景信山-陣馬山
- GPS
- 06:00
- 距離
- 14.5km
- 登り
- 769m
- 下り
- 846m
コースタイム
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2003年12月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
|
感想
年内にもう一つ登ってやろうとガイドブックを開き、陣馬を目指すことに決めた。
景信山経由で縦走するルートを選んだので、最初の高尾山と同じ小仏行きバスのお世話になる。毎時12分発なので、朝8時過ぎに高尾駅前バス停に立った。熟年グループはじめ10人余りのハイカーを乗せて出発。高尾の時は紅葉の季節で、バスも道ももっと混んでいたが、今回、休日朝の道はすっかり透いている。なじみの蛇滝口を過ぎたころから、日陰に雪が目立ち始めた。細い旧道を詰めて、さあ次は終点という時、バスの両替機が壊れて下りた数人のハイカーに釣りが出せなくなり、五分以上立ち往生。ドアを開けたまま作業しているから寒い。ようやく動き出し、右に中央道を仰ぎ見る転回所の小仏バス停に着いた。薄っすら雪が積もる転回所を後に8時35分、10人足らずのハイカーがそそくさと歩き始めた。
それにしても、明らかに私が最若手で次は60代まで飛びそうだ。元気を見せねばいけないような気分になり、足早に全員を追い抜いた。バス道路の延長のアスファルト道が右に曲がると、ヘアピンカーブの急勾配に変わる。左にUターンを切ると右に中央道が見え、間もなく景信山と記した道標が見つかった。右に戻る様に登る山道へ取り付く。いきなりの胸突き八丁で、山腹をジグザグに直登する。ほかの人は小仏峠へ向かったのか、後を追う気配を感じない。間もなく例によって暑くなり、セーターを脱ぎ捨てた。息が上がるので、休み休み杉の植林帯を行く。かすかに人の声がして、どうやら同じルートの人もいるらしい。15分ほど奮闘すると空が明るくなり、あたりが雑木林に変わって尾根らしいところに出た。ベンチがあるので小休止し、上着も脱いで腰に回す。
三分ほどで、近づく人声に追われるように出発。別に急ぐ必要はないのだが、つい年寄りに負けてはと見栄をはりたくなる。急な尾根道を急ぐうち、立ち木につかまろうとしてベンチに軍手を忘れてきたことに気づいた。かなりの標高差を稼いでおり、とても戻る気になれず、ままよと先へ進んだ。やがて道は再び杉の樹林帯に入り、尾根をわずかに南にはずれて巻いたと思ったら、ひとアルバイトで八王子城跡からの道と合流する鞍部に出た。ベンチがあり、再び休憩。やがて50代と思われる女性一人が追いついてきたところで出発した。また急なジグザグ道となる。ところどころ雪が残り、霜柱が盛大に立っている。うっかり踏もうものならツルリと滑るので大変だ。特に日向で溶けた所が危ない上、靴も汚れる。足元を気にしながら15分ほど奮闘すると、しっかりした木製の階段が現れ、景信山の山頂らしきところが見えてきた。長い階段で老人を追い抜き、建物が見えると9時25分、山頂に達した。あたりはうっすらと雪。日向で溶けた所に薄汚いやせた親父がワンカップ片手に座っていた。しょっちゅう山に入っているという。適当に相手をして息を整え、茶屋がある方へ向かうと、南西に大きな富士の姿が見えた。大きな犬が雪の上でじゃれている。茶屋は比較的最近、都会を脱出した主人が始めたらしい。
しばし絶景を楽しんだ後、陣馬へ続く道をたどる。雪の道が北西へ下りて行く方向に続いている。階段はあるが、滑る。緩い起伏を繰り返しながら、全体としては少しずつ下降するルート。ひとピーク越したあたりで、うしろから声が聞こえ、なんと数人の学生が走って追い越して行った。引き続き雪道ではあるが、あまり起伏がないため危険はないし、アルバイトも要しない。たちまち堂所山の足下に着いた。ガイドブックに従い、急勾配をひと汗かいて山頂に寄ってみることにした。10時着。ベンチにリュックを起き、北高尾山稜から続く道へ入ったあたりに731Mの水準点らしきものがあった。小広く木が刈はらわれているが、眺望はない。早々に失礼して先を急ぐと、一ピーク越えた所が底沢峠。両方に分岐を分け、なおも歩けば15分ほどで杉林を抜け、明るい明王峠に着いた。
再び絶景の富士が眼前に広がる。茶屋は閉まっているが、数人のハイカーが休んでいた。自分もひと休みだ。後から来たおばさん三人グループにカメラを頼まれ、快く応じる。こちらはこういうコースに限ってデジカメを忘れてきており、残念でならない。結局、15分ほど腰を下ろしてリュックを背負い直した。歩き出すと、何と先ほどの学生たちが早くも走って戻ってくる。後の方の学生が道を失い、「こっち行きました?」と見当違いの方向を指すので、正しい道を教えてやった。走るのに夢中でコースはあなた任せらしい。
