記録ID: 21338
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アルパインクライミング
剱・立山
黒部別山・大タテガビン沢→南面沢
1999年10月02日(土) 〜
1999年10月03日(日)


- GPS
- 32:15
- 距離
- 11.2km
- 登り
- 1,325m
- 下り
- 1,333m
コースタイム
10月2日名古屋前夜発→松本(4:00)→大町(4:40)→扇沢→ダム(7:45))→大タテガビン沢出会い(9:30)→コル(17:00)→蔵の助沢出会い(22:00)→岩小屋(23:00)
10月3日岩小屋(10:00)→黒四ダム(11:00)
10月3日岩小屋(10:00)→黒四ダム(11:00)
アクセス | |
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コース状況/ 危険箇所等 |
チーム野良犬の青島靖さんとは白馬鑓沢の滑降以来五年ぶり。名古屋に引っ越したばかりの僕は山に行くなら誘ってくれとあちこちに声をかけておいた。青島さんは大阪から金沢に転勤して地元の山岳会の面々らと北陸一帯のおもしろいルートをたくさん登っていた。黒部は、大町から行くなら、名古屋からでも遠くはないのだ。 名古屋発北アルプス行きの夜行は、若者と中高年登山者だらけだ。大町駅に降り立つとさっそく青島さんに見つかる。金沢からの3人は前夜扇沢への途上の除雪車の車庫の屋根の下でテントを張って仮眠したという。他の二人は同じくクライマー特有の浮き世離れの雰囲気。金沢工大生の佐藤裕介君は正真正銘の貧乏学生と見えて、昼飯パンは食パンに手製の具をはさんだ手作り。金がないと言いながらコンビニで飯を買う若者の多い中、彼は本物だ。 栗を両手一杯に拾って扇沢へ。ここも行楽客でいっぱい。トロリーバスをおりると、クライマーたちは改札も通らず、すたすたと裏口へ回る。ダムから黒部川の渓谷に降り行くのは初めてだ。ダムの下を横切り、左岸の切り通し道を降りて行く。まるでマルシャンディー川のトレッキングルートのようだ。激流は澄んで、美しいところが違うけれど。オオタテガビン沢の出会いでハーネスを付ける。僕だけラバーを履く。みんなは痛いからなるべく後回しにするという。 最初のルンゼは楽そうに見えたが途中やっぱり渋いところが出る。落石がイヤーな所。よくまあ青島さんはトップで・・・。このひと滝で水は無くなる。すぐ2ピッチ目やはり左岸ちょっとヤブに入るかんじだが、その中のホールドのない一歩のトラバースが困った。手足をタコのように延ばしやっと抜ける。飛び込んだりしてはいけない。この先は延々と急なスラブというか階段状急斜面。ザイルは無し。 途中水たまりで水を汲んだりはしたが、のどが大いに渇く。おかげで飯が喉を通らない。塩分不足か、足もつる。かなり上がったところで1ピッチ出す。4級プラス位か。やはり一カ所微妙なホールドを頼る所有り。ビレー中、2羽のハヤブサが標高差数100メートルを急降下する様を見た、翼の形も凄いが音も凄い。あんな能力があればこの山の中こそふさわしいと思った。 あとは延々壁を詰め行く。稜線間近で僕と佐藤君だけ変なルンゼを詰めてしまう一幕もあり稜線で既に5時。天気は案の定下り坂。ともかくビバーク地を探して反対側の南面沢を下り出す。懸垂2ピッチ目に真っ暗になる。懸垂途中上からものすごい音の落石。何も見えないのでいっそう恐怖。暗闇の下山はよくやるが、この日のこれだけはやばかった。ロープの下にいなくて良かった。さて懸垂を終え、ビバークでもするかという意見もあったが僕はどうしても水のあるところまでは行きたかった。必ず雨にはなるだろうが。ガレ場をゆっくり下っていくとコンタ1700あたりで水。やっとパンも食べられ、渇きをいやす。 しかしここらあたりからは連瀑帯のはじまりで、そこだけは抜けておこうということになる。黒部本流添いの岩小屋で屋根の下で寝ようという方針で進む。 出発と同時に雨。懸垂を結局このあと4回してどしゃぶりの中、大きな岩のひさしの下で雨宿りしたりして蔵の助沢とであう。渡渉の後、濡れ濡れの竹薮の斜面を道を探して登る。一人だったら嫌気がさすだろうなあ。夏道に出てからも結構長かった。途中丸山東壁の下の天場は濡れ濡れのテントが張り巡らされていて足の踏み場も無し。ポール無しのツェルトの人は雨の中にツエルトにくるまっただけでそのまま横たわっている。ここがこの様子では十分ほど降りた岩小屋は一杯かもと覚悟したが、岩小屋は無人だった。雨はテントを張ったあとの時間に降り出したので誰もこっちへ移動しなかったのだろう。幅10メートル以上の広いひさしの下、雨の不快は無い。のびのびと横になる。11時まで粘ってここまで来て、やっと報われた。枯れ木一本で焚き火して、ラーメンくって眠る。翌朝は自由に寝坊して、黒部ダムへと帰った。天気は回復していた。結局崩れたのは夜だけだった。この週を境にすっかり秋。暑い夏とはまた久しの別れ。 |
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