亀ヶ淵山 (奥久慈、竜神峡)
- GPS
- 04:21
- 距離
- 9.7km
- 登り
- 651m
- 下り
- 644m
コースタイム
天候 | 曇り 午後から時々雨 |
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過去天気図(気象庁) | 2019年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
(注意:亀が淵山はバリエーションルートです) 亀が淵山は最近は踏み跡もついたおかげで難度も下がってきましたが、お隣の明山が標識の整備された山であるのに対して、ルートファインディングはテープ頼りです。明山で固定ロープのある直登ルートがありますが、あのルートから固定ロープを取り除いたような急斜面の登り降りをこなすことが必須です。 以前ほどではないのですが薮こぎがあります。 亀が淵側からピストンする場合、下山時に紛れが多いです。間違えて崖に行き当たらないように慎重にルートファインディングしないと滑落の危険があります。 武生山側(北側)へ下山する場合、一旦ルートに乗れば踏み跡は明瞭なのですが、入り口の印が朽ちたテープだけなので見落とさないように気をつけてください。 登はん具がいるほどではありません。薮から目を守る作業用ゴーグルがあると気楽ですが、今回は使いませんでした。 武生山方面から亀が淵への道は谷側へ傾斜している箇所もあります。ここは一般ルートと呼んでいいところですが、地形図上には道がないので、ヤマレコに投稿されているGPSログを使うことがお勧めです。 亀が淵の水量はまだ普段の倍くらいありました。明山など、渡渉を要する場合はゴアテックスのハイキングシューズで臨みたい所です。 |
写真
装備
備考 | 雨具 手袋(ゴム引き軍手) 地図+GPS(スマホ+山旅ロガー+地図ロイド) 水 行動食 虫除け(そろそろブユがうるさくなってきました)。筆者は廉価な日焼け止めを虫除けと兼用しています。これをつけてブユに刺されたことはありません。ただし止まる寸前まで近寄っては来ます。 |
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感想
2週間前の恐怖の明山北東尾根のあと、山に体を慣らす目的で竜神峡に来た。大好きな男体山も考えたが、観光シーズンのピークで国道118号が渋滞していることを嫌っての判断だ。天気がもったら亀が淵山でリハビリテーションをしよう。天気が崩れたら亀が淵で戻ってくるだけでも、ウォーキングにはなるだろう。
歩く目的と、ニリンソウの具合を見るために、ダム脇の駐車場には止めず、ダムへの坂道の登りバナにある駐車場へ停めた。先月明山を普通に登ったときには、ソメイヨシノが満開で、その下の草むらにニリンソウの群落があった。残念ながらサクラだけでなく、ニリンソウもほぼおしまい。また来年楽しませてもらおう。
亀が淵まで往復して終いかなと思っていたが、往路での天気は時々薄日さえ射すほどで、雨の予報は外れるのではという期待さえ持たせてくれた。途中あずまや越しに見える明山北東尾根にも背中を押されるようにして、亀が淵山にさっと登って降りてくるかということにした。
亀が淵山は筆者が奥久慈に分け入るようになった2012年秋以降最初に挑んだバリエーションルートだった。たぶん初挑戦は2012年の年の瀬あたりだろう。当時ヤマレコはすでにあったと思うが、筆者自身はその存在もよく知らず、ネットの検索で出てきた地元の梁山泊倶楽部の方の記録を参考にした。自分の当時の記録は残っていないが、薮がすごいこと、そしてそのすごい薮の中にところどころ岩稜登はんがあったこと、それでもテープマークがあったりしてびっくりしたことは記憶していた。
その後暫く入らなかったのだが、2016年の1月、篭岩山からの帰りに挑戦をしたとき、しっかりと踏み跡がついていて驚いたものだ。登山は相変わらず人気なので、今回もルートファインディングには苦労しないだろうと思っていたら、予想通りというか、予想を上回り、取り付き部分には残置のザイルまであった。要所要所にはテープもあり、ルートファインディングと薮こぎの難しさはほとんどなくなったようだ。急登には変わらないし、山頂に近づくにつれて斜度が高まるから、明山の山頂直下の急登を固定ロープに頼らずに登るくらいの難しさはあるのだが。
暫く薮をこぐと中武生方面、北へ下る分岐のテープがある。テープがあるといっても、知っていなければ見落としてしまいそうな風化したテープなのだ。それを過ぎると3mほどの岩があり、山頂だ。
岩は巻けるのだが登ってみることにした。取り付きは安全だし、取り付きに落ちてくる分には危険は低いが、一応岩の右手には崖となっていて露出感が高いどきどきする岩だった。それだけに、なんとか岩のてっぺんに立った時にはその直後山頂に到着したときと同等の達成感を頂いた。
武生側の崖の途中に白い綿毛のような花を咲かせている樹木があった。竜神峡の途中では別の形の白い花があって何かわからないんだよなと思いながらハイキングしていたので、違う種類の白い花に出くわすとうれしい。そしてひと歩きして山頂に到着した。
