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Yamareco

記録ID: 2516067
全員に公開
無雪期ピークハント/縦走
甲斐駒・北岳

鳳凰三山(ドンドコ沢〜中道)

2020年08月18日(火) 〜 2020年08月19日(水)
 - 拍手
GPS
56:00
距離
15.0km
登り
1,994m
下り
2,004m

コースタイム

1日目
山行
4:31
休憩
0:36
合計
5:07
7:25
75
8:40
8:50
21
無名の滝
9:11
9:15
43
9:58
10:00
55
鳳凰の滝
10:55
11:05
30
11:35
11:45
47
五色の滝
12:32
鳳凰小屋
2日目
山行
5:56
休憩
1:34
合計
7:30
5:35
43
鳳凰小屋
6:18
6:57
5
地蔵岳
7:02
7:08
48
7:56
7:58
20
8:18
8:47
26
観音岳
9:13
9:30
41
10:11
10:12
129
12:21
12:21
44
13:05
青木鉱泉
天候 18日:晴れ 19日:快晴〜晴れ時々曇り
過去天気図(気象庁) 2020年08月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車
コース状況/
危険箇所等
ドンドコ沢は各方面の皆様の尽力により8月8日より開通しました。関係の皆様には感謝申し上げます。高度差1,700mを一気に登るのでかなりきついですが、よく整備され、危険箇所もほとんどありません。中道はとにかく長くひたすら下りで、下界が近づくにつれ暑さが増してくるので、疲れた体にかなり応えました。
その他周辺情報 鳳凰小屋は昔ながらの山小屋という感じです。今年は予約制ということもあり広々としたスペースで過ごすことができました。
最初に見える滝(ここは南精進の滝ではありません。)
2020年08月18日 08:41撮影 by  Canon PowerShot SX720 HS, Canon
1
8/18 8:41
最初に見える滝(ここは南精進の滝ではありません。)
南精進の滝
2020年08月18日 09:17撮影 by  SHV41, SHARP
1
8/18 9:17
南精進の滝
鳳凰の滝(他の方の記録で読んでいたとおりいまいちでした。)
2020年08月18日 09:57撮影 by  Canon PowerShot SX720 HS, Canon
1
8/18 9:57
鳳凰の滝(他の方の記録で読んでいたとおりいまいちでした。)
白糸の滝
2020年08月18日 10:57撮影 by  Canon PowerShot SX720 HS, Canon
1
8/18 10:57
白糸の滝
五色の滝(これが一番見事でした。滝の真ん中辺の右の崖にはタカネビランジがたくさん咲いていました。)
2020年08月18日 11:37撮影 by  Canon PowerShot SX720 HS, Canon
2
8/18 11:37
五色の滝(これが一番見事でした。滝の真ん中辺の右の崖にはタカネビランジがたくさん咲いていました。)
鳳凰小屋の夕食(カレーを夕食に出す山小屋は多いが、実は今回初めて経験しました。)
2020年08月18日 17:25撮影 by  Canon PowerShot SX720 HS, Canon
2
8/18 17:25
鳳凰小屋の夕食(カレーを夕食に出す山小屋は多いが、実は今回初めて経験しました。)
朝焼けの地蔵岳(稜線ではきっと見事なモルゲンロートが見られたことと思います。)
2020年08月19日 05:08撮影 by  Canon PowerShot SX720 HS, Canon
2
8/19 5:08
朝焼けの地蔵岳(稜線ではきっと見事なモルゲンロートが見られたことと思います。)
鳳凰小屋からのきつい登りの後ようやく目に入った地蔵岳のオベリスク
2020年08月19日 06:17撮影 by  Canon PowerShot SX720 HS, Canon
3
8/19 6:17
鳳凰小屋からのきつい登りの後ようやく目に入った地蔵岳のオベリスク
