丹沢/四十八瀬川勘七沢


- GPS
- 08:43
- 距離
- 12.2km
- 登り
- 1,557m
- 下り
- 1,559m
コースタイム
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2012年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
◆登山ポスト 二俣にあり。 |
写真
感想
3年振りに勘七の沢に行き真夏の涼味を味わってきた。2年間中京地区に出向いていたA木CLの歓迎会にもなったか?
A木CLは小学5年生のジュニアを連れてきた。夏休みの宿題の役には立ったかな?
県民の森の芝生広場に着いたのは8:50。当然のように駐車場は埋まっているので路傍の余地に駐車した。ただ流石に盛夏の丹沢を避ける人が多いのか秋の混み具合ほどではない。沢装備は二俣で付けることとして早々に出発した。
二俣に到着し、ここで各自ハーネス、ヘルメット等を装着。A木CLは登山ポストに山行計画を提出。多くのパーティが入渓していると思ったがここではそんなざわめきは見当たらなかった。同様に二俣で準備をしていた4人パーティが先行して入渓。沢に入るとそれまでの28℃あった気温が23℃まで下がり、涼感が溢れる。堰堤を左から越すと小草平沢との分岐で、先行パーティに続いて勘七沢に入る。
もうここからF1(5m)が見えるのだが、先行パーティがF1下に着いた辺り、半袖短パン姿でフリーでF1の水流沿い上部を登る登山者が見えた。と思ったらあろうことか落ちた。一同仰天したが水流沿いに滑ってきたためか擦過傷を負った程度であった。しかしながら指を痛めておりここで撤退。大ベテランでわらじを入っていたが、そんなこともあるのか、本人は上部で油断してしまったと漏らしていたが、やはり沢の単独行はリスクが高いと実感。葛葉川ならばいくらでも逃げ道はあるからと、そう言う所は僕も一人で入ったりするけどパーティを組んで来るべきだな。
A木CLはそんな騒動を横にロープを取り出してさばいていたが、先行パーティは毒気に当てられたのか「お先にどうぞ」と言う。しかし我々も子供連れだしなぁと思うものの、追いつかれたら先に行ってもらえば良いかと行かせてもらう。トップはA木CLで僕がビレイヤー。ビレイするのも相当久し振りだ。流石にA木CL、とんとんと訳なく登り切る。セカンドはジュニア。ただF1は左壁を登るが、出だしが立っていて良いホールドが無くて、リーチがないと結構厳しいので肩を貸して登ってもらう。3番手はT女史。彼女は前日に奥多摩三頭山で30km程度トレランして来たと言う。でも今日は履いたウォーターシューズがイマイチの感触のようで滑り易い。そこで再び肩を貸した。最後にロープを再度落としてもらい僕がカラビナを回収しながら登る。出だしがちょっと難しく、こんなんだったっけ?とか思いながら。
F1を超えるとすぐにF2(7m)が見えてくる。右壁を登るがプラカードの脇の洞に一旦上がりそこから洞の脇を攀じる。洞までは右からでも左からでも行ける。洞からはスタンスが乏しくてやや難度を感じる。A木トップでジュニアとT女史を確保。僕はフリーで登攀。
F2の後に大堰堤が一つ現れるがここもやや危ういのでロープを出してジュニアとT女史が通過。堰堤で苦労した記憶は無いのだが、相当に腕と感覚が落ちているのかもしれない。
堰堤を超えて数分でF3(8m)。右側をへつりながら最後のアプローチはドボンと釜の隅を横切る所、でも膝下程度。土砂で大分埋まったようだ。でも釜の中央部はそれなりに深そうだから用心深いに越したこと無い。ロープで結ばれたA木CLとジュニアがまず行き、右壁を登る。寝てはいるのだが見た目がいかにも滑りそう。なのでT女史にもロープを出してもらう。
F3を超えて数分で今度はF4(2段12m)が現れる。一段目は右壁に支点があるのだがどうも流れが悪くなるので一段目で一旦ピッチを切ることとした。この後二段目は右側のルンゼを行くが、4人上がるとここは一杯。ルンゼには残置スリングと抜け口にトラロープがある。
トポによるとこの後堰堤が5つ続いてその後にF5となる。ところがこの堰堤達が意外と手強くて再々だが「こんな感じだったっけ?」と感じる。3つ目の堰堤では右岸側をルートに取ったが思いの外ホールドが乏しく、ロープを出してジュニアとT女史を確保した。乗越してから左岸側を見やると作業道のような大高巻き道が着いているような気配。
