小室川谷
- GPS
- --:--
- 距離
- 16.2km
- 登り
- 1,512m
- 下り
- 531m
コースタイム
丹波バス停9:30—10:10三条新橋—10:30入渓点10:50—12:20S字峡下ー12:45S字峡上ー13:25石門ノ滝下ー13:40石門ノ滝上ー13:55小室ノ淵下(釣り)14:30—14:40小室ノ淵上ー14:55幕営地
8月10日(月)
幕営地5:30—6:20 4段40m大ナメ滝下ー6:15 4段40m大ナメ滝上ー7:35蛇抜沢出合ー9:10源頭部(沢装解除)9:25—9:35登山道ー9:45雷岩10:30ー11:05福ちゃん荘11:20—11:30ロッヂ長兵衛
天候 | 8月9日:晴れ 8月10日:晴れ |
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過去天気図(気象庁) | 2020年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
http://www.nisitokyobus.co.jp/wp/wp-content/uploads/2018/03/hiking_okutama_180317.pdf 上日川峠〜甲斐大和駅 http://eiwa-kotsu.jp/media/root_1_tt.pdf |
コース状況/ 危険箇所等 |
小室川谷: 滝場が連続するが、難しい滝には残置ロープが設置されている。岩はやや滑り易いので注意。ポイントとなる箇所は、S字峡、石門ノ滝、4段40mナメ滝など。 |
写真
感想
小室川谷は、公共交通機関利用にしても車利用にしても舗装路歩きが長くなり、また少々暗そうなイメージがあったため、何となく敬遠していた沢です。とは言ってもやはり有名どころであり、ネットの記録も改めて見ると美しいという評価が多いことから、ものは試しとこの連休を利用して遡行することにしました。
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8月9日(日)
おなじみの奥多摩駅発丹波行きのバスに乗車。
駅を出る時は満員だが、鴨沢までに大半が下車し、最後はほぼ貸し切りになるのも想定どおり。
車利用の場合は三条新橋まで入れるが、元の場所に戻るまで下山に4時間近く要する。一方、公共交通機関利用の場合は、下山が1時間ほどで済む代わり、丹波から三条新橋までを歩かなければならない。
この部分はコースタイムでは1時間40分だが、何の面白味もない車道なので、かっ飛ばしたところ40分で三条橋に到着。晴れるのは良いがとにかく暑く、汗の量が半端じゃない。
橋から泉水谷沿いの林道を30分ほど歩けば、左手に目印となる「小室向」の道標を見るので、ここから沢に下る明瞭な踏み跡を辿り、小室川谷出合に降り立つ。
沢装を準備し、いざ出発しようとしたところ、後から来た釣り師に、「橋が落ちたのか?!」と、声をかけられる。
聞くと、ここには以前泉水谷対岸に渡る橋がかかっていたとのこと。しかし、状況からして流失してしまったようだ…
そんなこんなでとりあえず入渓。
車道歩きの暑さが嘘のように涼しい。
小室川谷は基本的に谷の切れ込みが深く、特に前半はゴルジュとは言えないものの側壁が垂壁となってそそり立つ廊下状の渓相が続く。
黒い谷の底に細長い青空から陽光が差し込み、深山幽谷の趣を呈している。
一番手で登場する2段滝は、下段の滝を構成する縞模様の地層が複雑に褶曲しており、さながら芸術作品のようだ。この沢はほぼ全体を通じて縞模様の地層が見られるが、最初の滝で見た地層が最も美しく印象的だった。
下段は右壁を登り、上段は左岸リッジを残置ロープを手掛かりに越える。
続く顕著な7m滝は、大釜をもつ迫力ある滝だが、右壁を簡単に登れる。
S字峡手前の淵と6m滝は、ガイドには淵を泳いでから滝に取り付くと書かれており、久々の泳ぎに備えて気を引き締めていたが、それほど難しくないへつりで淵を突破出来たので拍子抜け。
さて、この滝を越すと、核心部のS字峡である。
ガイドには、最初の滝が最も難しいというような感じで書かれており、たしかにぱっと見これほんとに登れるの?というくらい豪快にドバドバと大釜に向かって水を吐き出している。
実際左壁に取り付いてると、滝下からは見えない壁の裏側の絶妙な場所にスタンスがあり、水勢に弾き飛ばされないよう慎重に足を置くことで突破できた。
ゴルジュ内2番目の滝は左壁をへつって取り付くが、どうもヌメッており自信が無かったので、空身で突破し、後でザックを引き上げる手段をとる。
しかし、引き上げる際、思った以上に水勢が強かったため、ザックが下流に引き摺り込まれそうになり焦る。それでも渾身の力でザイルを引いたところ、何とか引き上げに成功。。ここが本山行で一番の緊張ポイントだった。
