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Yamareco

記録ID: 236061
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ハイキング
甲斐駒・北岳

甲斐駒−黒戸尾根−日帰りピストン

2010年09月11日(土) [日帰り]
 - 拍手
GPS
10:45
距離
16.5km
登り
2,435m
下り
2,440m

コースタイム

尾白川渓谷駐車場0455発−笹ノ平分岐0604着−刃渡り0705着−五合目0757着−七丈小屋0842着−甲斐駒山頂1045着

甲斐駒山頂1110発−七丈小屋1214着−五合目1250着−刃渡り1337着−笹ノ平分岐1430着−尾白川渓谷駐車場1540着

上り5時間50分+下り4時間30分=合計10時間45分
天候 快晴
過去天気図(気象庁) 2010年09月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車
尾白川渓谷駐車場(無料)
JR中央本線・日野春からタクシー
予約できる山小屋
七丈小屋
撮影機器:

感想

尾白川渓谷駐車場2100頃着

国道20号線を北に向かう.交通量は少ない.
「道の駅はくしゅう」の手前の信号を左折して道路の案内に従って尾白川渓谷に向かう.
2100頃,無料駐車場に到着.10台くらいの車が止まっている.

月無夜

車を適当に止めると後席を畳んだ荷台に寝袋を広げ,明日の荷物の準備をする.
駐車場隅には,照明がついたきれいな水洗トイレがあり,紙まで備え付けられている.
設置者の心遣いが伝わるのか,使う側もきれいに使っている.
空を見上げると星がきれいに見えた.久しぶりに見た星空だった.
新月から数日で,月は太陽とともに沈んでしまったようだ.
神社まで懐中電灯で行けるか試してみた.
単四電池3本のLED懐中電灯.目覚まし時計の電池が液漏れして乾電池メーカーの
お客様相談室に相談したら,おまけでくれた代物.
70時間連続点灯と超寿命らしいが,幽霊でも出そうな寂しい明るさ.
平坦な道ならいいが,上り始めた登山道では使えそうにない.
できれば,3時出発で5時の日の出頃に刃渡りに行ければと考えていたが断念.
懐中電灯を消すと何も見えない….数分歩いて駐車場に戻る.
荷台で寝袋に足を入れ,携帯電話のアラームを0330にセットして
「秋味」1本飲んで寝る.2200前.

出発0455

初め暑くて寝付けなかったが,夜が更けるにつけて涼しくなり,いつの間にか熟睡.
アラームに起こされると0330.
周りを見ると,すでに活動を始めている人たちもいる.
半分ウトウトしたままで,0400過ぎに行動開始.
昨日,仕入れたミックスフライ弁当と野菜ジュースが朝食.
0430を過ぎると出発する組が何組もあり,ふと空を見ると星の数が大きく減っている.
東の空を見ると,ホンのわずか明るくなっている.
“出発だ!出遅れてはいけない”
トイレも済ませて,予定通り0455に歩き始める.
歩き始めてすぐに男2人連れが立ち止まっている.
黒戸は初めてらしく,早速分岐で迷っていた.簡単に道を教えて,神社に参拝.
つり橋まで3人で歩いて話をする.
今日,仙水小屋泊まりで,明日,千丈といっていた.昼頃,七丈小屋目標とのこと.
つり橋を渡って別れ,先を進んだ.

笹ノ平分岐まで

空が白み始めているため,心細いLED懐中電灯でもなんとか歩いて行けた.
小さく軽いので苦にはならないが,霧の中では役に立たないだろう.
つり橋の後,2組延べ4人に追いつき,追い越した.あいさつのみ.
マイペースで上っているうちに,すっかり明るくなった.
邪魔になった懐中電灯をザックにしまおうかと思ったが,笹ノ平分岐まで無休憩で
行くことにしてもくもくと歩くと,あっさりと到着0604.
軽く足をマッサージし,チョコレートをほおばり,お茶を飲む.
5分ほど休んで出発.これから「八丁登り」.

刃渡り

急な登りが続くが,丹沢大倉尾根の階段に比べれば,斜面は歩きやすい.
ただ,台風の雨後のため,滑ったり,やわらかかったり,ちょっと歩きにくい.
広葉樹林の中を黙々と歩くとちょっとした岩があり,それを超えると
目の前に尖った岩が天を向いていて,その先の空は真っ青だった.
刃渡り到着0705.
八ヶ岳が雲の上に浮かんでいる.ただただ青空!!
写真を撮ったり,のんびりと休憩しながら刃渡りを通過.
特に怖いことはない.とりあえず,標高的には半分稼いだことになる.

