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Yamareco

記録ID: 213211
全員に公開
ハイキング
甲斐駒・北岳

【南アへの布石】農鳥岳【凌雲作戦】【甲60.5】

2012年08月04日(土) [日帰り]
 - 拍手
体力度
7
1〜2泊以上が適当
GPS
11:37
距離
23.2km
登り
2,987m
下り
2,969m
歩くペース
とても速い
0.60.7
ヤマレコの計画機能「らくルート」の標準コースタイムを「1.0」としたときの倍率です。

コースタイム

日帰り
山行
10:07
休憩
1:30
合計
11:37
2:23
15
奈良田第2駐車場
2:38
2:38
25
第1発電所
3:03
3:03
2
登山道入口
3:05
3:05
9
吊橋その1
3:14
3:14
6
吊橋その2
3:20
3:20
4
発電所取水口
3:24
3:24
94
吊橋その3
4:58
4:58
142
大門沢小屋
7:20
7:54
38
大門沢下降点
8:32
9:28
26
農鳥岳
9:54
9:54
107
大門沢下降点
11:41
11:41
84
大門沢小屋
13:05
13:05
1
吊橋その3
13:06
13:06
5
発電所取水口
13:11
13:11
10
吊橋その2
13:21
13:21
24
登山道入口
13:45
13:45
15
第1発電所
14:00
奈良田第2駐車場
2:23奈良田第2駐車場-2:38第1発電所-3:03登山道入口-3:05吊橋その1-3:14吊橋その2-3:20発電所取水口-3:24吊橋その3-4:58大門沢小屋-7:20大門沢下降点7:54-8:32農鳥岳9:28-9:54大門沢下降点-11:41大門沢小屋-13:05吊橋その3-13:06発電所取水口-13:11吊橋その2-13:21登山道入口-13:45第1発電所-14:00奈良田第2駐車場
天候 晴れ
過去天気図(気象庁) 2012年08月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車
コース状況/
危険箇所等
道の状況:NKK(長い・急・キツイ)
登山ポスト:発電所の辺り
下山後の温泉:奈良田の里温泉500円
奈良田駐車場の星空。星明りで稜線がはっきり見える。
2012年08月03日 21:12撮影 by  FinePix F30 , FUJIFILM
8/3 21:12
奈良田駐車場の星空。星明りで稜線がはっきり見える。
月明かりに照らされて出発。
2012年08月04日 02:23撮影 by  MOND, KDDI-SN
8/4 2:23
月明かりに照らされて出発。
第一発電所前通過。
2012年08月04日 02:38撮影 by  MOND, KDDI-SN
8/4 2:38
第一発電所前通過。
登山道に入る。
2012年08月04日 03:03撮影 by  MOND, KDDI-SN
8/4 3:03
登山道に入る。
3つ目の吊橋。
2012年08月04日 03:24撮影 by  MOND, KDDI-SN
8/4 3:24
3つ目の吊橋。
沢に限らないが、落ちたら話にならない。
2012年08月04日 03:55撮影 by  FinePix F30 , FUJIFILM
8/4 3:55
沢に限らないが、落ちたら話にならない。
空が明けてきた。
2012年08月04日 04:33撮影 by  MOND, KDDI-SN
8/4 4:33
空が明けてきた。
道も明るくなる。
2012年08月04日 04:43撮影 by  FinePix F30 , FUJIFILM
8/4 4:43
道も明るくなる。
このような橋が何個かある。
2012年08月04日 04:45撮影 by  FinePix F30 , FUJIFILM
8/4 4:45
このような橋が何個かある。
大門沢小屋
2012年08月04日 04:59撮影 by  MOND, KDDI-SN
8/4 4:59
大門沢小屋
大門沢小屋から富士山。
2012年08月04日 04:59撮影 by  FinePix F30 , FUJIFILM
8/4 4:59
大門沢小屋から富士山。
稜線見ゆ。本日は晴天なり。
2012年08月04日 05:09撮影 by  MOND, KDDI-SN
8/4 5:09
稜線見ゆ。本日は晴天なり。
見た目とは裏腹にしっかりしている。
2012年08月04日 05:13撮影 by  MOND, KDDI-SN
8/4 5:13
見た目とは裏腹にしっかりしている。
日が昇りきった後の富士山。
2012年08月04日 05:37撮影 by  FinePix F30 , FUJIFILM
1
8/4 5:37
日が昇りきった後の富士山。
まだまだだなあ。
2012年08月04日 05:42撮影 by  FinePix F30 , FUJIFILM
