二上山(二上神社口〜(道迷い)〜馬の背〜鹿谷寺跡〜上ノ太子駅
- GPS
- 05:40
- 距離
- 7.4km
- 登り
- 458m
- 下り
- 496m
コースタイム
【ダイトレを歩く人のためのサイトを立ち上げました!】
●ダイトレ Solo Walking Guide http://kupi-fw.com/wp/daitore/
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11:11 二上神社口駅
11:22 二上神社横分岐
11:36 (道迷い)
12:45 二上神社登山道出合
13:45 馬の背(昼食)14:15
14:46 鹿谷寺跡
17:00 上ノ太子駅
天候 | 晴 |
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過去天気図(気象庁) | 2012年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車
【帰】上ノ太子駅(近鉄南大阪線) |
コース状況/ 危険箇所等 |
二上神社口すぐ横の猪除けの柵を開けて入る道(山と高原の地図に載っていない道)は、非常に迷うルートです。私も知らない間に谷筋に入り、遭難しかけました。 馬の背から鹿谷寺に向かう下山ルートの途中でろくわたりの道に入ろうと思っていたのですが、分岐地点がみつかりませんでした。 |
写真
感想
【プロローグ】
本日は天気もよさそうなので、ダイトレの残り「槇尾山」に行く予定だったのだが、10時迄家におらねばならず、仕方が無いので交通の便のよい「二上山」へ行くことにした。
登りのルートであるが、自分自身の未踏破ルート、二上神社口のすぐ横から左に入り、国土地理院の地図で268mと書かれたピークの北側を通って雄岳に至るルートである。このルートは山と高原の地図には記載されておらず、相当なヤブこぎを強いられそうである。
実はそのルートで、本日、遭難しかけた。顛末は後で書こうと思うが、一時は消防要請も考えた。
あまりにも恥ずかしい出来事なので、あまり書きたくは無いのだが、ご覧になられた方の今後の参考に多少はなるかもしれないので、できるだけありのままを書こうと思います。
【二上神社口〜(道迷い)〜馬の背】
通常、二上神社口から二上山へ登る基本のルートは、途中で二上山駅からの登りと合流し、その後、鉄の階段を上って雄岳に到達する二上神社口ルートである。このルートは山と高原の地図にも載っており、何人ものハイカーが通っているので、道に迷うようなことはない、俺自身も二上山駅や二上神社口駅からの登りに使ったことがある安全なルートである。
さて、山と高原の地図に載っているルートは、あらかた踏破してしまったので、それ以外のルートで登ろうと思い、国土地理院の地図を眺めていると、二上神社のすぐ横を左に入り、小さな池の横を通って雄岳に至る道があるのを見つけた。
(ここを歩いてみよう)
この季節、虫たちの攻撃は必須だと思っていたので、念入りに虫よけ用のウエットティッシュを腕や顔に塗りまくり、二上神社へと向かった。
入口は直ぐに分かった。二上神社の直ぐ横、工事現場によく置いてあるトラ模様の派手な猪除けがあるからだ。これは扉になっており、右端から手を入れて裏側の鍵を開け、右の扉を開けて中に入る。中に入ったら必ず元のように鍵を閉めるのを忘れないように。
最初ははっきりと分かる道がある。木々には目印のピンクの紐も巻かれており、この紐を辿っていけば、問題なく着けそうな気がする。
少し行くと分岐があり悩んでいると、なんと前から人が歩いてくるではないか。てっきり頂上から下山してきたハイカーだと思い、この先に道があるのかどうかを尋ねてみた。すると彼は「この先は谷になっていて道は無い」と言い、逆に俺に「どこに行くのだ」と不審そうに聞いてきた。目的が二上山であることを告げると、二上山ならすぐ右側に道がある、と教えてくれたのだが、その道は例の基本ルートである。左の道の奥のほうを覗くとピンクテープが巻かれていたので、彼とは挨拶して別れ、俺はそのまま左に曲がった。