刀利天狗

刃渡りを過ぎて少し行くと初めてハシゴが登場した.
これを上りきったところが刀利天狗0726.社が2つと石碑がいくつか.
ここで,ランナーに追いつかれる.
聞くと,上りは5時間だか5時間半といっていた.
あっさり消えてしまった.

五合目まで

黒戸山を巻いて道があり,比較的起伏は少ない針葉樹林.
急な坂を下りて視界が開けたところが,かつての五合目小屋の跡0757.
意外と早く,刀利天狗から30分で着いた.
小屋の廃墟はすっかりきれいに片付けられていた.
カロリーメイトを口に入れ,お茶を飲んで座っていると,下山者2人とすれ違う.
見上げると,山頂らしきものが見える.まだまだ高い….

七丈小屋まで

ハシゴ・クサリがいくつも続く.
ハシゴを上りきったところに更にハシゴがあると,さすがに足が止まる.
下ってくる人と遇うと喜んでハシゴを譲ってしまう.
それでも黙々と上って行くと,ひょっこりと七丈小屋が出現0842.
鳳凰とその肩に富士山がきれいに見えた.
すっかり,きれいになっている.宿泊客は誰もいないようだ.
日の出見に,とっくに上ったのだろう.これだけ晴天だから,当然だ.
小屋の手前ですれ違った熟年男女に聞くと,多くの上りとすれ違ったと.
この男女の脚力がわからないが,小屋泊まり組か?竹宇出発組か?
地図のコースタイムが残り2時間30分.まだ,上り5時間可能性あり.

道に迷う…道がわからなかった

第一小屋を過ぎ,第二小屋の手前を右に折れ,しばらく上るとキャンプ指定地.
ここで道がわからなくなってしまった.
道は,キャンプ場に着いてなくなっているように思えた.
テントは1張もなく,聞く相手もいない.
キャンプ場の平坦地をぐるぐるしても道らしきところは不明.
途中,見落としたかと何度か下りたり,上ったりしたがわからない.
記憶では,確かキャンプ場を見ながら上ったように覚えている.
キャンプ場に腰を下ろして誰か通りかかるのを待っていても来ない.
もう一度,思い直してキャンプ場の奥の崖に近づくと,「ここ?」.
足跡が!
上っていくと確かに道だった0900.
すぐに,もう一箇所のキャンプ場もあり,結局20分近いロス.
1000山頂到着は,ほとんど絶望的に….

森林限界〜八合目

岩場をクサリで何度もよじ登っているうちに気がつけば,いつの間にか木がない.
森林限界を超え,北の展望が開けてきた.
ダケカンバの足元にハイマツ!おお高山!これこそ高山!!
遠くに北アルプスもばっちり見える.
青空で風もない!!ありがとう!
と,浮かれた気分で上っていると八合目御来迎場に到着0934.
2本立っている丸い石は,鳥居が倒壊した残骸.
しかし,そこいらじゅう白っぽい石と真っ青な青空.まるでギリシアの神殿跡のよう.
写真を撮って,足を解して,茶飲んで出発.

最後が苦しかった

最終チェックポイントを過ぎてから,苦しくなった.
上っているところは,景色もよく最高なのだが,等高線も詰まっている….
ここまでハイペースだったのかもしれない.
クサリがあったりなかったり,岩場の連続.
途中,北側を見ると,山頂のアンテナが2つ.入笠山だ.
入笠から甲斐駒を見つけるのは,何の苦もないが,甲斐駒から入笠を捜すのは大変.
それでも,アンテナ2つが目印になるからわかりやすい方.
つまり,下から上はよく見えるけど,
上に立つと下の細かいことはわかりにくいということ.
この入笠山の写真を撮った頃,刀利天狗で抜かれたランナーとすれ違う.
「あと,もう少し」
ありがとうございます.

甲斐駒ケ岳登頂

東峰到着1037.
急に人が増えた.北沢峠からの道と合流して5,6人が東峰にある
横手駒ケ岳神社の本社を参拝していた.
北岳,間ノ岳,仙丈ケ岳もばっちり見える.
東峰のすぐ先に北沢峠からの道との分岐点があり,上る人,下りる人で賑わっていた.
さあ,あと一息で甲斐駒山頂.
下山者に道を譲ったら,なかなか番が回ってこなかった.
仕方なく,少し外れたところの岩場をよじ登って頂上に着く1045.
とりあえず,目標ひとつ達成!

