船坂谷・白水山・瑞宝寺谷西尾根・船坂峠周回
- GPS
- 05:30
- 距離
- 7.6km
- 登り
- 733m
- 下り
- 725m
コースタイム
天候 | 晴のち曇 |
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過去天気図(気象庁) | 2021年03月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
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コース状況/ 危険箇所等 |
白水山尾根から瑞宝寺谷西尾根までは、六甲山地屈指の(沢と岩以外では)嶮路であり、全体にわたりリスクがある。現時点では真新しいテープマーキングが短い間隔でつけられているが、いずれ剥離・脱落することになると、道迷いの可能性も増大するだろう。 |
その他周辺情報 | 船坂谷入り口にカフェ数軒。 |
写真
装備
個人装備 |
長袖シャツ
ズボン
靴下
グローブ
防寒着
雨具
靴
ザック
昼ご飯
非常食
飲料
レジャーシート
地図(地形図)
コンパス
笛
計画書
ヘッドランプ
GPS
筆記用具
ファーストエイドキット
保険証
携帯
時計
サングラス
カメラ
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感想
裏六甲の複数の尾根と谷を斜めに突き切って最高峰に至る奇怪なルートを探索することにした。以前白水山尾根を順当に登った際、途中に「瑞宝寺谷・六甲最高峰。厳しいよ」と書かれた長さ10センチ足らずの白い手製標識のある踏み跡を目にしたが事の発端だ。その日は十八丁尾根を下降路に取ったが、途中で間違えて(実は侵入防止のトラロープをまたいで踏み込んだのだが)支尾根に入り込んだところ、またまた「白水山→」の白標識が道なき道(目を凝らしても、道は見えないのだが)を指し示していて、半信半疑でこれを辿り十八丁に復帰できた。そして十八丁尾根上には「白水山→」が反対側の谷に向かってつけられていたのだ。また、白水山山頂には「川上の滝、近いよ」、川上ノ滝の少し下流側には「船坂峠、ショートカット」、そして船坂峠には「川上ノ滝、ショートカット」という同型の表示があり、これはもう周回して全貌を突き止めずにはいられなくなった。
というわけで、船坂道の奥まで車で入り、「水場」のちょい先を右に入って白水山を目指す。カシが主体の林相はやがて檜と杉の植林となり、さらにコナラの多い広葉落葉樹林に変わる。白水峡からの道を合すると尾根は痩せ気味となり、明るく展望が開ける。白水山山頂には数週間前にはなかった「白水山」と白ペンキで書き込まれた石が置かれている。「川上ノ滝、近いよ」標識も消えた。我々が来た道の正面方向(東)に向かうのが、その「川上ノ滝」ルートである。滝の上あたりまでは穏やかな尾根道であるが、そこから滝へは崩壊進む岩の下を岩屑を転がすように下るワイルドなルートとなる。
今日は山頂から南に白水山尾根を進む。そして例の「厳しいよ」標識の地点に至ったが、あの白い小さな標識はなくなっていた。代わって石に「六甲最高峰、瑞宝寺谷」と白ペンキで大書きした標識が登場。「厳しいよ」との標記があれば、安易に踏み込むことを躊躇するというものだが、こう大書きされてしまうと、軽い気持ちで入り込む人も出てくるのではないかと危惧される。以前、ここを逆に辿った経験に照らして、山慣れした人でないとここは危険であると思うからだ。早速、分岐を右に入る。ここから十八丁尾根の向こう側までは様子がわかっている。踏み跡は山腹をトラバースして進み、岩石流を越えて小谷を二本、それぞれ堰堤の上流側で横切る。今のところはテープマーキングとケルンに導かれて道迷いはなさそうであるが、踏み跡は全体を通じてはっきりしない。二本目の小谷からは尾根ともつかない小尾根に取り付いて転がり落ちそうな傾斜を登る。まるで沢登りでの滝の大高巻きだ。途中、えっ、こんなところに!とびっくりすること請け合いの電柱!その先、前回ここを下った時に、本気か!?と、思わず口走った飛び切り急傾斜の地点には、「左も可」というような指示がある。左は岩がちの土のリッジ、右は落ち葉の乗った土の窪状となっており、今回はまっすぐリッジを登ったが、乗越すところのスタンスが遠いので、小柄の人や慣れない人は取り付かないほうがいい。これを超えるとすぐに十八丁尾根に飛び出す。そしてさらに尾根の反対側に緩い傾斜の斜面を下っていく。そしてついに、私に再訪を促した件の「白水山→」標識の場所にやってきた。ここからは自分にとって未知の領域となる。「瑞宝寺谷西尾根→」の標識を確認して歩を進めると目の前にはすとんと落ちるルンゼが現れ、テープマーキングがこっちへ来てごらん、と手招きする。そして、つるべ落としの急下降が始まるのだ。慎重に下降して顔を上げると、そこには穏やかに流れる瑞宝寺谷の流れと古い堰堤があった。ここかあ〜。と謎の一つが解けた瞬間である。瑞宝寺谷を登った時に、このルートとの接続点を見つけたいと注意していたつもりだったが、わからずじまいだったからだ。穏やかな太陽の降り注ぐ水辺で昼飯をとって、今度は瑞宝寺谷西尾根にどうやって乗るのか、次の謎の解明が始まる。水線を離れ、瑞宝寺谷道に上がったところで尾根側を見渡すと、あったあった、西尾根を指す白の小さな標識が。かろうじてそれとわかる踏み跡をたどると、急な石ガレの右端へと導かれる。岩のリッジを回り込んでさらに登ると傾斜は緩み、苔の生えた石が目立つ地点に達する。ここには古い石組や、太い固定綱(力がかかると切れるだろう)、朽ち果てた木組み階段などあり、昭和の作業の痕跡と思われる。そして一登りで尾根上に飛び出す。見事な眺望が北に開けている。ここは瑞宝寺谷西尾根からせり出したコブの突端であり、踵を返して南へ進むとすぐに侵入防止のトラロープ、その向こうに西尾根の良く踏まれた道がある。それにしても、今日歩いてきたこのコースは一体何のために誰が開いたのだろう。何本もの尾根と谷を登ったり下りたりしながら斜めにつけられた奇妙なルート取りは何のためだったのか。ログを見てふと気が付いたのだ。実は、船坂谷から六甲最高峰に向かって直線的に歩いてきたことを。ひょっとしてこのルートは、船坂から最高峰までの直線最短ルートなのか??と。恐れ入った。そんなことを考えているうちに、右手には934.1メートルの最高峰が迫った来ていた。魚屋道をクロスしていけばすぐ最高峰という指呼の距離だが、あの喧騒を嫌ってあえて山頂には寄らず、全山縦走路を東へと向かう。さっきまでとは打って変わって賑やかな道を辿り一路船坂峠を目指す。今日、最後のアドベンチャーが待っている。峠には先日確認しておいた白い小型標識があり、川上ノ滝へと誘う。二万五千の破線に沿って山腹を巻いてゆき、尾根に出たところで船坂への道を右に分けて浅い谷を下ってゆく。船坂谷のせせらぎが聞こえてくるころ、「左は川上ノ滝、右は船坂谷の川」との小プレートが現れる。ここを右に向かい、なるべく長く尾根を辿って船坂道に降り立つと、最近完成した大堰堤のすぐ上だった。入り口には目立つ黄色と黒のタイガース風テープマーキングが木に巻き付けられていた。こうして、本日の課題は無事、こなすことができ、人知れず満足のひと時であった。
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