奥久慈男体山


- GPS
- 04:57
- 距離
- 12.4km
- 登り
- 769m
- 下り
- 769m
コースタイム
- 山行
- 4:31
- 休憩
- 0:27
- 合計
- 4:58
天候 | 朝のうち時々雨、のち晴れ |
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過去天気図(気象庁) | 2019年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
大円地山荘裏の木道が破損しており、踏み抜き事故の危険があります。 稜線はすっぱり切れてますので崖により過ぎて転落しないように気をつけましょう。 |
その他周辺情報 | 湯沢をつつじヶ丘方面へ曲がると人工ですが足湯があります。かつてこのエリアは温泉地だったのですが。 |
写真
装備
備考 | 雨具 手袋。藪でチクチクしないのと岩で滑らないのでゴム引き軍手がおすすめですが、登はんでは手袋はすっぽ抜けるので注意。 タオル。頭に巻くと目に汗が入ることを防げます。 日焼け止め。虫除け効果も高いです。 スマホ。GPSと地図としても使います。 マスク、点鼻薬。要するに花粉症対策です。 ヘッドランプ 水 行動食 |
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感想
黙々と、ぼんやりと歩き、わくわくする岩稜と身近な草花を同時に楽しめる山として、奥久慈男体山に車でひとっとびというところに住んでいることに感謝したい。
男体山に登ることだけが目的なら、大円地か古分屋敷の駐車場に停めてしまえば済むことだが、西金駅に停めて、林道をあえてゆっくりと歩くことの楽しみもまたなかなかなものだ。なんといっても国道118号を渡って間もなくちょっと頭を覗かせる奥久慈岩稜に胸がときめく。そして林道の周りの自然と人の営み、そして道の傾斜に少しずつ体がなじんでいくところが良い。今回は田んぼのかえるの合唱、桐の花(色だけだと藤と見まがいそう)、ヤセウツボ(オドリコソウに似ているけれど寄生植物なのだそうだ)、ハエトリナデシコ(茎に粘性があるらしいが試してみなかった)、そしてニホンタンポポを楽しみながら高度を上げていった。本当はハルシオンが茂っている空き地でも十分に癒されるのだが。
そして興奮の奥久慈岩稜。筆者の最近のお気に入りは大円地越えのくびれ。ここだけ見ていると裏剱にも負けないような険しさに血が躍ると同時に、裏剱に近づくことさえ出来ず撤退した2年前の赤谷山の思い出がよみがえる。しかしそういった不可能や未到達が残っている所も山の楽しみだと思っていれば、死なないで済むだろう。
今日は基本的には死ぬ心配のないいつものルートだ。恒例により一般コースから入って、健脚コースは下りのお楽しみに取っておく。
今回の一般コースのテーマは左手に見える斜面がどんな具合かを確認することだ。前回ブナの木ルンゼ(筆者勝手に命名)をリタイヤしようと思ったとき、大円地側に下りようとして難しそうだからリタイヤを断念したが、もし突っ込んでいたらどうなっていたかを確かめるためだ。リタイヤの断念は正解だった。いわゆる大円地の緩斜面はぶなの木フェースと筆者が勝手に命名している岩塔のさらに先(登はん者から見ると岩塔の裏側)にあり、リタイアすると最後は崖にぶち当るところであった。これを懸垂下降しようとして、もしもザイルの長さが足りなかったら万事休すだった。
崖を確認して暫く歩くと、少し沢がちなところを歩く。ここはもう少し早い季節なら、カエルの群れを見ることができるし、今なら運がいいとサワガニが散歩するところを観察できる。しかし今回はそういった収穫はなく、大円地越えに到着した。気温は18度で、峠を渡る風と、ケヤキの高いこずえを抜けてくる光がすがすがしい。いつもここでプチバーベキューしたいと思うものの、結果的には黙々と歩くばかりの山行きとなる。今回もほとんど素通りで、緩斜面を詰めて稜線へと出た。稜線をひと歩きしてブナの巨木の兄弟がいる急斜面に出てくる。大円地越のケヤキも素晴らしいが、ここのブナの兄弟もなかなかのものだ。