山頂には,50人以上の人がうごめいていた.
時刻を考えると,仙水小屋や北沢峠の小屋泊まりの人でなく,
朝一番のマイクロバスでの登山者と思われる.
摩利支天の方向を見ると,まだまだ隊列を組んで登ってくる.さすが百名山!
お茶を飲んだ後,楽しみの羊かんを食う.うまい.
昨日,仕入れたソーセージパンの昼食を撮り,適当に周囲の写真を撮っているうちに
1100を過ぎた.
摩利支天まで行こうかとも思ったが,喧騒が嫌で早く静かな黒戸に戻りたくなった.
下山開始1110.

(ここまでは2010年の登山直後に書いたもの.以下は今回,2012年10月書き下ろし)

七丈小屋1200到着を目標にしたが,やはり疲れが出たのか1214となってしまった.
記憶が不正確となってしまったが,第二小屋と第一小屋の間だったと思うが,
同年輩のおっさんと一緒になった.
やはり甲斐駒ピストンの帰路とのことだが,ローカットの靴に小さいザック,
一眼レフを肩に掛けて,杖1本ときのこを入れたポリエチ袋を持っている.
気楽なきのこ取りにしか見えないのだが,このおっさん軽やかなステップで速い速い.
おっさんがきのこを見つけて止まっているところに追いついて,またおっさんが
先に進み,必死に追いすがる.

五合目小屋跡でおっさんは,元の水場を捜していた.
こっちは,水飲んでチョコ食べて超小休止.
黒戸山の山腹にあった五合目小屋の案内切り株を教えてくれたのもおっさん.
このおっさん,たいていのハシゴをハシゴを背にして下りていった.
確か一箇所だけ「これはハシゴつかまないと駄目だなww」といって,
向き直して下りていた.タダもんじゃねえな,このおっさん.

刃渡りを無事過ぎるとちょっと安心した.もうハシゴもクサリもない.ふう・・・.
この八丁登りの下りの途中でおっさんに完全に置いて行かれる・・・.
人通りが少ないので,怪我でもすれば命にかかわる.
おっさんに追いつくのはあきらめて慎重に下ろうと気持ちを切り替える.

笹ノ平分岐に到着したのは1430.登りと同タイムになってきた.
おっさん待っててくれるかと思ったが誰もいない.道標があるのみ.道標ある旅.
疲労がたまった足をマッサージしてちょっと休憩.
「竹宇登山口1時間30分」とある.あと一息だ.

笹ノ平から下り出してから,しばらく行くとおっさんが休憩していた.
再びふたり旅に.
「あなたもだけど,日帰りで黒戸ピストンした自分をほめてやりたい」
なんて言ってたww.
互いに山の経験談なんかを話したり.
確か山小屋のトイレの助成金が“仕分け”の槍玉になっていた頃だったと,
「そこいらじゅうに登山記念碑が建っている王子様がひとこと
『山小屋のトイレはきれいな方がイイですよね』って言ってくれればいいのに」
と私がいったら,
「いやあ,政治的な発言はダメだよ」とおっさん.後で名刺もらってなるほど.
子ども連れて,毎年,西黒登ってるって言ったら,「ぜひ白根三山縦走を」と勧められた.
時々,小走りで追いかけるものの,再び置いていかれてしまった.

尾白川のつり橋を渡るとようやく帰ってきた気持ちがした.
駒ケ岳神社に奮発して百円を奉納して無事のお礼をした.
駐車場に戻ったのは1540.出発して10時間45分.
おっさんは帰り支度を済ませて,私を待ってくれていた.
名刺をもらって,南アルプス市の市議会議員と知る.
つい,私も名刺を渡してしまうww.
おっさんに出会ったのが12時過ぎだから,3時間半くらいのお付き合い.


黒戸日帰りピストンのきっかけ
NHKのたぶん「小さな旅」だったと思うが,黒戸尾根を紹介しているのを見た.
その中で,ランナーが2時間だか,2時間半で登っていた.
「なら俺様の脚力をもってすれば,5時間もあれば登れんだろう」と思った.
山と高原地図で竹宇神社から9時間30分.5時間は常識的な範囲である.
目標タイムを上り5時間,下り4時間,合計(休憩含めて)9時間30分とし,
各区間の目標も細かく設定した.
が,上り5時間50分,下り4時間30分,合計10時間45分・・・.残念.

ヤマレコのきっかけ
おっさんに「よかったらサイトを見て」と名刺をもらい,
帰宅したら見てみるかと思ってはいたが,そのまんまほったらかしていた.
先日(2012/9),机を整理していたら名刺が出てきて思い出したように検索したら・・・.
富士山で死んでた!それも黒戸のたった3ヶ月後に・・・.
で,痕跡をみると,結構とんでもない人だったらしい.
ヤマレコは参考に見ることはあったが,これまで書いたことはなかった.
が,黒戸の思い出が追悼になればと.

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利用交通機関: 車・バイク
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5/5

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