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記録ID: 2425509
全員に公開
沢登り
北陸

【越美国境】美濃俣丸〜大河内山〜ロボットピーク(日野川支流・前谷のスギ谷から)

2020年07月05日(日) [日帰り]
情報量の目安: S
都道府県 福井県 岐阜県
 - 拍手
GPS
--:--
距離
11.3km
登り
1,054m
下り
1,044m

コースタイム

日帰り
山行
11:40
休憩
0:00
合計
11:40
5:00
260
駐車地
9:20
180
12:20
70
13:30
190
16:40
駐車地
天候 曇り
過去天気図(気象庁) 2020年07月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車
前谷出合付近の林道路肩に駐車
コース状況/
危険箇所等
【スギ谷】
 日野川は広野ダムの奥で大河内川と前谷に分かれ,前谷はさらに源平谷(左俣),ヨセン谷(中俣),スギ谷(右俣)の3つの支谷に分かれる。今回遡行したのがこの前谷の右俣に当たるスギ谷で,美濃俣丸の北側のコルに直接突き上げている。
 地図上では小さな支谷にしか見えないが,美しい瀬や滝あり,大岩壁を擁する廊下あり,面白い造形のミニゴルジュありと,意外に変化に富んでおり,楽しい谷。遡行自体はそれほど難しくないが,両岸が立った泥壁で構成されているため,高巻きの際はそれなりに注意が必要。また,前谷に入ってから一番最初に出てくる5m滝は,右岸のバンドに上がりトラバースして抜けるが,バンドに上がる箇所と,落ち口に抜ける箇所が少し嫌らしい。

【美濃俣丸〜大河内山〜ロボットピーク】
 登山道のない藪区間。本格的な藪漕ぎ(背丈以上の笹+灌木のミックス藪)を強いられる区間が7割,腰丈程度の笹原で獣道を使って問題なく通過できる区間が3割。特に,美濃俣丸山頂から北側のコルへの下りと,美濃俣丸のひとつ北のピーク〜大河内山の間は藪が濃く,背丈以上の笹で視界ゼロになる区間もあり,ルートファインディングにも注意が必要。といっても,地に足がつかない系の本当の激藪は出てこないので,まだましなほうと言える。また,藪が濃い区間も薄いながら獣道が走っているため,極力それを辿るとよい。
 上記のように藪に悩まされる区間が長い一方で,ところどころで現れる腰丈程度の笹原が広がる区間や,美濃俣丸・大河内山・ロボットピークの各ピークは非常に眺めがよく,気持ちがいい。