この後もゴルジュは続くものの、特段難しい箇所は無く、自然の造形に驚嘆しつつ、S字峡を終了した。
続く石門ノ滝は、右岸残置ロープを利用して高巻くが、ロープに頼っているとはいえ結構な斜度があり緊張した。
なお、石門自体はこの滝の少し先にある。まあお約束?ということで潜っておく。
小室の淵は要塞のような側壁にエメラルドグリーンの水を湛える神秘的な場所だ。
今回、せっかく竿を持ってきたので試しに振ってみたところ、わずか5投で2匹のヤマメがヒットする。今晩のおかずにキープしておく。
ちなみに小室の淵は右岸を高巻いて簡単に通過可能。
中ノ沢を右に分けると、渓相はいったん穏やかになり、幕営適地を散見するようになる。今回は1100m屈曲点左岸の台地上にツェルトを設営。
若干幅が狭めだが、1人なら全く問題ない。
薪は細いものが多かったが、2時間くらいの焚き火をするには問題ないくらいの量を集めることができた。
まだ焚き火で魚を焼いて食べたことが無かったので、今回はこれを試すことが目標。
ということで、1匹目を1時間くらい炙って食べてみたが、火の通りがちょっとイマイチだったので、2匹目はさらに1時間ほど炙ったところ、なかなか美味な焼き魚となった。
ただ、本来塩焼きにしたかったところ、塩を忘れてしまい醤油で食べる羽目になったので、今度は忘れずに持ってきて塩焼きにしたい。
8月10日(月)
今日も天気が良さそう。
若干寝不足気味だが、出発。
昨日チェックした2条滝を最初に越すが、その後も小滝が次から次へと現れ息付く暇もない。
小さなものはとても覚えていられないが、雨乞の滝は風格のある滝で印象的だった。
この滝は、右岸高巻き。右岸枝沢から取り付き、すぐに右手斜面に上がって滝に向かってトラバースをかける。
遠目には高度感のありそうなトラバースだが、踏み跡は意外に安定しており、問題なく滝上に降り立つことが出来た。
このトラバースから、小室川谷の白眉たる4段40mナメ滝が望まれる。圧巻の一言に尽きる。
下段2段は容易。
3段目は右から小さく巻くが、こちらも若干スリッピーではあるものの特段問題なし。
4段目は、右側スラブを登る。完全フリーだと結構慎重に行かないと滑り落ちそうだが、ガイドどおり上部に残置ロープがあったので、遠慮なく使わせてもらった。これを使えば容易。
この後しばらく行くと旧大黒茂林道が横切るはずだが、分からなかった。こちらの橋も流失したのかもしれない。
この後も滝場は続き、ちょっとテクニカルな4m滝や、象の鼻のようなヘンテコな形をした滝などを過ぎると、2連幅広の滝。
2つの滝の作り出す水のカーテンは端正で実に美しい。
ガイドには左岸を小さく高巻くとあったが、下段は中ほどから水流右を直登できた。上段はガイドどおり左岸巻き。
ここを過ぎると、沢幅が広がりゴーロが続くようになる。
とはいっても空が開けるのは気持ちがいい。
蛇抜沢を右に分け、さらに進む。
ガイドだとフルコンバ小屋窪からエスケープするのが良さそうな書き振りになっているが、今回はそのまま直進する。この選択は正解だった。
上流部では、再び滝が現れるようになり、10m多段滝をはじめ、小滝がいくつも登場する。これらの小滝のうちの1つで、左から巻けそうなところを敢えて直登したところ、全身ずぶ濡れになってしまった。
まあ暑いから丁度いいかもしれない。
いったん伏流するものの水流は上流部まで続き、水流が完全に地面に吸い込まれたのは稜線から高度差100mを切った地点だった。
あとは、奥秩父風の苔むす原生林を味わうように歩き、最後に大勢のハイカーで賑わう縦走路に飛び出した。世界が変わるのは一瞬である。
しかし、今日の見事な富士山の眺めを見るとこの人の多さも肯ける。
おまけに、南アのスカイラインが、北から南まで見渡せるというオプション付きだ。
大菩薩峠経由で下山しようかと思っていたが、大変気持ちがいいので、雷岩に寄ってしばらく景色を堪能していく。
(ついでに濡れて重くなった沢装備を乾かす…)
あとは福ちゃん荘経由で上日川峠に下り、ロッジ長兵衛のかき氷で乾いた喉を潤し、本山行の締めくくりとした。
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評判が非常に良いだけのことはあり、息つく暇なく現れる滝、次から次へと変化する渓相、魚影の濃さ、森の美しさなど、名渓と呼ぶに相応しい内容だったと思います。さらに、難易度も適度で、人気が出るのも肯けます。
大菩薩の懐の深さをゆったりと楽しんだ2日間でした。
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