武奈ヶ岳(口ノ深谷左岸尾根↑西南稜↓)☆山毛欅の回廊から吹雪の山頂へ


- GPS
- 03:32
- 距離
- 9.7km
- 登り
- 1,153m
- 下り
- 1,152m
コースタイム
- 山行
- 3:20
- 休憩
- 0:12
- 合計
- 3:32
天候 | 曇りのち雪 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2021年01月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
写真
感想
深夜、暴風雨の音で目が醒める。予報では朝方まで晴れの予報だった筈だが。目が醒めたついでにPCを立ち上げ、天気図を確認する。日本海に突如、出現した爆弾低気圧に伴う長い寒冷前線が近畿地方を縦断している。比良のあたりでは雪が降っていることだろう。前線は足早に通過し、明け方には晴天が広がるようだ。確かに雨音は間も無く静かになるが、強い風の音を聞きながら再び眠りについた。
朝、目が醒めると予報通り、昨夜の暴風雨が嘘のような晴天が広がっている。この日はテレワークの日であったが、コロナ禍のせいもあり、極端に仕事が少ない。午後の仕事は現場の者達に任せて急な休みを入れてもこの日は我儘が許されるだろう。とはいえこうやって仕事を切り上げようとすると途端に難しい用件が立て続けに舞い込んで来るというのは間違いないジンクスだ。お陰で出発が遅くなる。
爆弾低気圧に伴う前線は確かに通り過ぎたものの、前線に向かって北西の風が吹き込み、北の地方に雪を呼び込んでいる。天気の境目は蓬莱山のあたりとあたりをつける。京都からR367を北上すると、大原から望む南比良の稜線には驚くほと雪がない。昨夜の前線は山にはほとんど雪を齎さなかったようだ。
蓬莱山を諦めて、久しぶりに武奈ヶ岳まで足を伸ばすことにする。平日であるにも関わらず、坊村の市民センターの駐車場には多くの車が停められている。坊村からピストン往復では下山してくる多くの登山者と対向することになるだろう。口ノ深谷の左岸をなす尾根を辿り、シャクシコバの頭、コヤマノ岳を経由して武奈ヶ岳に向かうことにする。
地主神社からはいつものごとく左手の尾根に取り付き、明王谷林道をショートカットする。谷の出合を過ぎて奥ノ深谷にかかる橋を渡ると、正面の尾根が目指す尾根になる。尾根の下部には一般登山道としても支障ないほどの明瞭な道が通じている。
この尾根が有難いのは比良の他の尾根と異なり、尾根の末端からすぐに自然林の尾根が始まることだ。尾根を少し登るとすぐに緑色の作業小屋が現れる。尾根が一旦、なだらかになると左下の口ノ深谷に大きな滝が見える。
谷までの下降は難しそうではなかったので滝に立ち寄ることにする。口ノ深谷の遡行の記録を参照すると8mの滝ということになっているが、どう見ても10mはあるだろうとコメントされているものもあったが、同感である。滝を去ろうという段になって背後から午後の陽光が暗い谷に差し込み、滝の流心を輝かせる。まるで滝が一瞬、微笑んだかのようだった。
急登、明瞭な道のお陰で登りやすい。再び平坦になると古い道標がある。道標の手前にはいくつかの倒木があるが、以前、この倒木を乗り越えた時に着地した足のすぐそばに塒を巻いた蝮がいたのだった。蝮は保護色で、周囲の地面と完全に色が同化していたのだが、蝮の上に着地していたら如何に恐ろしいことになったか、当時の印象が蘇る。道標の一方はテープでシールされている。もう一方は大橋小屋とあるが、どのように道が通じているのか全く予測がつかない。
