地蔵谷峰☆雲洞谷より大谷源流域のシャクナゲ尾根へ
- GPS
- 04:46
- 距離
- 11.3km
- 登り
- 790m
- 下り
- 795m
コースタイム
- 山行
- 4:44
- 休憩
- 0:03
- 合計
- 4:47
天候 | 曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2021年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
林道以外はバリエーションルート 大谷の右岸尾根は踏み跡はあるが所々ユズリハやアセビの藪あり 最後の谷の下降は踏み跡なし |
写真
感想
前回の山行で訪れた青葉山はあまりにも多くの人とすれ違ったのだが、やはりこの時期に敢えて登山するのであれば人と出遭うことは期待されないような山にしようと考える。
しかし、人と出遭わない山ということになると知名度が低い、登山口へのアプローチが不便、地味で登山路の魅力に乏しい、あるいは一般的な登山路が通じていないといった条件のうちいくつかを満たす山だろう。思いついたのは朽木の山奥にある地蔵谷山であるが、上記の条件をほとんど満たすところである。
過去のレコも百里ヶ岳にかけて積雪期に縦走した私のもの以外に数本しか見当たらない。前回は西側の能家から登ったのだが、今回は地蔵谷峰から東に伸びる尾根を辿りたかったので、雲洞谷の大谷林道からアプローチすることにする。奥美濃や奥越の奥深い山に比べればアプローチはましではあるが、朽木の中心部からかなり山奥に入ることになる。
この日は晴れの予報ではあったが、朝から曇天が広がっている。京都市内から見上げる比叡山は黄砂のせいでかなり霞んでいる。新緑が進むのが早い。R367を北上すると比叡山の山肌を賑わせていた新緑のパッチワークは緑の色がかなり濃くなっている。
朽木から能家に向かう県道に入ると、さすがにこのあたりでは周囲は新緑が綺麗だ。北川の川沿いを上流へと進むと小さな集落が次々と現れ、長閑な山村風景が繰り広げられる。
大谷林道の入口には車を停める余地がないので、少し先にある道路の余地に車を停めて出発する。防獣ネットを開けて林道へ入る。林道沿いには数戸の瀟洒なログキャビンが現れ、こんなところに別荘!?1と驚くことになるが、どうやらあまり人が訪れている気配が感じられない。
林道が大谷の左岸に移ったところで右手の小さな支谷に小さな滝がかかっているので寄り道をしてみる。林道沿いの草原状の斜面では満開のヤマツツジの鮮やかな朱色が周囲の新緑と見事なコントラストを見せる。濃厚な甘い香りがするかと思えば、薄紫色の山藤も花盛りだ。
左岸の尾根から下山するのに適切な尾根や谷を探しながら歩くと、美しい新緑の谷が目に入る。p524の南側ca500mから南に下る谷だ。
対岸の河岸段丘には苔むした石垣の跡が次々と現れる。かつてはここに古い集落があったのだろう。左手に分岐する大きな谷との出合には樹肌が苔むした大きなトチノキがある。谷を渡渉して樹を見上げにいく。そのまま谷を辿ることにした。谷沿いには崩壊気味の林道が続いている。
やがて上流の二俣にたどり着くと、林道は終わるが、どちらの谷沿いにも踏み跡が続いているようだ。谷奥では自然林が広がっていることを期待していたが、植林が続く。谷沿いには所々でトチノキと炭焼き窯の跡が現れる。
谷の源頭が近づくと今度は株立ちするカツラの大樹が現れた。水がほとんど切れるあたりで、左岸の斜面を登って、p478から続く尾根に乗る。驚いたことに尾根上には林道が現れる。ここからは西側の小ピークca610mに登りたいところだが、ピークから東に延びる尾根が明らかに傾斜が緩いので、林道を先に進んでみることにする。目指す尾根に辿り着くと左手のなだらかな斜面には新緑の自然林が広がっている。
ca610mのピークが近づくとここでも右手から林道が登ってくる。先ほどの林道の続きのようだ。このピークで能家からの登山道と合流する。確かに尾根上には薄い踏み跡が現れるが、尾根上にはユズリハや馬酔木の藪が頻繁に現れる。よくよく見ると以前に行われた切り払いの痕跡があるが、おそらく数年もするとユズリハが繁茂して進むのも困難な藪になってしまうだろう。
