冬期西黒尾根敗退〜強風のため、ザンゲ岩まで行けず。


- GPS
- --:--
- 距離
- 11.3km
- 登り
- 1,157m
- 下り
- 1,072m
コースタイム
天候 | 曇り一時晴れ間も。標高1500メートル以上では霰混じりの強風。 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2012年12月の天気図 |
アクセス |
往路:大宮から高崎まで上越新幹線。高崎より上越線で水上。水上から土合下車。 復路:谷川岳ロープウェイからバスで水上へ。上越線にて高崎へ。高崎線で上野へ。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
土合から西黒尾根登山口まで積雪無し。舗装された道路を歩ける。 登山口からしばらく上がると雪が出てくる。ラクダのコブからは2.3メートルの積雪。雪質はさらさらのためピッケルはあまり意味をなさない。岩場は凍結しているところも。鎖は掘り起こせば、まだ使えた。今頃はもう雪の下であろう。 ラクダのコルからは膝下までのラッセル状態。綾線からは単独者のトレースも消えていた。ラクダのコルから先、鎖場、綾線上はかなり危険な状態である。 綾線上の天候は瞬時に変わる。悪化したところから先に進めば降りることも難しくなる。早い判断を。 |
写真
感想
冬の谷川岳に登りたい。
登るなら、西黒尾根がいい。
春の残雪期(豪雪の)には、やっているが冬季はない。
あの場所からみる一ノ倉沢の大岩壁を見たい。
今まで見た景色の中でも
あの身の毛がよだつような美しさは他に見たことがない。
幾多の先鋭的なクライマーが挑み、勝利し、敗北したあの白い壁は、
見る者にとっては、神々しく見え、また、悪魔のようにも見えるのだろう。
本の中の物語でしかなかった壁は実際にそこに行けばあるのだ。
前夜、北陸、東北に大寒波が押し寄せるとニュースは伝えていたが、
谷川岳にはこの時期、珍しく晴れマークがついている。
どちらを信用したらいいのか、(もちろん悪い方を信用すべきだが)
チャンスがあるなら、挑戦したい。
土合駅に着き、うんざりするような階段を上がると、地上には青空がでていた。
西黒尾根登山口まで歩く。雪はまだ少ない。
鉄塔まで上がると、早くも雪雲が押し寄せてくるのが見えた。
上空の方では風がごうごうと唸っている。
それでも、やれるところまでやってみたいという気持ちは変わらない。
この程度では中止する理由にはならない。そう自分に言い聞かせた。
標高を上げるにつれ、雪も深くなってくる。
自分の前に単独者(多分)の踏み跡が続いていた。
この日、出会った登山者は、この一人分の踏み跡だけだった。
樹林帯を越え、ラクダのコブまで上がると、天神平が見えた。
雪もちらつきはじめ、このあたりで一ノ倉沢は見られないかもしれないと思った。
雪はさらさらでピッケルはあまり意味をなさず、歩行のバランスをとるために使った。
岩場に鎖が雪に埋まっているのが見えた。それをピッケルで掘り起こしては、慎重に登る。
鎖の隙間にアイゼンの爪が入りそうになる。
いくつか鎖場を越えたあたりで雲が切れ、太陽が出てきた。
そのとき、眼前にあの壁が現れた。いいタイミングで。
見たかったものが見れた。なんて運の良い奴。カメラを取り出し、撮影した。
これだけでも、来たかいがあったと思った。
あのごうごうと唸っていた風も消えていた。
このまま、あと2時間は、天候は持つと思われた。
それぐらい空は明るく、天候は回復に向かっている。はずだった。
再びガスが出てきたのは、ナイフエッジの稜線を越えたあたりだった。
それに合わせ、太陽が次第に影を帯びた厚い雲に閉じ込められていく。
そこからは早かった。
霰混じりの風は次第に強くなり、あのごうごうと唸るような風が急に隠れていたかのように飛び出してきた。
呼吸も苦しくなってくる。
バラクラバもスキー用のゴーグルも装着していたが、前進するのもやっとだった。
ザンゲ岩が見えていたが、そこまで行けば、その先はもっとひどい状況が待っているだろう。最も危険な個所は、その先だ。
ここなら、気を付けていけば安全に下山できる。しかし、これ以上行けば。
降りよう。ここまでだ。
悔しいとか、言ってる場合じゃない。死にたくない。まだ。
それにはっきり言って。怖い。
運がまだ残っていたのはホワイトアウトにならなかったことだ。
強風でも戻る道ははっきり見えていた。
そのことで最後まで冷静でいられた。誰も助けてくれる人はいない。
自分で気を付けて降りるしかない。
そんなことを考えながら鎖場を下降した。
樹林帯まで降りると、緊張が一気にほどけた。
悔しくて、ぐずった子供みたいに不貞腐れそうになった。
登山口まで戻ると、自分でも驚くぐらい後片付けは早かった。
ザックに装備をすべてしまいこむと、少しマチガ沢まで歩いてみた。
下から見上げるとあの大きな壁が、自分をくすくすと笑っているように見えた。
makasioさん、行かれましたね!