8/4 5:42
まだまだだなあ。
花々もきれいに咲いている。
2012年08月04日 05:44撮影 by  FinePix F30 , FUJIFILM
8/4 5:44
花々もきれいに咲いている。
登りがさらにきつくなる。
2012年08月04日 05:45撮影 by  MOND, KDDI-SN
8/4 5:45
登りがさらにきつくなる。
大門沢の始まり。
2012年08月04日 05:46撮影 by  MOND, KDDI-SN
8/4 5:46
大門沢の始まり。
登るのも一苦労だ。
2012年08月04日 06:38撮影 by  MOND, KDDI-SN
8/4 6:38
登るのも一苦労だ。
もう十分雲の上だ。
2012年08月04日 07:18撮影 by  FinePix F30 , FUJIFILM
8/4 7:18
もう十分雲の上だ。
しかし、稜線はまだまだ先。
2012年08月04日 07:29撮影 by  FinePix F30 , FUJIFILM
8/4 7:29
しかし、稜線はまだまだ先。
大門沢下降点手前より。
2012年08月04日 07:29撮影 by  FinePix F30 , FUJIFILM
8/4 7:29
大門沢下降点手前より。
大門沢下降点到達。すでにぐったり。
2012年08月04日 07:30撮影 by  MOND, KDDI-SN
8/4 7:30
大門沢下降点到達。すでにぐったり。
農鳥岳だけでも到達しないとな。
2012年08月04日 07:53撮影 by  FinePix F30 , FUJIFILM
8/4 7:53
農鳥岳だけでも到達しないとな。
塩見岳方面
2012年08月04日 07:57撮影 by  FinePix F30 , FUJIFILM
1
8/4 7:57
塩見岳方面
下降点から見えるピークの奥に山頂がある。
2012年08月04日 08:16撮影 by  FinePix F30 , FUJIFILM
8/4 8:16
下降点から見えるピークの奥に山頂がある。
白い花
2012年08月04日 08:16撮影 by  FinePix F30 , FUJIFILM
8/4 8:16
白い花
雲海も高層雲も気持ちが良い。
2012年08月04日 08:25撮影 by  FinePix F30 , FUJIFILM
8/4 8:25
雲海も高層雲も気持ちが良い。
山頂まであと少し。
2012年08月04日 08:25撮影 by  FinePix F30 , FUJIFILM
8/4 8:25
山頂まであと少し。
黄色い花
2012年08月04日 08:29撮影 by  FinePix F30 , FUJIFILM
8/4 8:29
黄色い花
農鳥岳山頂。奥に見えるは間ノ岳と北岳。
2012年08月04日 08:32撮影 by  MOND, KDDI-SN
1
8/4 8:32
農鳥岳山頂。奥に見えるは間ノ岳と北岳。
改めて塩見岳方面。
2012年08月04日 08:40撮影 by  FinePix F30 , FUJIFILM
1
8/4 8:40
改めて塩見岳方面。
まだ残雪が多いな。
2012年08月04日 09:08撮影 by  FinePix F30 , FUJIFILM
8/4 9:08
まだ残雪が多いな。
2012年08月04日 09:26撮影 by  FinePix F30 , FUJIFILM
8/4 9:26
2012年08月04日 09:26撮影 by  FinePix F30 , FUJIFILM
8/4 9:26
2012年08月04日 09:26撮影 by  FinePix F30 , FUJIFILM
8/4 9:26
間ノ岳と北岳。次回は必ず。
2012年08月04日 09:28撮影 by  MOND, KDDI-SN
8/4 9:28
間ノ岳と北岳。次回は必ず。
山頂を辞去する。
2012年08月04日 09:28撮影 by  MOND, KDDI-SN
1
8/4 9:28
山頂を辞去する。
2012年08月04日 09:32撮影 by  FinePix F30 , FUJIFILM
8/4 9:32
2012年08月04日 09:32撮影 by  FinePix F30 , FUJIFILM
1
8/4 9:32
2012年08月04日 09:33撮影 by  FinePix F30 , FUJIFILM
8/4 9:33
山頂から南方。
2012年08月04日 09:35撮影 by  FinePix F30 , FUJIFILM
1
8/4 9:35
山頂から南方。
2012年08月04日 09:36撮影 by  FinePix F30 , FUJIFILM
8/4 9:36
2012年08月04日 09:36撮影 by  FinePix F30 , FUJIFILM
8/4 9:36