地蔵岳から見た甲斐駒ヶ岳(昨年甲斐駒に登ったときは、早い時間にガスが上がってきてしまい、わずかに雲間に地蔵岳と観音岳が見えただけでした。)
2020年08月19日 06:20撮影 by  Canon PowerShot SX720 HS, Canon
2
8/19 6:20
地蔵岳から見た甲斐駒ヶ岳(昨年甲斐駒に登ったときは、早い時間にガスが上がってきてしまい、わずかに雲間に地蔵岳と観音岳が見えただけでした。)
地蔵岳から見た仙丈ヶ岳(去年登った山をこうして別の山から眺めるのは感慨深いです。)
2020年08月19日 06:20撮影 by  Canon PowerShot SX720 HS, Canon
1
8/19 6:20
地蔵岳から見た仙丈ヶ岳(去年登った山をこうして別の山から眺めるのは感慨深いです。)
左から仙丈ヶ岳、アサヨ峰(栗沢山)、甲斐駒ヶ岳
2020年08月19日 06:20撮影 by  Canon PowerShot SX720 HS, Canon
1
8/19 6:20
左から仙丈ヶ岳、アサヨ峰(栗沢山)、甲斐駒ヶ岳
地蔵岳から見た富士山
2020年08月19日 06:31撮影 by  Canon PowerShot SX720 HS, Canon
3
8/19 6:31
地蔵岳から見た富士山
賽の河原から見た甲斐駒ヶ岳
2020年08月19日 06:48撮影 by  Canon PowerShot SX720 HS, Canon
8/19 6:48
賽の河原から見た甲斐駒ヶ岳
地蔵岳オベリスクの左に遠く八ヶ岳、右に遠く金峰山の山並み
2020年08月19日 07:01撮影 by  Canon PowerShot SX720 HS, Canon
1
8/19 7:01
地蔵岳オベリスクの左に遠く八ヶ岳、右に遠く金峰山の山並み
左よりアカヌケ沢ノ頭、地蔵岳、遠くに八ヶ岳
2020年08月19日 07:48撮影 by  Canon PowerShot SX720 HS, Canon
8/19 7:48
左よりアカヌケ沢ノ頭、地蔵岳、遠くに八ヶ岳
右はるか彼方に北アルプス連峰、遠くに仙丈ヶ岳と甲斐駒ヶ岳、手前に高嶺、アカヌケ沢ノ頭、地蔵岳
2020年08月19日 08:07撮影 by  Canon PowerShot SX720 HS, Canon
8/19 8:07
右はるか彼方に北アルプス連峰、遠くに仙丈ヶ岳と甲斐駒ヶ岳、手前に高嶺、アカヌケ沢ノ頭、地蔵岳
仙丈ヶ岳
2020年08月19日 08:14撮影 by  Canon PowerShot SX720 HS, Canon
8/19 8:14
仙丈ヶ岳
遠くに富士山、左手前に薬師岳
2020年08月19日 08:15撮影 by  Canon PowerShot SX720 HS, Canon
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8/19 8:15
遠くに富士山、左手前に薬師岳
左より農鳥岳、間ノ岳、北岳
2020年08月19日 08:22撮影 by  Canon PowerShot SX720 HS, Canon
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8/19 8:22
左より農鳥岳、間ノ岳、北岳
八ヶ岳
2020年08月19日 08:23撮影 by  Canon PowerShot SX720 HS, Canon
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8/19 8:23
八ヶ岳
観音岳からの甲斐駒ヶ岳(鳳凰三山同様の砂の白さが目に付きます。)
2020年08月19日 08:32撮影 by  Canon PowerShot SX720 HS, Canon
8/19 8:32
観音岳からの甲斐駒ヶ岳(鳳凰三山同様の砂の白さが目に付きます。)
観音岳山頂にて(リクエストどおり撮して下さった自衛隊員さん、ありがとう。)
2020年08月19日 08:29撮影 by  Canon PowerShot SX720 HS, Canon
1
8/19 8:29
観音岳山頂にて(リクエストどおり撮して下さった自衛隊員さん、ありがとう。)
観音岳からの薬師岳と富士山(薬師岳にも実は地蔵岳同様に“オベリスク”があることを初めて知りました。)