この辺りから道に覆いかぶさるように木の枝葉が張り出してくる。クモの巣が鬱陶しいので、枝を拾いタクトのように上下に振りながら歩いていった。
さらに行くと細い丸太が渡された小さな橋があり、特に朽ちている様子もないのでそのまま普通に渡る。その後も特に迷うようなところはなく、道には踏み跡がしっかりと残っているので素直にその道を歩いていた。
ただ一か所だけ、左手に先程と同じぐらいの橋がかかっているところがあったのだが、こちらの橋はちょっと朽ちており、橋を渡らずとも目の前に伸びる道はしっかりと踏み固められているので、余り迷うことなく目の前に伸びる道を行った。
その後、杉の木が大量に伐採された谷に出合い、その谷を登るような感じになったのだが、「H22 緊急間伐 吉川山」と書かれた看板とその木には例のピンク色のテープが巻きつけてあるので、あまり心配せずにその斜面をグイグイを登っていった。
今思えばこの辺りからルートを外れていたのかもしれない。地形図タブを押して頂いたらよくわかると思うのだが、GPSに記録された赤い線が点線でしめされた本来のルートから外れ、谷筋を上に向かって急に伸びているのがよくわかる。
本来ならこの辺りで、ちょっとおかしいぞ、と思い、GPSに表示された緯度経度と地図を見て自分の居場所を確認するべきであった。ただ、先程のピンクのテープの存在と、その後の分岐も特に無かったので、少なくとも何処かに繋がるだろうと思い、ただ漠然とその谷筋の急斜面をひたすら登っていたのである。
斜面はだんだんときつくなり、枝を掴まりながら登らないと、ずるずると滑って自分の体が落ちてしまうぐらいになってきた。ただ、その枝も枯れているものが多く、力を入れて引っ張るとポキッと折れてしまうものが結構あった。
その辺りで、これはヤバイぞ、と思い、初めてGPSで自分の居場所を確かめてみると、当初のルートからは大きく外れており、かと言ってこの急な谷底を引き返すのも正直できそうにもない。
地図を見ると右にトラバースしていけば基本ルートに出られそうである。(ここはとにかく、一歩一歩、着実に右、右に歩いて行こう)そう思って歩き始めたのだが、ずりおちる斜面をそのまま横に歩くというのはなんと難しいのだろう。木枝が行く手を塞ぎ、掴んだ枝は折れ、足元はズルズルと滑り、たった1、2メートル歩くのに、5分も10分もかかっている。
そして上を見れば、なんとなく道のようなものが見えるので、とにかくあそこまで、と思って苦労して登っていくと、倒れた木だったり、吹きだまりにたまった枯葉だったりで道などはどこにもない。
ただ、この時点でも多少の余裕があり、自分の居場所は把握できていたので、時間はかかるが着実に進めば大丈夫だ、と思っていた。そして、右上にある木の枝を巻こうとした時である。足元がずるずると行った瞬間、枝の中に顔を突っ込み、その枝が俺のメガネをそのまま引っ掛けて跳ね飛ばしたのだ。
(ヤバイ・・・)
人間は本当にヤバイ時は声が出ないもんなのですね。
俺の裸眼の視力は、0.03とか0.04のレベルである。当然、裸眼で無くしたメガネを探すことなどできない。ましてやこの場所は、枯葉が積もってズルズルと良く滑る急斜面である。このままメガネが枯葉に埋もれたり、ズルズルと谷底に落ちていってしまったら、本当に終わりである。
(とにかく気を落ち着けよう。あまり動くと返って見つけにくくなる。)
そう思って、とりあえず斜面を背にしてゆっくりと座った。幸い携帯電話を持っているので最悪の場合なんとかなるかもしれないが、新聞やテレビに報道されることなどを考えると頼む気にはなれない。いっそのこと大声を出せば下山者に気がついてもらえるかも、などとも考えた。
(いずれにせよメガネを絶対に探さなければならない。メガネさえあればなんとかなる)
そう思って足元に溜まった土を手で取ろうとした時である。何か堅いものが手に当たり、あわてて取り上げるとそれは俺のメガネであった。
俺は神や仏など全く信じないのだがこの時ばかりは神の存在を考えた。
神はすべての人に平等に幸せを与えるという。そういえば、俺の人生、懸賞、宝くじ、福引、お年玉付き年賀状、などの当て物に当たった試しがない。だけどそういう人にはこういうところで神は幸せを与えるのだろう。
