋で装備を整えた後アタックを開始した。以前穂先に来た時よりも過剰なほど太い鎖が絶え間なくついており、拍子抜けする。頂上直下には記憶通り15mほどの梯子が二つ連なり、40mほどロープを伸ばすと頂上へ。突き抜けるような快晴のもとで見渡す峰々の数々は、我々の1年間の苦労に報いるのに十分すぎるほどの景色であった。しばらく写真を撮ったのち、下降へ。3P分ロープを出し、最下部を慎重に下ったところで槍肩へと帰還した。
12月31日 曇り
6:40 出発→7:30 千丈沢乗越St40/20m→9:20 2381m BC跡地→10:30 槍平小屋→13:30 新穂高温泉
午後から天候が崩れていく予報だったので、日の出直前の薄闇の中出発する。岩峰を巻く部分の傾斜は急で、一歩誤れば飛騨沢の下部まで滑り落ちることとなる。3人でがっちり固まって1歩ずつ慎重にステップを刻み、千丈沢乗越まで。風は前日と比べても非常に強く、息つく暇もない。先のナイフリッジはトレースがついていることもあり、慎重にトレースし、雪壁の部分では2P分ロープを出してプラトーへ。すでに稜線には霧がまとわりつき、天候悪化が顕著となる。BC跡地で休憩した後、トレースを使って一気に槍平まで。奥丸山からの下りは非常に急で、ここを最初にラッセルするのは難儀だったろうと感じた。槍平からは雪が降りしきるなか新穂高温泉へのだらだらとした道を快調に飛ばし、今年最後の我々の合宿は終了した。
新宿⇒平湯温泉⇒新穂高温泉→中崎根末端取り付き
バスタ新宿にて部員たちの見送りを受け、高速バスにて平湯温泉まで。平湯温泉からは路線バスに乗りこみ、新穂高温泉へとアプローチした。しんしんと雪は降り積もり、肌に感じる冷気は頬に刃物を当てられているような冷たさだった。取り付きと思しき地点まで10分ほど新雪をトレースした後、幕営とした。
12月27日 風雪
6:30 新穂高温泉林道発→8:10 1400m地点→13:50 1670P→15:10 1700mP幕営
正確な取り付きが前夜に判然としなかったため夜明けを待っての出発とする。末端から1650mPまでは樹林帯の藪の中に雪が薄く積もった、非常に歩きづらい急傾斜が続く。特に急登の後半では複雑に絡み合った木々が行く手を阻み、アスレチックを抜けていくような感覚に陥る。傾斜が落ちてからは平均して膝上ほどのラッセルとなり途端に速度が落ちるが、幸か不幸か日大山岳部の13人パーティーに追いつかれる。ここからは同部の上級生4名ほどと協力してひたすら膝〜腰ラッセルを進めていくこととなった。風雪の中の行動ではあったが、基本的に危険個所のない緩傾斜をラッセルしていき、15時に1700mP付近にて幕営とした。
12月28日 風雪
6:30出発→11:50 2100m地点→14:00 2360m付近幕営
5時に起床して朝飯を作っていると、すぐにテントの外を無数の足音が通過していく音が聞こえる。日大山岳部は昨晩の幕営を我々よりだいぶ手前で行っていたことを考えると、非常に早起きであった。我々が出発した時にはすでに高速道路のようなトレースがつけられており非常に申し訳ない気持ちを覚えたため、急いで彼らに合流する。1時間ほどで追いつき、昨日と同じく6~7名でひたすらラッセルを回していく日であった。積雪は全体を通して非常に多い。この日は平均的に腰上ラッセルで、2100m台地直下などでは頭上を越える新雪を掻き分けて進む場面もあった。2100m台地手前の岩峰を右から巻いて通過してしばらくラッセルしていくと、微かなトレースの気配を足元に感じ、1時間ほどで東農大山岳部との邂逅を果たした。彼らは我々の1週間ほど前から中崎尾根上を行ったり来たりしていたらしく、誠にご苦労なことである。陽気なリーダーと今後の予定について言葉を交わした後、30分ほど彼らのトレースを辿るとキレットの頭へと到達した。頭からの下りは急ではあるが慎重にステップを刻めば特に問題ないものの、コルからの登り返しは思っていたよりも急で、薄く雪が積もったぐずぐずの斜面は若干いやらしく感じた。その後は登り返し終了地点からわずかに標高を上げた場所で幕営とした。
12月29日 晴れのち風雪
5:40出発→6:30 奥丸山→9:30 2388mP→10:10 2381m幕営
午後から急激に天候が崩れていく予報を知り、午前中のうちに翌日アタックを敢行できる場所までテントを上げるべく、夜が明ける前に出発とした。すでに樹林は薄く、風が吹き抜ける稜線に出ているというのに相も変わらず雪は深い。前日までより雪が重いためザックを置いての空身ラッセルで道を切り開いていく。自分の番を終えてザックを回収するために振り返ると、眼下には数日ぶりの星空の下で街の灯りが煌々と輝いていた。奥丸山の頂上付近で日の出を迎えるが、右手には穂高連峰の稜線が悠然と姿を現し、前方には我々が目指すべき尖峰が超然と天に向かって突き立っていた。日大は追いついてこない。明日に予想される晴天を狙って無数の登山者が奥丸山から先の稜線をトレースしていくだろうが、彼らが辿っていく道は我々が末端から切り開いた道程の一部に過ぎない。まだ登頂を果たしたわけではないのに、その優越感は我々の足取りを軽くさせた。結局最後まで深雪の重さに足を取られ、天候の悪化が予想よりも早かったことから予定よりも手前の2388mPを越えたところで幕営とした。