2020年08月19日 08:32撮影 by  Canon PowerShot SX720 HS, Canon
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8/19 8:32
観音岳からの薬師岳と富士山(薬師岳にも実は地蔵岳同様に“オベリスク”があることを初めて知りました。)
観音岳〜薬師岳の稜線からみた白峰三山と仙丈ヶ岳
2020年08月19日 09:09撮影 by  Canon PowerShot SX720 HS, Canon
8/19 9:09
観音岳〜薬師岳の稜線からみた白峰三山と仙丈ヶ岳
薬師岳から見た観音岳(観音岳から薬師岳までの稜線は、これまで歩いた稜線の中でもベスト3に入る美しさでした。あと2つは北岳〜間ノ岳と、北ノ俣岳〜黒部五郎岳。)
2020年08月19日 09:16撮影 by  Canon PowerShot SX720 HS, Canon
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8/19 9:16
薬師岳から見た観音岳(観音岳から薬師岳までの稜線は、これまで歩いた稜線の中でもベスト3に入る美しさでした。あと2つは北岳〜間ノ岳と、北ノ俣岳〜黒部五郎岳。)
薬師岳からの富士山(地蔵岳の頃に比べてやや雲が出てきました。)
2020年08月19日 09:16撮影 by  Canon PowerShot SX720 HS, Canon
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8/19 9:16
薬師岳からの富士山(地蔵岳の頃に比べてやや雲が出てきました。)
最後に見た白峰三山。次に見ることができるのはいつになるのでしょうか?
2020年08月19日 09:22撮影 by  Canon PowerShot SX720 HS, Canon
8/19 9:22
最後に見た白峰三山。次に見ることができるのはいつになるのでしょうか?
タカネビランジ(鳳凰小屋の下にて。今回見た中ではこれが花色が一番濃かったです。)
2020年08月18日 13:41撮影 by  SHV41, SHARP
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8/18 13:41
タカネビランジ(鳳凰小屋の下にて。今回見た中ではこれが花色が一番濃かったです。)
タカネビランジ(鳳凰小屋の下にて。)
2020年08月18日 15:27撮影 by  Canon PowerShot SX720 HS, Canon
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8/18 15:27
タカネビランジ(鳳凰小屋の下にて。)
タカネビランジ(鳳凰山のタカネビランジは色が濃いものが多いと聞いていましたが、実際はこれくらいの色合いのものが多かったです。)
2020年08月19日 08:12撮影 by  Canon PowerShot SX720 HS, Canon
8/19 8:12
タカネビランジ(鳳凰山のタカネビランジは色が濃いものが多いと聞いていましたが、実際はこれくらいの色合いのものが多かったです。)
タカネビランジ(この花は花びらの感じが他のものとずいぶん異なり、可憐な感じです。)
2020年08月19日 07:27撮影 by  SHV41, SHARP
8/19 7:27
タカネビランジ(この花は花びらの感じが他のものとずいぶん異なり、可憐な感じです。)
タカネビランジ(この花は花びらが細めです。)
2020年08月19日 07:23撮影 by  Canon PowerShot SX720 HS, Canon
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8/19 7:23
タカネビランジ(この花は花びらが細めです。)
タカネビランジ(このくらいのピンクの濃さの花も多かったです。)
2020年08月19日 07:33撮影 by  Canon PowerShot SX720 HS, Canon
8/19 7:33