当初俺は、取れたメガネは頭の近くにあるのではないか、と考えていた。足元に転げ落ちているなど全く考えていなかったのである。足元の土を手で払いのけようとした行為は全くの偶然で、できればそのまま身体をひねって足場を固めようとさえ思っていたのだ。もし、そのような事をしていたら、永遠にメガネは見つけられなかっただろう。今、改めて思い起こしただけでも鳥肌もんである。
とにかくメガネは見つかった。ただ、そんな状況にもかかわらず、その時まで俺はデジ一カメラを肩からぶら下げて登っていたのだ。カメラを見ると杉の木粉が降りかかり、白くなっている。ここからはできるだけ身軽にしよう、そう思ってその場の写真を何枚か撮った後、カメラはザックにしまいこんだ。
そこから、さらに藪を掻き分けながらのトラバースが続き、なんとなく道らしきところに出たのだが、本道かどうかの見分けがつかない。本道は2度通っているので、その時の記憶を手繰り寄せたのであるが、かなりあやふやである。とにかくこの道を信じて登っていこうと思い、歩き始めたら左手に赤テープと蓮子ちゃんの看板を発見。この時点でこの道が本道であることを確信し、そこで初めて無事だったことに安堵したのだ。
ただ、かなり疲労困憊しており、ザックからカメラを出すことさえおっくうで、自分が抜け出てきた本道の辺りの写真を撮る力は残っていなかった。
(今考えると撮っておかなかったことに激しく後悔)
雄岳迂回ルートを通って馬の背に到達し、雌岳の中腹のベンチでやっと昼飯にありつけた。ヤレヤレと思ってシェラカップの中にチキンラーメンを入れお湯を注ぐと、頭の中からパラパラと枯れ枝がカップの中にこぼれ落ちた。
【馬の背〜鹿谷寺跡〜万葉の森駐車場】
持参したビールをウゴウゴと飲んで雄岳を見上げると、先ほどのヤバかった体験はすっかり忘却し、下山ルートも今まで歩いたことの無い道を歩こうと考えた。
河内側に下山すると上ノ太子駅まで車道を長々と歩くことになるので、今まで下山は殆ど葛城側に降りていた。ただ、地図を見ると「ろくわたりの道」というのが、鹿谷寺跡辺りから上ノ太子の方に伸びており、この道を歩けばあまり車道を通らずに上ノ太子駅まで行けそうである。そう言えば「鹿谷寺跡」という所にも行ったことが無い。これは一石二鳥だと思い、下山は鹿谷寺跡からろくわたりの道を通って上ノ太子駅に向うルートに決めた。
馬の背から岩屋方向にセメント道を歩いていくと、右手に鹿谷寺跡への分岐が現れる。そこを入ったらすぐまた二股に分かれた分岐があり、右は丸太階段が設えてあって、両方ともそこそこ踏まれた感がある道になっているが、そこの分岐地点には道標が何も無い。
右の丸太階段は鬱蒼とした谷筋を下りていくような感じだったので左を進んだ。
(後で万葉の森駐車場にあった案内板を見てみたら、結果的にこの道は先で合流していたようだ)
ちょっとした岩場を下りるような感じになり、さらに行くと鹿谷寺跡、駐車場と書かれた左右の分岐にさしかかかる。俺はここを左の鹿谷寺跡の方に行ったのだが、この後最後まで「ろくわたりの道」への分岐がなかったことを考えると、「ろくわたりの道」は右の駐車場の方へ行かなければならなかったのかも知れない。
先ほどの分岐を曲がって少し行くといきなり展望の開けるところに出る。山肌に露出した大岩のようなところでその岩に立つと眺めがとても良い。この辺りは剥き出しの岩がごろごろとしており、かなり大股でその岩の道を下りなければならない。少し行くとすぐに鹿谷寺跡に着いた。
太子町のHPで調べると鹿谷寺は奈良時代に造られたらしく日本最古の石窟寺院だそうだ。入ってすぐ左の岩壁にはうっすらと仏像のようなものが描かれているが、周りは柵と有刺鉄線で囲まれており傍まで近づくことはできない。その横には石の座布団を倒れないように慎重に重ねました的笑点風オブジェ十三重石塔が鎮座する。これも奈良時代作とのことだが雨風にさらされていたにも関わらず座布団がずり落ちている風は無い。
(後で調べたのだが、実はこの塔は石を積み上げたのでは無く、岩盤を掘り込んで作った代物のようだ)
この鹿谷寺跡は展望台と書かれた脇道があり、そこを登っていくと非常に見晴らしの良い場所に出る。時間があれば寄ってみても損はしない場所だ。
