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Yamareco

記録ID: 2300299 全員に公開 ハイキング 近畿

斧研谷〜太神山〜若女谷☆滝を訪ねて新緑の湖南の森に

情報量の目安: S
-拍手
日程 2020年04月14日(火) [日帰り]
メンバー
天候晴れ
アクセス
利用交通機関

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地図/標高グラフ


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コースタイム [注]

日帰り
山行
6時間30分
休憩
4分
合計
6時間34分
Sスタート地点10:5513:52太神山14:01太神山不動寺14:0215:03迎不動 トイレ15:0415:26鎧ダム15:2817:29ゴール地点G
コースタイムの見方:
歩行時間
到着時刻通過点の地名出発時刻
コース状況/
危険箇所等
斧研谷の滝の登る道はなし、滝を越えると右岸に踏み跡あり
今回のコースは東海自然歩道、迎え不動〜鎧堰堤以外は一般登山道はなし
全般的に地図読み、ルート・ファインディングが必要
過去天気図(気象庁) 2020年04月の天気図 [pdf]

写真

瀟洒な煉瓦造りの大戸川発電所
2020年04月14日 10:50撮影 by E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
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瀟洒な煉瓦造りの大戸川発電所
4
谷に入るとすぐに斧研の滝に
2020年04月14日 11:13撮影 by E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
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谷に入るとすぐに斧研の滝に
7
斧研の滝のすぐ上の滝
2020年04月14日 11:24撮影 by E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
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斧研の滝のすぐ上の滝
7
左手から滝を越える
2020年04月14日 11:27撮影 by E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
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左手から滝を越える
2
その上にも分岐瀑が現れる
2020年04月14日 11:30撮影 by E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
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その上にも分岐瀑が現れる
4
こちらも左手の斜面から滝を越える
さらに上にも段瀑が続く
2020年04月14日 11:33撮影 by E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
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こちらも左手の斜面から滝を越える
さらに上にも段瀑が続く
3
斧研谷の上流の出合から左俣に入ったところの滝
2020年04月14日 11:50撮影 by E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
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斧研谷の上流の出合から左俣に入ったところの滝
3
右俣に入って
2020年04月14日 11:55撮影 by E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
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右俣に入って
5
連続する小滝を右岸から高巻く
2020年04月14日 12:00撮影 by E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
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連続する小滝を右岸から高巻く
2
上流には小さな堰堤
2020年04月14日 12:11撮影 by E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
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上流には小さな堰堤
1
上流にも小瀧が連続する
2020年04月14日 12:14撮影 by E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
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上流にも小瀧が連続する
3
この小瀧の上で林道と交差する
2020年04月14日 12:19撮影 by E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
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この小瀧の上で林道と交差する
2
一転して広い谷の平流に
2020年04月14日 12:26撮影 by E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
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一転して広い谷の平流に
2
笹が繁茂する尾根道
2020年04月14日 12:46撮影 by E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
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笹が繁茂する尾根道
快適な尾根が続く
尾根の右手に見えるのはp557
2020年04月14日 12:54撮影 by E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
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快適な尾根が続く
尾根の右手に見えるのはp557
尾根の小ピークから比叡山
2020年04月14日 12:58撮影 by E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
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尾根の小ピークから比叡山
5
躑躅と新緑の尾根
2020年04月14日 13:01撮影 by E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
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躑躅と新緑の尾根
2
中断の岩が突き出した奇岩
天狗岩というらしい
2020年04月14日 13:16撮影 by E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
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中断の岩が突き出した奇岩
天狗岩というらしい
4
突然、掘割の古道に
2020年04月14日 13:18撮影 by E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
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突然、掘割の古道に
1
太神山北尾根の東の谷へ
2020年04月14日 13:35撮影 by E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
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太神山北尾根の東の谷へ
巨岩の下を登って
2020年04月14日 13:40撮影 by E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
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巨岩の下を登って
太神山山頂の奥の院
2020年04月14日 13:53撮影 by E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
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太神山山頂の奥の院
3
太神山
山名標の一つが外れかけていたので家内が修復
2020年04月14日 13:55撮影 by E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
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太神山
山名標の一つが外れかけていたので家内が修復
3
奥之院を後に
2020年04月14日 13:56撮影 by E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
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奥之院を後に
2
下から見上げて
2020年04月14日 14:01撮影 by E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
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下から見上げて
2
境内にてランチ休憩
2020年04月14日 14:06撮影 by E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
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境内にてランチ休憩
1
頭上の八重桜は咲き始め
2020年04月14日 14:20撮影 by E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
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頭上の八重桜は咲き始め
2
不可思議な微笑みを浮かべる矜羯羅童子
2020年04月14日 14:27撮影 by E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
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不可思議な微笑みを浮かべる矜羯羅童子
3
女性的な柔和な表情の制多迦童子
2020年04月14日 14:28撮影 by E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
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女性的な柔和な表情の制多迦童子
3
三葉躑躅のトンネル
2020年04月14日 14:35撮影 by E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
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三葉躑躅のトンネル
3
光を浴びる三葉躑躅
2020年04月14日 14:35撮影 by E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
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光を浴びる三葉躑躅
2
登山口への尾根から天神川の谷の向こうには岩間山
2020年04月14日 14:50撮影 by E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
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登山口への尾根から天神川の谷の向こうには岩間山
1
迎不動堰堤(新オランダ堰堤)
2020年04月14日 15:07撮影 by E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
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迎不動堰堤(新オランダ堰堤)
4
堰堤を横から
2020年04月14日 15:08撮影 by E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
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堰堤を横から
1
鎧堰堤(オランダ堰堤)
2020年04月14日 15:27撮影 by E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
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鎧堰堤(オランダ堰堤)
3
堰堤の上は砂礫で埋まったダム湖
2020年04月14日 15:29撮影 by E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
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堰堤の上は砂礫で埋まったダム湖
2
右岸に群生する三葉躑躅
2020年04月14日 15:32撮影 by E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
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右岸に群生する三葉躑躅
4
上流には小さい堰堤が
石積みはかなり古風であり、これもオランダ堰堤の一種だろう
2020年04月14日 15:39撮影 by E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
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上流には小さい堰堤が
石積みはかなり古風であり、これもオランダ堰堤の一種だろう
2
長閑な若女谷上流に
2020年04月14日 15:41撮影 by E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
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長閑な若女谷上流に
尾根上には三葉躑躅のトンネル
2020年04月14日 15:49撮影 by E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
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尾根上には三葉躑躅のトンネル
2
吉祥寺川を渡渉
2020年04月14日 16:02撮影 by E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
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吉祥寺川を渡渉
1
再び斧研谷の源頭に下ると古い石積みが
2020年04月14日 16:36撮影 by E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
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再び斧研谷の源頭に下ると古い石積みが
1
緩やかな平流に沿って
2020年04月14日 16:41撮影 by E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
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緩やかな平流に沿って
夕陽を浴びるオオカメノキ
2020年04月14日 16:47撮影 by E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
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夕陽を浴びるオオカメノキ
3
登りで右岸を高巻いた小瀧を左岸より
2020年04月14日 16:58撮影 by E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
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登りで右岸を高巻いた小瀧を左岸より
2
この小瀧も左岸を下降
2020年04月14日 17:00撮影 by E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
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この小瀧も左岸を下降
1
再びオオカメノキ
2020年04月14日 17:02撮影 by E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
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再びオオカメノキ
2
再び夕陽を浴びる大戸川発電所に
2020年04月14日 17:34撮影 by E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
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再び夕陽を浴びる大戸川発電所に
4

