昨夜の雨で濡れている藪を分けて日野川に降り立つ。雨の影響を心配していたが,水量はそれほど多くなく,濁りも入っていないため,一安心。写真は大河内川(左)と前谷(右)の出合。右の前谷に入る。
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昨夜の雨で濡れている藪を分けて日野川に降り立つ。雨の影響を心配していたが,水量はそれほど多くなく,濁りも入っていないため,一安心。写真は大河内川(左)と前谷(右)の出合。右の前谷に入る。
前谷に入るとすぐに,写真の大迫力の堰堤に阻まれる。高度感のある泥付きバンドのトラバースで,左岸から巻いていく。
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前谷に入るとすぐに,写真の大迫力の堰堤に阻まれる。高度感のある泥付きバンドのトラバースで,左岸から巻いていく。
堰堤を越え少し進むと,両岸がきりりと立った中,美しい瀬が続くようになる。予想以上の美しい渓相に,期待が高まる。
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堰堤を越え少し進むと,両岸がきりりと立った中,美しい瀬が続くようになる。予想以上の美しい渓相に,期待が高まる。
と,沸騰したような白濁した釜を持つ迫力ある5m滝が現れる。左手のバンドに這い上がり,トラバースして滝上に抜けるが,バンドに上がるところと,トラバース後の抜け口が少し嫌らしい。(バンドに上がる箇所には,トラロープがフィックスしてある。)
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と,沸騰したような白濁した釜を持つ迫力ある5m滝が現れる。左手のバンドに這い上がり,トラバースして滝上に抜けるが,バンドに上がるところと,トラバース後の抜け口が少し嫌らしい。(バンドに上がる箇所には,トラロープがフィックスしてある。)
その後も両岸が狭まった廊下状の中を美しい早瀬が続き,楽しく遡行していく。
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その後も両岸が狭まった廊下状の中を美しい早瀬が続き,楽しく遡行していく。
ほどなくスギ谷出合。今回は美濃俣丸を目指すので,右のスギ谷に入る。
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ほどなくスギ谷出合。今回は美濃俣丸を目指すので,右のスギ谷に入る。
スギ谷に入ると両岸はさらに狭まって岨立ち,暗く険悪な廊下となる。これで大きな滝でも出てこようものならアウトな地形だ。さて,何が出てくるのか。
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スギ谷に入ると両岸はさらに狭まって岨立ち,暗く険悪な廊下となる。これで大きな滝でも出てこようものならアウトな地形だ。さて,何が出てくるのか。
谷がぐぐっと右に曲がると,その奥に見事な2段7m直瀑。完全なV字谷の中に掛かっており,遠目では弱点がないように見え,ぎくりとさせられたが,近づいてみると左手から急な草付きを巻くことができた。
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谷がぐぐっと右に曲がると,その奥に見事な2段7m直瀑。完全なV字谷の中に掛かっており,遠目では弱点がないように見え,ぎくりとさせられたが,近づいてみると左手から急な草付きを巻くことができた。
右手には50m以上はありそうな大岩壁が峭立しており,壮観である。地形図からは想像できないようなスケールを持った谷だ。
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右手には50m以上はありそうな大岩壁が峭立しており,壮観である。地形図からは想像できないようなスケールを持った谷だ。
暗い谷底を滑るように流れていく早瀬の中を,右に左に足場を求めながら遡っていく。
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暗い谷底を滑るように流れていく早瀬の中を,右に左に足場を求めながら遡っていく。
庇のようにハングした巨岩の間を圧搾されて流れる水。ちょっとした奇観だ。
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庇のようにハングした巨岩の間を圧搾されて流れる水。ちょっとした奇観だ。
面白い形に岩を穿ってミニゴルジュが続く。水線沿いに進むことができ,楽しい箇所だ。
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面白い形に岩を穿ってミニゴルジュが続く。水線沿いに進むことができ,楽しい箇所だ。
ミニゴルジュを抜けると少しだけ谷が開け,流れが穏やかさを取り戻す。
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ミニゴルジュを抜けると少しだけ谷が開け,流れが穏やかさを取り戻す。
美しい小滝と瀬の連続。
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美しい小滝と瀬の連続。
途中,トチノキの巨木が鎮座していた。太い幹からいろいろな樹種の若木が生えていて,もともとの幹が見えないくらい。何だか神話の挿絵にでも出てきそうな木だ。
