伊吹山の山毛欅の林へ☆川戸谷中尾根〜南東尾根〜上平寺尾根


- GPS
- 06:17
- 距離
- 11.1km
- 登り
- 1,193m
- 下り
- 1,196m
コースタイム
- 山行
- 6:11
- 休憩
- 0:06
- 合計
- 6:17
天候 | 曇りのち晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2020年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
川内谷中尾根〜南西尾根、南尾根は登山道なし 南東尾根から山頂の周回路との間に防鹿ネットあり 詳しくは感想にて |
写真
感想
南東尾根を今年の1月に訪れたところではあるが、その時は冬季閉鎖された伊吹山ドライブウェイを経由して南東尾根を登ったのであった。無雪期は当然ながらドライブウェイを歩く訳にはいかないのだが、果たして1/25,000地図に記されている破線ルートを辿ることが出来るのだろうか否か気になっていた。
比良にも鈴鹿にも厚く雲がかかっているが、どうやら霊仙山と伊吹山のあたりだけは雲を免れて、山の上に青空が広がっている。
伊吹神社の手前の登山口の駐車場に車を停めるともう一台名古屋ナンバーの車が停められている。堰堤の脇にももう一台車があったが、丁度、車の主は自転車に乗って出発して行かれる。
まずは長い林道から始まる。日向では頭上から照りつける日差しが強いが、日陰に入ると谷沿いの涼しい風が吹いてくる。谷を奥へ進むうちに急に雲が広がり、いつしか青空が消えている。
左岸を歩くと対岸に渡る橋が見えるが、その手前で林道は大きく崩落し、完全に消失している。河原を歩き、対岸に渡渉することになる。この辺りからはかつて林道の痕跡を見分けることすら難しいほどの林道は崩壊している。再び左岸に渡る橋があるが、橋の上には数多くの岩が積載されている。大雨の度に積み上げられてきたのだろう。岩の重さに耐えかねて橋が崩落するのは時間の問題だろう。
橋を渡ると谷の出合となる。地図によると右俣と左俣の間の中尾根を西側から取り付くようだが、尾根の取付きがわからなかったので左手の植林の中を歩き、尾根へのトラバースを試みる。すぐにもかなりの急斜面となる。問題がそれだけではない。早くもヒルが次々と靴をよじ登り始める。
急斜面を登り、植林の尾根に辿り着くと、尾根上には明瞭な踏み跡が下から続いている。1/25,000の地図に記されている破線の通り西側からすぐに尾根に取り付くのが良かったのかもしれない。GPSで確認すると丁度、尾根に乗った辺りからは川戸谷の右俣に向かってトラバースする道が続いているはずだ。
谷に向かってトラバースする踏み跡があるように思えるが、踏み跡はすぐにも不明瞭になる。鹿のものと思われる踏み跡を辿って斜面を辿ってみるが、かつての登山道の痕跡は見当たらない。
谷が近づくにつれますます足をよじ登ってくるヒルの数が増えるようだ。頻繁にヒルのチェックを行うが、足元を見る度に数匹のヒルを撥ねとばすことになる。谷の手前で藪と急斜面に進路を阻まれる。右下の谷に向かって急斜面をトラバース気味に下降してゆく踏み跡が目に入るので、ボロボロと崩れそうになる斜面を下降する。
谷に辿り着いて数匹のヒルを靴から落とすが、すぐ足元の地面には何匹ものヒルが私の足をめがけて寄ってくる。このヒルの多さは尋常ではない。遡行するにも谷の両側はかなり急峻な斜面であり、滝があったとしても斜面に逃れることが難しそうだ。それよりもこのヒルの尋常ならざる多さが谷を遡行することを断念させた。
尾根が近づくと植林地となり、また足元のヒルも少なくなる。尾根に戻ると尾根上には明瞭な踏み跡が上へと続いている。地図ではこの尾根を登る破線も記されている。果たしてこの踏み跡がどこまで続いているのかわからないが、行けるところまで行ってみることにしよう。
登るにつれて古道と思われる掘割の道が現れる。下生のない尾根は歩きやすく、急速に高度を上げていく。先ほどまでとは異なり、尾根上にはヒルの気配は感じられない。尾根を歩き始めてからはヒルの姿を見かけることはなくなった。
ca900mほどのところで唐突に植林が終わる下生のない自然林が続く。このあたりになると流石にかなり涼しさを感じるようになる。このまま尾根を直登出来そうな気もするが、それはあまり良い考えではない。というのももう少し高度が上がると榧の幼木が現れ、その藪の間を進むのは非常に困難だからである。
伊吹山から南東に伸びる尾根に向かって地図で破線が記されているca950mのあたりで、右手の斜面にトラバースする。果たしてかつての登山道の跡かどうかわからないが薄い踏み跡があり、今度は容易に斜面をトラバースすることが出来る。尾根に乗ると見覚えのある登山道が現れた。
斜面をトラバースしながら榧の樹の間をなだらかに進むかつての登山道を忠実に辿る。この踏み跡を少しでも外すとバリケードのような榧の藪が待ち受けている。登山道が折り返して、再び尾根の上に出ると石灰岩のガレ地に出ると、正面には養老山地と霊仙山の展望が広がる。
霊仙山の左手に見えるのは四日市の市街だろう。すぐ眼下の尾根に走るドライブウェイの左手には広大な濃尾平野の彼方に名古屋の高層ビル街が見える。好展望を眺めながらランチ休憩にする。
