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Yamareco

記録ID: 281264
全員に公開
積雪期ピークハント/縦走
鳥海山

鳥海山 ホワイトアウトで滑落 靭帯損傷 百名山40座目

2013年03月29日(金) [日帰り]
 - 拍手
体力度
5
1泊以上が適当
GPS
10:06
距離
23.0km
登り
1,871m
下り
1,854m
歩くペース
速い
0.70.8
ヤマレコの計画機能「らくルート」の標準コースタイムを「1.0」としたときの倍率です。

コースタイム

日帰り
山行
9:49
休憩
0:18
合計
10:07
6:14
360
スタート地点
12:14
12:29
10
12:39
12:41
219
16:20
ゴール地点
発電所   6:15
470m    6:39
680m    7:36
905m    8:21
鳥越川・赤川分岐地点 8:37
標高1500m 10:05
標高1600m 10:19
標高1700m 10:33
標高1900m 11:13
標高2000m 11:27
標高2100m 11:42
大物忌神社(付近)12:00
新山山頂  12:12
下山開始  12:32
大物忌神社 12:38
標高2100m 12:42
標高2000m 12:54
標高1900m 13:03
標高1800m 13:11
標高1700m 13:15
標高1600m 13:22
標高1500m 13:31
鳥越川・赤川分岐地点 14:33
905m   14:43
680m   15:19
470m   15:57
発電所  16:16

往復所要時間 10時間01分 歩行距離約23km
天候 晴れのち暴風雪
過去天気図(気象庁) 2013年03月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車
県道58号最終除雪地より林道を約1キロ走った水力発電所前へ駐車
コース状況/
危険箇所等
標高1600m付近までは腐った雪が多くスノーシューが有効
それ以上はアイゼン・ピッケルが必須

標高1800m以上の斜面ではアイスバーンが多く、一部ピッケルやアイゼンも刺さらないカリカリのアイスバーン斜面あり

下山時ホワイトアウトになりアイゼンの刺さらないアイスバーンに踏み入れ滑落
左足首靭帯損傷
足首は痛むが単独行のうえ携帯電話も繋がらないので痛みを我慢して約10km歩いて下山しました
県道58号最終除雪地
2013年03月29日 06:00撮影 by  DSLR-A550, SONY
3/29 6:00
県道58号最終除雪地
県道58号最終除雪地横に林道が伸びています
2013年03月29日 06:00撮影 by  DSLR-A550, SONY
3/29 6:00
県道58号最終除雪地横に林道が伸びています
林道を約1キロ進むと発電所があります。
橋を渡った向こうが発電所です。
クルマはUターン済みです
2013年03月29日 06:15撮影 by  DSLR-A550, SONY
3/29 6:15
林道を約1キロ進むと発電所があります。
橋を渡った向こうが発電所です。
クルマはUターン済みです
鳥海山

鳥海山まで少々距離があります
2013年03月29日 06:33撮影 by  DSLR-A550, SONY
1
3/29 6:33
鳥海山

鳥海山まで少々距離があります
スノーモービルの跡があります

クサッタ雪の中をつぼ足で進みます。
クルマからスノーシューを持って来れば良かったとこの時点で後悔し始めています(汗)
2013年03月29日 06:41撮影 by  DSLR-A550, SONY
3/29 6:41
スノーモービルの跡があります

クサッタ雪の中をつぼ足で進みます。
クルマからスノーシューを持って来れば良かったとこの時点で後悔し始めています(汗)
2013年03月29日 06:46撮影 by  DSLR-A550, SONY
3/29 6:46
熊注意の看板

熊鈴を付けていますが、効果は如何に・・・
2013年03月29日 06:51撮影 by  DSLR-A550, SONY
3/29 6:51
熊注意の看板

熊鈴を付けていますが、効果は如何に・・・
熊の足跡??
2013年03月29日 06:52撮影 by  DSLR-A550, SONY
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3/29 6:52
熊の足跡??
どうやらここは湿原らしい・・・

雪に埋もり湿原の面影はありません
2013年03月29日 06:58撮影 by  DSLR-A550, SONY
3/29 6:58
どうやらここは湿原らしい・・・