感想/記録

この日の早朝は久しぶりにご来光を目指して比良のホッケ山を目指したのだが、山頂はなんと季節外れの吹雪に見舞われる。小女郎ヶ池では雲の合間から時折、零れ落ちる光の筋を探し求めるものの、凍えそうになりながら逃げ帰るようにアゼチ谷左岸尾根を下るのだった。京都市内に戻るとすっかり青空が広がっている。折角の休みの日、このままでは勿体ないような気がして、この日、二度目の山行計画を考える。

新緑が始まった季節である。日本コバも候補に考えたが、この日はなるべく標高の低い山を選ぶ。思案の挙句、思いついたのは斧研谷(よきとぎだに)の遡行である。まず斧研谷といっても一般的な登山の対象ではなく、ほとんど知られていないところだろう。この谷を知ったのもHB1214さんが谷の名称の由来となった斧研の滝を紹介されておられたからに他ならない。折しも前日にはかなりの雨が降ったようだ。水量が増した滝を愛でるには格好の条件だろう。

谷の場所を調べると、この谷を上流に遡行する破線の道が1/25,000には記されている。破線に沿って谷を上流に辿ると小さく平坦なピークが寄り集まって複雑な地形をなしている。南側からこのあたりを走る林道には六個山林道という名称があるようなので、どこかに六個山という山があるようだが、調べてもどこが六個山の山頂かはわからない。その名称からすると、これらの小ピークが集簇する一帯をそのように呼称するのかもしれない。

