【過去レコ】前武尊山 荒砥沢 極寒ビバークから生還!翌朝、林道で小学生の息子から携帯に連絡が入る。パパは生きている、大丈夫だと伝えた。


- GPS
- 32:00
- 距離
- 6.6km
- 登り
- 281m
- 下り
- 863m
天候 | 19日 ガス 夜間−15度くらい 20日 晴れ 朝−15度くらい |
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過去天気図(気象庁) | 2007年01月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
写真
天気(出発前に天気図等で確認)は今日の午後から明日の午後までの晴れが予想されたので荒砥沢を下ることにした。
午前7時半ごろ、突然林道(画像後ろがスキー場方面)に出る。朝日がまぶしく、気温はマイナス10度位 だったが暖かかった。安堵感からゆったりと休みながらドライケーキを食べる。
結局、前武尊山山頂からスキー場 500M位手前の十二沢出会いの林道まで全くトレースが無く13時間に及ぶ寒さとの戦いと ラッセルに終始した山スキーでした。
感想
前武尊山からのバックカントリースキー(ボード)は最近かなりポピュラーなようで、日曜日などは相当な数が入山するようです。 理由はしごく簡単で、スノーパル・オグナ武尊スキー場トップから高度差わずか200Mの登りで前武尊山 (2039M)に着くからです。
ところが簡単に日帰りできるはずの山スキーが、荒砥沢標高1450M付近で寝袋なしでビバークするはめになってしまったのです。(帰宅後アメダス等で調べたら標高1300Mの菅平が1月20日午前7時でマイナス17度、標高1400M奥日光戦場ガ原の最低気温がマイナス18度位でした。深夜、晴れて風が収まり放射冷却で荒砥沢周辺も同様にかなり冷え込んだ。ツエルトの中に入れておいた兼用靴の中のペットボトルのお湯が夜中2回凍りました。)
オグナ武尊スキー場のホームページを見ると今年から前武尊山での山スキー(ボード)が前面禁止となったようです。出発の数日前にこれを知った私はがっかりしましたが、スキー場自体がすばらしいスキー場なので山スキーは諦めてゲレンデスキーだけでもと思ってオグナ武尊スキー場に向かいました。
滑りにくい山スキー(兼用靴のほうがスキー靴に比べてスキー操作が難しい)でゲレンデを滑り、正確なポジョン習得の練習になると思い、山スキーと兼用靴で出かけました。
ひょっとしたら、 山スキーがOKかもという思い、というか期待からツエルト等も持参しました。もちろんこれらはたとえ日帰りといえど、冬山登山には必須品です。吹雪等で1〜2日程度の停滞なら遭難救助などしなくても自力で下山する為の必須品です。最近の遭難ニュースを見ると怪我などしてなくても1日吹雪いて停滞しただけで遭難救助を要請したり、場合によっては凍死してしまうことがありますが、私が当日持っていた道具等があればかなり状況が違ってきたはずです。
当日の装備等、重さ250gのツエルト(フレーム等の無い簡易テント)、張り綱(3Mを3本)、登山用コッヘル(小1、中1)、登山用ガスコンロ(ガス満タン)、350gのダウンインナーウエア、ゴアテックス雨具上下、手袋2、靴下予備1、ろうそく小2、ヘッドランプ、コンパス、高度計、地図、荒砥沢山スキーガイドブックのコピー、ナイフ小、スキーシール(実はこれが壊れて使えなかったのだ!)、その他スキーウエア、帽子、ゴーグル等。
食料は登山用のフリーズドライ五目御飯2袋、カキピーナッツ1袋、ドライフルーツケーキ6個、レーズンパン1、あんぱん1、焼きそばパン1、水700ml、午後の紅茶500ml。
私の入山した1月19日からバックカントリースキー(ボード)が解禁になりました。ただしローカルルールをしっかり守ってバックカントリースキー(ボード)を楽しんでください。ローカルルールはこの張り紙(沼田県警の山岳警備隊員に持ってもらいました)が前武尊山にありますのでよく読んでください。ローカルルールを守れない方はバックカントリースキー(ボード)はご遠慮ください。
バックカントリーはゲレンデではありません、パトロールもいません、携帯も(荒砥沢は)圏外です。特に荒砥沢を林道まで下る方(特に単独で)はそれなりの経験と装備が必要です。自然を甘く見すぎると遭難します。バックカントリーの状況はその日によって違います。荒砥沢を下る場合、山頂から1時間程度で林道につくこともあるし、4時間以上かかる場合もあります。
シールの無い板では50センチの凸も登れず、1500M付近で板を外す。つぼ足ラッセルでさらに下り。1500M付近から沢がやや広くなる。 脚の付け根が疲労で痛みがでてきたのと、暗くなりだしのでビバークを決断する。
理由は明るいうちに林道まで着かないのと、ここで無理をして膝を悪化させたり、怪我 でもしたら非常に危険な状態になるからだ。雪崩の危険のないビバーク地を探しながら下り、午後5時頃、1450M付近にてツエルトビバークをする。
下の雪を固め、スキー(トップに4mmの穴をドリルで開けてある)と樹の枝に張綱を掛けツエルトを張る。ツエルトの中にもぐり込み、空になったザックを下に敷き、鉄則どうり全ての着れる物(350gのダウンインナージャケット、ゴアテックス雨具上下)を着込む。
午後6時、半分程入ったペットボトルの水は氷始めていた、ガスコンロでお湯にし、さらに雪を溶かして作ったお湯を足し 凍らないようにする。結局ペットボトルのお湯は夜間2回ほど氷ってきたので、そのつどお湯にした。
食事は2回ほど登山用フリーズドライの五目飯を雪を溶かしたお湯で作る。
ビバークする前は装備から言って、寝袋がなくてもなんとか寒いながらも多少仮眠ぐらいはできると思ったが、実際明るくなって出発するまで震えが止まらず一睡もできなかった。とにかく長い夜だった。寒さに耐え切れず何度ツエルトを撤収して歩きだそうかと思った。
午前6時、ツエルトを撤収。まだ空は満天の星空。すぐ出発できる状態でさらに10分待つ。東の空がほんのわずかだが白み始める。沢筋の雪の起伏がうっすらと見えるようなる。
午前6時15分、下山開始。このあたりまで下ると雪も少なくつぼ足ですね位までしか潜らない。林道が1360M位なので高度差100M弱、直線距離で700M位。脚の付け根の痛みは昨日よりだいぶ良くなっていた。左膝の痛みはほとんど無い、不安もなく、ゆっくり下山を続ける。
林道から4時間かかって午前11時半頃スキー場のほたかスカイウェイコース下部ゲレンデに着く。本来1時間強程度の行程らしいが、脚の疲労からペースが上がらなかったのと、30分ごとに休憩していたので時間がかかってしまった。
★上記文章は2007年に記した物です。
★ヤマレコには2019年3月4日にアップしました。
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