2012年08月04日 09:42撮影 by  FinePix F30 , FUJIFILM
8/4 9:42
富士山が雲に覆われつつある。
2012年08月04日 09:43撮影 by  FinePix F30 , FUJIFILM
8/4 9:43
富士山が雲に覆われつつある。
こんな高山でもちゃんと咲くんだな。
2012年08月04日 09:46撮影 by  FinePix F30 , FUJIFILM
8/4 9:46
こんな高山でもちゃんと咲くんだな。
2012年08月04日 09:47撮影 by  FinePix F30 , FUJIFILM
8/4 9:47
広河内岳
2012年08月04日 09:54撮影 by  MOND, KDDI-SN
8/4 9:54
広河内岳
さ〜ら〜ばノウトリよ〜また来るま〜で〜は〜♪
2012年08月04日 09:58撮影 by  FinePix F30 , FUJIFILM
8/4 9:58
さ〜ら〜ばノウトリよ〜また来るま〜で〜は〜♪
往路では気づかなかった残雪。
2012年08月04日 10:09撮影 by  FinePix F30 , FUJIFILM
8/4 10:09
往路では気づかなかった残雪。
2012年08月04日 10:11撮影 by  FinePix F30 , FUJIFILM
8/4 10:11
往路は暗さと暑さで省みることのなかった道の状態について。
2012年08月04日 10:25撮影 by  MOND, KDDI-SN
8/4 10:25
往路は暗さと暑さで省みることのなかった道の状態について。
はしごは何箇所にもある。
2012年08月04日 10:46撮影 by  MOND, KDDI-SN
8/4 10:46
はしごは何箇所にもある。
降るのはすぐだ。
2012年08月04日 10:57撮影 by  FinePix F30 , FUJIFILM
8/4 10:57
降るのはすぐだ。
高所からの展望はこれでおしまい。
2012年08月04日 10:58撮影 by  FinePix F30 , FUJIFILM
8/4 10:58
高所からの展望はこれでおしまい。
ピンクの花
2012年08月04日 10:59撮影 by  FinePix F30 , FUJIFILM
8/4 10:59
ピンクの花
はしごを下りて沢沿いに歩く。
2012年08月04日 11:18撮影 by  MOND, KDDI-SN
8/4 11:18
はしごを下りて沢沿いに歩く。
落ちなければどうということはない。
2012年08月04日 11:26撮影 by  FinePix F30 , FUJIFILM
8/4 11:26
落ちなければどうということはない。
雲が増えたなあ。稜線はその分涼しくなっているのだろうか。
2012年08月04日 11:32撮影 by  FinePix F30 , FUJIFILM
8/4 11:32
雲が増えたなあ。稜線はその分涼しくなっているのだろうか。
これでもまだましな道。
2012年08月04日 11:36撮影 by  MOND, KDDI-SN
8/4 11:36
これでもまだましな道。
大門沢小屋まで戻り一息つく。
2012年08月04日 11:41撮影 by  MOND, KDDI-SN
8/4 11:41
大門沢小屋まで戻り一息つく。
この辺りは渡渉点がわかりにくい。
2012年08月04日 11:45撮影 by  FinePix F30 , FUJIFILM
8/4 11:45
この辺りは渡渉点がわかりにくい。
先に行ってくださいと言われ、思い切りミスリード。その後すぐにピンクリボンが見つかってよかった。
2012年08月04日 11:55撮影 by  FinePix F30 , FUJIFILM
8/4 11:55
先に行ってくださいと言われ、思い切りミスリード。その後すぐにピンクリボンが見つかってよかった。
ちょっと足を引っ掛けてしまった。
2012年08月04日 11:55撮影 by  FinePix F30 , FUJIFILM
8/4 11:55
ちょっと足を引っ掛けてしまった。
気を取り直して沢を渡る。
2012年08月04日 11:57撮影 by  FinePix F30 , FUJIFILM
8/4 11:57
気を取り直して沢を渡る。
沢の水が道にあふれている。
2012年08月04日 12:05撮影 by  FinePix F30 , FUJIFILM
8/4 12:05
沢の水が道にあふれている。
2012年08月04日 12:08撮影 by  FinePix F30 , FUJIFILM
8/4 12:08
丸太橋
2012年08月04日 12:08撮影 by  MOND, KDDI-SN
8/4 12:08
丸太橋
東京近郊にもあるような道だが、細く、崖側に傾いている。
2012年08月04日 12:19撮影 by  MOND, KDDI-SN
8/4 12:19
