快晴!鳳凰三山
- GPS
- 31:58
- 距離
- 22.2km
- 登り
- 2,619m
- 下り
- 2,603m
コースタイム
6:50青木鉱泉-10:20南精進ヶ滝-12:35白糸ノ滝-13:26五色ノ滝-14:30鳳凰小屋
11/4
4:20鳳凰小屋-5:50地蔵岳6:35-9:20観音岳9:47-10:17薬師岳10:25-中道ルート-14:40青木鉱泉
天候 | 二日とも晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2012年11月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
これから雪が積もると思われるが、今回はまだ雪がなくアイゼンは不要だった。 |
写真
感想
■たぬきの林道
「たぬきだっ!」
毛むくじゃらのちいさな影が林道を走る私の車の前を通り過ぎた。中央道を韮崎で降り、コンビニで買い物をすませてからむーは助手席で爆睡していたが、たぬき発見の報告で飛び起きて、それからは前方を凝視して進んでいった。
「鹿だっ!」
夜に林道を走っていて、よく見かけるのは鹿だ。先ほど見たたぬきの影と比べるとかなり大きい。ヘッドライトに目を光らせて、飛び跳ねるように逃げていった。
「たぬき!たぬき!」
2度目の小さな影は後姿だけ見せて視界から消えた。鳳凰三山を登るために青木鉱泉に向かう林道の真夜中0時過ぎ、車の中はタヌキフィーバーでテンションマックス状態となった。3度目に現れた小さな影は車の前方をゆっくり歩いていく。毛むくじゃらで上下に揺れながら歩く影。なぜか恐れずにゆっくり歩くそれに追いつき、窓を開けて見たそいつの顔は…。あれ、なんか違う…
ハクビシンでした。
東京の自宅近くでも見かけたことがある顔。たぬきよりもだいぶ細身の顔は、か、かわいい?かわいいのだけど、たぬき遭遇への期待が大きかったせいか、残念な感じが。ごめんよハクビシン君。でも君は自宅の近所でも見たことがあるのだよ。
■青木鉱泉から登る
冠雪した白峰三山を前衛である鳳凰三山からむーに見せたいと思い計画した。青木鉱泉を起点にした周回コースを考えた。深夜1時前には駐車場につき、梅酒を飲んでから眠りに付いた。朝6時ごろに起きて、車がどんどんやって来る事に吃驚した。しかし、向かいの山を見て納得。木々は美しい紅葉に彩られていたのである。
7時ごろ青木鉱泉を出立。ドンドコ沢コースを登り始める。私たちにしては久しぶりのきついコースだ。鳳凰小屋まで標高差1,300m程を登らねばならない。きつい登りが続き、ペースが落ちがちのむーを励ましながら歩いた。時折現れる立派な滝が良い休憩場所であった。良い登山コースである。驚くほど大きな滝が目を楽しませてくれた。
きつい登りがひと段落すると木々がなく開けた場所に出た。そこで前方に現れたのがオベリスクをてっぺんに配した地蔵岳だ。ここでも喜びの歓声をあげた。しばらく進むと鳳凰小屋があり、思ったよりもたくさんのテントがすでに張られていた。私たちも一段高く、はじっこにある良い場所にテントを張った。むーは疲れてシュラフにくるまりすぐに寝入ってしまった。私は青空の下、楽しみに買ってあったハニーマスタードのベーコン缶詰を開けて、ホットワインを飲みながら小説を開いた。夏ならこれで至福の時なのだが、山上の季節はもう冬の気温だ。2枚のフリースとダウンジャケットまで着込んだのに冷えてくる。テント受付時に買っておいたビール缶も開ける気にならず。肉焼いてもっと飲めば温まるか?とむーを起こして夕食を開始。ワインを飲んでも冷え込む一方で、お腹が満たされると早々にシュラフの中に退避したのであった。
■鳳凰小屋でテント泊