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途中,トチノキの巨木が鎮座していた。太い幹からいろいろな樹種の若木が生えていて,もともとの幹が見えないくらい。何だか神話の挿絵にでも出てきそうな木だ。
深い緑の中に美しく小滝が配置されており,飽きさせない。
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深い緑の中に美しく小滝が配置されており,飽きさせない。
3mほどの滝。左手からバンドをトラバースして抜ける。
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3mほどの滝。左手からバンドをトラバースして抜ける。
再び谷が狭まり,ちょっとしたミニゴルジュに。
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再び谷が狭まり,ちょっとしたミニゴルジュに。
水線沿いに楽しく登っていける。
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水線沿いに楽しく登っていける。
再び谷が開け,穏やかな流れが木々の下を縫っていく。こういう景色,好きだなぁ。
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再び谷が開け,穏やかな流れが木々の下を縫っていく。こういう景色,好きだなぁ。
次第に谷が傾斜を増し,流れは階段状になっていく。稜線が近づいてきたのだ。
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次第に谷が傾斜を増し,流れは階段状になっていく。稜線が近づいてきたのだ。
時折現れる小滝を越えていく。
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時折現れる小滝を越えていく。
ついに水切れの様相。最後の二俣は,コルに突き上げる左俣ではなく,山頂に直接突き上げている右俣を選択した。
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ついに水切れの様相。最後の二俣は,コルに突き上げる左俣ではなく,山頂に直接突き上げている右俣を選択した。
詰めでは,この山域の沢の源頭に特有の,つるりとした小滝がいくつか現れ,乗り越えるのに少し苦労した。
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詰めでは,この山域の沢の源頭に特有の,つるりとした小滝がいくつか現れ,乗り越えるのに少し苦労した。
沢形が斜面に消え,藪漕ぎに突入。ただ,それほど藪は濃くなく,藪の間に見え隠れする高みへと着々と登っていく。
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沢形が斜面に消え,藪漕ぎに突入。ただ,それほど藪は濃くなく,藪の間に見え隠れする高みへと着々と登っていく。
藪から明るい空間に飛び出すと,そこが美濃俣丸の山頂であった。ひざ丈程度の笹や灌木に覆われており,天気がよければ360°の絶景が楽しめそうだが,残念ながら今日はガスが濃い。
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藪から明るい空間に飛び出すと,そこが美濃俣丸の山頂であった。ひざ丈程度の笹や灌木に覆われており,天気がよければ360°の絶景が楽しめそうだが,残念ながら今日はガスが濃い。
唯一,福井側だけガスが晴れており,福井の山々を望むことができた。
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唯一,福井側だけガスが晴れており,福井の山々を望むことができた。
美濃俣丸から南へと三周ヶ岳方面に続く稜線もちらりと見えた。濃密な樹木に覆われており,いかにも藪が濃そうだ。
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美濃俣丸から南へと三周ヶ岳方面に続く稜線もちらりと見えた。濃密な樹木に覆われており,いかにも藪が濃そうだ。
広野ダムも小さく望むことができた。
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広野ダムも小さく望むことができた。
美濃俣丸の三角点。三等であることをしかと見届けた。
美濃俣丸は積雪期に登ったことがあるのだが、三角点を見るのはこれがはじめてだ。
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美濃俣丸の三角点。三等であることをしかと見届けた。
美濃俣丸は積雪期に登ったことがあるのだが、三角点を見るのはこれがはじめてだ。
プレートの類は見当たらなかったが,唯一,文字の消えかけたこの標識?だけ落ちていた。
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プレートの類は見当たらなかったが,唯一,文字の消えかけたこの標識?だけ落ちていた。
さて,美濃俣丸から北のコルに下降していく。背丈くらいの濃密な笹と灌木の藪。下りだからまだいいが,これが登りだったらかなり苦労しそうだ。