東京近郊にもあるような道だが、細く、崖側に傾いている。
開けた樹林帯となれば沢も近い。
2012年08月04日 12:30撮影 by  FinePix F30 , FUJIFILM
8/4 12:30
開けた樹林帯となれば沢も近い。
道を外せば谷底へ急降下だ。
2012年08月04日 12:39撮影 by  FinePix F30 , FUJIFILM
8/4 12:39
道を外せば谷底へ急降下だ。
明るくなれば恐れることもない。
2012年08月04日 12:43撮影 by  MOND, KDDI-SN
8/4 12:43
明るくなれば恐れることもない。
大門沢に流れ落ちる滝。
2012年08月04日 12:51撮影 by  FinePix F30 , FUJIFILM
8/4 12:51
大門沢に流れ落ちる滝。
これはでかい落石だ。
2012年08月04日 12:54撮影 by  FinePix F30 , FUJIFILM
8/4 12:54
これはでかい落石だ。
水遊びの一つでもしてみたい。
2012年08月04日 12:58撮影 by  FinePix F30 , FUJIFILM
8/4 12:58
水遊びの一つでもしてみたい。
水が透き通っている。
2012年08月04日 13:00撮影 by  FinePix F30 , FUJIFILM
8/4 13:00
水が透き通っている。
崩壊しているが足場としては十分。
2012年08月04日 13:01撮影 by  FinePix F30 , FUJIFILM
8/4 13:01
崩壊しているが足場としては十分。
でかい岩岩の合間を縫う。
2012年08月04日 13:02撮影 by  FinePix F30 , FUJIFILM
8/4 13:02
でかい岩岩の合間を縫う。
吊橋その3
2012年08月04日 13:03撮影 by  FinePix F30 , FUJIFILM
8/4 13:03
吊橋その3
吊橋下の岩肌。
2012年08月04日 13:04撮影 by  FinePix F30 , FUJIFILM
8/4 13:04
吊橋下の岩肌。
上流側に傾いている上、高低差もある。
2012年08月04日 13:05撮影 by  MOND, KDDI-SN
8/4 13:05
上流側に傾いている上、高低差もある。
発電所取水口
2012年08月04日 13:06撮影 by  MOND, KDDI-SN
8/4 13:06
発電所取水口
楽な道になって涙がちょちょぎれそうだ。
2012年08月04日 13:07撮影 by  FinePix F30 , FUJIFILM
8/4 13:07
楽な道になって涙がちょちょぎれそうだ。
案外歩きやすい。
2012年08月04日 13:09撮影 by  MOND, KDDI-SN
8/4 13:09
案外歩きやすい。
吊橋その2
2012年08月04日 13:11撮影 by  MOND, KDDI-SN
8/4 13:11
吊橋その2
吊橋その1。安定感抜群。
2012年08月04日 13:18撮影 by  FinePix F30 , FUJIFILM
8/4 13:18
吊橋その1。安定感抜群。
登山道入口そばの休憩舎。
2012年08月04日 13:21撮影 by  MOND, KDDI-SN
8/4 13:21
登山道入口そばの休憩舎。
手入れは誰がしているのだろう?
2012年08月04日 13:26撮影 by  MOND, KDDI-SN
8/4 13:26
手入れは誰がしているのだろう?
雷雨の兆候もなし。東京では夕立があったようだが。
2012年08月04日 13:30撮影 by  FinePix F30 , FUJIFILM
8/4 13:30
雷雨の兆候もなし。東京では夕立があったようだが。
土砂崩れがあったのだろう。水も流れ込んでいる。
2012年08月04日 13:32撮影 by  FinePix F30 , FUJIFILM
8/4 13:32
土砂崩れがあったのだろう。水も流れ込んでいる。
第一発電所
2012年08月04日 13:45撮影 by  MOND, KDDI-SN
8/4 13:45
第一発電所
奈良田橋
2012年08月04日 13:55撮影 by  FinePix F30 , FUJIFILM
8/4 13:55
奈良田橋
だだっ広い河原
2012年08月04日 13:56撮影 by  FinePix F30 , FUJIFILM
8/4 13:56
だだっ広い河原
駐車場に帰還。
2012年08月04日 14:00撮影 by  MOND, KDDI-SN
8/4 14:00
駐車場に帰還。
奈良田湖
2012年08月04日 15:20撮影 by  MOND, KDDI-SN
8/4 15:20
奈良田湖
奈良田の里温泉
2012年08月04日 15:20撮影 by  MOND, KDDI-SN
8/4 15:20
奈良田の里温泉