雪に埋もり湿原の面影はありません
発電所への送水パイプ
2013年03月29日 06:58撮影 by  DSLR-A550, SONY
3/29 6:58
発電所への送水パイプ
足がズボズボと埋まります

とても歩きにくいです
2013年03月29日 07:17撮影 by  DSLR-A550, SONY
3/29 7:17
足がズボズボと埋まります

とても歩きにくいです
日が昇ってきました
2013年03月29日 07:24撮影 by  DSLR-A550, SONY
3/29 7:24
日が昇ってきました
振り返ると風力発電所が見えます
2013年03月29日 07:58撮影 by  DSLR-A550, SONY
3/29 7:58
振り返ると風力発電所が見えます
朝陽が眩しい〜
2013年03月29日 07:58撮影 by  DSLR-A550, SONY
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3/29 7:58
朝陽が眩しい〜
外輪山が目の前に迫ってきました
2013年03月29日 08:00撮影 by  DSLR-A550, SONY
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3/29 8:00
外輪山が目の前に迫ってきました
外輪山
2013年03月29日 08:00撮影 by  DSLR-A550, SONY
3/29 8:00
外輪山
外輪山
2013年03月29日 08:00撮影 by  DSLR-A550, SONY
3/29 8:00
外輪山
鳥海山に少しずつ近づいてきました
2013年03月29日 08:21撮影 by  DSLR-A550, SONY
3/29 8:21
鳥海山に少しずつ近づいてきました
雪崩跡
2013年03月29日 08:23撮影 by  DSLR-A550, SONY
1
3/29 8:23
雪崩跡
鳥越川へ踏み抜き注意

積雪3mといったところでしょうか?
鳥越川へ踏み抜きを注意して進みます。
この付近の積雪はモナカ状になっており、ところどころで腰まで踏み抜きます。
2013年03月29日 08:25撮影 by  DSLR-A550, SONY
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3/29 8:25
鳥越川へ踏み抜き注意

積雪3mといったところでしょうか?
鳥越川へ踏み抜きを注意して進みます。
この付近の積雪はモナカ状になっており、ところどころで腰まで踏み抜きます。
鳥海山
2013年03月29日 08:30撮影 by  DSLR-A550, SONY
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3/29 8:30
鳥海山
鳥海山と鳥海山から続く外輪山
2013年03月29日 08:30撮影 by  DSLR-A550, SONY
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3/29 8:30
鳥海山と鳥海山から続く外輪山
外輪山
2013年03月29日 08:30撮影 by  DSLR-A550, SONY
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3/29 8:30
外輪山
外輪山
2013年03月29日 08:30撮影 by  DSLR-A550, SONY
3/29 8:30
外輪山
外輪山

写真では伝わりにくいのですが、迫力がある岩稜です
2013年03月29日 08:30撮影 by  DSLR-A550, SONY
3/29 8:30
外輪山

写真では伝わりにくいのですが、迫力がある岩稜です
左手には赤川が寄り添ってきました

鳥越川と赤川の間の中州のような狭い丘陵地を進みます
2013年03月29日 08:35撮影 by  DSLR-A550, SONY
3/29 8:35
左手には赤川が寄り添ってきました

鳥越川と赤川の間の中州のような狭い丘陵地を進みます
2013年03月29日 08:35撮影 by  DSLR-A550, SONY
3/29 8:35
2013年03月29日 08:44撮影 by  DSLR-A550, SONY
3/29 8:44
表層雪崩れ跡

雪崩れた跡の足元に見える雪の塊ですがダンプくらいの大きさがある物もありす
これが人にぶつかればひとたまりも無いでしょう
2013年03月29日 08:44撮影 by  DSLR-A550, SONY
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3/29 8:44
表層雪崩れ跡

雪崩れた跡の足元に見える雪の塊ですがダンプくらいの大きさがある物もありす
これが人にぶつかればひとたまりも無いでしょう
2013年03月29日 08:51撮影 by  DSLR-A550, SONY
3/29 8:51
雪原丘陵地帯を進みます