地蔵谷峰に向かって尾根を進むと、頻繁に現れるブナの大樹がこの地味な尾根の救いだ。足元に咲くイワカガミの花と馬酔木の若葉の紅色が尾根に彩りを添える。
地蔵谷峰の山頂が近づき、尾根の傾斜が増すとようやく下生は少なくなる。山頂は樹林に囲まれて展望のないところだ。真新しい木製の小さなプレートが増えているように思う。
山頂からは東峰への長い吊尾根に入る。尾根からは所々に南側の展望が開け、白倉三山の彼方に武奈ヶ岳と釣瓶岳が見える。東尾根への登り返しから振り返ると樹間に地蔵谷峰が見えるが、地図からは予想できないようなかなりの鋭鋒に見える。
p757の東峰の山頂はブナと思われる焼け焦げた大樹がある。おそらく落雷で焼けたのだろう。健在であれば素晴らしい巨樹だっただろうと思われうる。山頂から北に延びる尾根をわずかに下降してみると、ようやく北側の展望が広がった。黄砂のせいだろう、空気が澄んでいれば三重獄を中心とした野坂山地の山々が綺麗に見えるのだろうが、肉眼でおぼろげに山のシルエットを認めることが出来る程度だ。
東峰からは南東に向きを変えて、次のピークca760mへと向かう。こんピークの方が先ほどの東峰よりも標高が高いようだ。吊尾根は痩せ尾根が続くが驚いたことに尾根上はシャクナゲの群落が続いている。
シャクナゲの藪は通過するのが困難であるが、しっかりと切り払いがされた痕跡があり、道が続いている。今年は花期が早いせいか、シャクナゲの花々は完全に終盤であったが、どうも花つきが良くないように思われる。当たり年にであればこの尾根は圧巻のシャクナゲの花を見ることが出来そうだ。
ca650mからは北東に向かう尾根に踏み跡が続いている。南に向かう尾根に入る。急下降ではあるが、すぐに尾根の左手に展望が大きく開け、武奈ヶ岳から蛇谷ヶ峰までの奥比良の稜線を俯瞰することが出来る。この日の一番の好展望地であった。
P524にかけてはヒノキの植林が続く。下生えのない植林は下降しやすいが単調な景色が続く。p524を過ぎてca500mのあたりに来ると前方に新緑の美しい源頭が目に入る。林道を歩きながら尾根からの下降にと目星を付けていたところだ。
源頭を下降するとすぐにも細い流れが現れるが、V字の谷沿いの斜面を下るうちに前方の谷の入口近くで苔むした炭焼き窯の跡が見えてくる。
林道の入口に近づくと防獣ネットが開けられている。水が張られただけの水田の脇には緑色の稲苗がいくつも置かれたいたので、これから田植えをするところなのだろう。林道脇には群生する黄色い花はウマノアシガタのようだ。
駐車地に戻り車を、水田の周囲にはキク科の黄色い花が数多く咲いている。サワオグルマのようだ。耕作を放棄された水田では一面に黄色い絨毯を敷いたようになっている。その景色は美しいが、限界集落の人手の減少によるものなのだろう。この北川沿いの美しい山村風景が末長く続いてくれることを願いながら、京都への帰路につくのだった。
コメント
この記録に関連する登山ルート
この場所を通る登山ルートは、まだ登録されていません。
ルートを登録する
yamanekoさん 遅いコメでスミマセン💦
こちらの記録を見落としていました。
どマイナーな山のマイナーなルートはこちらだったんですね。
新緑の写真がとても素敵です。
新緑のブナって凄くいいですよね。
とってもyamanekoさんらしいお山ですよね🤗
いえいえ、わざわざレコを訪れて下さり有難うございます。
よくよく考えたら、この山は近江百山の一つなので、もっとレコがあがってもおかしくないと思うのですが、過去のレコが実に少ないですね。hanaさんもE-yamaさんも百山を達成するには登らなくてはならないところですね。
いかれるならシャクナゲの季節が良さそうですよ。とくに東峰から先が圧巻です。
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する