尾根を辿るとca1170mの台地状のピークの手前で林相が変化し、美しい山毛欅の樹林が広がるようになる。伊吹山にこのような山毛欅の樹林があることがなんとも意外に思われてならないが、ここはなんとも雰囲気の良いところだ。この南東尾根のハイライト、随一の見所は眺望ではなく、この山毛欅林と言っていいだろう。
ピークを越えたところには小さな池が現れる。前回ここを訪れた時は雪で林床が雪で覆われていたので当然ながら池は見ることは出来なかったのだ。樹林の中に気まぐれに現れる霧が山毛欅の林を白いヴェールで飾っては足早に過ぎ去っていく。しばしの間、幻想的な美林の中を歩く至福に浸る。
残念ながら山毛欅の樹林はそう長くは続かない。そもそもこの南東尾根自体が短いのだ。山毛欅の樹林を抜けると灌木帯となり、細尾根の上の踏み跡は消失する。灌木帯を抜けると草地が広がるようになる。広い山頂台地の東端はすぐである。振り返ると広大な展望が開ける筈なのであるが、東から瞬く間に雲が登ってきて濃尾平野方面の眺望を覆い隠す。
ようやくたどり着いたと思って安心したのも束の間、思いがけない問題が待ち構えていた。防鹿ネットが張り巡らされており、山頂台地を周回する登山道に入ることが出来ない。冬に歩いた時には防鹿ネットが外されていたので、何の問題もなく登山道に入ることが出来たのであった。
ネットに沿って進むうちに家内がネットに空いた穴を見つける。穴の覆うようにもう一枚ネットが被せてあるのだが、そのネットを持ち上げて穴を潜り抜けることが出来るのであった。この南東尾根を登ってくる登山者がいるということは完全に想定外なのだろう。
登山道を伊吹山の山頂方面に向かって歩くと晒菜升麻の群落が風にゆらゆらと揺れている。この山頂台地の周回路は一方通行であったことに後から気がつく。
伊吹山の山頂のあたりはかなりの人がいる。売店で炭酸ジュースを一本、頂くと、山頂を後に南尾根を下降する。かなりの急下降ではあるが、カレンフェルトの岩の間に程よく足場を見つけて下るのはそれほど難しくはない。
西の方角には琵琶湖が雲の間から溢れる光を受けて鈍い金属的な光を反射している。下降するにつれて傾斜も徐々に緩やかになる。カレンフェルトの岩場が終わり草原が広がるようになるとススキが秋風に揺れている。振り返ると伊吹山の上の方はすっかり厚い雲に覆われいる。
この南尾根の核心部は岩場の急下降よりもむしろ榧の樹林のあたりだろう。榧の低木の藪が鬱陶しいので、藪の薄いところを抜ける踏み跡を見失わないように気をつける必要があるが、このあたりになると頻繁にテープが現れるようになる。
榧の林が唐突に終わると熊笹が林床を覆う自然林になる。五合目から上平寺尾根にトラバースする登山道となかなか出会わないなと思ってGPSを確認すると少し西側の尾根を辿っていた。尾根上の丈の低い笹原の間にはしっかりと踏み跡があるので辿るのに全く問題がないのだが。
京極氏が築いたとされる上平寺城のノスタルジーが漂う城跡に出る。あとは最後はかつての登城道だったと思われる掘割の深い道を一気に下る。伊吹神社が近くなったところで前を歩く単独行の男性に追いつく。
我々が登山口の駐車場に帰り着くとすぐに男性も帰着される。男性は隣の名古屋ナンバーの車の主であった。男性は南尾根を登られて五合目から上平寺尾根に戻ってこられたようだ。男性が登られた時は南尾根は10m先も見えないほどの濃い霧だったそうだ。この日、山頂から展望を見ることが出来たのはわずかな短い間のことだったのかもしれない。
名神高速を京都に向かうと天高い空が夕暮れの色に染まっていくのだった。
こんばんは。遅いコメント失礼します。
南東尾根に南尾根、伊吹山の未踏の尾根ルートにはなんとも魅力的な場所があるのですね。特に南東尾根の山毛欅林、美しそうですね。意外な印象を受けましたが、是非訪れてみたいものだと思いました😊
それにしましても、そこへ至るまでの谷ルートは恐ろしいですね。次々に襲い掛かってくる奴ら。レコを拝見しているだけで鳥肌が立ちました。
というのも、先般の山行で、2回連続で吸血被害に遭いましたが、何とそれが原因と思われる蕁麻疹に3夜連続で悩まされました。ほぼ全身の至る所に現れた湿疹による痒み。
取り付かれて吸血されても気持ち悪くて血が止まり難いだけだと侮っておりましたが、今後はかなりの危機感を持って対処していかねば!と思った次第です😂
うりさん コメント有難うございます。
南東尾根のca1170mピークのあたりの山毛欅の樹林は魅力的なのですが、この無雪期にこのルートを辿る問題点あるいは最大の核心部は山頂の周回路との間を防鹿ネットだと思います。今回、家内がうまくネットにあいた穴を見つけたからよかったものの、山頂部を完全にネットに囲まれているので、簡単には越えることが出来ないと思います。
それから南東尾根に入るには今回私たちの辿った川戸谷の中尾根を歩けば良いので、ここはヒルの心配は少ないと思います。今年は昨年、一昨年の暖冬のせいでとりわけヒルが多いのだと思いますが、ヒルのいる季節にこの川戸谷に入るものではないと思いました。
うりさんの蕁麻疹は大変でしたね。二次感染かアレルギーかと思いますが、ヒルに噛まれてもう一度同じ症状が出ればアレルギーかと思います。私達は携行はしてはいないのですが抗ヒスタミン軟膏とポイズンリムーバーを用意された方がいいかもしれません。それから全身に蕁麻疹が出たら抗ヒスタミン薬の飲み薬がいいと思います。
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