朝食にホットケーキが焼けたら良いなとずっと考えている。何度か挑戦したのだが、思い切り焦げたり、食べ物には見えないようなものが出来上がったりしてきた。今回は卵と常温保存可能な牛乳パックと、新たに買ったアウトドア用のフライ返しを準備したきた…はずだった。私の希望は焦げ付き防止のフライパンと新規購入したフライ返しだったのだが、出発前日にフライ返しを洗って、乾かしたままザックに入れてきていなかった。この粉と卵と牛乳をどうしてくれるのだ!フライ返しがないが、やるか…。いや、いくら焦げ付き防止のフライパンだとしても、フライ返しがないとうまくひっくり返す自身はない。無謀な挑戦で何度ホットケーキに苦渋を飲まされたことか。
私はこの朝、ホットケーキから撤退し安全な、だが冷たい菓子パンを食べた。
■鳳凰三山縦走
さて、かなり早く寝てしまったので夜中の2時には目を覚ました。前述のホットケーキ作成は断念したのだが、テントの中でストーブで温まりながら食べた菓子パンは美味だった。
4時ごろ、ヘッデンを頭に出発。空には明るい月があり、あまり細かい星は見えなかったが、オリオン座や北斗七星などが輝いているのが見えた。オベリスクの黒い影が頭上に見えてくるころから道は砂まじりとなり、歩き辛かった。ペースは全く上がらない。もうすぐ6時になろうかという頃、やっと地蔵岳山頂直下に到着。日の出にはなんとか間に合った。お湯を沸かし暖かいコーヒーを飲み始めたときに太陽が東の空の遠い雲の上に出た。慌ててカメラを向ける。まだ雪の付いていない甲斐駒ヶ岳が朝焼けに染まった。仙丈ヶ岳は少し冠雪していた。この日も晴天であった。寒かったが景色の素晴らしさに心を奪われた。
地蔵岳を後にし、南へ向かう。アカヌケ沢の頭に登って白峰三山を視界に納めた。北岳は薄い冠雪を見せ大変雄々しい姿だ。間ノ岳は他よりも雪が多く白かった。農鳥岳の冠雪はまだこれからだろう。七月に縦走した白峰三山を右手に見ながら歩く。観音岳はの登りは少しきつくかったが快晴の空の下、すばらしい稜線歩きを満喫した。
北東に見える八ヶ岳は赤岳の存在感が大きい。前週硫黄岳に登ったときはうっすら雪が見えたのだが、ここから見る八ヶ岳はまだ茶色い岩の山塊であった。手前に見えるはずのギボシと権現がよく分からなかったが、写真を拡大してみると阿弥陀岳と赤岳の間に見えた。
観音岳から地蔵岳を振り返ると、その上に北アルプスの白い屋根がきれいに並んでいた。そのシルエットは白馬連峰に見えた。視線を甲斐駒ヶ岳まで巡るとその向こうに槍・穂高連峰がはっきり見えた。そして観音岳を登れば富士山が南に大きく現れる。鳳凰三山の稜線はなんとも贅沢な景色を眺めながら歩くことができる素晴らしい場所である。
■長い下山路
三山の最後、薬師岳まで進んで名残惜しかったが稜線を後にした。中道の下山路は標高差約1,700mを下る長い道だ。下山を完了するころにはヒザが相当厳しいことになるだろうなと覚悟して下り始めた。序盤はかなりの急坂が続く。これは慣れていない人にはきついだろう。驚いたのは小学生ぐらいの3人兄弟を連れた親子。キャアキャア笑いながらすごい勢いで追いついてきた。細っこいのにすごい子供達だ。
下りの終盤は標高も下がり、また紅葉を楽しむことが出来た。急坂を終えると青木鉱泉までの林道となり、ヒザはがくがくになりながら歩いた。後ろを見上げると鳳凰三山の頂上が見えた。とても高く見えた。あそこから下ってきたのだと思うとヒザの痛みも納得だ。
青木鉱泉は千円で日帰り入浴することができた。そんなに大きくはない浴槽であったがとても温まった。短時間だったのに温まりすぎて、のぼせてしまい、気分が悪くなるほどの効果だ。空腹だったのも良くなかったのだろう。なんだかすごい威力の温泉だなと思った。
これから南アルプスは厳しい冬の季節だ。白峰が雪に覆われたら、テントを持ってまたこの鳳凰に登ろうと思う。きっと寒くて辛いだろうけど、冬の澄んだ空気の稜線を歩いたら気持ち良いだろうな。
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