鳳凰三山テント泊、絶景の白砂回廊、（初アルプス）
OKchan
体力度について
- GPS
- 31:14
- 距離
- 24.3km
- 登り
- 2,735m
- 下り
- 2,414m
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8:00 御座石鉱泉
9:55 旭岳
11:03 燕頭山
12:50 鳳凰小屋
13:38 テント設営のあと小屋発
14:45 賽の河原
15:01 オベリスクのふもと
16:03 鳳凰小屋
16日
6:35 鳳凰小屋発
7:00 登り口
8:01 稜線に出る
8:43 観音が岳
9:53 薬師ガ岳
11:01 南御室小屋
11:50 苺平
13:12 杖立峠
14:21 夜叉神峠
15:03 夜叉神峠登山口バス停
| 天候 | 15日、曇り 16日、曇り時々晴れ |
|---|---|
| 過去天気図（気象庁） | 2012年08月の天気図 |
| アクセス |
利用交通機関：
電車 バス
帰り 夜叉神峠登山口からバスでJR甲府駅へ |
| コース状況／ 危険箇所等 |
昨年の夏に高尾山に通い始めて約1年、ひとつの集大成として始めて「アルプス」と名前の付くところに挑戦してみた。1日目はほぼ一日曇っており、地蔵岳では展望が得られなかったが、2日目は雲が上に上がって四方展望が利き、素晴らしい眺望を楽しむことができた。 コースですこし手こずったのは、 ・御座石鉱泉かたら燕頭山までの急で長い登り（約3時間） ・2日目の白鳳小屋から観音岳に登る上り口を見逃し沢を少し登った ・観音岳への登りは結構な急坂（約1時間） ・南御室小屋におりる手前の急な下り ・苺平から杖立峠近くまで長く続くガレ道 といったところだが、難関というほどの厳しさは無かった。 それよりも、今回場合によっては2泊、とも思っていたので、 つい荷物が多くなり14kgになったリュックが私にはきつかった。 道は全般に整備されていて危険な箇所はほとんど無い。 |
写真
拍手
御座石鉱泉、青木鉱泉行き。7：10発。
なんと乗客は私だけ
建物脇に登山口
おばさんに暖かい見送りを受ける
急に元気になったような
この広場と上の細切れのスペースに
小生は黄色のテントの右奥に
アライのトレックライズ1
2にすればよかったかなと思うことも
小屋の取水口まで行った
結構延々とつづいてちょっといやになる
ここでもう一泊しようかとも思っていたが、明日の予定が変わり下山することに
無事に下山できてめでたしめでたし
感想
＜テーマ＞
去年の8月から高尾山に通いだしちょうど1年。いよいよ初めてアルプスと名のつく山に登ることにして、鳳凰三山に15-16日に行ってきた。
鳳凰三山を選んだのは場所が手近なこと、南アルプスの中では入門的なこともあるが、何といっても白峰三山を見る絶好のビューポイント、白砂の美しい稜線、宇宙人のいたずらかと思えるオベリスクなどのみどころが多いことがその理由だ。
はじめてのアルプスで、テント担いでの単独行なので計画は慎重にたてざるを得ない。先ずコース取りだがいつもどおりなるべく下りをゆるやかにしよう、ということで夜叉神峠に降りていくコースを選んだ。夜叉神峠には単独で行ってもいいなと思っていたのでこれは外せない。登りは急坂でもいいので北東側から登ることにしたが、ポピュラーなドンドコ沢ルートはややこしい所がありそう。ここはただ急坂を登るだけの御座石鉱泉ルートを行くことにした。
＜道すじ＞
三鷹から始発に乗って7時前に韮崎駅についた。山行きの前はいつも興奮して夜も電車も眠れないことが多いが、この日は両方結構眠れて出だし好調だ。駅でバスの場所を聞くと駅をでて右に曲がってガードをくぐった鳥居のところにいる、とのことだ。奥多摩駅のバスを頭に描きさぞ大勢が乗るものと思っていたが、まず韮崎で降りる人がほとんどいない。言われたところには確かにマイクロバスが止まっていたが、なんと乗客は小生一人だった。
定刻の7：10にバスは出発、貸切はいいのか悪いのか、なんとなく落ち着かないのはしょうがない。少し普通の道を走った後、カーブの多い山道に入ったので運転手さんに話しかけるのもはばかられる。そうこうするうち、御座石鉱泉に到着、「今日はお盆で特別少ないんですか？」「いや、昨日は乗ってないんで知りません。」
＜御座石鉱泉から＞