さらに地図を下に辿ると太神山に行き着く。太神山は湖南アルプスの登山口からしか登ったことはなかったが、この複雑な山襞の中を歩いて北側からアプローチするというのも面白そうだ。帰りのルートは後で考えるとして、まずは斧研谷から太神山を目指すこととする。

登山口のある大戸川(だいどがわ)の発電所を目指す。大戸川沿いの信楽へ向かう県道は二車線の新しい道が出来ており、トンネルを越えるとすぐに大戸川沿いの道となる。対岸となる左岸の斜面は物々しく多くの工事車両が集まり高速道路を建設している。第二名神の延伸工事だろう。

大戸川に沿って上流へと進み、川にかかる小さな斧研橋を渡ると岡鹿之助の絵画に出てきそうな雰囲気の瀟洒な煉瓦造りの発電所が現れた。この発電所は明治44年に建設された滋賀県最古の発電所であるらしく、この煉瓦造りの建物は操業開始当時そのままらしい。発電所はフェンスの外から眺めるばかりではあるが、建物の周りには桜の樹々で囲まれており、八重桜はこれから見頃を迎えるようだ。

斧研谷に入渓する道は発電所のすぐ右手の広地から奥に入って行く。小さな橋を渡って、林の中に入ると途端に照葉樹の多い鬱蒼とした森の世界に飛び込む。沢沿いの左岸を辿るとすぐにも谷は急峻となり、上流から滝音が聞こえてくる。見上げると大きな岩の上から迸る滝が目に入る。

滝に近づくと縦に二つに割れた岩の間を流れ落ちる。滝が流れる縦裂は巨大な斧を研ぐことが出来そうだからこの名がつけられたのだろう。小さな滝壺の木漏れ陽がさし、碧色の水の美しさを教えてくれる。

滝からは右手の斜面に向かう道がついているようだが、この道は明らかに谷から離れていく。滝の下で右岸に渡渉すると滝のすぐ左手の斜面の薄い踏み跡を辿って滝の上に出ると、滝の上流にはすぐにも扇状に広がる分岐瀑が現れる。こちらの滝の方が高さがあり、大きな滝に見える。滝と交錯する木洩れ陽が滝を明るく輝かせる。

さらに滝の左手の斜面を登るともう一つ、滑滝が現れる。滝の上には岩に刻まれた深い陥凹を流れ落ちる段瀑が続いているようだ。再び左手の斜面を登ると明瞭な道が現れる。谷の段瀑を見下ろしながら右岸をトラバースして進むと沢は平流となり、広々とした谷になる。対岸に渡渉すると右手から林道が現れる。

植林地の中を林道を進むと、やがて谷は二股に分かれる。太神山の方に進むには右俣を進むことになるが、左俣の方から滝音が聞こえるので谷を覗いてみると堰堤があるように見える。果たしてこんなところに堰堤を作ったのだろうかと思って近づくと、それはあたかも堰堤のように石が積み重なった小滝があるのだった。

右俣の林道はすぐにも行き止まりとなり、南西に伸びる沢に沿って薄い踏み跡を辿る。谷は再び狭隘なV字谷となり渓流瀑が連続している。右岸の斜面にかすかな踏み跡があるように思われ、滝を高巻いたところで対岸に渡ると、どこから来たのだろうか、明瞭な道が現れる。だが道はすぐにも谷の左岸を沢から離れていくようであり、道を離れてさらに沢沿いに進む。

小滝を越えたところで先ほどのものと思われる明瞭な道が再び現れた。道はやがて真新しい林道に出る。地図には載っていない林道のようだ。林道を越えると沢は左右に分岐するが、左の谷に入る。細い平流の沢の周囲には丈の低い笹が繁茂し、その中を薄い踏み跡が続いている。やがて谷奥で水が切れると小さな尾根を辿って東西に走る尾根に出る。

尾根上には驚いたことに明瞭な登山道が現れる。どうやら東海自然歩道として整備された道であった。笹が繁茂するなだらかな尾根は新緑とコバノミツバツツジが鮮やかだ。ほとんどアップダウンのない尾根道を快調に進む。

やがて尾根の右手にp557が近づいて来ると道はピークの東麓に回り込んで、尾根からの下降点にいくつかの巨岩が積み重ねられ、一枚が大きく鼻のように突き出した奇岩が現われる。後から知ったのだが、天狗岩と呼ばれるものらしい。なるほど、横に突き出した岩を天狗の鼻に見立ててそのように呼んだのだろう。