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さて,美濃俣丸から北のコルに下降していく。背丈くらいの濃密な笹と灌木の藪。下りだからまだいいが,これが登りだったらかなり苦労しそうだ。
ガスに見え隠れする北側のピークを目掛けて下降していく。もし完全にガスっていたら,慎重にルートファインディングしないと,尾根を外してしまいそうだ。
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ガスに見え隠れする北側のピークを目掛けて下降していく。もし完全にガスっていたら,慎重にルートファインディングしないと,尾根を外してしまいそうだ。
コルまで降り,胸丈の笹薮を漕いで北側のピークに登り返していく。
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コルまで降り,胸丈の笹薮を漕いで北側のピークに登り返していく。
この箇所は比較的明瞭な獣道が走っており,楽に登っていくことができる。
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この箇所は比較的明瞭な獣道が走っており,楽に登っていくことができる。
おや,青空がのぞいている。午後から天気が悪くなると聞いていたのだが…。何はともあれ,ありがたいことだ。
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おや,青空がのぞいている。午後から天気が悪くなると聞いていたのだが…。何はともあれ,ありがたいことだ。
美濃俣丸を振り返る。やはり形の良い山だ。
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美濃俣丸を振り返る。やはり形の良い山だ。
行く手の稜線もガスが晴れ,これから向かう大河内山(右)とロボットピーク(左)が望めた。
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行く手の稜線もガスが晴れ,これから向かう大河内山(右)とロボットピーク(左)が望めた。
大河内山へと向かう稜線のアップ。中間あたりは笹原が消え,完全に濃密な樹林に覆われている。激しい灌木漕ぎになりそうだ。
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大河内山へと向かう稜線のアップ。中間あたりは笹原が消え,完全に濃密な樹林に覆われている。激しい灌木漕ぎになりそうだ。
稜線を北東方面へと進んでいくが,この区間は終始背丈を越える濃密な笹薮が続き,歩を進めるのに一苦労。視界がほぼゼロなため,頻繁にコンパスを確認し,進行方向を修正しながら進んでいく。
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稜線を北東方面へと進んでいくが,この区間は終始背丈を越える濃密な笹薮が続き,歩を進めるのに一苦労。視界がほぼゼロなため,頻繁にコンパスを確認し,進行方向を修正しながら進んでいく。
少し視界が開けた場所で,美濃俣丸を振り返る。
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少し視界が開けた場所で,美濃俣丸を振り返る。
大河内山方面。やはり手前のピークの藪が濃そうだ…。
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大河内山方面。やはり手前のピークの藪が濃そうだ…。
美濃側。金ヶ丸谷の深い谷が望めた。
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美濃側。金ヶ丸谷の深い谷が望めた。
遠くから眺めて藪が濃そうだと予想していたピークは,予期した通り頑固な灌木の藪に覆われていた。灌木をまたいだりくぐったり,まさに本来の意味でのジャングルジム。しかし,こんな中にも薄いながら獣道が走っており,なるべくそれを追っていく。
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遠くから眺めて藪が濃そうだと予想していたピークは,予期した通り頑固な灌木の藪に覆われていた。灌木をまたいだりくぐったり,まさに本来の意味でのジャングルジム。しかし,こんな中にも薄いながら獣道が走っており,なるべくそれを追っていく。
灌木の藪を抜けると,あとは大河内山まで笹原が続いており,少し気が楽になった(と,この時は思っていました…)
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灌木の藪を抜けると,あとは大河内山まで笹原が続いており,少し気が楽になった(と,この時は思っていました…)
美濃俣丸と,その背後の三周ヶ岳。
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美濃俣丸と,その背後の三周ヶ岳。
右から三周ヶ岳,高丸,烏帽子山が居並んでいる。手前の黒い尾根は,先々週辿った三周ヶ岳北東尾根だ。
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右から三周ヶ岳,高丸,烏帽子山が居並んでいる。手前の黒い尾根は,先々週辿った三周ヶ岳北東尾根だ。
あとは大河内山まで笹を漕げばいいだけだから楽勝,と思っていたのだが,この大河内山手前の笹は背丈以上あるうえに濃密で,獣道もなく,山頂への急傾斜もあいまって,予想以上に苦労させられた。笹を漕ぐ腕が疲れてきた…。