タカネビランジ(このくらいのピンクの濃さの花も多かったです。)
タカネビランジ(もう1週早いと見頃だったかなと思います。散った花がやや目立ちました。)
2020年08月19日 07:27撮影 by  SHV41, SHARP
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8/19 7:27
タカネビランジ(もう1週早いと見頃だったかなと思います。散った花がやや目立ちました。)
タカネビランジ(北岳のものは白く、鳳凰山のものは赤いと聞いていましたが、こんなほとんど白に近いものもありました。)
2020年08月19日 08:04撮影 by  Canon PowerShot SX720 HS, Canon
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8/19 8:04
タカネビランジ(北岳のものは白く、鳳凰山のものは赤いと聞いていましたが、こんなほとんど白に近いものもありました。)
タカネビランジ(逆に、北岳に登ったときに見たタカネビランジはすべて白い花で、赤い花は一つもありませんでした。)
2020年08月19日 07:31撮影 by  Canon PowerShot SX720 HS, Canon
8/19 7:31
タカネビランジ(逆に、北岳に登ったときに見たタカネビランジはすべて白い花で、赤い花は一つもありませんでした。)
タカネビランジ(北岳で見たのと同じく、ほとんど白い色の花です。)
2020年08月19日 08:00撮影 by  Canon PowerShot SX720 HS, Canon
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8/19 8:00
タカネビランジ(北岳で見たのと同じく、ほとんど白い色の花です。)
タカネビランジの向こうに甲斐駒ヶ岳(地蔵岳賽の河原にて。この景色を写したくて鳳凰山に来たと言っても過言ではありません。)
2020年08月19日 06:45撮影 by  Canon PowerShot SX720 HS, Canon
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8/19 6:45
タカネビランジの向こうに甲斐駒ヶ岳(地蔵岳賽の河原にて。この景色を写したくて鳳凰山に来たと言っても過言ではありません。)
タカネビランジの向こうに甲斐駒ヶ岳(地蔵岳賽の河原にて)
2020年08月19日 06:50撮影 by  Canon PowerShot SX720 HS, Canon
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8/19 6:50
タカネビランジの向こうに甲斐駒ヶ岳(地蔵岳賽の河原にて)
タカネビランジの向こうに白峰三山(この景色も見たかったものです。タカネビランジもちょうど見頃です。)
2020年08月19日 07:33撮影 by  Canon PowerShot SX720 HS, Canon
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8/19 7:33
タカネビランジの向こうに白峰三山(この景色も見たかったものです。タカネビランジもちょうど見頃です。)
ホウオウシャジン(地蔵岳にて。葉の細いのが特徴です。ちょうど見頃できれいでした。)
2020年08月19日 06:30撮影 by  Canon PowerShot SX720 HS, Canon
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ホウオウシャジン(地蔵岳にて。葉の細いのが特徴です。ちょうど見頃できれいでした。)
ホウオウシャジン(地蔵岳にて。)
2020年08月19日 06:39撮影 by  Canon PowerShot SX720 HS, Canon
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ホウオウシャジン(地蔵岳にて。)
ホウオウシャジンとタカネビランジ(稜線でかなり注意深くタカネビランジを見て回りましたが、登山道から見える場所でホウオウシャジンとタカネビランジが一緒に咲いていたのはこの場所だけでした。)