山頂ではまずブユの出迎えを受けた。あわてて日焼け止め(筆者が思うに最強の虫除けだと思う)を顔に塗ると、出迎えは受けるがそれ以上の接触はなくなりひと安心だ。
できれば亀が淵山側から明山、特に北東尾根を拝ませていただければということを考えての登山だったが、山頂の周りは樹木が囲んでいて、明山方面の見晴らしはあまりよくない。そのかわりではないが、先ほどの綿毛の木や、梅の花のようなこれまた白い花を咲かせる木があり、お花をたっぷり眺めて楽しんだ。
下山間際、山頂の端のほうに「亀ヶ淵山」山名板を発見した。元山名板だったと思しき、字も読めない朽ち板が落ちていたことしか記憶にないので、亀が淵山も人気急上昇中ということなのだろう。
さて下山しよう、人気とは逆に竜神峡へ向けて急降下であるが、その前に登りの際に攀じた岩をどうするか少々迷った。クライムダウンするのはやや気持ちの悪い岩だが、自分がやってきた山行のなかでは、難度はともかく、安全度は高い。練習だということで、クライムダウンすることに決めた。降りるときは足が先行するが、目が遠くなるのでフットホールドの見立てが難しく感じるのはいつものことだが、幸いこの岩のホールドは割りと本体に深く埋め込まれているのでぽろぽろ剥がれ落ちるという怖さがなく、安定して降りることができた。
次いで、先ほど確認した朽ちたテープマークから北への急斜面を下降した。薮はそれほどでもないし、踏み跡も登りのときよりも明瞭だ。但し斜度があり、距離もあるので緊張は続く。安全圏のコルが見えてくると、これで今回は普通のハイキングに戻れると安心した。
これで一安心と思っていたが、最後に若干の紛れがあった。下りは武生側のルートを使い、コルに降りれば亀が淵山の裾を巻いて取り付きに戻れると思っていたからだ。
ところが、コルから亀が淵側に杉林を下っていくとやがて渡渉箇所が出た。渡渉自体は難しくないが、渡渉するということは亀が淵から遠ざかることを意味している。案の定渡渉後はどんどん登りとなり、亀が淵へ向けて下っているとは言いがたい。武生山へ向かっているとしか思えない。
この感覚なにか記憶がある。
やはり奥久慈に入り始めた2012年のシーズン、竜神峡−篭岩山の往復で、復路に三葉峠を使わずその手前の分岐から亀が淵へ降りたとき、今回と同じように、亀が淵から遠ざかるように渡渉させられて道に迷ったかと不安になったのだ。そのときには暫く歩かされた末に武生山と亀が淵の分岐の標識に胸をなでおろしたのだった。果たして、今回も暫くしてこの標識に出会うことができ、安心した。
一回渡渉したということは、亀が淵に戻るためにはもう一度渡渉しなければならない。そちらの渡渉のほうが難しかったのでは、ミドルカットのハイキングシューズでは歩きたくないな、などと考えているうちに渡渉箇所が現れた。よくヤマレコに登場する倒木であろうか?擦り減った倒木が流れを渡っているが、よく見ると少し下流側に楽に通過できる箇所があり、多少靴の外側は濡らしたものの内側は濡らすことなく向こう岸に至ることができた。
しかし最後にもう一箇所難所がある。最後の最後で道が傾いていて、しかも湿ったトラバース気味の踏み跡になっているのだ。冬季でここが凍結していたらさぞかし恐ろしいであろうし、凍結していなくても今回のように湿った箇所に乗ればずり落ちて数メートルしたの竜神川まで滑落することもあるだろう。実際足許を確認した際、湿った箇所は結構滑った。幸い、湿った箇所をよけるようにしていくと。足許は傾斜しているが、足裏全体で立つようにすることで、靴底の摩擦を使って通過することができた。最後の危険地帯を通過し、竜神川によって刻まれた谷の奇観を楽しむゆとりもできた。そしてひと歩きして取り付き地点へ戻ってきた。
あとは新緑の竜神峡を楽しむだけだ。峡谷に特有の奥行き感と目に優しい緑がたまらないが、前回の明山の記録でも書いたとおり、枯死した木が緑の山肌に散見した。どうやらカシの木が集中的にやられているらしい。役所の職員の方にも情報が入っているようで、竜神峡の何箇所かで「カシの木が枯れており、現在原因を調査中です」とのパネルがあった。害虫か、病気か、被害があまり大きくならないことを願うばかりである。
さて、目を楽しませてくれるものは樹木ばかりではない。足許には、スミレをはじめとしてさまざまな草花が春を謳歌している。その中で今回の最大の収穫は、ニホンタンポポとの対面だった。筆者の50年超の人生で、意識してニホンタンポポと出会ったのはこれが初めてではないだろうか。人が増えるダム側になるとセイヨウタンポポばかりになるのはなるほどと思った。
遊歩道に下りてから春の雨が降り始めたが、ハイキングでもともと汗ばんでいる身体にはそれほど気にもならない。ぼんやりと歩きながら足元の草花と奥行きのある新緑の峡谷を交互に楽しみ続けた。
こいのぼりと人(バンジージャンプ)が空に舞う竜神大吊橋を無事通過し、ダムからさらにひと歩きして、県道脇の駐車場に無事戻ってきた。ひと歩きといっても10分足らず。普段車で素通りしているところの景色をじっくり眺められたのは春のいい贈り物だった。
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