魚谷山☆松尾谷右俣に滝を訪ねて


- GPS
- 02:56
- 距離
- 7.7km
- 登り
- 647m
- 下り
- 632m
コースタイム
天候 | 曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2020年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
写真
感想
この日は家内との山行を計画していたが、家内が昼前に出かける次男に昼飯を用意したいと言うのと、近所の短い山行に予定を変更する。私も前日までの果無山脈から大峰奥駈道南部を縦走する山行の疲れも多少は残っているだろうと思うので短い山行の方が好都合ではあるが、疲れよりも何よりも前日の夜に玉置山の山頂で顔面や四肢のブヨに刺された箇所の腫れと掻痒の方が余程、鬱陶しい。
松尾谷の左俣、国土地理院の地図で魚谷峠までの谷沿いに記されている破線を辿ることにする。この松尾谷は以前、ネットで谷の上部の美しい谷相の山行報告を目にし、いつか歩いてみようと思いながら山行の機会を逃し続けていたところであった。
府道61号線を雲ヶ畑に向かう。山幸橋の手前では通行止めの立て看板が出ている。立て看板の前に来る前を停めて地図の通行止の地点を確認していると、後ろからきた自転車乗りの方が「持越峠に抜けようと思っていたのに・・・仕方がない、行き先変更や」と言って、市原の方に進んで行かれる。
果たして?まで入ることが出来なければ、長谷から樋ノ水峠を経て判官坂を周回することも考え、とりあえず行けるところまで入ってみようと車を進めると、地図に示された通行止めの箇所を通過し、中津川の分岐まで辿り着く。林道を奥へと入り、松尾谷の出合の広地に車を停める。我々の車の他には一台も車は停まっていない。
松尾谷林道に入るとすぐに林道は崩土で塞がっている。崩土を乗り越えて先に進む。松尾谷の左俣に差し掛かると谷の左岸に踏み跡がある。谷の入り口では沢沿いの岩場に薄紫色の小さな花が咲いているのに家内が気がつく。イワタバコの花だ。
沢沿いには明瞭な踏み跡が続いている。杉の枝が散逸する道を歩き始めると何やら動くものの気配がする。なんと蝮であった。枯れた杉の枝葉の上では完全に保護色となり、動かなければ見分けるのは困難だ。しかし、気がつかずに踏んだりしたら恐ろしいことになる。
しかし、この谷の問題はヒルの多さであった。多少はいるだろうとは覚悟はしてはいたが、数歩歩いてはすぐに足元を確認すると、相当な頻度で靴や靴下をよじ登ってくるヒルが見つかる。
谷沿いは苔むした岩の間を縫うように水流が流れ、好きな雰囲気の渓相だ。沢沿いにはところどころに九輪草の大きな花が散見する。足元のヒルに注意を払いながら谷の奥に進む。広々とした明るい場所に出たと思うと、なんと夥しい数の杉の倒木が谷を埋め尽くしている。倒木の感じからするとおそらく一昨年の台風の被害によるものだろう。
沢の水線通しは倒木に比較的真新しい切り口が散見するので、倒木にノコギリを入れながら先に進もうとした方がおられるのだろう。しかし、先に進むと折り重なる倒木の夥しさに遂に先に進むことを断念する。
ヒルの多い谷を戻りかけるが、左岸に登りやすそうな尾根を見つける。尾根を登り始めるとすぐにヒルの姿は見かけなくなった。わずかに登るとすぐに下生の少ない自然林となり、容易に魚谷等から南に延びるなだらかな尾根にたどり着くことが出来る。しかし、この尾根は意外と厄介であった。登ってきた斜面の歩きやすい自然林はすぐに消え、藪の多い低木の樹林が現れる。
尾根芯を進むのは困難と判断し、尾根下の西側斜面をトラバースする。やがて魚谷峠が近づくと尾根上も歩きやすくなった。魚谷山は家内と共に山芍薬と九輪草を目当てに昨年の六月に訪れて以来である。前回の山行では確認できた薄汚れたPH氏のプレートはなぜか今回は見当たらない。
下山は松尾谷林道を下る予定であるが、山頂の西側より南に延びる尾根を下降する。馬酔木などの多少の藪はあるものの、通過に難儀するほどのものではない。すぐに右手に林道が現れる。
林道を下ると道が大きく東に曲がるところで滝の落ち口が見える。どうやら滝があるようだ。地図上でもコンカーが密集し、明らかに滝がありそうな地形である。林道が再び谷に戻ったところで、少し右岸に沿って奥へと入ってみる。
すぐにイワヒメワラビの繁茂する斜面が現れるが、その先の谷奥に落差のある滝が目に入る。しかし、このイワヒメワラビの斜面には意外な伏兵が待ち受けていた。草の間には蛇結茨(ジャケツイバラ)が至るところに生えている。この植物は山中で出遭う有棘植物の中では最もたちの悪いものだろう。ひとたび枝が引っかかると、それを外そうとするうちに次々と他の棘が絡みつく。
蛇結茨に気をつけながら斜面を抜けると滝の下にたどり着く。落差は10mはあろうか、綺麗な分岐瀑である。雲が薄くなったのだろう、折しも柔らかい光が滝の右岸に降り注ぎ、苔と滝をほんのりと明るく照らし始めると、その幻想的で美しいコントラストを際立たせてくれるのだった。
滝を後にするとミヤマカラスアゲハの舞う林道を下る。松尾谷出合の駐車地に戻ると我々の車の他に5台もの車が駐車してあった。
山行の前半はなんとも残念な結果に終わったが、美しい滝に出会えたお陰で短いながらも充足感を感じる山行であった。季節が違えば滝も違った表情を見せてくれるのかもしれない。
コメント
この記録に関連する登山ルート
この場所を通る登山ルートは、まだ登録されていません。
ルートを登録する
マムシとヒルと倒木とヤブと蛇結茨、それにブヨのかゆみ、大変でしたね。
松尾谷周辺は私も北山の中でも好きな場所の一つです。
滝やクリンソウ、山芍薬などが出迎えてくれるし、早春には林道沿いにはタラの芽が多く、近くながら楽しめる場所ですね。
それにしても一昨年の台風の爪痕はいたるところにあって、処理しきれないほどの大規模なものだったことを改めて思い知らされます。
植林も間伐して管理しないといけない、でも間伐して木と木の間が空くと台風のような強風時にもたれかかって助け合える木がなく倒れてしまうと、聞きました。
帰路の滝はいい感じですよね。滝入口付近が伐採されて間もない頃に行ったので楽に到達できました。相当以前は登山道が右岸にあって見下ろした記憶があります。
以前よく、半日しか時間のとれない時に、直谷から今西錦司氏レリーフ前を通り、魚谷山から林道を下るというコースばかり歩いていた頃がありました。
魚谷山は尾根も山頂付近の源頭も魅力的なところが多くて、表情の豊かな山だと思います。松尾谷の滝はこれまで訪れたことがありませんでしたが、ここ違う季節に訪れてみたいと思いました。伐採されて間もない頃はアプローチも容易だったんででしょうね。
松尾谷でタラの芽を探したことはありませんでしたが、来年以降の楽しみにします。
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する