勾配は緩いのですが、雪が腐っているので歩き難いです。
あぁスノーシューを持参すれば(涙)
2013年03月29日 09:18撮影 by  DSLR-A550, SONY
3/29 9:18
雪原丘陵地帯を進みます

勾配は緩いのですが、雪が腐っているので歩き難いです。
あぁスノーシューを持参すれば(涙)
雪庇

少し判り難いですが、写真右下に大きな雪庇があります。
おおよそはなだらかな雪面なのですがこういった雪庇が所々にあります。
要注意です
2013年03月29日 09:39撮影 by  DSLR-A550, SONY
3/29 9:39
雪庇

少し判り難いですが、写真右下に大きな雪庇があります。
おおよそはなだらかな雪面なのですがこういった雪庇が所々にあります。
要注意です
2013年03月29日 09:39撮影 by  DSLR-A550, SONY
3/29 9:39
2013年03月29日 09:39撮影 by  DSLR-A550, SONY
3/29 9:39
砂丘ならず雪丘です。

真っ白で美しいのですが、とても歩き難いです
2013年03月29日 09:39撮影 by  DSLR-A550, SONY
3/29 9:39
砂丘ならず雪丘です。

真っ白で美しいのですが、とても歩き難いです
頂上が少しガスってます
2013年03月29日 09:39撮影 by  DSLR-A550, SONY
3/29 9:39
頂上が少しガスってます
丘陵帯頂上付近には所々で岩が露出します

ひとたび風が当たればキツイ場所なのでしょう
2013年03月29日 09:50撮影 by  DSLR-A550, SONY
3/29 9:50
丘陵帯頂上付近には所々で岩が露出します

ひとたび風が当たればキツイ場所なのでしょう
2013年03月29日 09:50撮影 by  DSLR-A550, SONY
3/29 9:50
雪丘帯を進む
2013年03月29日 09:51撮影 by  DSLR-A550, SONY
3/29 9:51
雪丘帯を進む
外輪山の稜線が近づいてきました
2013年03月29日 11:18撮影 by  DSLR-A550, SONY
3/29 11:18
外輪山の稜線が近づいてきました
外輪山

外輪山から時おり雪崩れの音が響いてくる
2013年03月29日 11:18撮影 by  DSLR-A550, SONY
3/29 11:18
外輪山

外輪山から時おり雪崩れの音が響いてくる
外輪山
2013年03月29日 11:18撮影 by  DSLR-A550, SONY
3/29 11:18
外輪山
外輪山

先ほどまで見上げていた外輪山の一部を見下ろすようになりました。
2013年03月29日 11:18撮影 by  DSLR-A550, SONY
3/29 11:18
外輪山

先ほどまで見上げていた外輪山の一部を見下ろすようになりました。
2013年03月29日 11:47撮影 by  DSLR-A550, SONY
3/29 11:47
頂上まであと僅か

外輪山の稜線が近づいてきました
2013年03月29日 11:47撮影 by  DSLR-A550, SONY
3/29 11:47
頂上まであと僅か

外輪山の稜線が近づいてきました
大きな雪塊

岩か??と思っていましたが、今考えると大物忌神社らしい・・・
2013年03月29日 11:55撮影 by  DSLR-A550, SONY
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3/29 11:55
大きな雪塊

岩か??と思っていましたが、今考えると大物忌神社らしい・・・
頂上で記念撮影

暴風雪のなか頂上で記念撮影です。
ホワイトアウトで何にも見えません。

気温はあまり低くは無いのですが、少しでも風に当たると一気に顔面が凍結します
2013年03月29日 12:26撮影 by  DSLR-A550, SONY
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3/29 12:26
頂上で記念撮影

暴風雪のなか頂上で記念撮影です。
ホワイトアウトで何にも見えません。

気温はあまり低くは無いのですが、少しでも風に当たると一気に顔面が凍結します
「何か頂上の証拠になるものは無いか?」

とシャッターを押しますが・・・
何が写っているのやら私にもわかりません(汗
2013年03月29日 12:29撮影 by  DSLR-A550, SONY
3/29 12:29
「何か頂上の証拠になるものは無いか?」

