快晴・白銀の冬季八経ヶ岳
- GPS
- 10:16
- 距離
- 22.4km
- 登り
- 1,908m
- 下り
- 1,239m
コースタイム
- 山行
- 8:17
- 休憩
- 0:50
- 合計
- 9:07
- 山行
- 3:25
- 休憩
- 0:17
- 合計
- 3:42
2日目は下山中に電池切れ
天候 | 27:はれ 14時くらいから雲が出たがすぐ引いた 28:雨/雪の中間くらい、ガスガス 下山後12時くらいには晴れてきていた |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2020年12月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
雪は林道より上は途切れなかった。積雪量は踏み抜けば腰まで沈む程度? |
その他周辺情報 | 洞川温泉は28日が年内最終営業だったようで危なかった…… 昼ご飯は川合の「かどや食堂」で大和鶏すきやき風定食を食べた |
写真
感想
【出発前】
年末年始にまとまった休みがとれたので雪山に行くことにした。せっかくなので泊で行くようなところにしようと思い、大峰&近畿最高峰、八経ヶ岳を目指すこととした。夏季とは違い天川川合から単純1400mの登りのハードコースである。
天気予報や気象庁HPを見てるとどうも31日くらいから強烈な寒波が来るらしい。晴れ予報になっているのは29日程度。しかし25日くらいから天気図では高気圧がゆったり進んできていて大崩れしそうには見えないし(結局下山後に27日の夜から低気圧が近づいていたことを知る)、28日以降は気温が氷点下↑には上がるらしいのでエビのしっぽやら樹氷やらはなくなってしまいそう。行くならば27日に八経含む大峰主稜線を満喫し、28は下山だけというプランを固め、26日に当直明けの目をこすりながら天川村へ向かった。この日は「ゲストハウスPOST INN」に宿泊。天川村では雪は積もっていないが気温は氷点下にはなるようで家々の屋根は雪で白く染まっていた。
【27日 天川川合〜高崎横手】
あまりの寒さにゲストハウスでしばらくもぞもぞしていたせいで予定より30分ほど遅れた6時半に天川村役場を出発(いつも朝遅刻してんな)。まずは林道までの登り、この区間は稜線に出るまで100m、主稜まで200m、林道まで緩やかな300mの登りとシミュレーションしていた(ただ600m登りと聞くとしんどそうだがこれだと幾分かマシに聞こえる)。実際この意識で比較的重荷を背負っている割にはスイスイ林道に到達できた。林道手前のカチコチ北斜面のトラバースはめんどうだからそのまま通り抜けたが、後で思えばアイゼン着用すべきだったかもしれない。このころには夜も明けきっていたが、曇り予報に反して青空でテンションアップ。
林道を離れる地点で下半身だけ雪山装備に。ここから栃尾辻まではだらだらと小アップダウンを繰り返しとtotal130mの登り。特に記憶も残ってないのでスイスイ進んだんだろうが、坪ノ内からの尾根が近づいてくるのに興奮が高まったのは覚えている。栃尾辻の避難小屋は一応壁は立っていたが屋根からはお空が覗いていた。6年前の記憶だと吹き抜け状態になっていたような気がしてたけど……?
ここから本格的な登りが始まる。栃尾辻から高崎横手までの区間はちょいちょい登りつつ基本だらだらトラバースで高度上げるだけだと思っていたがいきなり地形図P1518を巻き道ではなく直登することに。そういえば武奈ヶ岳でも冬道はトラバースじゃなくて直登だったな……でもこのおかげで天女の舞から稲村方向を眺めることができたので怪我の功名か(そもそも天女の舞がどこなのかもよく知らなかった)。ここでテントを張って三脚を立てて撮影してる二人組に出会う(今日最初のヒトとのエンカウント)。天女のマイタケ……もとい舞岳から60mを駆け下りカナビキ分岐で小休止。ここからは150mを2度ほどに分けて頂仙岳手前まで登る。この辺から木々は氷を纏って青空に映える非常に美しい光景を見せてくれていて登りの足も弾んだ。
頂仙岳も稜線登るんだろうなあ、これ結構累積たまってしんどいなあと思っていたらこっちはトラバースのトレースがしっかりついておりやれありがたや。全身に雪を纏った木々の間を身をかがめ通り抜けたら高崎横手分岐だった。ここまでで3組4人ほどとすれ違った。
【27日 高崎横手〜八経ヶ岳〜弥山〜狼平】
当初の予定では狼平へまず向かい、寝袋など余計な荷物を置いて身軽になって八経ヶ岳アタックの予定だったが、あまりに天気がよいので明星〜八経〜弥山〜狼平の周回へ急遽変更した。高崎横手が1650くらい、八経が1912でまあ1時間もあれば着くかと思っていたがここは雪山だった。さらにここから先行者のトレースがわかんメインとなり、しっかりと踏みしめて登ることになった。日裏山はあまり気づかないうちに通過し、いったん下ったとこから大峰主稜線へ登ることとあるがこの区間がたいへんしんどかった。足の筋肉は余裕があるのに心臓がついてこない。空気が薄くなってる影響なんだろうか。十数歩歩いては息を整える。そんなペースなのでもう眼前に広がっている白銀の大峰主稜線がなかなか近づかない。日裏山からなんと1時間20分もかかってようやく弥山辻にたどり着いた。