12月30日 晴れ
6:00出発→7:10 2500mプラトー→8:50 千丈沢乗越→10:10 槍肩冬季小屋→11:30出発→St1P 40m 12:20 槍ヶ岳頂上 12:30 St3P 40/30/15m→13:40 槍肩冬季小屋
防風ブロックを積んでいてもテントを弛ませる強風が吹きつける中出発する。上空には星々がくっきり輝き、我々の祈りに応えてくれた。すでに日大と思しき光の連なりが遙か前方に見え、眼下に目を向けると槍平付近にもいくつかヘッドライトの明りがちらついている。日大がつけてくれたトレースを辿り、千丈沢乗越まで。数々の記録で非常に狭いとされているプラトーも、我々のテントほどの大きさであれば容易に幕営できそうであった。千丈沢乗越下部には日大が残置したFixが残されており、ロープを交錯させるのも気が引けるのでありがたく使わせてもらうことにする。ルンゼ上に雪が薄くついた雪壁を2P分上がると、人一人分の幅のナイフリッジの雪稜を1P分ほど歩く。そこからすぐに西鎌尾根上に出るが、風は思ったより強くない。尾根上を忠実に詰めた後、岩峰右の急傾斜を巻いて槍肩まで。冬季小屋で装備を整えた後アタックを開始した。以前穂先に来た時よりも過剰なほど太い鎖が絶え間なくついており、拍子抜けする。頂上直下には記憶通り15mほどの梯子が二つ連なり、40mほどロープを伸ばすと頂上へ。突き抜けるような快晴のもとで見渡す峰々の数々は、我々の1年間の苦労に報いるのに十分すぎるほどの景色であった。しばらく写真を撮ったのち、下降へ。3P分ロープを出し、最下部を慎重に下ったところで槍肩へと帰還した。
12月31日 曇り
6:40 出発→7:30 千丈沢乗越St40/20m→9:20 2381m BC跡地→10:30 槍平小屋→13:30 新穂高温泉
午後から天候が崩れていく予報だったので、日の出直前の薄闇の中出発する。岩峰を巻く部分の傾斜は急で、一歩誤れば飛騨沢の下部まで滑り落ちることとなる。3人でがっちり固まって1歩ずつ慎重にステップを刻み、千丈沢乗越まで。風は前日と比べても非常に強く、息つく暇もない。先のナイフリッジはトレースがついていることもあり、慎重にトレースし、雪壁の部分では2P分ロープを出してプラトーへ。すでに稜線には霧がまとわりつき、天候悪化が顕著となる。BC跡地で休憩した後、トレースを使って一気に槍平まで。奥丸山からの下りは非常に急で、ここを最初にラッセルするのは難儀だったろうと感じた。槍平からは雪が降りしきるなか新穂高温泉へのだらだらとした道を快調に飛ばし、今年最後の我々の合宿は終了した。
天候 | 12/27 風雪 12/28 風雪 12/29 晴れ後風雪 12/30 快晴 12/31 雪 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2017年12月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
タクシー会社に電話すると非常に嫌がられる。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
取り付きから1670mPまでは樹林帯内の急登。斜度が落ちる直前は木々が露出して歩きづらい。千丈沢乗越下部はルンゼ状の雪壁。直下はナイフリッジだが、慎重にトレースを刻めば問題ない程度。 穂先の直下は雪が少なく、鎖がバッチリ露出している。 |
その他周辺情報 | 中崎山荘 奥飛騨の湯にて入浴。 |
予約できる山小屋 |
槍平小屋
|
写真
撮影機器:
装備
個人装備 |
長袖シャツ
長袖インナー
ハードシェル
タイツ
ズボン
靴下
グローブ
アウター手袋
予備手袋
防寒着
雨具
ゲイター
マフラー
ネックウォーマー
バラクラバ
毛帽子
着替え
靴
予備靴ひも
ザック
ザックカバー
サブザック
アイゼン
ピッケル
ビーコン
スコップ
ゾンデ
昼ご飯
行動食
非常食
調理用食材
調味料
飲料
水筒(保温性)
ガスカートリッジ
コンロ
コッヘル
食器
調理器具
ライター
地図(地形図)
コンパス
笛
計画書
ヘッドランプ
予備電池
GPS
筆記用具
ファーストエイドキット
針金
常備薬
日焼け止め
ロールペーパー
保険証
携帯
時計
サングラス
タオル
ツェルト
ナイフ
カメラ
ポール
テント
テントマット
シェラフ
ヘルメット
|
---|
感想
今年度の年間目標を達成することができ、一安心である。やはりと言うべきか人は多く、2月の笠ヶ岳で感じた圧倒的なプレッシャーを感じることはなかった。しかし古典的なメジャールートと言われるだけあって、ラッセルから雪壁まで様々な要素が詰まった好ルートだった。
お気に入りした人
人
拍手で応援
拍手した人
拍手
訪問者数:2123人
ATACKってどういう意味の英語ですか
コメントありがとうございます
ATTACKですよ
ちょっと難しい単語でしたね
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する