とシャッターを押しますが・・・
何が写っているのやら私にもわかりません(汗
ホワイトアウトのなか・・・
頂上にある大きな岩の上によじ登り撮った写真です。
でも・・・何のコッチャ自分にも訳の判らない光景です。
2013年03月29日 12:29撮影 by  DSLR-A550, SONY
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3/29 12:29
ホワイトアウトのなか・・・
頂上にある大きな岩の上によじ登り撮った写真です。
でも・・・何のコッチャ自分にも訳の判らない光景です。
2013年03月29日 12:30撮影 by  DSLR-A550, SONY
3/29 12:30
頂上の光景

ヤケクソになって撮りまくっています。
2013年03月29日 12:30撮影 by  DSLR-A550, SONY
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3/29 12:30
頂上の光景

ヤケクソになって撮りまくっています。
2013年03月29日 12:30撮影 by  DSLR-A550, SONY
3/29 12:30
大物忌神社

登山時は気が付きませんでした。
木の柱をみて初めて神社だと判明しました
頂上付近で人工物を初めて見ることが出来ました
(汗
2013年03月29日 12:41撮影 by  DSLR-A550, SONY
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3/29 12:41
大物忌神社

登山時は気が付きませんでした。
木の柱をみて初めて神社だと判明しました
頂上付近で人工物を初めて見ることが出来ました
(汗
大物忌神社らしい・・・

雪に埋もっていて建物とは判りませんでした
2013年03月29日 12:41撮影 by  DSLR-A550, SONY
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3/29 12:41
大物忌神社らしい・・・

雪に埋もっていて建物とは判りませんでした
大物忌神社らしい・・・

神社の屋根??

どこか一時避難できる場所を探しましたがありません
2013年03月29日 12:41撮影 by  DSLR-A550, SONY
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3/29 12:41
大物忌神社らしい・・・

神社の屋根??

どこか一時避難できる場所を探しましたがありません
大物忌神社らしい・・・

この十数分後にホワイトアウトのなか滑落し左足首靭帯損傷をしました
2013年03月29日 12:41撮影 by  DSLR-A550, SONY
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3/29 12:41
大物忌神社らしい・・・

この十数分後にホワイトアウトのなか滑落し左足首靭帯損傷をしました
ようやく少し晴れてきました

それでも殆ど視界は利きません
2013年03月29日 13:14撮影 by  DSLR-A550, SONY
3/29 13:14
ようやく少し晴れてきました

それでも殆ど視界は利きません
ようやく自分の目で現在地を確認することが出来ました。
ホッとしましたが・・・
足の痛みはどうしようもありません
2013年03月29日 13:53撮影 by  DSLR-A550, SONY
3/29 13:53
ようやく自分の目で現在地を確認することが出来ました。
ホッとしましたが・・・
足の痛みはどうしようもありません
現在地確認のための写真です

この後もホワイトアウトした際の参考になると考え撮影
2013年03月29日 14:00撮影 by  DSLR-A550, SONY
3/29 14:00
現在地確認のための写真です

この後もホワイトアウトした際の参考になると考え撮影
2013年03月29日 14:00撮影 by  DSLR-A550, SONY
3/29 14:00
登りではハッキリ見えた外輪山も殆ど見えません

写真の画像が歪んでいるのはレンズが凍結しているからです
2013年03月29日 14:18撮影 by  DSLR-A550, SONY
3/29 14:18
登りではハッキリ見えた外輪山も殆ど見えません

写真の画像が歪んでいるのはレンズが凍結しているからです
2013年03月29日 14:18撮影 by  DSLR-A550, SONY
3/29 14:18
外輪山と鳥越川

鳥越川への雪庇に気をつけて進みます。
帰りもやはり腰まで踏み抜きます
2013年03月29日 14:40撮影 by  DSLR-A550, SONY
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3/29 14:40
外輪山と鳥越川

鳥越川への雪庇に気をつけて進みます。
帰りもやはり腰まで踏み抜きます
取水ダム
2013年03月29日 15:43撮影 by  DSLR-A550, SONY
3/29 15:43
取水ダム
2013年03月29日 15:43撮影 by  DSLR-A550, SONY
3/29 15:43
川の水が美しい