御座石鉱泉の前の駐車場には車が5〜6台。トイレの横に登り口の標識があったので登ろうとすると温泉の建物の方からおじさんが、「登るなら届けてください」とのこと。玄関先に回ってノートに住所、名前、ルートなどを記入した。おじさんと談笑しながら書いて言ったがなかなか気さくな人だった。出かけるときは今度はおばさんが、「いいコースですから楽しんできてください」と言って見送ってくれた。
さて、登りだしはやはり急坂、リュックが肩に食い込む。雲取山での初テントでは加重は11kgだった。今回リュックをかえて容量に少し余裕はできたがリュックの重さは同じなので、なるべく荷重は増やさないつもりだった。しかし夜叉神峠でもう一泊、とも思っていたので食料、衣類、水、その他と少しずつ増えたようだ。それでも荷作りの途中では12kちょっとだろうと思っていたが、朝計ると何と14kg、50代のおっさんにはちょっと厳しい重さだ。出だしの急登ではリュックの重さに前途に相当の不安を感じた。軽量化はやはり今後の課題である。
少し登ってから一旦緩やかになった後、本格的な登りが始まる。事前の想定ではここが最大の難関で、1000mちょっと登って燕頭山まで行けば後はそんなに苦戦しそうにはないと思っていた。ここのために先月仮想コースで奥多摩の稲村岩尾根にものぼったのである。地図で見ると距離、傾斜がとてもよく似ている。実際に登ってみるとコースは確かによく似ていたが、こちらのコースのほうが適度に石の足場があってかえって登りやすかったと思った。また、先が長いと思うのである程度自重して足を使いきらないように心がけた。
さて、バスが貸切だったようにコースにそんなに人はいない。鉱泉の駐車場で先に車で来た男性二人がスタートされた。そのおふたりとは抜きつぬかれつとなる。それからもうひとり年配の女性に旭岳の手前で追いついた。追いついたので、お先に、といって追い越したがその後少し休むと追いついてこられたりして付かず離れずとなった。なんとなく話を始めたが、その後「お母さん」と呼ばせていただいたので、ここでもお母さんと呼ばせてもらうが、息子さんと一緒にこられたという。息子さんは健脚なのでもうずっと先を行っているそうで、今日は早川尾根から一泊して明日は甲斐駒だそうだ。それはそうかもしれないが、お母さんを置いていくとはちょっとどうかな、と最初思ったが、色々聞いているうちにこのお母さん自体が大変な人だということが分かってきた。何と、甲斐駒の黒戸尾根を一泊で何度も往復したことがあるという。（息子さんは日帰りだそうだが。）
黒戸尾根に挑む、というのは小生の妄想にも出ては来ているが、とても現実化するとは思いにくいテーマ。それをこの70になろうかというお母さんは何の気負いも無く登っているという。息子さんが心配もせず一人で歩かせられているのも無理がないかもしれない。「ここが登れるなら、黒戸尾根もいけますよ。」といわれて、ちょっと電気が走ったような気分になった。
11時ごろに燕頭山に着いた。ちょうど3時間、ここまで来れれば何とか目処が立つ、という目標にしていたところ。幸い稲村岩尾根を登ったときのようにはヘトヘトになっていない。ちょうどちょっとした休憩を取れるベンチがあり、男性二人とお母さんも一緒に談笑した。
ここから更に2時間弱で鳳凰小屋につく。燕頭山からは登りが緩やかになり、すこし下りも交えての道。歩くのに余裕が出てきた。やはり4人がまえにいったりうしろになったりだが、最後の方で男三人で休んでいるとお母さんが追い着いて来て、休んでいる男を尻目に先に行かれ、結局鳳凰小屋には一番で到着されたようだ。逆に小生は最後の登りあたりで息が少し苦しくなり歩いては止まりになってしまった。初アルプスの洗礼かもしれない。
＜鳳凰小屋＞
鳳凰小屋に到着すると、既に10張りほどのテントがあった。広場とその上のちょっと高くなったところがある。小高くなったところのほうが独立性が高そうで先に埋まっているようだ。トイレや小屋には広場のほうが近いので広場に場所を確保してテント設営。そのあと小屋のそばの水場に水を汲みに行って、「南アルプスの天然水」を飲んでみた。ちょっと目が覚めるくらいうまかった。タオルを絞ると手が痛くなるほどの冷たさ、疲れて水分を求めている体、といったこともうまいと思う理由だろうが、この水だけでも来た甲斐があったわ、と思った。
鳳凰小屋のおじさんやスタッフの人たち（学生さん風が何人かおられた）皆さん明るくて気持ちのいい人たち。おじさんにどこから来たか聞かれ、「バスで御座石から」というと、「バスは混んでましたか？」「いえ私だけです」と答えると、がっかりされていた。お盆はあまり混まないようだ。