【ロボット尾根(ロボットピーク北西尾根)】
 ロボットピーク〜1050m付近までは藪が濃いが,踏み跡(おそらく獣道)が続いており,それを外さなければそれほど苦労せずに通過できる。1050mより下部は明瞭な踏み跡があり,白いビニールテープのマーキングもあるため,問題なく通過できる。
昨夜の雨で濡れている藪を分けて日野川に降り立つ。雨の影響を心配していたが,水量はそれほど多くなく,濁りも入っていないため,一安心。写真は大河内川(左)と前谷(右)の出合。右の前谷に入る。
昨夜の雨で濡れている藪を分けて日野川に降り立つ。雨の影響を心配していたが,水量はそれほど多くなく,濁りも入っていないため,一安心。写真は大河内川(左)と前谷(右)の出合。右の前谷に入る。
前谷に入るとすぐに,写真の大迫力の堰堤に阻まれる。高度感のある泥付きバンドのトラバースで,左岸から巻いていく。
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前谷に入るとすぐに,写真の大迫力の堰堤に阻まれる。高度感のある泥付きバンドのトラバースで,左岸から巻いていく。
堰堤を越え少し進むと,両岸がきりりと立った中,美しい瀬が続くようになる。予想以上の美しい渓相に,期待が高まる。
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堰堤を越え少し進むと,両岸がきりりと立った中,美しい瀬が続くようになる。予想以上の美しい渓相に,期待が高まる。
と,沸騰したような白濁した釜を持つ迫力ある5m滝が現れる。左手のバンドに這い上がり,トラバースして滝上に抜けるが,バンドに上がるところと,トラバース後の抜け口が少し嫌らしい。(バンドに上がる箇所には,トラロープがフィックスしてある。)
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と,沸騰したような白濁した釜を持つ迫力ある5m滝が現れる。左手のバンドに這い上がり,トラバースして滝上に抜けるが,バンドに上がるところと,トラバース後の抜け口が少し嫌らしい。(バンドに上がる箇所には,トラロープがフィックスしてある。)
その後も両岸が狭まった廊下状の中を美しい早瀬が続き,楽しく遡行していく。
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その後も両岸が狭まった廊下状の中を美しい早瀬が続き,楽しく遡行していく。
ほどなくスギ谷出合。今回は美濃俣丸を目指すので,右のスギ谷に入る。
ほどなくスギ谷出合。今回は美濃俣丸を目指すので,右のスギ谷に入る。
スギ谷に入ると両岸はさらに狭まって岨立ち,暗く険悪な廊下となる。これで大きな滝でも出てこようものならアウトな地形だ。さて,何が出てくるのか。
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スギ谷に入ると両岸はさらに狭まって岨立ち,暗く険悪な廊下となる。これで大きな滝でも出てこようものならアウトな地形だ。さて,何が出てくるのか。
谷がぐぐっと右に曲がると,その奥に見事な2段7m直瀑。完全なV字谷の中に掛かっており,遠目では弱点がないように見え,ぎくりとさせられたが,近づいてみると左手から急な草付きを巻くことができた。
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谷がぐぐっと右に曲がると,その奥に見事な2段7m直瀑。完全なV字谷の中に掛かっており,遠目では弱点がないように見え,ぎくりとさせられたが,近づいてみると左手から急な草付きを巻くことができた。
右手には50m以上はありそうな大岩壁が峭立しており,壮観である。地形図からは想像できないようなスケールを持った谷だ。
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右手には50m以上はありそうな大岩壁が峭立しており,壮観である。地形図からは想像できないようなスケールを持った谷だ。
暗い谷底を滑るように流れていく早瀬の中を,右に左に足場を求めながら遡っていく。
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暗い谷底を滑るように流れていく早瀬の中を,右に左に足場を求めながら遡っていく。
庇のようにハングした巨岩の間を圧搾されて流れる水。ちょっとした奇観だ。
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庇のようにハングした巨岩の間を圧搾されて流れる水。ちょっとした奇観だ。
面白い形に岩を穿ってミニゴルジュが続く。水線沿いに進むことができ,楽しい箇所だ。
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面白い形に岩を穿ってミニゴルジュが続く。水線沿いに進むことができ,楽しい箇所だ。
ミニゴルジュを抜けると少しだけ谷が開け,流れが穏やかさを取り戻す。
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ミニゴルジュを抜けると少しだけ谷が開け,流れが穏やかさを取り戻す。
美しい小滝と瀬の連続。
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美しい小滝と瀬の連続。
途中,トチノキの巨木が鎮座していた。太い幹からいろいろな樹種の若木が生えていて,もともとの幹が見えないくらい。何だか神話の挿絵にでも出てきそうな木だ。
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途中,トチノキの巨木が鎮座していた。太い幹からいろいろな樹種の若木が生えていて,もともとの幹が見えないくらい。何だか神話の挿絵にでも出てきそうな木だ。
深い緑の中に美しく小滝が配置されており,飽きさせない。
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深い緑の中に美しく小滝が配置されており,飽きさせない。
3mほどの滝。左手からバンドをトラバースして抜ける。
3mほどの滝。左手からバンドをトラバースして抜ける。
再び谷が狭まり,ちょっとしたミニゴルジュに。