夏場、子供連れてきたら喜ぶような河原
2013年03月29日 15:43撮影 by  DSLR-A550, SONY
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3/29 15:43
川の水が美しい

夏場、子供連れてきたら喜ぶような河原
2013年03月29日 15:43撮影 by  DSLR-A550, SONY
3/29 15:43
クルマがチラッと見えました

助かったぁ〜
2013年03月29日 16:18撮影 by  DSLR-A550, SONY
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3/29 16:18
クルマがチラッと見えました

助かったぁ〜
橋の向こうに水力発電所があります。

山から発電所へパイプが下っているのが判ります
パイプ頂上の高さが鳥越川取水口の標高です
2013年03月29日 16:20撮影 by  DSLR-A550, SONY
3/29 16:20
橋の向こうに水力発電所があります。

山から発電所へパイプが下っているのが判ります
パイプ頂上の高さが鳥越川取水口の標高です
撮影機器:

感想

鳥海山で左足首靭帯損傷の怪我をしました
怪我をしたのが山頂直下だったため怪我した足を引きずって約10キロも歩かねばなりませんでした

山形での用事が済みどこか東北の百名山を登ろう!!と急遽鳥海山を登ることに
安達太良山か那須山にでも登っておけば良かったものを、冬季バリエーションルートを選んだ判断が怪我の元であった・・・

<前日>
秋田県側からクルマで登れる道を事前調査
県道58号最終除雪地より林道を約1キロ走った水力発電所前から登ることに・・・
夕方携帯で確認した天気予報は悪くなく頂上付近の気温も零下にはならない。登山日和になると思っていた。

Kガイド氏にも相談
「ホワイトアウトと日本海から吹き付ける風に気をつけるように」と指導を受ける


<水力発電所前〜鳥越川取水口>
6:15 水力発電所前(標高382m)にクルマをとめ登山開始
スノーモービルの走行跡が取水口まで続いている。夏場はクルマが走る林道なのだろう
登山開始して暫くして足首まで雪を踏み抜き始める
ホンの十センチ足が雪に埋もれるだけでとても歩き難い
スノーシューをクルマに取りに戻ろうか?とも思ったが、そのまま登る


<鳥越川取水口〜鳥越川・赤川分岐地点>
林道が終わり登山道となる
樹林帯の中を進む 
一旦鳥越川とは離れる
スキーやスノーシュー等のトレースがしっかりしているので道に迷うことは無いが、あいかわらず踏み抜くことが多い(汗
時おりウサギ・鹿そして熊の足跡がある
樹林帯が薄くなり、目の前に外輪山が迫ってくると左手から赤川が寄り沿ってくる
そして右から鳥越川も近寄ってきて中州に出来た稜線を進む
鳥越川の水面から憶測するに積雪は3mほど
赤川と鳥越川の間がいよいよ狭くなり蟻の戸渡りのような場所を歩くのだが、時おり腰まで雪を踏み抜く。踏み抜いた後は雪の中を四つん這いなって五体頭地のような要領で進む
とても疲れる

8:37鳥越川・赤川分岐地点標高約940m
歩行距離約5.7km 標高差約550m 所要時間約2時間20分


<鳥越川・赤川分岐地点〜新山頂上>
鳥越川・赤川分岐地点付近からは森林限界になり右手に外輪山眺めながら雪原を進むことになる
砂丘ならず雪丘という感じだ
右手外輪山からは時おり小規模な雪崩が発生し音が聞こえる

天気は快晴
風もなく絶好の登山日和
トテモ暖かく上半身は長袖シャツ一枚のみ
時おり雪に足をとられ疲れるもののつぼ足で登る
http://www.facebook.com/photo.php?v=417428188348635&l=1338748948221643057

雪丘をいくつか登ると雪丘頂上付近の斜面にクラックを発見
また一歩一歩踏み出すごとに広範囲の雪中からピシピシッと雪面の割れる音が聞こえる
これに雨でもふれば全層雪崩れ可能性が一気に高まるのだろう