結局「ろくわたりの道」の分岐が見つからないまま、登山道入り口の巨大なお地蔵さんのところに出た。
【万葉の森駐車場〜上ノ太子駅】
ろくわたりの道の入り口を探したいので、近つ飛鳥の里太子道の駅の手前の信号のあるT字路を右に曲がる。少し行くと右手に「ろくわたりの道」と書かれた標識を発見。一度はこの道を通って二上山へ登ってみようと思うのだが、なんせアクセスが悪い。上ノ太子駅からここまでの車のよく通る道中を考えるだけで、ちょっとうんざりしてしまう。
太子ICの横を通り、近鉄南大阪線を跨ぐ大きな陸橋を渡って、南阪奈道路の下のトンネルを抜けて少し行くと、「上ノ太子駅」と書かれた細い道があるのでそこを左に曲がる。近鉄南大阪線に出合うのでそのまま右方向に歩いていくと「上ノ太子駅」に着きます。万葉の森駐車場から上ノ太子駅まで、車やバイクや自転車は何十台も通り過ぎたが、歩いている人には誰にも会わなかったです。
【エピローグ】
今回の出来事を自分なりに反省してみると、
・状況判断の甘さ
・装備の不徹底
ということに尽きる。
GPSロガーを持っていたので現在地の緯度経度はすぐに分かる。地図に関しても国土地理院の緯度経度入りの地図をこのサイトの地図プリで印刷して持っていたので、ちょっと怪しいな、と思われる分岐点では、少し立ち止まって確認するべきであった。
(今、考えると、なんとなく左手にあった朽ちた橋を渡った先が目指すルートのようだった気がする。)
ピンクのテープも実は登山者のためのものではなく、もしかしたら林業に携わる人のものだったのかもしれない。「H22 緊急間伐 吉川山」と書かれた看板の先から、ピンクテープは一つも見かけなくなったし、なによりテープがあまり劣化しておらず、杉の木に巻き付けられていたものも多かった(勝手な推測だが、登山者は小枝などにテープを巻きつけることはあっても木の幹に直接テープを巻くことは山主さんに悪いのであまりしないのではないのだろうか)
装備の不徹底ということで言えば予備メガネを持っていかなかった事である。俺の場合、メガネは命綱なので、ドライブする時などには必ず予備のメガネを持っていくのだが、電車での移動では特に意識していなかった。
ただ、今回の出来事を通じていいこともあった。道に迷って斜面と格闘した経験で、あのくらいの急斜面でもなんとかなる、という自信である。ダイトレや金剛山の急斜面でも、あの経験に比べれば、という余裕と自身である。
(ただ、過信に繋がるとこれはこれでマズイのであるが・・・)
とにかく今は、何事も無く帰って来られた事に感謝したい。
そして、いつか必ずリベンジを、と誓うのである。
コメント
この記録に関連する登山ルート
この場所を通る登山ルートは、まだ登録されていません。
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大変な目に遭われましたね、私も裸眼視力0.1をはるかに下まわっています。めがねを遺失してしまいそうになった体験、私にもあります。こんな時はスペアのめがね
持ってくるんだったと悔やみますが、いまだに持って行ったためしがありません。
夏季の低山は怖いですね。小さな池の横を通るルート
数年前の晩秋に一度通ったことがあります。ブッシュで道のわかりにくい所が多くありとても不安でした。
二上山はとにかく暑いので、私はなるべく冬季に行くようにしています。
コメントありがとうございます。
akipapaさんの山行記録、たまに拝見しています。娘さんとのホンワカとした山行をうらやましい気持ちで読んでいます。二上山、葛城山、金剛山など、私と同じような山々を歩かれておられるようで、とても参考になります。
今回、メガネの一件に関しては、全くの想定外でした。
自分の場合は、度が合わなくなって買い換えたメガネが何本も残っているので、今度からはそんな中の一本を常にザックの底に忍ばせておこう、と思っています。
そして、次回こそ、二上神社口から小さな池の横を通るルートを踏破してやろう、と思っています。
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