3つ目の堰堤の上が広場になっていたのでここでお昼休憩とした。
4つ目の堰堤は左岸側を高巻き、5番目の堰堤は左岸端を乗越す。じきにF5(15m)大滝が現れる。左壁の下部にバンドがあり、それを伝って左壁に取り付き1本目のシュリンゲで確保して直上していく。A木CLがリードし、僕がビレイ。A木CLビレイでジュニアが登り、T女史が続く。僕もここではロープを貰って登るけど、ホールドはカチっとしているし実に楽しめる。
大滝を超えたゴルジュ帯は実に楽しい。ロープが必要な箇所はなく、幾つかの滝を超えていく。古い石積みの堰堤の手前にある滝に出会ったがこれがF6か?F5を超えるとプラカードが無く、更には左右岸の崩壊も大きくどれがどれだか解らない。このF6から30分位進むと突然に伏流水になった。左からザレ場が入っているのでこれはトポ通りのようだ。どうも意識しないままにF7、F8を超えてしまった様子だ。少し進むと三俣になる。パット見本流は左じゃないかと思われるがちょっと右にくねったのが本流だと木の黄色いテープのマーキングが教えてくれる。しばらく詰めていくとF9が現れる。これは右のルンゼを登っていくが、正面壁も良さそうだ。
数分進むと左岸からのザレ場が現れてくる。トポでは2本目のザレ場が良いとされている。A木CLの記憶だと「わらじが下がってた」とか。しかし2本目のザレ場は崩壊が甚だしい。わらじの掛かっていた木もこの崩壊でなぎ倒されたのかもしれない。A木CLとジュニア、T女史はここで装備を解いて靴も履き替えた。T女史は所謂ウォーターシューズを持参して今回初めて履いたとのことだがあろうことか途中で片足のソールが丸剥がれしてしまった。もう片方も剥離している部分があり、使っちゃいけないリストの筆頭だな。
少し逡巡したがザレ場に挟まれた尾根を行けばどの道花立に出るだろうと言うことでここを進もうと言うことになった。しかしこれは失敗だった。この尾根の下部は踏んだらズルズルと崩れていくような所で非常に神経と体力を使った。岩峰までそれが続き、岩峰からは少し傾斜が落ちる。そして左右のザレ場が近くに見えるようになるともう緩やかで長閑な尾根道になりガスの掛かってきた大倉尾根に花立山荘が見えてくる。到着。現状のルートとしては1本目のザレ場を登るのが良策と言えるだろう。
花立山荘で僕は装備を解き、A木親子は山荘のかき氷に舌鼓を打っていた。小休止の後、大倉尾根を降りていく。堀山の家から右の杉林の尾根を降りていくが、まっすぐに降りて行きながら尾根が分かれる所で右斜めの方向に道を採らなくてはいけない。昨年ここを降りた時にはここのポイントが明示されてなくて道迷いの危険性がありそうだと感じたが、だんだんと整備の手がこの尾根にも入っているようで、明確にカーブを印象づけるように工夫されていて、木への白○マークも多くなっていた。最後の小草平沢に降りるところも結構急勾配だが、ここまで来るとまもなく二俣だ。
17:00過ぎに二俣に到着。ストックを沢で洗い、顔を洗っているとA木親子が降りてきた。早速靴を洗いに行ったジュニアが声を上げて呼んでいる。見に行くとヒルが2匹吸い付いていた。まだ血は吸ってなかったようだ。我々も急いで確認したが無事、草むらに入って立ってるT女史に声を掛けると素足に左右で4匹も食いついていた!既に丸々と太った状態のも。本人は尾根でアザミの葉っぱでチクチクしていたからその感覚がずっと残ってると思っていたそうだが、トレランシューズも血に染まってしまった。以前来た時にもT女史が一番ヒルに攻撃されていたが、ヒルも対象を選んでるんだろうか?しかし、丹沢でのヒル対策はもっと真剣に考えなくてはならないことになってしまったようだ。
それはさて置き、昨年は葛葉川程度でお茶を濁していたが久しぶりに沢登を堪能した一日だった。ジュニアも登りでは泣き言一つなく(堀山の家からの下りでは音を上げていたらしいが)タフ振りを見せてくれた。これからが楽しみだ。
T女史は前日に30kmのトレランをこなしてこれだからお手上げだ。足回りは整備しないとね。
勘七沢はと言えばやはり名溪だ。難しすぎず、変化もあり、何しろ湘南から近い。しかし左右からの崩壊も凄まじく今後も変化していくことが予想される。いつまでも良い沢であって欲しいものだが。
【参考資料:丹沢渓谷調査団, 丹沢の谷110ルート, 山と渓谷社, 1995年刊】
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