谷に向かって下降してゆくと深い掘割の古道となる。なぜここにこのような古道が現れるのか、歩いていた時には疑問に思うばかりであったが、どうやらこのあたり一帯はかつては水晶などの鉱物がよく採れたところであったらしい。

太神山の不動寺へと至る広々とした林道は非舗装ではあるものの、流石にこういう道を歩くのは面白くない。林道を少し東に進み、太神山の北尾根の東側の谷から山頂にアプローチすることにする。林道の先から伸びる薄い踏み跡を追って谷に入る。国土地理院の地図では破線は右岸の尾根に登っていくことになっているが、道は明らかではなく、薄い踏み跡は谷沿いに続いている。

谷を源頭まで遡り、尾根に出ると尾根上にも踏み跡がある。山頂が近づくと尾根には巨岩、奇岩が次々と現れる。岩を巻きながら尾根を辿ると巨岩の上に見憶えのある奥之院が目に入る。

不動寺本堂は家内は初めて目にするのだが、急峻な斜面に作られた懸崖造りの建物は下から見上げると迫力がある。本堂から下に降りると大杉のある広場に出る。ここも趣きのあるパワースポットだ。境内でようやく遅いランチをとりながら帰路を思案する。いくつかの方法が考えられ、最も安易なのは不動寺から林道を戻り、六個山林道を辿る方法だが、林道をひたすら歩くというのは趣味ではない。この太神山の二尊門の石仏を家内に見せたかったのので、まずは西に向かう。

二尊門の二対の石仏は男神、女神と思っていたのだが、不動明王の脇侍である矜羯羅(こんがら)童子、制多迦(せいたか)童子らしい。山門に向かって左側の矜羯羅童子はなんとも不思議な微笑みを浮かべており、その表情の神秘性は思わずモナリザを連想する。右側の制娉狷源劼呂修僚析造壁従陲らすっかり女神と誤認するのも無理はない。

泣き不動を通り過ぎて、ひとまず太神山の登山口のある富川道林道まで下る。この林道は天神川林道となり、この林道を辿って斧研谷に向かうという方法も考えられたが、鎧堰堤を通って、若女谷を遡行することにする。本来の東海自然歩道は三筋の滝から太神山を越えてこの富川道林道を通り湖南アルプスの登山口に至るコースを通る。先に辿ったルートは東海自然歩道の支線として整備されたもののようだ。

オランダ人技師、ヨハネス・デ・レーケが設計したという小さな鎧堰堤を過ぎるとかつては広がっていたダム湖は今やすっかり花崗岩の砂礫に埋もれており、独特の広大な景色が広がっている。小さな堰堤が遮ることになった砂礫は想像を絶する膨大な量に思われる。花崗岩の上を流れる水は常に水はけの良い砂礫に濾過されながら流れるせいだろうか、非常に清明に見える。広い砂礫の河原を歩くうちに徐々に幅は狭くなる。流れを辿って上流に向かうと細い踏み跡が続いている。

やがて踏み跡は川を離れて右岸の尾根へと登ってゆく。尾根上のピークp352を登ると踏み跡は東に伸びる尾根に向かっている。どこかで北側の谷を越えなければならないのだが、ひとまず踏み跡を辿ってみることにしよう。満開の三葉躑躅と新緑で囲まれた尾根を東に向かう。

尾根の東端のピークからは吉祥寺川の上流となる北側の谷に向かって降りる。やがて尾根上にはかろうじて薄い踏み跡が続いているが、斜面を羊歯が覆うと踏み跡を辿るのは容易ではない。羊歯藪の中の踏み跡をなんとか辿って谷の出合に降り立つと吉祥寺川は渡渉するためのトラロープが渡してある。ロープがなくても渡れたかもしれないが、雨の翌日で水量も多いので、このロープは有難かった。対岸に渡るがやはり踏み跡は不明瞭だ。そのまま対岸の斜面を登って尾根を目指すことにする。

尾根の上に上がると地図上は破線が記されてはいるものの道は不明瞭なままである。しかし、自然林の中は時折の倒木はあるものの下生えは多くなく、歩きやすい尾根が続く。山行の前半で辿った東海自然歩道の続きにようやく出ることが出来たのはp415から南西に続く尾根であった。