ブナの兄弟を通過するとすぐに、、踏みあとがブナの木フェース(筆者勝手に命名)へつながっているので、崖の様子を観察しようと歩いてみたが、途中で消えてしまった。今回は薮をこぐつもりの装備ではない。薮こぎ用レインウェアも手袋もはめていなかったので、早々に引き返し、下り道に戻った。
下りきると、ちょっとしたコルに到着する。狭くて地味だが、ここも結構すがすがしい。コルは筆者が勝手にブナの木ルンゼと読んでいる谷の終点だ。笹薮の間にぽっかりと口をあけている岩溝は絶壁の中に作られた秘密の回廊のようだ。緑が深く茂ったこの時期では、谷の先は薄暗くて見ることすらできない。余り覗き込んでいると吸い込まれそうになったので、ほどほどにして暗い谷から、視線をを上に向け、新緑の木漏れ日を見ると、何かしたわけではないが、ほっとしてのんびりした気分を取り戻した。ハイキング続行だ。
頂上稜線にでれば、奥久慈の山々がずっと見える。冬のようにシャープな景色ではないが、さまざまな緑色の表情を持つ低山がずっと続いていく光景は楽しい。そして野菜サラダを思わせるので食欲がわいてくる。
やがて男体山山頂の正面岩壁が目の前に飛び込んでくる。日の出の瞬間には赤銅色に輝く厳しい岩の上に祠が見える。いよいよ山頂は間近。やせ尾根終点のコナラの木、スカイツリーの標識(標高634m)を黙々と歩き、山頂に到着した。恒例により祠に手を合わせて、今年も無事な登山を祈った。
山頂を後にし、あずまやまで下れば、お楽しみの健脚コースのクライムダウンだ。鎖に触れないで降りようとすると少々頭を使う。頭を使うけれどもクライミングというほどでもなく楽しい。そして体の使い方は岩稜縦走などにも通じるので練習になる。男体山に通い始めのころは通りかかった登山者の方に「ここが登れれば槍ヶ岳も登れますよ」と言われたことを思い出す。その助言は、後日槍ヶ岳にも何度か登頂することによって実感した。鎖に頼らずに安定して登り下りできれば、少なくとも技術的には大キレット越えの槍穂高縦走くらいはできるだろう。
今回は比較的リズムよくクライムダウンできた。序盤に来る難所も途中でまごつくことなく降りられた。亀が淵山でのリハビリトレーニングの効果が少し出ていたのかもしれない。
下山途中、二人組の女性登山者の方に、キャップが落ちていたら確保しておいてほしいと頼まれ、一般・健脚分岐の標識にかぶせておくことを約束した。果たして、後続の単独の方が持っていらっしゃったので事情を話してお預かりした。谷間に落ちているのを回収するような状況に遭遇しなくてよかった。
鎖場終盤、展望台岩に乗ってもう一度奥久慈の山々を眺め、すがすがしい気持ちになった。ここから見る男体山は迫力があるのだが、新緑をまとっているともこもこした表情で、岩山っぽさは和らいでいる。
展望台を下りれば樹林帯、広葉樹林、杉林とリズムよく下って、最後に緑のトンネルをくぐれば、ひとまず安全地帯の茶畑だ。そして一般・健脚分岐の標識にキャップをかぶせ、石で重石を置いて任務完了。そして登山のメインの部分も終了した。大円地駐車場まで歩いて、駐車場横の路肩に腰を下ろし、男体山全貌を拝みながら、行動食のパンを食べ、水を飲んで一息ついた。ここで男体山を見ながら休憩するのが実に気持ちいい。通りをはさんでトイレさえなければ最高だろう。
さて、もうひと歩きだ。せっかく歩くのだから面白いものを見つけなくてはときょろきょろ見回すと、地面にオトシブミの作品を発見した。ゾウムシの一種が産卵と幼虫の栄養のため、木の葉を葉巻のように巻いて卵を中に産み、切り落とすのだ。小指の先ほどの木の葉の造形を発見して、得した気分。
さらに岩陰のお地蔵様の背後から、狙って生えてきたのではないかと思わせる竹の子を見つけた。お地蔵様が一人では寂しいだろうと思って生えてきたのだろうか。
そんな感じで発見を楽しみながら、湯沢分岐を通過し、最後に旧道を再度通って、道端の湧き水をペットボトルに詰めて今回のハイキングは無事終了した。
帰宅途中、稜線で食べたくなったサラダのために、常陸大宮の道の駅「かわプラザ」でルッコラとケロック(ブロッコリーとケールを掛け合わせた新野菜)を買って帰った。
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