外輪山に沿って鳥越川が谷となって流れているが、シュルンドが怖いので雪丘の中央付近を積極的に歩く
但しここにも時おり雪庇があり注意して進まねばならない(雪庇を踏み抜いても2mも無いので怪我の心配はあまりなさそう)

暫し進み外輪山の稜線が目線に近づいてくる高さになると、斜面がいっそうきつくなりザクザクの雪なのだがピッケルが必要になる。手に持つストックをピッケルへ交換。
気温もグッと下がってきたのでゴアテックスジャンパーを着込む

さらに暫く歩くと、稜線の雪面がアイスバーンになりアイゼンを装着する
アイゼンを装着する際の姿勢は必ず守るようにと言われていたが、この時その意味が身を持って理解することが出来た

頂上と外輪山の稜線もうすぐという地点になると谷下から猛烈な風が吹き上げてきた。
登山時には追い風でラクなのだが、下山時は難儀するな・・・と思いつつ登る

片手ピッケル・片手ストックという姿勢で登り続けると今度はピッケル・アイゼンが刺さらないアイスバーンが数箇所現れた
かなり叩きつけるとアイゼンやピッケルが刺る
このようなアイスバーンはホンの数mなので直登する
また数十m谷側へトラバースすれば雪面が見えアイスバーンを避けて登れることが見て取れた
ここは避けなければならない要チェック

新山と外輪山を繋ぐ吊尾根到着直前になって一気にガスが沸いてきた
視界が一気に落ちる

吊尾根に着くと巨石のようなスノーモンスターがいくつもある(今考えるとこれが大物忌神社だったと思う)
ここから視界は悪くなり一気にホワイトアウトになる
また大粒のみぞれも体にぶつかる
数m先が見えない
どうやら雪原に出たようなのだが、どれが頂上か判明しない。
とりあえず緩やかな傾斜を登り一番高いところを目指すのだが、その一番高いところの向こうが雪庇になっていたらたまったものではない。
GPSで現在地を確認しながら頂上を探すのだが、標識等人工物は一切無く、どこが三角点なのか判らない。
風はきつくハイドレのパイプが一気に凍りついてしまった
リュックの中にある予備のお茶を飲む
気温はマイナス数度とあまり寒くないが、風がキツイ!!
瞬間的には風速20mを超える
強風の中 大急ぎでゴアテックスジャンパーの下にフリースを着込む
強風時の服の脱ぎ着は至難の技
顔に当たるみぞれが痛い

GPSの三角点の付近に巨岩があったのでその頂上よじ登り、頂上として納得することにする。
風がきつく髪・眉毛・顔が凍る

12:12新山頂上2236m

区間歩行距離約6.5m 区間標高差約1300m 区間所要時間3時間35分
歩行距離約12km 標高差約1854m 所要時間約6時間



<新山頂上〜鳥越川・赤川分岐地点>
新山頂上を12:32に出発
ホワイトアウトで視界は数m
GPSとコンパスを頼りに下山する
突如目の前に現れたスノーモンスター、よく見ると「柱」が見える
どうやらこれが大物忌神社らしい

どこか建物の中に入れる場所は無いか?風をしのげる場所は無いか?探してみるが建物に入れるどころか、残念ながら風をしのげる場所さえも無い

仕方ないのでこのまま一気に下山する
ホワイトアウトで視界も殆ど利かず、GPSとコンパスだけを頼りに下山

一番低い谷へ沿って下山したいが、シュルンドが怖い
しかし稜線側を歩くと雪庇が怖い

視界の利かないなか谷と稜線の間を注意しながら進む
風も恐ろしくきつく、足許を見ながら歩くのが精いっぱい
ふと気が付くと崖に出くわした
視界が利かないなので崖の深さが判らない
暫く目を凝らして見るとホンの数m先は崖が緩くなっているのが見える
慎重に崖を降りる