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再び谷が狭まり,ちょっとしたミニゴルジュに。
水線沿いに楽しく登っていける。
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水線沿いに楽しく登っていける。
再び谷が開け,穏やかな流れが木々の下を縫っていく。こういう景色,好きだなぁ。
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再び谷が開け,穏やかな流れが木々の下を縫っていく。こういう景色,好きだなぁ。
次第に谷が傾斜を増し,流れは階段状になっていく。稜線が近づいてきたのだ。
次第に谷が傾斜を増し,流れは階段状になっていく。稜線が近づいてきたのだ。
時折現れる小滝を越えていく。
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時折現れる小滝を越えていく。
ついに水切れの様相。最後の二俣は,コルに突き上げる左俣ではなく,山頂に直接突き上げている右俣を選択した。
ついに水切れの様相。最後の二俣は,コルに突き上げる左俣ではなく,山頂に直接突き上げている右俣を選択した。
詰めでは,この山域の沢の源頭に特有の,つるりとした小滝がいくつか現れ,乗り越えるのに少し苦労した。
詰めでは,この山域の沢の源頭に特有の,つるりとした小滝がいくつか現れ,乗り越えるのに少し苦労した。
沢形が斜面に消え,藪漕ぎに突入。ただ,それほど藪は濃くなく,藪の間に見え隠れする高みへと着々と登っていく。
沢形が斜面に消え,藪漕ぎに突入。ただ,それほど藪は濃くなく,藪の間に見え隠れする高みへと着々と登っていく。
藪から明るい空間に飛び出すと,そこが美濃俣丸の山頂であった。ひざ丈程度の笹や灌木に覆われており,天気がよければ360°の絶景が楽しめそうだが,残念ながら今日はガスが濃い。
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藪から明るい空間に飛び出すと,そこが美濃俣丸の山頂であった。ひざ丈程度の笹や灌木に覆われており,天気がよければ360°の絶景が楽しめそうだが,残念ながら今日はガスが濃い。
唯一,福井側だけガスが晴れており,福井の山々を望むことができた。
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唯一,福井側だけガスが晴れており,福井の山々を望むことができた。
美濃俣丸から南へと三周ヶ岳方面に続く稜線もちらりと見えた。濃密な樹木に覆われており,いかにも藪が濃そうだ。
美濃俣丸から南へと三周ヶ岳方面に続く稜線もちらりと見えた。濃密な樹木に覆われており,いかにも藪が濃そうだ。
広野ダムも小さく望むことができた。
広野ダムも小さく望むことができた。
美濃俣丸の三角点。三等であることをしかと見届けた。
美濃俣丸は積雪期に登ったことがあるのだが、三角点を見るのはこれがはじめてだ。
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美濃俣丸の三角点。三等であることをしかと見届けた。
美濃俣丸は積雪期に登ったことがあるのだが、三角点を見るのはこれがはじめてだ。
プレートの類は見当たらなかったが,唯一,文字の消えかけたこの標識?だけ落ちていた。
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プレートの類は見当たらなかったが,唯一,文字の消えかけたこの標識?だけ落ちていた。
さて,美濃俣丸から北のコルに下降していく。背丈くらいの濃密な笹と灌木の藪。下りだからまだいいが,これが登りだったらかなり苦労しそうだ。
さて,美濃俣丸から北のコルに下降していく。背丈くらいの濃密な笹と灌木の藪。下りだからまだいいが,これが登りだったらかなり苦労しそうだ。
ガスに見え隠れする北側のピークを目掛けて下降していく。もし完全にガスっていたら,慎重にルートファインディングしないと,尾根を外してしまいそうだ。
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ガスに見え隠れする北側のピークを目掛けて下降していく。もし完全にガスっていたら,慎重にルートファインディングしないと,尾根を外してしまいそうだ。
コルまで降り,胸丈の笹薮を漕いで北側のピークに登り返していく。
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コルまで降り,胸丈の笹薮を漕いで北側のピークに登り返していく。
この箇所は比較的明瞭な獣道が走っており,楽に登っていくことができる。
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この箇所は比較的明瞭な獣道が走っており,楽に登っていくことができる。
おや,青空がのぞいている。午後から天気が悪くなると聞いていたのだが…。何はともあれ,ありがたいことだ。
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おや,青空がのぞいている。午後から天気が悪くなると聞いていたのだが…。何はともあれ,ありがたいことだ。
美濃俣丸を振り返る。やはり形の良い山だ。
美濃俣丸を振り返る。やはり形の良い山だ。
行く手の稜線もガスが晴れ,これから向かう大河内山(右)とロボットピーク(左)が望めた。
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行く手の稜線もガスが晴れ,これから向かう大河内山(右)とロボットピーク(左)が望めた。
大河内山へと向かう稜線のアップ。中間あたりは笹原が消え,完全に濃密な樹林に覆われている。激しい灌木漕ぎになりそうだ。
大河内山へと向かう稜線のアップ。中間あたりは笹原が消え,完全に濃密な樹林に覆われている。激しい灌木漕ぎになりそうだ。
稜線を北東方面へと進んでいくが,この区間は終始背丈を越える濃密な笹薮が続き,歩を進めるのに一苦労。視界がほぼゼロなため,頻繁にコンパスを確認し,進行方向を修正しながら進んでいく。
