武奈ヶ嶽☆霧氷と雪原の稜線へ


- GPS
- 04:01
- 距離
- 6.5km
- 登り
- 726m
- 下り
- 745m
コースタイム
過去天気図(気象庁) | 2021年01月の天気図 |
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アクセス |
写真
感想
朝は雨の音で目が醒める。予報通りだ。移動性高気圧のせいで天気は好天になる予報ではあるが、それは昼過ぎかららしい。出発を遅らせることにする。雨雲レーダーによる雨雲の動きを見ると、比良のあたりでは遅い時間まで雨雲が残る予報だが、何故か野坂山地は早い時間帯に雲がとれそうだ。家内も武奈ヶ嶽がいいというので、三重獄にかけて縦走することを考える。
R367を北に向かう。大原を過ぎたあたりで早くも雨が振り始める。花折峠を越えても雨が降り続く。前日に見られた雪景色は雨のせいで瞬く間にすっかり消えてしまったようだ。朽木のあたりまで雨が降り続く。
R303に入ると、正面の赤岩山の左手に武奈ヶ嶽の雪原の斜面が見える。右手の奥には三重獄が白銀の大きな山容を広げている。
水坂トンネルの手前で側道から角川に降りると、平地でもかなり雪が積もっている。石田ダムまでは除雪されているものと期待していたが、集落を抜けたところで除雪が終わっている。車の轍があるので少し奥に入ってみるが、到底、ダムまではたどり着くことが出来ないだろう。Uターンも難しいのでバックで戻る。かくして武奈ヶ嶽から三重獄への縦走の計画はあえなく挫折するのであった。
この事態を予測していた訳ではなかったが、以前より冬季に武奈ヶ嶽を登るための山行プランが頭の中にあったので、それを実行するいい機会と考える。R303で水坂トンネルを越えて、杉山に移動する。
車を停める場所が心配であったが、国道の北側にある福祉施設である杉山寮に向かう道の脇に車数台分の広地が見つかる。広地には市議会選挙の掲示板が設けられ立候補者達のポスターが貼られいる。もちろん、ポスターの前に車を停めることは控えたが、果たしてこのポスターは誰の目に触れるのだろうか。
すぐに右手の植林の尾根に取り付く。植林は尾根の下端のあたりだけであり、すぐに下生えのない自然林の尾根となる。尾根上は十分に雪が繋がっているのですぐにスノーシューを装着する。積もっているのは明らかに新雪だ。ほとんどが昨日から積もった雪だろう。さすがに野坂の山は比良とは雪の積もり方が違うようだ。
驚くほど登りやすい尾根が続き、所々にテープもつけられている。拍子抜けするほどにすんなりと水坂峠から登ってくる高島トレイルの尾根に合流する。高島トレイルの尾根は東側に植林が続いているが、尾根の合流地点おり上では自然林の尾根となる。
背後を振り返ると遠くの雲の下で琵琶湖が灰色の湖水を湛えているのが見えるが、山の上の方は雲の中だ。まもなく尾根は雲の中へと入ってゆく。雪庇の出来た尾根を緩やかに登ってゆく。
やがて尾根上には大きな岩が現れる。登山道は岩を右から巻いて岩の裏側を攀じ登るのだが、それでもかなりの急斜面だ。斜面にスノーシューがしっかりと食い込んでくれるのと、周囲の樹の枝を掴んで無事、這い上がることが出来る。下降では難所となることが予想される。
岩場を過ぎると急にあたりの視界が晴れて、すぐ右手には赤岩山が姿を見せる。振り返ると暗い雲の下でニノ谷山のシルエットを確認することが出来るが、蛇谷ヶ峰をはじめ比良の山々の上には暗い雲がかかっている。尾根の樹々はまばらになり雪原となる箇所が多い。無雪期には丈の低い灌木帯が広がっているところだが、潅木は全て雪の下だろう。
赤岩山からの吊尾根と合流するといよいよ正面に武奈ヶ嶽の山頂部が姿を表す。雪の斜面とまばらに生える杉の樹々のコントラストが美しい。右手には三重獄が再び大きな山容を見せる。
尾根上の樹々には霧氷が見られるようになったかと思うと、山頂に近づくにつれ霧氷の厚さが増す。尾根の東側は杉の樹林であるが、西側は霧氷の樹林が広がっている。雲の下のチャコールグレーの景色を背景にすると霧氷の白さが際立つ。
最後は樹々も疎らな雪原を歩いて山頂に到達する。山名標の標柱はほとんど雪に埋もれている。積雪の深さは1m前後というところだろうか。山頂からは左手に轆轤山から三十三間山に至る長い雪稜、正面には雪稜と霧氷の樹林の彼方に三重獄が大きく視界に入る。
西側の小浜湾には雲の下で暗い海が広がっているのだが、三十三間山の彼方には同じ日本海とは思えぬほど薄青色の海が広がっている。おそらく上空では青空が広がり始めているのだろう。そう思って眺めているうちに三十三間山の稜線が明るく輝き始めたかと思うと、みるみるうちに三重獄の上にも雲の合間に青い空が広がり始めた。モノクロームの光景の中に鮮やかな青い色彩が広がっていく。
下山はいよいよこのコースのハイライトともいうべき鹿ヶ原を下る。風衝草原が広がる斜面であり、正面に千石山、若狭駒ヶ岳、百里ヶ岳といった若狭の山々の眺望を見ながら下降してゆくダイナミックな開放感を味わうところだ。この雪原を下るためにこのルートを歩くようなものだ。しかし、風衝草原が発達するだけあって、流石に風は冷たい。指先が急速に悴むのが感じられる。
比良の方面も晴れていたら良いのだが、依然、厚い雲がかかっている。しかし、丁度、朽木のあたりで雲の合間から光がさしているのであろう。山間に立ち昇る雲が黄金色に輝いているのが見える。
雪原の下部まで下るとp749に向かうために尾根をほぼ直角に右手に曲がる。樹々が疎らに生える@?からは今しがた下降してきた雪原と南斜面の霧氷の樹々が見える。この武奈ヶ嶽は南東から見るのと南西側から見るのとでは同じ山とは思えないほどその景色が異なる。
p749では風の陰に入ったのだろう。風もなく急に暖かく感じられる。雲の合間から霧氷を明るく輝かせる光の筋が急速に斜面を通り過ぎてゆく。
夏道は送電線鉄塔を目指して下降していくので、ピンクテープが付いているが、下山後に延々と国道を歩くのが嫌なので、ここから杉山に向かって南に伸びる尾根を下降する。尾根は急下降ではあるが、通行を妨げるような藪はなく、順調に下降することが出来る。ca450mのあたりからは左手の斜面は植林となる。
尾根の下端p334からその先のca320mにかけては雑木林の広がるなだらかな台地となっている。最後は再び植林の中を歩いてR303に着地する。
時間はまだ14時過ぎ、三重獄への縦走が叶わなかったせいもあり、思いの他、短い山行となってしまったが、家内は長時間の山行が苦手なので嬉しかったようだ。しかし短時間の山行では味わうことの雪景色にしては贅沢すぎるものだったようにも思う。
車に乗り込んで京都に向かうと朽木のあたりではようやく晴れ間がさし、蛇谷ヶ峰が雲の下から姿を表すが、武奈ヶ岳の上の方は相変わらず雲の中のようだ。雨雲レーダーによる予報が正しかったようだ。京都市内に戻ると雲ひとつない晴天が広がっていた。
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