さらに進むと知らぬ間に谷へ足が向いていた。シュルンドが怖いので、谷からはずれて稜線側へ移動する...これが裏目に出ることに

相変わらず視界は利かない・・・

アッと思ったその瞬間

アイゼンの爪がスベリ、次の瞬間尻モチを付き一気に体が滑り出す
滑落してしまった

ホワイトアウト視界ゼロ
怖さで左足を突き出した瞬間、アイゼンが雪面にささった、しかし足首を捻っただけで一旦滑り出した体は止まらない

うつ伏せになり、滑落停止姿勢。必死になって脇を絞め両手でピッケルを雪面に突き刺す
3回目でようやく雪に突き刺さり滑落停止
一連の出来事はホンの数秒のコトですがトテモ長い時間に感じました

足首が一気にパンパン腫れた
立ち上がると髪の毛が逆立ちそうになるくらい痛い!!
痛くて痛くて堪らない!!
足首から左脚全体にジンジン響く

ビバーク用品も有るが、ここで立ち止まったら強風のなか凍え死ぬのみ・・・
携帯電話も繋がらない。僕に出来ることは歩いて下山することのみ

暫らくするとホンの瞬間的に数m先が見えた。
足元が緩やかになっており一旦尻セードでこの急斜面から降りる

斜面からおり、立ち上がる。足は痛い・・・しかしそのまま歩みを進める
高度を下げるとアラレは収まってきたが相変わらず視界は利かない GPSとコンパスだけが頼り
最初のうちは踏み出す一歩一歩がとても痛かったのだが、徐々に痛みになれてきた

標高1800mを下回るとガスも少し晴れてきて視界百mくらいになる瞬間も出てきた
視界が利く急斜面の下りでは積極的に尻セードで降りる
尻セードで降りると雪面なのに尻が熱くなる

雪原のなか、とにかく頑張って下山を続ける

ふとガスが透けたホンの瞬間、人とスノーモービルが見えた
すぐにガスに包まれホワイトアウトとなる
「お〜い助けてくれ〜」
腹のそこから大きな声で叫ぶ
大急ぎで斜面を降りて近づいて行く、そうするとガスの中から現れたのは二つの岩だった。
そぅ人とスノーモービルだと思ったのはただの二つの岩だった・・・
考えてみたらスノーモービルでここまで来る人は居ないだろう・・・
人間というのは追い詰められたら、自分の都合の良いように物が見えてくるというのを身をもって体験した

落ち着かねばならない。
ここで喉が渇いていることに気が付いた
ハイドレのパイプを眺めると先ほどまで凍っていたパイプ内の水分がシャーベット状になっているのが判った
思いっきりパイプを吸うと、シャーベットが出てたあと、飲料が一気に口の中に出てきた。
スニッカーズもヒトかじりして腹も落ち着けさせる

谷の一番底に降りるとガスも晴れ外輪山の稜線も見えるようになってきた
ピッケルを片付け両手ストックに持ち帰る
時おり登山時につけた僕のトレースを確認することができるようになってきた
ホッとする

14:33鳥越川・赤川分岐地点
区間歩行距離約6.5m 区間標高差約1300m 区間所要時間約2時間
足を挫いたものの登りより1時間半早い


<鳥越川・赤川分岐地点〜鳥越川取水口>
鳥越川・赤川分岐地点をすぎ、雪で苦労した腰までの踏み抜き地点も何とか通過
鳥越川が離れ、赤川も離れてゆく時、僕が登山時に付けた後に出来たトレースが現れた
このトレースもアイゼンも着けないつぼ足
しかしこのトレースは時々寄り道をする。
トレースを頼りに下山していると寄り道をするトレースは都合が悪い
極力自分のクツ裏を形を確認しながら慎重に下山する

もうスリップの心配もないのでアイゼンを外す

下り勾配区間では少々足が雪に埋まっても難なく歩けたが、殆ど平地状態になると、足が埋もったときの一歩がしんどくなる

左手から川の音が近づいてきて、30mほどの急斜面を下ると鳥越川取水口に到着


<鳥越川取水口〜水力発電所前>
夏になるとクルマが走るであろう林道に出る
途中から増えた一人の踏み跡以外は今日僕が歩いた以降人が歩いた気配は無い
この踏み跡も途中で県道方向へ曲がって行き、僕一人の踏み跡だけになる

山の上から大きなパイプが斜面を下っているのが見えてきた
あの麓がクルマを停めた水力発電所だ!!