厳冬完全武装直前の一ノ倉が姿を現してくれたことは
なにかの暗示かもしれませんね。
>駅と逆方向へ少し歩いてみる。
レベル違いますがその気持ちわかります。
でも。
私には、無事下山されたmakasioさんの後ろ姿を見て、
あの大きな壁は「やるな、アイツ」と言っているよう
に見えます
今回の交響曲「未完成」ってことで
お疲れ様でした。
一ノ倉の大岩壁、大迫力ですね!
本当、写真でもちょっと恐いぐらいですね?
makasioさんグングン行っちゃいそうな気がしますが、
下りの判断とか、ナイス判断ですね。
無事に帰って来れて何よりです。
しかし晴れると綺麗ですね、谷川岳
冬山に魅了されちゃいますね。
数々の舞台になっている一ノ倉の岩壁、
ほんとにすごい迫力ですね。
あれが見れれば私は大満足でかえれそうですが…
Macasioさんは心中穏やかじゃなさそうですね
また来期に!
あんまり晴れのイメージがない谷川岳が
青空だっただけでも、実はお山は喜んで迎えてくれてたのかもですね
ちなみに私はこの大寒波のお陰で、とある北ァのお山の登山口までで敗退という散歩記録をつくってしまいました…。
こんばんは。
西黒尾根行かれましたか。
今年は雪が早いので大変でしたね。
森林限界から上は別世界ですからね。
それにしても、「単独」で「平日」に「電車」で行くとは、自ら難易度上げてますね。
まぁ、それがいつものmakasioさんらしいころですが。
ここは、一日中天気いいなんて、宝くじ当てるのと同じぐらいですからね。
単独、平日、電車に加えて、悪天ですね。
まさにチャレンジですね。
撤退の判断グッドタイミングでした。
その判断力も実力のうちです。
先行者の方は車で早朝発だと思いますよ。
お疲れさまでした。
また次の機会に踏んで下さい、積雪期のピークを!
また無茶、してしまいました。
でも、1割でも可能性があるなら。
始めから、山頂に立てるとは思っていなかったんです。
だから、あの壁を見れただけも満足なはずなんです。
でも、悔しいんです。それがバカだと思う。俺。
あの日は、行っては行けない日だと思います。
それも電車、平日、単独ですからね。
交響曲「未完成」。頂きました。
これ、毎回、タイトルくれるんですか?
お願いします。
冬の山はきれいですよねー。
また、ほとんど、晴れることのない
冬の谷川岳は、晴れたら、ほんとにすごい。
一ノ倉の大岩壁はすごい迫力です。
春にはなれば、天気は安定してくるはずです。
冬は、近寄れる山ではありません。
是非、春に行かれてみては。一眼持って。
今晩は。最近は、比良山系の偵察に忙しいようですね。
あのあたり、いつか行ってみたいなあ。
冬の谷川。すごいです。いろんな意味で。
特に一ノ倉の景観は北アにも引けを取りません。
あの壁を一瞬でも見れたことは良かった。
無茶と分かってても。俺、多分、またやると思う。
同じやり方で。
ただ、この時期なら肩の小屋で一泊も考えるべきだと思った。
北ア、残念でしたね。お散歩山行。も。
tamaoさんならきっと楽しいレコになるはずですよ。
平日。電車。単独。
これ、続けますよ。これからも。
自分の意思を持って。山やりたいです。
yamaheroさんやmillionさんのように。
しかし、冬の谷川がいかに危険か。
身をもって体験できました。
一ノ倉の岩壁に光が当たったときは、
行けるんじゃないかを思いました。
しかし、30分後には、状況は一変しました。
自分が安全に一人で降りることができないと判断したら、
それ以上先には進みません。絶対に。
それだけは、お約束します。
noboさんの一言。
びくびくしてしまいました。
また、あいつ、無茶しやがったなと
思っていませんか。
考えすぎかな。
実際、その通りですが。
これから、春まで、谷川には手を出しません。多分。
「お疲れ様」の一言が、これ以上うれしい人はいません。
ありがとうございました。
お疲れ様です
滅茶苦茶寒そうだね
でも、谷川岳は面白そうだね
まだ行った事がないんで、いつか行ってみたいお山の一つです
色々と挑戦する姿に惚れ惚れしますよ!
自分の判断を信じてエエ山行を続けて下さい
谷川岳は、近くて良い山ぞ。
でも、冬はやばいぞ。
春5月までは雪山だす。
6月以降なら、安全に登れるんじゃないかな。
お勧めはやはり秋の紅葉。
来年は是非。
自分の判断を信じて。ありがとう。
俺、基本、ビビりだから。大丈夫だよ。
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