古い道標を過ぎると尾根上の踏み跡は急に不明瞭となるが、あくまでも尾根芯は明瞭なのでGPSでルートを確認するまでもない。ca850mを過ぎて尾根の傾斜が緩やかになったところで尾根の雪が繋がり始め、同時に尾根には山毛欅の大樹が現れるようになった。
尾根から随所に左手に好展望が開け、蓬莱山から比良岳、烏谷山へと至る表比良の縦走路の眺望が広がる。やがて尾根は山毛欅の快適な回廊となる。シャクシコバの頭に向かって快適に進む。
シャクシコバの頭を過ぎると大きな雪庇が張り出した尾根からはようやく正面にコヤマノ岳と武奈ヶ岳の展望が視界に入る。雪は十分に締まったいるのだが、昨日から降り積もったと思われる雪は相変わらず浅い。雪が降り始め、周囲の景色は瞬く間に雪に霞んでゆく。
シャクシコバの頭の手前からコヤマノ岳にかけて山毛欅の回廊が続く。中峠を過ぎると急に尾根上の登山道が明瞭となる。コヤマノ岳のピークからは全ての展望は雪雲の中だ。
コヤマノ岳からはトレースが明瞭である。踏み固められて氷化したトレースが融けずに残って、薄く積もった新雪の中で浮かび上がっているのだった。コヤマノ岳から武奈ヶ岳への鞍部に至ると唐突に山毛欅の樹林は終わり、目の前に朧げな武奈ヶ岳のシルエットが現れるが、山頂部はどうも雪の中らしい。
武奈ヶ岳への最後の登りを終えると風も強く、吹雪となる。しかし、山頂が近づいたところで雪が止み、釣瓶岳、釈迦岳のシルエットが現れる。上空の雲が切れたかと思うと晴空と共に美しいピンク・ゴールドに輝く雲が現れた。上空では夕陽が雲を染めているのだろう。しかし、雲の切れ目はファスナーを閉じるかのように白い雪雲に閉ざされてゆく。
相変わらず風は強いので、早々に下山する。今しがた通ってきたばかりのコヤマノ岳も灰色の雪雲の中だ。西南稜を下るとすぐにも再び雪が降り始めた。
積雪期はこの西南稜は踏み固められて歩きやすいトレースが出来ている筈なのだが、多くの踏み抜きにより凸凹が著しい。踏み抜きはおそらく数日前の暖かい天気のせいだろう。この日は雪が十分に締まっており、踏み抜きが生じることがないのが有難い。しかし、それまでの締まった雪の上に薄く新雪が積もり、斜面は非常に滑りやすい。
下山は慎重に足を運んだせいか、いつもより時間を要するが、それでもまだ十分に明るいうちに明王院までたどり着くことが出来る。明王院や地主神社の屋根にもうっすらと雪が降り積もっていた。坊村の駐車場に戻ると、当然ながら自分の車以外は全てなくなっていた。
京都に向かって車を走らせると花折峠を過ぎると空も晴れ、残照が雲のない空に広がっているのだった。
yamanekoさん、こんばんは
yamanekoさんと一日違いで、武奈ヶ岳へ行きました笑
色んなコースがあるんですね
良い山なので季節を変えてまた行きたいと思います😊
yukky888さん 比良へようこそ
一日違いでお遭い出来なかったのはなんとも残念。翌日は霧氷が綺麗だったのではないでしょうか。私は近くの山から夕陽に輝く武奈ヶ岳を眺めておりました。
yukkyさんのことだから武奈ヶ岳だけでなく、京滋の美味しいものもきっと堪能されたことでしょう。どこに行かれたのか、レコがアップされるのを楽しみにしております。
私は月曜日にもテレワーク前に早朝に武奈ヶ岳に登っていたのですが、積雪により金曜日とはまるで違った光景になっておりました。私にとってyukkyさんのアサミクラみたいなところです。
比良は琵琶湖と西側の朽木をつなぐ古道も多く、様々なバリエーション・ルートがあります。また四季折々に美しいところですので、機会があれば是非、また比良にいらして下さい。
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