痛みを堪えつつ足が速くなる

クルマが見えた。
「助かった〜」
という気持ちが胸いっぱいに広がる

今まで不安だった気持ちが一気に晴れる


発電所  16:16着

下山所要時間 4時間44分 歩行距離11.5km
往復所要時間 10時間01分 歩行距離23km


<下山後>
普段なら下山時クルマに到着後はスパッツを脱いで、登山クツを脱いで着替えをしてクルマに乗り込む・・・ところだが、ここも未だ人の気配が一切無い場所

少しでも人の気配のある場所に下りたくて、クツも脱がず着替えもせず、クルマを人の気配(車の走る)があり且つ携帯電話の圏内まで走らせて、初めてひとここちつく
携帯電話メールで下山報告をして、クツを履いたまま車内で休憩

気が抜けたからだろう・・・
先程まであまり気にならなかった足が一気にジンジンと痛みだし始めた
でもそんな痛む状態でも安らかに休憩することが出来たのでした

<反省>
その1
ホワイトアウト中の下山
ホワイトアウトの中を下山したのがの最大の失敗でした。
風がきつくアラレも叩きつけ、こんな場所から一刻も早く降りたい一心で動いてしまった。
ただしこういった猛烈な環境でビバークするほうが正しいか?どうか?疑問もあります。

その2
アイゼンの爪を研いでいなかった
直接的な原因はこれに尽きます。
昨年末に購入したグリデル12本爪
今期すでに10回以上使用しており、爪の先はホンの少し削れていた
「アイゼンは触ったら血が出るくらい鋭く研ぐ」
とご指導をいただきました。

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コメント

よく頑張った!
生還、良かったです。

ゆっくり休んで足治して、また山登ってください!
2013/4/1 22:37
ありがとうございます
整形外科で痛みが引くのは約3週間と言われました。

その後また百名山踏破登山を再開したいと思います。
2013/4/2 9:36
ご無事でよかったですね
まずはご無事でよかったですね。
私も2月に谷川で左足首を骨折し2か月間山に行かれずじまいです。でも自分の姿勢を猛省し、山に向かう気持ちを新たにしてまた登りたいと思っています。
どうぞゆっくり休養し、再びチャレンジしてください。
お大事に。
2013/4/8 22:17
ありがとうございます
2月に谷川で骨折ですか・・・それはタイヘンな思いをされましたね。
さぞや心細かったことだろう思います。

幸いにして私は歩けたので良かったのですが、骨折をしていたことを考えるとゾッとします。

早く体を直してくださいね。
お互いがんばりましょう!!
2013/4/8 23:25
初めまして
鳥海山の麓にあります山岳会の一会員です。

千蛇谷上部を下降中に、足首靭帯損傷されたとの事、
何とか自力で下山出来る程度で幸いでしたね。


事前にご存知のガイドにアドバイスを受けられたとの
事ですが、鳥海山は南部のアルプス山系から比較すれ
は標高こそ2,300m足らずですが、5月連休まで
は真冬並みに悪条件にもなる、という事を認識されて
下さい。
5月連休時期までは単独での入山もお控え下さい。

それと、地元の常識では、5月連休までは、北面含め
て、移動レスポンスの早い山スキーでの入山が基本
と思います。

GPSへの過剰な信頼も危険です。
ガス・風が濃い、強い時は無理せず途中下山が一番。


以上、同時期に鳥海へいらっしゃる際は、事前計画
の上、複数での入山等をお奨めします。

何はともあれ、無事下山されて良かったです・・・。
2013/6/4 17:45
yamaoyazy様
仰せの通りだと思います
私の未熟さの結果だと思います
一気に天候が悪化することを想定していませんでした
千蛇谷で見かけた無数のシュプールの意味も納得できました

ただしGPSに関してなのですが、ホワイトアウトした今回は地図は意味を為しませんでした
GPSおかげで現在地がピンポイントで確認でき、GPS様々でした

ありがとうございました
2013/6/9 12:30
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