感想

中央道を走りつつ、ふと目を見やると西の空に広がる大きな雲、いや、あれは稜線だ。明日、あの雲の高みを歩くことになるのかと思うと不安でいっぱいになった。

【企画立案】
南アルプス。いろんな所からその雄姿を眺め、いつかはあそこを歩いてみようと思ってはいたものの、実際歩くとなると、どのくらいかかるのかなどよくわからない。何しろ3000m超級の山々だ。今まで歩いた山々とはまた勝手も違うのだろう。
夏ともなれば積乱雲の発達も考慮に入れなければならない。
長野県側からのアプローチを除くと概ね広河原か奈良田からのスタートとなるだろう。しかし、初動を大事とする私からすると広河原へのバスの便は遅すぎるし、今はシーズン中だから大勢の人がいて、同時スタートで渋滞するということも考えられる。というわけで、奈良田からスタートし、「行ける所まで」行くこととする。「行ける所まで」というのはアバウトだが大事なことでもある。また、可能と判断すれば北岳まで一気に行くのは当然である。しかし、広河原発奈良田行きの最終バスは16:40だ。そのため、ターニングポイントを設定する。大まかな計画は、

1.奈良田第2駐車場を未明に出立する。
2.9:30までに農鳥岳に到達できなければ農鳥岳でターンする。
3.間ノ岳に到達後、正午までに中白根山に到達できそうなら北岳まで行く。
4.中白根から距離的には約8kmなので、広河原に降りる(総行程25km)。

