剣ヶ峰☆三ノ沢より眺望絶佳の大山最高峰へ


- GPS
- 02:50
- 距離
- 6.2km
- 登り
- 832m
- 下り
- 822m
コースタイム
- 山行
- 2:38
- 休憩
- 0:12
- 合計
- 2:50
天候 | 快晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2019年06月の天気図 |
アクセス | |
コース状況/ 危険箇所等 |
一般登山道なし 稜線はナイフリッジが続き、危険を伴う |
写真
感想
翌日から米子に出張の予定であっただが、この日は全国的に快晴の予報である。思い切って仕事を休むことにして、前乗りして米子を訪れることにした。当初はゴジラの背と呼ばれる尾根を経て甲ヶ山に登ることを考えていたが、始発の新幹線から乗り継いだ伯備線の特急やくもの車窓に大山の山容が映るようになると大山の最高峰、剣ヶ峰に登ることを思いつく。夕方に到着する同僚達と共に翌日の早朝にも大山に登る予定にしているが、それは夏山登山道を弥山まで辿るコースであり、別のルートからこの剣ヶ峰を目指すのもよいだろう。どうしてもっと早くに思いつかなかっただろうかと思うほど、この好天の日に登るのに最も相応しい山であろう。
文殊堂の駐車場に辿りつくと、驚いたことに平日であるにも関わらず駐車場は既に満車であり、駐車場の入口手前の道路脇の余地に路駐されている車の後ろにつける。三ノ沢の右岸をいくつも設けられた堰堤の工事用道路を登ってゆく。
米子市内や西側からみる大山は秀麗な山容を誇るが、南に回り込むと下から見上げる南壁の様相はなんとも禍々しいというか剣呑というか、近づくことすら憚られるような威圧感を誇る。果たしてこの壁を攀じ登って稜線に立つことが出来るのだろうかと訝しむのは私だけではないだろう。
工事中の堰堤のあたりに来ると4人組のパーティーが下りて来られたところに出遭う。皆ヘルメットを装着し、リュックにはカラビナまで付いている。「ヘルメットが必要なところですか?」「いや、大丈夫。危険なところも数日前に整備されたところだ」・・・頻繁に足を運んでおられるご様子。いろいろと危険箇所に関する情報も頂いて、少し安心して先に進む。
堰堤を越えて、登山路が左岸の灌木帯の中を辿るようになると数多くの登山者とすれ違う。朝に登り始めた方々が丁度、下山されるタイミングなのだろう。登山路にはタニウツギの花が目立つ。足元を見ると数多くのダイセンクワガタソウが咲いている。昨年、三鈷峰を訪れた際に見かけたのだが、勿論、関西においては見かけることのない花だ。
最後の堰堤に差し掛かると、踏み跡は右手の斜面を高巻くように登ってゆく。赤テープがついているので安心して辿っていくと、いつの間にか踏み跡はうすく、藪漕ぎの様相を呈してきた。堰堤の向こう側のガレ沢を歩いている登山者が目に入る。これはおかしいと思ってGPSを確認すると、どうやら左側から堰堤を越えなければならないようだ。灌木を掴みながら急斜面を下降してガレ沢に下りたち、堰堤の左に辿り着くと急斜面にロープが張ってあり、堰堤を無事に越える。
ガレた沢には明瞭な踏み跡がつけられている。斜面が急になるにつれ、踏み跡は灌木帯の中へと入ってゆく。灌木帯の中でなければ到底、登れるような斜面ではない。灌木帯の中ですら足元の砂礫が一歩毎に崩れてゆく。
気がつくといつの間にか灌木帯を抜け出し、槍ヶ峰の鋭鋒が間近に迫る。あたりは一面のイワカガミと低木しか見当たらない。花盛りのイワカガミが斜面を薄紅色に染め上げている。冬の降雪のせいだろう。この大山においては森林限界が非常に低いようだ。イワカガミの間に散見するアカモノのような小さな白い花をつけた低木も花盛りのようだ。
槍ヶ峰が近づくと稜線では大人数のグループが休憩されている。ここから先は峻険な尾根が待ち受けている。尾根の下をトラバースしながら登ってゆくと上から若い男性が下りてこられた。「こんな快晴の日はこの季節に一度あるかないかです」とのこと。剣ヶ峰の往復では誰にも遭わなかったとのこと。
いよいよ天狗峰への主尾根に乗ると途端に日本海が目に入る。稜線は人の肩幅分ほどの極端なナイフリッジである。ここまでは快調に登ってきたが、歩調を落として一足毎に慎重にならざるを得ない。天狗峰からは三鈷峰の方を眺めると、尾根を登ってこられる登山者の人影が目に入る。
天狗峰からは緩やかに吊尾根を辿って剣ヶ峰の山頂に至る。尾根の南壁はほぼ垂直に抉り取ったような絶壁が続き、覗きこむと足が竦むような光景が連続する。山頂が近づくと北側の灌木帯の中をトラバースするようになり、少し安心して歩くことが出来る。
山頂からは当然ながら、遮るもののない360度の眺望が拡がる。梅雨の時期であるにも関わらず好天の日に剣ヶ峰の山頂に立つことが出来る幸運に恵まれたことを感謝である。辿ってきた稜線を振り返ると峻険なナイフリッジの上につけられた登山路を目にすると、よくこんなところを辿ってきたものだと思う。
慎重にナイフリッジを戻る。槍ヶ峰からの下りでは幾組かの登山者にすれ違う。ほとんどの方は槍ヶ峰の稜線までを目指されるようだ。三ノ沢の下部に差し掛かると、登りですれ違った方にも追いつくようになる。
登山口近くでは稜線近くに咲くツガザクラを見るために登っておられたという単独行の男性の方とお遭いする。ほぼ同時に駐車場に戻ると私のレンタカーのすぐ後ろの車が男性のものであった。イワカガミの傍で咲いていたアカモノのような白い花がツガザクラであることを教えて頂く。大山の中でもこのあたりしか見ることが出来ない希少な花だそうだ。
時計を見るとまだ14時半。米子駅に夕方に到着する同僚達を迎えに行くまでにはまだまだ時間がある。ドライブがてら、もう一つ、山を登りに行くことにしよう。
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