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稜線を北東方面へと進んでいくが,この区間は終始背丈を越える濃密な笹薮が続き,歩を進めるのに一苦労。視界がほぼゼロなため,頻繁にコンパスを確認し,進行方向を修正しながら進んでいく。
少し視界が開けた場所で,美濃俣丸を振り返る。
少し視界が開けた場所で,美濃俣丸を振り返る。
大河内山方面。やはり手前のピークの藪が濃そうだ…。
大河内山方面。やはり手前のピークの藪が濃そうだ…。
美濃側。金ヶ丸谷の深い谷が望めた。
美濃側。金ヶ丸谷の深い谷が望めた。
遠くから眺めて藪が濃そうだと予想していたピークは,予期した通り頑固な灌木の藪に覆われていた。灌木をまたいだりくぐったり,まさに本来の意味でのジャングルジム。しかし,こんな中にも薄いながら獣道が走っており,なるべくそれを追っていく。
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遠くから眺めて藪が濃そうだと予想していたピークは,予期した通り頑固な灌木の藪に覆われていた。灌木をまたいだりくぐったり,まさに本来の意味でのジャングルジム。しかし,こんな中にも薄いながら獣道が走っており,なるべくそれを追っていく。
灌木の藪を抜けると,あとは大河内山まで笹原が続いており,少し気が楽になった(と,この時は思っていました…)
灌木の藪を抜けると,あとは大河内山まで笹原が続いており,少し気が楽になった(と,この時は思っていました…)
美濃俣丸と,その背後の三周ヶ岳。
美濃俣丸と,その背後の三周ヶ岳。
右から三周ヶ岳,高丸,烏帽子山が居並んでいる。手前の黒い尾根は,先々週辿った三周ヶ岳北東尾根だ。
右から三周ヶ岳,高丸,烏帽子山が居並んでいる。手前の黒い尾根は,先々週辿った三周ヶ岳北東尾根だ。
あとは大河内山まで笹を漕げばいいだけだから楽勝,と思っていたのだが,この大河内山手前の笹は背丈以上あるうえに濃密で,獣道もなく,山頂への急傾斜もあいまって,予想以上に苦労させられた。笹を漕ぐ腕が疲れてきた…。
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あとは大河内山まで笹を漕げばいいだけだから楽勝,と思っていたのだが,この大河内山手前の笹は背丈以上あるうえに濃密で,獣道もなく,山頂への急傾斜もあいまって,予想以上に苦労させられた。笹を漕ぐ腕が疲れてきた…。
大河内山の肩に乗った。山頂までまでもう少し。ここまで来ると,獣道が明瞭になって,ずいぶん楽になった。
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大河内山の肩に乗った。山頂までまでもう少し。ここまで来ると,獣道が明瞭になって,ずいぶん楽になった。
一輪のササユリが励ましてくれた。
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一輪のササユリが励ましてくれた。
そして,大河内山山頂に到着。ごく小さな切り開きがあり,周囲は笹が低く,特に奥美濃側の展望が良い。
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そして,大河内山山頂に到着。ごく小さな切り開きがあり,周囲は笹が低く,特に奥美濃側の展望が良い。
右手前方に不動山の黒々とした山体。
右手前方に不動山の黒々とした山体。
奥美濃の深い山と谷。中央が根洞谷と金ヶ丸谷の出合。
奥美濃の深い山と谷。中央が根洞谷と金ヶ丸谷の出合。
振り返れば,美濃俣丸,三周ヶ岳,高丸の姿。
振り返れば,美濃俣丸,三周ヶ岳,高丸の姿。
行く手のロボットピーク(左)と,夏小屋丸(右)。
行く手のロボットピーク(左)と,夏小屋丸(右)。
大河内山からの眺めを楽しんだのち,ロボットピークへ向かう。それほど距離はないように思っていたのだが,灌木の藪が断続的に現れ,思ったより時間がかかる。
大河内山からの眺めを楽しんだのち,ロボットピークへ向かう。それほど距離はないように思っていたのだが,灌木の藪が断続的に現れ,思ったより時間がかかる。
ロボットピークまでもう少し。ロボットピークに近づけば近づくほど,獣道が明瞭になり,歩きやすくなる。
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ロボットピークまでもう少し。ロボットピークに近づけば近づくほど,獣道が明瞭になり,歩きやすくなる。
右手に励谷の深い谷を見下ろしながら稜線を辿っていく。
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右手に励谷の深い谷を見下ろしながら稜線を辿っていく。
大河内山から辿ってきた稜線。
大河内山から辿ってきた稜線。
ロボットピーク着。奥は夏小屋丸(手前)と笹ヶ峰(奥)。
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ロボットピーク着。奥は夏小屋丸(手前)と笹ヶ峰(奥)。
ここまで辿ってきた稜線。美濃俣丸(中央)と三周ヶ岳(奥)。
ここまで辿ってきた稜線。美濃俣丸(中央)と三周ヶ岳(奥)。
福井側。眼下に小さく広野ダム。
福井側。眼下に小さく広野ダム。
気持ちの良い笹の広場に座って休むうち,藪漕ぎの疲れと谷風の気持ちよさからか,いつの間にか短時間居眠りしていたらしい。はっと目を覚ますと,いつの間にか日が差していて,風に波立つ笹原が光り輝いて印象的だった。
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気持ちの良い笹の広場に座って休むうち,藪漕ぎの疲れと谷風の気持ちよさからか,いつの間にか短時間居眠りしていたらしい。はっと目を覚ますと,いつの間にか日が差していて,風に波立つ笹原が光り輝いて印象的だった。
さて,下山は勝手知ったるロボット尾根(写真の手前に写っている尾根)へ。相変わらず藪は濃いが,今日の稜線上の藪に比べれば,歩きやすいと言っていいくらい。
さて,下山は勝手知ったるロボット尾根(写真の手前に写っている尾根)へ。相変わらず藪は濃いが,今日の稜線上の藪に比べれば,歩きやすいと言っていいくらい。
無事林道に下山。
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無事林道に下山。