とした。心配なのは高さと距離とバスの時間だ。3000m級の稜線を歩く私を見て他の人は何と思うだろうか。ワクワクと言うよりドキドキだ。不安でしょうがない。

【前日〜出発まで】
16:30頃東京を発ち、中央道を西へ向かう。山梨県に入る頃には強い日差しも雲によって和らいだ。西の空遠方にたなびく雲。と同時に雲の縁と思ったものが稜線であることに気づく。雲と同じ高さの山々を明日単独で歩くのだ。腹にズシーンと来るものがある。力尽きてぶっ倒れるようなことでもあれば、新聞沙汰になって「山を舐めているからだ」等とバッシュされてしまう。今回は小学生以来20年振りの3000m超級ということもあって「無事に帰る」ということについてややナーバスになっていたと思う。

※南アルプス街道について
・県道52号線(富士川街道)から入った後コンビニは無い。県道52号線北側なら入る地点の手前10kmくらいにあるセブンイレブン、南側なら手前数kmくらいにあるローソンが最後のコンビニと思われる。
・奈良田温泉8km手前くらい、道がボコボコ。

6月の金峰山・瑞牆山(第二次瑞金作戦)では睡眠時間がほぼゼロといってもよい状態で酷い目にあったので、今回は睡眠を十分とるつもりであり、奈良田到着も21時過ぎと上々であった。
しかし、何ということであろうか、最初の1時間ほどウトウトしたかなと思った後は全く寝られなかったのである。第二次瑞金作戦時の轍を踏むまいと体を伸ばして寝られる車、クッション、ブリーズライトまで用意したのにこの様だ。
犬の鳴き声に目を覚ます。まだ23:00だ。やけに明るいなと思ったら丸い月が上空に輝いていた。明日は良い天気だろうと安心してまた寝ようとするのだが、なかなか意識が遠ざからない。
寝る前に夕食を詰め込んだからか、駐車場近くの犬達が人が通るたびに吠えるからか、月光が明るすぎるからか、後から来た若者が長々と喋っていたのが気になったからか(大声を出していないつもりでも静かな空間では音が響く。気をつけよう。)、やはり潜在的不安感が拭えないからか…。
それとも車中で飲んだコーヒーか?職場では効かないのにプライベートでは効くカフェイン!?
日が変わる頃からか何回も犬の遠吠えが聞こえた。もしかしてもう出発しているのか。ご苦労様です。お気をつけて。ああ寝られない…。
結局、寝られないんなら作戦開始してしまおうということで、予定より早く起き、出発の準備をする。天気は晴れでも前途に暗雲ありだ。

【道程】
2時23分、駐車場を発つ。自分も犬の遠吠えに見送られると思っていたのだが、一匹も鳴かず、ちょっと寂しい。
発電所まではバスも通る道、発電所から先は工事車両等が通る道で、さほど怖くはない。しかし、水が流れ込んでいたりするので足元は要注意だ。柵で通行止めになっている手前右側から登山道となる。
登山道に入ってすぐに吊橋その1を渡り、その後、吊橋その2。結構ゆれる。取水口を経て明かりがついているなと思ったら吊橋その3。上流側に傾いている。下を見ずに足元に集中しながらゆっくりと渡る。
この吊橋を渡ってからが若干ハードな道だ。歩き始めから結構な出迎え方。暗い中崖っぷちや足場の悪い所を歩くので慎重になる。そこをクリアすれば今度は八丁坂だ。なんとなく道はわかったので感性に任せて歩く。とりあえず、それまで足元がしっかりしていたのが、急に地面が軟らかくなったりしたら道を外れているので矯正すべし。最も注意すべきは橋の無い渡渉点。なかなかわかりづらく大きく道を外れてしまい、強引に進みながら戻る。GPSを持っていたので、沢を渡った後に道に戻るのはさほど困難ではなかった。しかし、復路、明るい中でも道がわかりにくかったので、この地点は慎重に見極めねばなるまい。