2020年08月19日 08:54撮影 by  Canon PowerShot SX720 HS, Canon
8/19 8:54
ホウオウシャジンとタカネビランジ(稜線でかなり注意深くタカネビランジを見て回りましたが、登山道から見える場所でホウオウシャジンとタカネビランジが一緒に咲いていたのはこの場所だけでした。)
シラヒゲソウ(鳳凰小屋にて。よく見るウメバチソウかと思ったら違っていました。山梨では絶滅危惧種に指定されているとか。)
2020年08月18日 15:05撮影 by  Canon PowerShot SX720 HS, Canon
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8/18 15:05
シラヒゲソウ(鳳凰小屋にて。よく見るウメバチソウかと思ったら違っていました。山梨では絶滅危惧種に指定されているとか。)
イワインチン(今回は花付きの良いタカネビランジを探しながら歩いたので、稜線では花にもかなりこまめに目をやったのですが、イワインチンはこの一株しかなかったように思います。)
2020年08月19日 07:45撮影 by  Canon PowerShot SX720 HS, Canon
8/19 7:45
イワインチン(今回は花付きの良いタカネビランジを探しながら歩いたので、稜線では花にもかなりこまめに目をやったのですが、イワインチンはこの一株しかなかったように思います。)

装備

個人装備
Tシャツ ズボン 靴下 雨具 日よけ帽子 着替え ザック ザックカバー 昼ご飯 行動食 飲料 常備薬 日焼け止め 携帯 時計 タオル カメラ
備考 暑いと思って防寒着(長袖)を持っていかなかったら、小屋の窓が全開放だったので夕方〜夜は肌寒くて困りました。また鳳凰小屋は食事の時以外は部屋の灯りを点さないので(朝は5:30、夜は17:30〜19:30に点灯)、ヘッドライトを持っていかなくて失敗しました(スマホで代用できましたが)。またトイレも小屋の外なので夜はライトが必要でした。

感想

北岳に登ったときに八本歯のコルから振り返ってみた鳳凰山の姿が忘れられず、いつか登りたいと思っていました。また、稜線の真っ白い砂地に咲く赤いタカネビランジの花も見てみたいとずっと念願していました。本来は夜叉神峠から薬師岳小屋泊まりで登る予定でいたのですが、今年のコロナ関連の諸事情から、急遽青木鉱泉からドンドコ沢を登って鳳凰小屋に泊まり、稜線を歩いて中道を下ってくるルートに変更しました。災害で不通になっていたドンドコ沢のルートが8月8日から再開したのも、このルートを選んだ理由です。
「日本百名山」の深田久弥が、小林秀雄(評論家)・今日出海(作家)と一緒に登ったこのルート。寝不足のまま登った今日出海は、登山中に深田久弥の命を受けた小林秀雄からステッキで叩かれながら登ったと書き残しています。確かにふらついた足下ではいつ崖下に転がり落ちるかわからないほどの急峻なルートでした。しかし途中にはいくつもの滝がちょうど良い具合に位置しており、滝に着くたびに休憩して涼風に吹かれながら息を整えました。中でも最後に見た五色の滝は姿も美しく、水しぶきも心地よいものでした。そして、滝の右の崖には今回の登山の目標の一つでもあるタカネビランジがたくさん咲いていたのも印象的でした。
五色の滝を過ぎると傾斜が緩やかになり、沢の中の砂地を歩いて行くと鳳凰小屋に着きました。鳳凰小屋はまさに昔ながらの小屋という感じでした。でも山小屋でカレーを頂くのは初めてで新鮮でしたし、ソーシャルディスタンスを広く取った部屋で隣になった方とは話も弾みました。小屋の下に咲くタカネビランジや、山梨で絶滅危惧種に指定されているシラヒゲソウも見ることができました。
翌朝は、最初の地蔵岳までの登りが実にきつかった。今回の登りで一番大変だったかも知れません。前半の樹林帯の登りは斜度もきつく、砂地に出てからは砂に足を取られて思うように進めず困りました。でも賽の河原に着くと、目の前に甲斐駒ヶ岳と仙丈ヶ岳がどーんと聳えているのが目に入り、いずれも昨年登頂した山だと思うと、実に感慨深いものがありました。振り返ると後ろには観音岳の向こうに、雲海の上に青く聳える富士山が眺められました。