装備

備考 ・フェルトソール沢足袋使用(この谷はそれほどぬめっている印象はなかったため,ラバーの沢靴でも問題なさそう)
・40mロープ携行(不使用)

感想

 越美国境の藪の名峰・美濃俣丸に無雪期に登る場合、沢詰めでは鈴谷川のミノマタ谷から登ることが多いようだが,同じ日野川の支流でも,ネット上でほとんど記録がない前谷が個人的に気になっていたため(「関西周辺の谷」には中俣のヨセン谷の記述あり),前谷の右俣であるスギ谷から美濃俣丸に登ってみることにした。また,6月に笹ヶ峰からロボットピークにかけての稜線を歩いた関係で,美濃俣丸からロボットピークまでの区間は無雪期はどうなっているか気になっていたため,併せて歩いてみることにした。
 スギ谷は,小さい谷であるにもかかわらず,美しい滝あり,大岩壁を擁する廊下あり,面白い造形のミニゴルジュありと,なかなか楽しい渓だった。1000m内外の低山帯であるにもかかわらず,これほど彫りの深い谷が並んでいることには驚かされる。地図を眺めただけではわからない,この山域の奥深さに改めて気づかされた。
 また,美濃俣丸からロボットピークまでの稜線は,6月に辿った笹ヶ峰〜ロボットピーク間に比べると藪が濃く,稜線漫歩と言うには少しばかりワイルドな一日となったが,これはこれでこの山域らしい,自分だけの自由な登山をさせてもらえる稜線と言えるだろう。それに,美濃俣丸や大河内山,ロボットピークといった各ピークからの眺望は,本当に素晴らしい。
 美濃側の谷から風が吹き上がるたびに一面の笹原の上を銀の波が広がっていき,聞こえる物音は,自分が藪をかき分ける音と,どこか遠くで鳴いているカッコウの声だけ。静かな越美国境の一日だった。
 

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