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記録ID: 1663906
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ハイキング
奥多摩・高尾

高尾山の七曲( 500年前の登山コース )江戸前期

2018年11月27日(火) [日帰り]
 - 拍手
GPS
16:00
距離
6.6km
登り
475m
下り
59m

コースタイム

甲州道中 - 駒木野小仏関跡 - ドンドン淵 - 七曲 - 古参道 - 1号路 - 薬王院 - 高尾山山頂(紫陽関)
天候 晴れ時々曇り
過去天気図(気象庁) 2018年11月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自転車
自宅(23区内)からパスハンターで自走、途中にデポ、そして徒歩。
コース状況/
危険箇所等
歴史散歩。高尾駅北口から甲州道中を進み、古道を辿るという江戸前期の高尾登山コース。およそ500年前のルートです。

歴史ある道がこのまま埋もれるのは、やるせないという思いでの現状紹介です。ルートの推奨ではありません。

危険箇所あり、また立入り禁止区域が隣接しますので、参考として見ていただければ。

注・もしもこのルートを訪れる際は、節度ある行動をお願いします。読図が必要な低山バリエーション、歴史と古道のマニア向け。

歴史ある近世の古道、信仰の道です。オリジナルルートを外さないよう、踏み荒らすことのないよう心がけて下さい。また大人数でドカドカ入るような場所ではありません。

ここを訪れるということは、すでに郷土史を読まれているか、読図できる方だと思いますので、こと細かには説明しません。

(地図上に描いたルートは前回の幕末コースままです。)
まず甲州道中は小仏関跡を通過(駒木野の関所としては後期になる)。
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まず甲州道中は小仏関跡を通過(駒木野の関所としては後期になる)。
この橋下の淵がドンドン。
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この橋下の淵がドンドン。
ドンドン淵の石垣、年代不明。この石垣の上が本来のルートではないかと推測するのですが、いかがでしょうか?
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ドンドン淵の石垣、年代不明。この石垣の上が本来のルートではないかと推測するのですが、いかがでしょうか?
取り付きの様子。古道は崩落、崖。地形図と郷土史を参照し、慎重に、オリジナルルートを見極める。
取り付きの様子。古道は崩落、崖。地形図と郷土史を参照し、慎重に、オリジナルルートを見極める。
ルートの様子。わかりづらいですが、まさに七曲。崩落が激しいですが、それでも所々には古い文献ままの姿が残されており、かなり感動します。なんせ文献の成立時期から数えても200年は経過しているので。
ルートの様子。わかりづらいですが、まさに七曲。崩落が激しいですが、それでも所々には古い文献ままの姿が残されており、かなり感動します。なんせ文献の成立時期から数えても200年は経過しているので。
七曲を半分ほど登り、振り返って。この七曲尾根は展望なし。かなり地味です、歴史マニア専用? 石仏に祠などはないようです、以前もそれなりに探してみたのですが、見当たりませんでした。
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七曲を半分ほど登り、振り返って。この七曲尾根は展望なし。かなり地味です、歴史マニア専用? 石仏に祠などはないようです、以前もそれなりに探してみたのですが、見当たりませんでした。
尾根、肩の部分に乗りました。急登を見下ろす。
尾根、肩の部分に乗りました。急登を見下ろす。
古道、尾根道の様子。両側崖の痩せ尾根。尾根上は、ハイカーに踏まれているのではなく、整備の方が不定期に入ることで、このような状態が保たれているのでしょう。それなりに幅のある、しっかりとした明確な道が残る区間は、メインの参道として使われていた名残ではないでしょうか。
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古道、尾根道の様子。両側崖の痩せ尾根。尾根上は、ハイカーに踏まれているのではなく、整備の方が不定期に入ることで、このような状態が保たれているのでしょう。それなりに幅のある、しっかりとした明確な道が残る区間は、メインの参道として使われていた名残ではないでしょうか。
小ビークに到着。この後、古参道に合流。あとは古参道で薬王院に、そして高尾山山頂まで。
小ビークに到着。この後、古参道に合流。あとは古参道で薬王院に、そして高尾山山頂まで。
おまけ。左側奥のほう、石垣が切れる少し先。甲州道中は駒木野の夫婦松跡。古くから旅人のランドマーク的存在とされていたが、現在は跡形もありません。ちなみにこの一帯が辻河原になります。
おまけ。左側奥のほう、石垣が切れる少し先。甲州道中は駒木野の夫婦松跡。古くから旅人のランドマーク的存在とされていたが、現在は跡形もありません。ちなみにこの一帯が辻河原になります。
七曲、この画像のほうがわかりやすいかも? 陽があたり、道部分がなんとなくジグザグに見えているのがわかるでしょうか。「新編武蔵風土記稿」にあるのとほぼ同じ様相のつづら折り道が刻まれているのです。
七曲、この画像のほうがわかりやすいかも? 陽があたり、道部分がなんとなくジグザグに見えているのがわかるでしょうか。「新編武蔵風土記稿」にあるのとほぼ同じ様相のつづら折り道が刻まれているのです。