小屋の近くでさっきのお母さんが、「地蔵岳に行きませんか？」と誘っていただいた。もともと1日目はここから地蔵岳に往復しようと思っていたのでご一緒することにした。水と雨具などだけにしたビニールザックで行くので、羽が生えたように体が軽い。お母さんに先に行ってもらって、達人の歩き方を学ぶ。ホントに不思議な歩き方で、追い越したくなるようなゆっくり歩きに見えるが、終わってみるとコースタイムどおり、という感じだ。この人の後についていくと眠ってても歩けるような気がした。
地蔵岳までは最初森の中を登っていくがそのうち森林限界を超えたのか木がなくなり、砂地の斜面に変わった。砂地は歩きにくいとレポートに有ったが、ゆっくり進めばさほどでもない。チェーンスパイクを持ってこようかとも思っていたがそれには及ばなかった。このあたりで朝から一緒に登ってきた男性二人にすれ違う。彼らは今日日帰りで鳳凰小屋を通過して地蔵岳に行って戻ってきたところだった。お互い写真を取り合った。
さて、砂地になると上のほうにオベリスクと思われる岩の塊が見えてきた。コースの下調べで何度も写真を見ているが、いよいよ実物となるとイヤでも胸が高鳴る。しかし、高層ビルと同じで見えてからなかなか近づいてこない。お母さんにタカネビランジなどの花の名前を聞きながら、おっちら登っていく。
ようやく稜線に到着し3時前に賽の河原に着く。お地蔵さんが沢山並んでいる。残念ながら曇って見晴らしはない。オベリスクの偉容だけがそびえ立っている。不思議としか言いようがない。これが自然物だろうか？宇宙人の造作物と思ったほうがよっぽど納得がいくと思う。麓から少しだけ登りかけたが、元々高いところは好みでない。お母さんは登りたそうだったが、小生は御免被って登らなかった。
鳳凰小屋に戻ったのは4時ごろ。それから食事をしてビールを飲んで少し周りをうろついて、テントに入って横になったのは7時過ぎだったろう。この日のテント場にはあまりテントの外にでる人がおらず、コミュニケーションが取りにくくちょっと寂しい雰囲気。まあそれもまた良しである。さすがにすぐには寝付けなかったが、10時過ぎには眠ったようだ。雲取山ではぜんぜん寝られなかったので、少しは慣れたということか。
＜白砂の稜線へ＞
4時半ごろ目が覚めた。雲取山ではこの時間にはざわざわと大勢動き出していたが、この日はまだ皆静か、スロースタートである。空は青空ではないが随分明るい。今日の展望に期待が膨らむ。6時には出たかったが、少しぶらぶらして、食事をしてテントを片付けるとスタートは6時30分になっていた。もうちょっと手際よくしないといけない。
地蔵岳はきのう行ったので、この日は観音岳への登り口に向かった。標識の方向に歩き出したが、沢に下りていく道を進み川を渡ることに。そのまま沢を登っていったが、だんだん傾斜がきつくなる。ちょっとした滝をよじ登るとそこは小屋の取水口のようでそこまでホースが引かれている。GPSで見ると登り道を通り過ぎているようだ。これは間違えた、ということで引き返すと、確かに途中に登り口らしきものがあり、その先にはしごが見えた。
結局登り初めは7時になってしまった。ハジゴにとっつかまってよっこらしょっと登っていく。そこからジグザグ道を登るが結構な急坂だった。空気も薄いのだろう、息もすぐに切れる。息を整えていると後ろから若い男性が追いついてきた。昨日鳳凰小屋に泊まったという。少し一緒に歩いたが、彼のほうがペースが早そうなので先に行ってもらった。
1時間近くかかってようやく稜線にたどり着いた。振り返ると秩父方面だろうか、山並みが連なっている。視界は良好だ。稜線には人が結構大勢いた。追い越して行かれた若い彼も休んでいた。彼とアレがどこの山だ、とか言いながら稜線の反対側に歩いて行った。そこにあった岩陰から向こうに大きな三角の山が見えてきた。「あれ、この山は。」「甲斐駒かな」「うーん、北岳だ！」
思いがけず突然に目の前に現れた南アルプスの帝王、この姿を見たくて登ってきたのである。ジーンとした感動に包まれた。真っ青な空ではないが、雲が上空に上がって四方の見晴らしが効く。八ヶ岳も、遠くに北アルプスも見える（ような気がする）。この時期天候が不順だったが、小生の初アルプス挑戦をよみしてか素晴らしい眺望を神様は用意してくれた。先週お参りした役の行者のご加護であろう。