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あとは大河内山まで笹を漕げばいいだけだから楽勝,と思っていたのだが,この大河内山手前の笹は背丈以上あるうえに濃密で,獣道もなく,山頂への急傾斜もあいまって,予想以上に苦労させられた。笹を漕ぐ腕が疲れてきた…。
大河内山の肩に乗った。山頂までまでもう少し。ここまで来ると,獣道が明瞭になって,ずいぶん楽になった。
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大河内山の肩に乗った。山頂までまでもう少し。ここまで来ると,獣道が明瞭になって,ずいぶん楽になった。
一輪のササユリが励ましてくれた。
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一輪のササユリが励ましてくれた。
そして,大河内山山頂に到着。ごく小さな切り開きがあり,周囲は笹が低く,特に奥美濃側の展望が良い。
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そして,大河内山山頂に到着。ごく小さな切り開きがあり,周囲は笹が低く,特に奥美濃側の展望が良い。
右手前方に不動山の黒々とした山体。
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右手前方に不動山の黒々とした山体。
奥美濃の深い山と谷。中央が根洞谷と金ヶ丸谷の出合。
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奥美濃の深い山と谷。中央が根洞谷と金ヶ丸谷の出合。
振り返れば,美濃俣丸,三周ヶ岳,高丸の姿。
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振り返れば,美濃俣丸,三周ヶ岳,高丸の姿。
行く手のロボットピーク(左)と,夏小屋丸(右)。
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行く手のロボットピーク(左)と,夏小屋丸(右)。
大河内山からの眺めを楽しんだのち,ロボットピークへ向かう。それほど距離はないように思っていたのだが,灌木の藪が断続的に現れ,思ったより時間がかかる。
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大河内山からの眺めを楽しんだのち,ロボットピークへ向かう。それほど距離はないように思っていたのだが,灌木の藪が断続的に現れ,思ったより時間がかかる。
ロボットピークまでもう少し。ロボットピークに近づけば近づくほど,獣道が明瞭になり,歩きやすくなる。
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ロボットピークまでもう少し。ロボットピークに近づけば近づくほど,獣道が明瞭になり,歩きやすくなる。
右手に励谷の深い谷を見下ろしながら稜線を辿っていく。
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右手に励谷の深い谷を見下ろしながら稜線を辿っていく。
大河内山から辿ってきた稜線。
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大河内山から辿ってきた稜線。
ロボットピーク着。奥は夏小屋丸(手前)と笹ヶ峰(奥)。
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ロボットピーク着。奥は夏小屋丸(手前)と笹ヶ峰(奥)。
ここまで辿ってきた稜線。美濃俣丸(中央)と三周ヶ岳(奥)。
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ここまで辿ってきた稜線。美濃俣丸(中央)と三周ヶ岳(奥)。
福井側。眼下に小さく広野ダム。
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福井側。眼下に小さく広野ダム。
気持ちの良い笹の広場に座って休むうち,藪漕ぎの疲れと谷風の気持ちよさからか,いつの間にか短時間居眠りしていたらしい。はっと目を覚ますと,いつの間にか日が差していて,風に波立つ笹原が光り輝いて印象的だった。
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気持ちの良い笹の広場に座って休むうち,藪漕ぎの疲れと谷風の気持ちよさからか,いつの間にか短時間居眠りしていたらしい。はっと目を覚ますと,いつの間にか日が差していて,風に波立つ笹原が光り輝いて印象的だった。
さて,下山は勝手知ったるロボット尾根(写真の手前に写っている尾根)へ。相変わらず藪は濃いが,今日の稜線上の藪に比べれば,歩きやすいと言っていいくらい。
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さて,下山は勝手知ったるロボット尾根(写真の手前に写っている尾根)へ。相変わらず藪は濃いが,今日の稜線上の藪に比べれば,歩きやすいと言っていいくらい。
無事林道に下山。
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無事林道に下山。
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