装備

個人装備
ロープ スリング カラビナ パスハンター

感想

以前から荒廃が進んでいましたが、先の台風によりさらに荒廃化しています。

取り付き付近の崩落により、人が寄りつかないため、却って、それが幸いして古道が保管されているという現状です。

生態系に配慮し、道を崩さないように進む、細心の注意が必要なルートです。

江戸時代前期-中期には高尾山のメインルートであり、いくつかの古い文献で紹介されています。しかしその役目を終えおよそ200年が経過。

それもあって踏み荒らされてないので、ちょっと慎重に、あえて曖昧な紹介となる点にご理解いただければと思います。

先に紹介した江戸後期ルートは、1623年に口留番所再開、1631年高尾山通り抜け禁止が布令、1796年には角屋角地に道標建立という背景があります。

1623年以後、落合が駒木野のバックドアとして機能しており、それ以前からのメインの関は駒木野。現在の小仏関跡は駒木野付近の関所としては後期で1616年から機能。

それ以前、1580年に小仏山の関所が駒木野付近に移設というか、切り替えられています。それは現在の小仏関跡よりやや西に位置していたようです(前期)。

そしてさらに1589年に小仏峠の関所は再構築、後、先に説明したように現在の小仏関跡に移設されています。

(ただ、関所の移設時期と場所に関しては諸説あります。ついでに、幕府の安定以前、境となる峠は権力闘争の最前線でも。小仏峠の関所は西側の境の監視として、現在の小仏峠の南側、小仏城山寄りにありました。)

江戸庶民の旅がブレイクの兆しを見せるのが1600年代半ば以降。たとえば「可愛い子には旅をさせよ」というフレーズは、おそらく1660年が文献では初出。1660年には日本初となる旅のガイドブックも出版。

おそらく、落合ルート側からの参詣の慣例化が1600年代末ころからで(または1700年代半ば?)、それ以前に歩かれていたのがこの七曲ルートだと思われます。

(関所との関係からルートの切り替わる正確な年代がよくわからなくて、1800年代には先に紹介した幕末コースがポピュラーになっていたはずなんですが…。)

当時、江戸庶民には娯楽を兼ねて高尾山に登る慣例はなかったと思われますので、ここは純粋な信仰のための道と言えるでしょう。

そして高尾山での信仰は、江戸時代以前、1500年代、北条氏のころには慣例化していたでしょう。

で、関所開設にともない、突如このルートが出現したとは思えないのです。それ以前からローカルまたは修験者により踏まれていたと考えるのが妥当と思われます。

1600年代初頭からすでに400年が経過、およそ500年前には原型ともなる踏み跡が存在、それを関所開設にともない整備したのではないかと考察しています。

それと、文献によっては1号路の坂道が七曲という記述も見られますが、それは誤記がひろまったものでしょう。古くから高尾山の七曲といえば、ここです。

読図必須というか、オリジナルルートのトレースには郷土史を読み込む必要があります。

もう一つ、ついでに、関所との相対関係的に、小名路の宿場は下ノ宿になります。この駒木野の宿場は中ノ宿です。

幕末( 1811年 )、「伊能図」の伊能忠敬率いる計測隊が上ノ宿側から薬王院に参詣していますが、その時のルートもこの七曲尾根かもしれません、が、この件は、次回の「花見ぞね尾根」の紹介につづきます。

やはり幕末、アーネスト・サトウが薬王院参詣の帰路に道を誤り上ノ宿側に下山、そして駒木野関所でもめた末に関所を突破していますが、その時の下山ルートも、この七曲ルートと思われます。

(幕末、すでに高尾山は外人客にも注目され、そのような外人観光客とのトラブルから却って世界的に知られる山となりました。特に幕末-明治に区切ると、日本の観光地で世界的に最も知られていたのは高尾山とされています。)

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