地蔵岳のオベリスクには登ることができないので、途中まで上がり、ちょうど見頃のホウオウシャジンとタカネビランジを探してカメラに収めました。また、タカネビランジの花の咲く向こうに甲斐駒ヶ岳や北岳が聳える様子をカメラに収めたかったので、そうした場所を探して写真を撮っているうちに、ずいぶんと時間が経ってしまいました。本来ならこの時期はたくさんの人が山にいるはずですが、この日は平日でもあり、コロナ騒動でそもそも山にはほとんど人がいません。単独行の私は記念写真を写すのに難儀しました。
アカヌケ沢の頭から眺めた景色も素晴らしかったです。ここでようやく北岳・間ノ岳・農鳥岳の白峰三山が姿を見せました。振り返ると北には八ヶ岳・蓼科山。北西はるか遠くには北アルプスの山々。さらに遠くには火打山・妙高山まで見えます。北東方向には浅間山など上越の山々から金峰山を初めとする奥秩父の山々、東には深田久弥終焉の地である茅ヶ岳が見えました。
ここからは深田久弥も賞賛した真っ白い砂の道が稜線に沿って続きます。これをたどりながら、右手にはずっと北岳を眺め、足下にはタカネビランジの花を見ながら、雲一つない空の下、心地よい風に吹かれながら軽快に進んでいきます。それにしても、めったにない最高の天気なのに、北岳にも間ノ岳にも誰も登っていないというのはなんとも不思議です。(ひょっとしたらトレランの人などが登っているかも知れませんが)
鳳凰山の最高点の観音岳に到着しました。ここは岩が積み重なっており、たまたま一緒になった方々(前夜鳳凰小屋でテン泊された自衛隊の皆さん。日頃の訓練の甲斐あって立派なガタイにテン泊用の大きな荷物を背負って軽快に歩いて行くのはさすがだなぁと思いました。)に写真を写していただくことができました。それにしても若い方はスマホで写真を撮り慣れているだけあって、皆さんこちらがお願いしたとおりの写真を写して下さるのが嬉しいです。(昔はなかなか上手く撮れず、思い通りの写真が撮れるまで何人もの人にお願いしたり、撮影後に手元不如意でカメラを落とされカメラが壊れてしまい、同行していた人のカメラを借りて写真を写さなければならなくなったりしたこともありました。)観音岳からの眺めも素晴らしく、30分ほど、誰もいない山頂での時間を楽しみました。特に、山頂から見える多くの山々に登頂したことがあるのは、これまた毎度のことながらなんとも感慨深いものがありました。
観音岳から薬師岳までも、真っ白い砂が敷き詰められた美しい稜線でした。正面に富士山、左手に白峰三山、足下にはタカネビランジ。美しい光景をまさに独り占めしながら到着した薬師岳の広い山頂には誰もいません。自衛隊の人たちも直前に下山をし始めたところでした。やむなく山頂標や行先標の上にカメラを置いて、セルフタイマーで記念撮影をしました。そして、この後もう見ることができない山々の姿を目に焼き付け、毎度の事ながら後ろ髪引かれる思いで中道を下りました。
中道は聞きしに勝る長さ。うんざりするほど下り続けますが、途中わずかに平らなところがあり、そこで息をつくことができました。標高が下がるにつれて気温が上がっていくのがよくわかります。終わりに近づいたところでトレランの男性に抜かれましたが、この方はこの日の6時に青木鉱泉を出て約6時間でここまで走ってきたとのこと。毎度の事ながらトレランの方のすごさには感心させられます。
もううんざりと思った頃に廃屋が見え、登山口の林道に出ました。右手に沢の音を聞きながら林道を下ります。青木鉱泉の手前に川を渡る近道があると聞いていましたが、先頃の大水で川を渡るのが困難だとの情報を耳にしていたので、そのまま林道を、青木鉱泉の入り口の橋まで進み、橋を渡って青木鉱泉に戻りました。駐車場では先ほどのトレランの方と再会し、やはり近道で川を渡るのに難儀したとのことでした。私のすぐ後に続いていた自衛隊の皆さんも近道を通って川を渡るのに難儀したようで、結局林道を最後まで歩いた私の方が早く着くことができたようです。
今回の鳳凰山は、素晴らしい天気に恵まれ最高の登山でした。しかし、最初の地蔵岳の登りと最後の中道の下りは、ここ何回かの登山の中では特にハードなものでした。

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