渡渉の連続が終わるとだんだんと登りが急になる。山頂までの直線距離と標高差がそれほど変わらない程度の急な登りだ。それに加えて木々の高さが低くなってきて陽光が差し込むほどに暑くなってくる。水分の消費が尋常ではない。日向をサクサク登った後、木陰で一休みというのを続けていたが、直前では頼みになるほどの木陰ももはや無く、諦めてゆっくりとではあるが、ギラギラした太陽の熱射を浴びながら最後のひと踏ん張り。それにしてもこの光線の熱いことよ。
大門沢下降点に至るも森林限界を超えているので木陰などあるはずも無く、低い岩陰に座って涼をとる。

さて、これからどうしたものか。午前7時にしてこの状況だ。当初予想より1時間くらい早く稜線に到達したものの、これから昼過ぎにかけてますます暑くなっていくだろうことを考えると、ほとんど一睡もしていない我が身では耐え切れないだろう。ここは大事をとるか。その前に農鳥岳だけでも到達しておきたい。

おもむろに立ち上がって山頂へ歩き出す。大門沢下降点までの急登に比べればかなり楽になったものだが、ピークだと思ったらその奥にまた本当のピークというのは精神的に来るものがある。それにしても今日は本当に良い天気だ。塩見に白峰、鳳凰、中ア、北ア…もったいないなあ、あーもったいない。

既に何人か休んでいる農鳥岳の山頂に至り、その一角に腰を下ろす。目前に西農鳥、間ノ岳、北岳。近いな。恐らく、暑さが落ち着いた季節であれば、そのままサクサクと稜線散歩を楽しめるだろう。だがこの日照りの中じゃ起伏をヒイコラとぼとぼ歩くだけになってしまうだろうなあ。うーん、岩陰は涼しいなあ。
西農鳥、農鳥小屋、間ノ岳まで統制前進しようか等といろいろと考えもしたのだが、この暑さに参ってしまって、涼しい岩陰で時折おこじょと顔を見合わせたりしながらまったりと時間を過ごす。結局9時30分まで山頂で憩った後、後図を期すこととし、今日のところは自分の登頂最高峰を更新したことで一定の成果を得たと考え来た道を戻ることとした。

時間にも余裕ができたからか、下りは登りの時にはよく顧みられなかったものを見ることができた。しかし、一箇所渡渉点を探すのに難儀した所があったので次回は気をつけたい。道をよくよく見ると、よく真っ暗な中歩いてこられたなあと思う所が多々ある。そして、長い。物凄く長い。とにかく長い。よく揺れる吊橋を見たときにはほっとしたのだった。今回は単峰戦で大事をとって終了したが、つかみはオーケーだ。遠からず同地域において楽しい稜線散歩を実現できるだろう。


【総括】
暑い熱いと言っても前年の八ヶ岳山行等暑さを苦にすることなく完遂した山行が厳然として存在する。それら山行と今回の山行で何が違うのかよくよく検証してみたい。
〜夏山稜線到達まで比較〜
A.鳳凰三山(地蔵岳) :7/18 33℃(甲府) 2764m
B.八ヶ岳(阿弥陀岳) :7/10 31℃(長野) 2805m
C.農鳥岳(大門沢分岐):8/ 4 35℃(甲府) 2820m 

  距離   標高差  時間             睡眠
A.:約 6.0km 約1650m 4時間17分(0557時〜1014時) ○
B.:約 6.0km 約1290m 3時間10分(0350時〜0700時) ○
C.:約10.5km 約2000m 4時間57分(0223時〜0720時) ×

こうしてみると、気温、距離、標高差、体調全てにおいてハードモードだったのだなあと思う。また、今年の夏の日差しは例年になく厳しいように感じた。無理をしなくて正解だったと言えるかもしれない。単純に睡眠不足と暑さのせいかと思っていたが、それ以上に山がでかかった。
しかし、彼を知り己を知らば百戦殆うからず。彼を知ったからには己を修めて偉大な山々に抱かれに行こう。

〜おしまい〜

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