若い彼は色々な山に広く登っているようだった。北岳にも登っていて、山を見ながらルートの説明をしてもらった。「ちょっと険しいところもあるけど、こことほとんど変わりませんよ。」とのこと。昨日のお母さんの黒戸尾根に続いて彼にも背中を押されたように思う。憧れの北岳が「目標」に変わったかもしれない。
このあたりで写真をとったり眺めたりしていると、前日にも出会ったプロのカメラマンの人に再度出くわした。このひとは助手を二人連れていてやはり鳳凰小屋に泊まったそうだ。「大判カメラですか？」と聞くと「やはり山は大判です」とのこと。このひとにも北岳のルートを教えてもらった。いよいよ目標になってしまう。
この後若い彼と連れだって観音岳につながる稜線をの登って行った。絶景の白砂回廊である。上がっていくに連れて手前の山の影になっていた甲斐駒が見え、さらに進行方向に富士山が見えてきた。富士山が見えるのは久しぶりだ。秋冬には毎日見えていた富士山も春以降東京からはほとんど見えなかった。富士山に向かって白砂の稜線を歩くとは、何と言う贅沢であろう。ビギナーズラックというべきかもしれない。
観音岳から薬師岳へと稜線をさらに辿るが、薬師岳はさほどのピークではない。ここで青木鉱泉に向かって降る若い彼とお別れした。いろいろ山の話が聞けて楽しく過ごさせてもらった。写真をやり取りすることにしたので、またどこかで再会できるかもしれない。
＜夜叉神峠に向かう＞
薬師岳から少し降ると薬師岳小屋があった。この小屋は場所がすごく良いが残念ながらテント場がない。水場もなさそうだ。稜線の上なので荒れたら風も強いだろう。ご来光を見るには最高のロケーションだろう。小屋を過ぎたところにちょっとした岩山があった。岩嫌いなので巻きたいところだが、どうもコースは岩山の中をたどっているようだ。そろそろと赤いマークを頼りに登って降りた。
このあたりから南御室小屋まで約1時間11時頃に御室小屋についた。鳳凰三山は頂上が森林限界の少し上なので、この件ではもう森のなかに入っている。南御室小屋は小屋は小さいがテント場は広い。人も多くこのコースの主拠点という感じがする。ここの水も素晴らしくおいしかった。一人でテント泊の女性がここでテント泊するか鳳凰小屋まで行くか迷っていたのでいろいろ情報交換した。
ここから苺平まで30分ほど登り直す。苺平とはどんなところかと期待したがちょっとした広場だった。年配の男性グループが休んでおられた。このコースを登る人は御座石からに比べてはるかに多く、降る途中で数十人とはすれ違っている。
苺平から杖立峠までの下りが結構大きい石が道に積み上がっているガレ道でちょっと歩きにくく、それがずいぶん続くので疲れも貯まってちょっと参った。なるべく早いバスに乗りたいという気持ちもあったので、がんばったが、なかなか思うにまかせなかった。杖立峠ではだいぶ疲れていたのでちょっと長く休みをとって足の回復を図り、2時20分ごろに夜叉神峠についた。ここからは北岳などが良く見えるということだったが、すでに雲がかかって見晴らしは得られなかった。
夜叉神峠から登山口までの下りはキャタピラの足回りなら登れそうな綺麗な道。それでも足がだいぶ疲れているので、まだかまだかという気持ちで降っていった。登山口に到着して「夜叉神の森」というお店でスポーツドリンクを一気に飲み干した時には、無事で何より、という気持ちでいっぱいだった。
ここからバスで甲府まで1時間20分ほど、甲府駅へついてバスを降りると何と言う暑さか。それまでの爽やかな気候とは別世界だった。
初のアルプス挑戦は終わってみれば大成功だったと思う。行く前はこれが最終目標のように思っていたが、帰ってくると次はどこそこ、と考えてしまっている。まあ、ぼちぼちとやっていこう。
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てっきり夜叉神から登られたんだと思っていました。
天空の白砂青松、お天気に恵まれて何よりでした。
釜無川を挟んで対峙する地蔵岳のオベリスクと金峰山の五丈岩、不思議な自然の造形ですねえ…
なにせ３０００ｍ近いところに登るなど初めてで、心肺機能に自信がないので途中で息苦しくなって帰るかも、といった心配もしていました。何とか帰ってこれてほっとしています。
これからもポチポチのぼろうかと思いますので、よろしくお願いします。
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