米山〜眼下に大海原!三階節の米山さん、水野林道コース往復
- GPS
- 03:20
- 距離
- 3.7km
- 登り
- 469m
- 下り
- 462m
コースタイム
【実働】1時間40分
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2008年11月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
●全行程とてもよく整備されており、迷うような所はない。 道中の勾配のきつい所はほとんどが手入れされた階段になっており、頂上直下の露岩の多い道もステップに事欠かず、登山道としてはかなり歩きやすい。 ●登山ポストは水野林道終点の駐車場にある。水場はない。 頂上には立派な避難小屋のほかトイレもある。また途中の尾根上にも避難小屋がある。 ●最寄の日帰り温泉は上越市吉川区の"ゆったりの郷"。 |
写真
感想
米山は、1,000mにも満たない標高の割に、自宅に程近い妙高市付近からも美しい山容が目を引き、山登りから遠ざかっていた時期にも見るたびに興味を引かれていた山だ。"越後富士"とも呼ばれる秀麗な姿に加え、遮る物のない日本海の展望台としてのロケーションが実に魅力的だ。
自分は、学生時代に知床の山からオホーツク海に転々と浮かぶ千島列島を見て大感動して以来、海を間近に見渡せる山には特別な関心を抱くようになった。その中で米山は比較的近場であり、登山再開後、登り易さからも真っ先にマイリストに入れていた山である。
今日の柏崎地方の天気予報は上々、頂上からは佐渡島も見えるのではないかと期待して家を出た。
水野林道終点の駐車場は上越市にかけての日本海の展望が良く、ベンチやテーブルが置かれた小広場が併設されている。青く穏やかな日本海、そして周辺は赤や黄色の紅葉が鮮やかで、登山目的でなくてもここまで上がってくる価値はある。
到着が遅かったので、既に5台の車が停まっていた。登山ポストのノートを見る限り先行者は全て地元の人達である。
登山口で海とはいったんお別れし、まずは青空に映える黄金色の楓などを楽しみながら快適な道を行く。
米山は四方から登山コースが伸びているが、南側からのアプローチは比較的に等高線の間隔が緩く、距離的にも水野林道コースは大平林道コースに次いで短い。しかもちょっと勾配のきつい所にはことごとく階段が整備されているので快調に歩は進み、30分程で左から下牧・水野集落からのコースが合流する標高805mの尾根上に着く。休む必要も感じなかったが、後ろから急ピッチで迫って来ていた鈴の音があったので、先行してもらうため少し待つことにした。
ここからは再び海が視界に入ってくる。視線を足元に移すと、ブナの木の根元に小さな石仏が1体、その左脇の少し奥まった所には、この山の開祖である泰澄(たいちょう)禅師の石碑が祀られている。どちらも足を止めていなければ気づかなかったかもしれない。
緩やかな尾根道を数分歩くと小さな避難小屋があり、さらに数分でいったん小さなコルに下る。ここは両側が切り立っているが、道幅は十分にあり転落防止用の鎖やロープが張られているので特に危険はない。左側には青い日本海が開け、大平コースの尾根の紅葉とのコントラストが美しい。
このコルで高度的にはちょうど半分くらい登ってきたことになる。頂上までの残り高度差約220mは登り一辺倒だ。頂上に近づくにつれ、傾斜のきつい所では露岩の上を踏むことが多くなるが、適度な歩幅でステップがありペースは保ちやすい。眼前の高みを目指して登っているうちにあっけなく頂上の避難小屋前に到着する。
頂上部は妙高市・上越市の方から見る尖った峰のイメージとは違ってかなり広い。まずは避難小屋というには余りある大きくて立派な小屋の中を覗いてみる。板張りのきれいな床の中央に大きなテーブルが置かれ、カーテンが掛かった着替えのスペースもある。泊まる人もあると思われるが、これなら居心地も良さそうだ。
反対側の出入り口近くに、"米山薬師・三階節・米山甚句"に関する案内パネルと、この山に二つあるとされる三角点についての記事・解説が置かれていた。三角点の一つは内務省地理局時代の明治15年に設置された"原三角基測点"の標石ということで貴重なものらしく、あとで見に行こうと思っていたが、結局忘れてしまった。
米山についてのパネル記事を引用すると、「加賀白山を開いた泰澄禅師によって712年に開山、その弟子の沙弥(しゃみ)が沖ゆく船の米俵を法力によって五輪山(今の米山)に飛ばしたことから『米山』と名付けられた」とのこと。「五穀豊穣・雨乞い・航海安全・病気平癒などで信仰を集め、米山薬師は三河の鳳来寺薬師・日向の法華岳薬師と並んで"日本三大薬師"とされている」そうだ。"日本三大"というと、先日行った米子大瀑布の米子不動尊は"日本三大不動尊"だったが、元々は"日本三体不動尊"とされていたのがいつしか転じたものであり、三大不動尊とされる所は他にも候補があった。三大薬師についても全国にそういわれている所は枚挙にいとまがないというのが実際のところだ。
小屋の中を突っ切って北側へ出ると、向かいに米山薬師堂がある。参拝の際は動きの悪い引き戸を開けて中に入る。
薬師堂の北側へまわると眼前180度は広大な日本海である。彼方にちょっと見える程度とは訳が違うのが海に程近い米山の魅力で、まさに期待通りの展望だ。暗く灰色で荒々しい冬の日本海のイメージとは対極の、青く穏やかな日本海に心癒される思いがする。近くに登り着いた若者グループも感嘆の声をあげている。
頂上から尾根を少し東に行った所に山座同定盤の置かれた展望地がある。薬師堂の辺りから比べると少し低いのだが、持ってきた地図ではこちらに頂上マークが記されている。他の登山者もあまりいないのでこちらで弁当を広げるつもりだったが、海の見える範囲が柏崎側に限られてしまうので、やはり薬師堂の北側に戻ることにした。
風もなくぽかぽかと暖かな日差しの中、昼食をとり、紅茶を沸かし、双眼鏡を覗き、他の登山者たちと話をし、などしていると、時間はあっという間に過ぎていく。1時間以上頂上にいるうちに太陽は移りゆき、頸城山塊などが逆光で見にくくなってきた代わりに沖合の佐渡島がぼんやりと見えるようになってきた。双眼鏡で見ると小木辺りの海岸線もわかる。佐渡はまだ行ったことがないので、こうして見ることができたのは嬉しい。飽きもせずというか、結局1時間40分も頂上に滞在していた。
下りは苦手な自分だが、このコースはよく整備されているので足に負担もかからず、階段も一段一歩でボンボンとリズム良く下りられる。
登山口までもう一下りという所、左側の両側斜面に挟まった窪地に池があった。近くまで踏み入れてみると、奥の方は左に折れていて見えず、この時期としては結構な水量があるそれなりの池なのだが、名前とかの表示はなく地図にもその存在の記載はない。周囲を巡ったりできないのであえて無視されているのだろうか?
帰りは少し遠回りになるが、刈羽黒姫山の山麓を通って十日町市の松之山温泉に立ち寄った。この温泉は塩分とホウ酸の含有値が極度に高く、草津・有馬と並んで"日本三大薬湯"とされている。何だかんだ言っても"日本三大"と知ると有難がってしまうのは小市民の性(さが)なのかも…。
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