ここからは東に伸びる谷を辿って斧研谷の上流を目指す。地図を見る限りなだらかな谷が続いており、前半に辿った斧研谷の源流部と同様の地形であることが予想される。谷に降りるとすぐにも薄い踏み跡が現れ、簡易な堰堤が目に入る。再び丈の低い熊笹が繁茂するなだらかな谷を通り、林道に出る。

斧研谷に沿ってどここからともなく現れた明瞭な道に辿れば谷を楽に下ることが出来るだろうと期待していたが、現実はそうは甘くはなかった。右岸を高巻いて越えた小瀧が連続する箇所に来ると左岸の道は徐々に不明瞭になる。かすかな踏み跡は左岸をトラバースしながら下降していくようだ。午前中は下から見上げた時に単にこの踏み跡が目に入らなかっただけなのだ。しかし、テープ類も目印も一切なく、下から見上げてこの左岸に道があるとは簡単には判断できないだろう。

無事、滝を通過するとすぐに林道に出て、右俣との出合に至る。林道を離れて斧研の滝に向かう。滝の最上部の段瀑を見下ろしながら右岸をトラバースするが、午前中に見た木洩れ陽の輝きのない滝は華やかさがなくなってしまったように思われた。最後は滝を迂回する右岸のなだらかな道に入る。道は倒木が多く、午前中はこの道の入り口が目に入らなかったのだが、道を辿るうちにその理由がわかった。滝から道の入る箇所はは斜面が削れて崩壊しているからだ。踏み跡のない急斜面を下降して滝の下に出る。

発電所に戻るとその煉瓦造りの建物は夕陽を浴びて黄金色に輝いている。空には雲ひとつない快晴が広がり、鬱蒼とした林から夕方の光の中に飛び出すと別次元から戻ってきたような気になる。歩行時間を確認するとおよそ六時間程であるが、幾つもの谷を渡り歩いたせいか、非常に長く感じられた。登山道のない尾根や谷を繋いで自在にコースを考える楽しさを味わう山行だった。魅力的な滝を教えて下さり、山行のきっかけを作って頂いたHB1214さんに感謝である。

※ 参考 HB1214さんの滝の日記
https://www.yamareco.com/modules/diary/306675-detail-206231#comment2319667
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登録日: 2017/2/18
投稿数: 285
2020/4/17 23:52
 いい谷ですね
わたしが訪れたのは20年も前のこと、ほとんど右岸に明瞭な踏み跡がありましたが、かなり状況は変わっているようですね。
滝はどれも見事に写されていますね。水量もあって生き生きとした滝を拝ませてもらいました。
2つ目の滝の上にもさらに大きな滝があったとは吃驚、どうして気づかなかったのだろうか。さらに上流も面白そうなので、これまた行かなくては。
yamanekoさんのレコを拝見すると、どんどん行きたいところが増えてきます!
登録日: 2017/10/26
投稿数: 653
2020/4/18 8:33
 Re: いい谷ですね
2つ目の滝を左手から登って次の滝の前に立った時には大きな滝のような印象だったのですが、やはり二つ目の滝の方が落差は大きく、分岐瀑というより滑滝と表現した方が良かったかと思ったので、本文を訂正しております。
そのすぐ上にも段瀑が続くので懸垂下降の装備を携えて行かれたらその滝の前に降り立つことも可能かと思います。いずれにせよ斧研の滝はいくつかの連瀑と捉えることが可能でしょうね。
滝を越える道、そして上流の谷沿いの道はかつては整備されていたのでしょうが、辿る人もなくかなり荒廃している感じがしました。
私も行きたいところが増えるのはHB1214さんの日記のおかげですよ
登録日: 2016/1/25
投稿数: 313
2020/4/19 21:59
 面白い
yamanekoさん、こんばんは。

これはかなり面白いコース取りですね!
流石です。湖南アルプス自体独特な雰囲気と景観があるので好きなのですが、行きで使われた滝のあるかなりマイナーそうな沢や、帰りの鎧堰堤の上流部もお写真を拝見すると興味が湧いてきますね。

今度水晶を探しながら歩いてみたいです(^^)
登録日: 2017/10/26
投稿数: 653
2020/4/20 7:41
 Re: 面白い
wildyukkyさん コメントありがとうございます。
この大戸川発電所は石山駅からミホミュージアム行きの帝産湖南交通のバスでアプローチすることが出来ます。しかし、今はミホミュージアムもコロナ禍で閉館しているでしょうから、もしも行かれるようでしたら、運行を確認してみてください。
水晶は取り尽くされて、今は簡単には見つからないと話ですが。

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