弥山辻から先はさらに雪も深くなる。冬季の大峰主稜線に立っている!という高揚感でなんとか進んでいく。稜線が右に曲がって最後の一登りを終えて13:28、ついに近畿最高峰、冬季の八経ヶ岳へ到達した。360度青空と展望が広がっておりつくづく最高の日に来たな……と無人の山頂でひとりほくそ笑んだ。
山頂でひとしきり楽しんだら次は弥山なのだが、この登り返しが気が重いったらありゃしない。さらに下り途中のしかよけネットの通行用柵が雪で埋まって動かないときた。根元まで掘り返して動かそうとするが賽の河原かアリジゴクの巣かといった感じで全然動かせない。10分ほど掘り続け、こりゃ強引に乗り越えるしかないかとしたところでネットを迂回するトレースに気がついた。このころから南のほうから雲が出てきてあたりは少し暗くなってきた。八経からの大展望は結構タイムリミットギリギリだったらしい。
弥山までの登り返しは80mくらいのはずだがもうわずかな登りでも堪えるようになってきた。弥山と八経の間にコルなんか作りやがって、と地球に悪態をつきながら登り弥山に登り返したときには時刻は14:40になっていた。高崎横手から先も2組2人とすれ違っただけで、さすがに弥山には人いるかなあと思っていたが誰もいなかった。扉が壊れて使い物にならないといわれていた避難小屋の扉は直っていたが誰も利用者はいなかった。狼平へと急ぐ。このへんから見る頂仙岳はかなり尖って目立つ姿をしており、あれ登らずに済んでよかったな……と今更ながら思う。前半は快適な尾根/山腹歩きだったが狼平に近づいたあたりから妙に足を取られるなあと思っていたら、雪をかぶった木道が悪質なトラップと化しているらしい。木道にも悪態をつきながら1548、本日のお宿、避難小屋が建つ狼平に到着した。狼平避難小屋にも先客はおらず、貸し切り状態だった。小屋内の気温もほぼ0℃、冷える前に濡れた今日の服を着替え、いつものズボラ焼き豚ラーメンごはんを食した。17時の日没前は青空も覗いていたが、20時にトイレに起きた時には星空は見えていなかった。そういえば明日は雨予報だったか、雪山で雨に降られるのは勘弁だなあ……と思いながら眠りに……
就こうとしたがいかんせん部屋の気温が0℃と極寒。寝袋の中はあったかいので問題ないが鼻が冷えまくって寝られない。かといって睡眠中にバラクラバはしんどそうでしばらくモゾモゾしていたが、一応持ってきていたマスクを着用するとちょうどいい感じでその後はまどろみと半覚醒くらいの状態にはなれた。コロナ禍がなければまずマスクなんて持ってきてなかっただろうし助かった……?
【28日 狼平〜天川村】
5時半くらいに起床。寒すぎて寝袋から出るのに30分を要した(また朝遅刻してるなこいつ)。とりあえず水を汲みに行くが雨がぱらついていて今日はいい日ではなさそうだ。小屋の前には昨日17時にはなかったテントが。そういえば昨日の18時くらいに小屋の扉がちょっと空いたものの誰も入ってこないという出来事がありキツネかシカか、狼平だけにすわオオカミかとちょっと身構えたのだがヒトだったらしい(笑)小屋のスペースは開けてたか別に使ってもらってもよかったんだけどね。
6時45分くらいに出発したが出発寸前にドーンという音がそう遠くなさそうなとこから聞こえてきた。雷ではなさそうなので雪崩か。高崎横手までの緩斜面で雪崩はなさそうだが単独でもあるしとりあえず沢からは急いで離れることとする。
雨が降ってることからもわかるが、気温は予報通り上がっているらしい。昨日は白銀の世界だった区間もすっかりただの冬山になってしまっている。カナビキ分岐までほぼ止まらずに進む。
ここから天女のマイタケまでの登り70mでバテバテとなる。どうにも左ひざを雪から引き抜いて持ち上げるときに痛みがある。大腿四頭筋の内側広筋かなんかの腱を昨日痛めたんだろうか?右足メインで登る。天女の舞の下りはホワイトアウトしたゲレンデみたいになっていた。
栃尾辻はスルーし林道を目指す。登りになると左ひざがしんどい中、行きには記憶にすら残らなかった微妙なアップダウンが多くて気が滅入る。奥の方の林道出会いからは林道を歩いてみたが雪被りが薄くアイゼン着用ではあまり歩きやすいとはいえなかった。林道を離れる地点でひとやすみしていると大学生くらいの若い男3人PTと遭遇。軽装だったが天女の舞程度で引き返すつもりとのこと。昨日なら景色もあったのにね。林道直後のカチカチ斜面を過ぎてアイゼン、スパッツ、雨具を脱ぐ。途端に足が軽くなって、あとは無雪期のただ濡れただけの下山である。今度はかばっていた右足が痛みだしたがもう頭の中は洞川温泉のことでいっぱいで、天川村役場までストレート下山となった。
下山後の温泉が最高に気持ちよかったのは言うまでもないが、露天風呂はもうさんざ気温0℃で震えたのでスルーとした。川合交差点の「かどや食堂」で昼ご飯を食べていると徐々に青空が広がってきて、例の3人組はちょっとでもいい景色見れたかな……なんて思いながら帰路へ就いた。
【結局】
雪山での山中泊は実は初めてだったがあれほど夜が寒くてつらいとは……大峰の立派な避難小屋でこの状況だから白山なんて夢のまた夢だろうな。雪山でテント2泊以上できる人すごすぎる。今回は衣服や食料も比較的切り詰めてみたがこの軽量化の効果は十分にあったと思われる。
しかしそれでも間違いなく最高の天気の日に大峰主稜線に立てたという点で十分合格点の山行だったといえそうだ。高崎横手以降のばてっぷりは要反省だが。
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