気がつけばコースはもう後半。まだ11時にもなっていない。尾根がなだらかで実に歩きやすく、これなら足の弱いおばさんでも気楽に来られるわけだ。道が北西へと向きを変えたころ、ようやく登りが始まり、763Mのピークを乗り越す。目立ち始めたハイカーと出会いながら植林と雑木林の境を為す尾根道を行くと、右上方に陣馬山頂が姿を見せた。右にカーブを描くなだらかな道を行くと左に藤野方面の道が分かれ、最後の直登区間にかかる。多少息をあえがせながら11時20分、山頂到着。冬ながら3、4軒ある茶屋の1軒が営業中で、あたりには2、30人が休憩している。中には若い男女や子連れもいるが、これは近くの和田峠から登って来た口だろう。ガイドブックを見て期待した白馬像は、まあ、大したことはない。
うろうろ落ちつき場所を探し、結局、山頂を少し北東に下ったテーブルを占領して弁当を広げた。今回はカップラーメン付きだ。漬物、お握り、ラーメンなどの昼をゆっくり食べる。さんさんと日が当たるものの、やはり空気は冷たく、日向の芝を薄く覆った雪も溶ける気配はない。北には奥多摩の重畳たる山々が見え、なかなかの絶景だ。磁石の指す真北の方角に、左側に三角形の山頂、右に平らな肩のような尾根を持つ特徴的な山がある。地図を見て、ははあ、さては御岳山かと一人決めしたが、地形図から山を同定するのはなかなか難しい(磁北偏倚を計算に入れなかった。後でその山は盟主・大岳山と判明した)。再び頂上に戻って周囲を見渡す。日が高くなって富士山の眺望はやや悪くなったが、中央線沿いに西の方には遠く真っ白な山が見える。南アルプスらしい。
トイレを使って12時35分、陣馬山頂を辞す。南へ元の道へたどって下り、すぐ本道が東へカーブする所で別れ、南に直進する。間もなく道は急な下りに変わった。地図によれば、じきに右に分岐があるはずなので、注意して下りて行く。一本、作業道みたいな道を分けたが、指導標もないので無視して下っていくと、道が尾根を右に外れるところに出た。そんなはずはない。首をかしげて立ち止まり、念のため尾根伝いに杉林の中へ強引に入りこみ、磁石と地形図で確かめてみた。少し下り過ぎており、これは栃谷尾根で陣馬の湯へ下りる道のようだ。ガイドブックには地形図にない頂上から直接西に降りる道も記されていた。少なくとも、先ほどの分岐に戻るしかない。
かなり下っていたのでやれやれだが、気を取り直して登る。ついでに濡れた服を着替えたので気分は悪くない。5分ほどで分岐に達し、薄暗い山腹の道へ入った。沢を詰めた源流に出会い、誰かが置いた石や木を頼りにぬかるみを通過する。やがて、右から頂上へ至ると見られる立派な道に合流した。大分時間と体力をロスしたが、いずれも余裕はある。今度の道は陣馬に至るまでと同様、幅も広く緩やかで歩きやすい。雑木の尾根を気持ち良く下っていくと、まず上部の和田分岐の道標に出て一休み。右へ分岐を下った先に、かすかに人家らしいものが見える。さらに行くと、今度は下部の和田分岐だ。和田からバスも出ているので一瞬迷ったが、時計を見ると、まだ1時半。陣馬登山口まで尾根通しに歩くことに決めて直進した。
しばらく緩やかに下る尾根道が続く。時折、急勾配の下りがあり、ピークらしきものも現れるが、大きく登り返すものではない。楽な道だが、さすがに膝が疲れて休んでいると、50代の女性が追い越して行った。この道をたどる数少ないご同輩だ。女性が先行して間もなく、こちらも出発する。分岐からは随分歩いたと思う頃、ぱっと視界が開けて山の畑に飛び出した。道が簡易舗装に変わり、左にカーブを描く人家が現れる。落合集落の最上部らしい。まだ2時を過ぎたばかりだ。急坂の舗装路をヘアピンカーブで下り、道が広くなって間もなく、沢井川に沿った和田からの本道と陣馬の湯からの道が合流する地点に到着した。陣馬登山口バス停もすぐ先にあったので、やれやれとダイヤを見ると、何と夕方までバスがない。今は2時10分を回ったばかりで、本来なら30分以内に一本あるのだが、臨時運休の張り紙があった。原因は学校の冬休みらしい。そう言えば、先ほどの女性が少し先をとぼとぼ歩いているのが見える。
となると、藤野駅まで歩くしかない。まあ、2キロちょっとの道のりなのでどうということはないが、知らずに和田へ下りていたらガックリするところだった。女性は橋を渡って小学校で水道を借りて給水中。それを右手に見ながら川沿いの道を進み、立派な家形門を持つお屋敷前のツツジ花壇で一休みした。冬の日は早くも西へ沈む準備をしている。さあ、あと一投足だ。山が影を落とす川沿いの車道を吹き抜ける風は冷たく、少し寒くなってきた。やがて道は少しずつ登り勾配となり、道端に雪を残しながらトンネルに至った。思ったより狭く、車がやっとすれ違う道幅しかない。馬鹿が改造マフラーのシルビアで通るのでうるさい。なぜか途中で幅が少し広まり、ほっとした。
300mほどもあるそのトンネルを抜けると、突然暖かな日差しが戻って面食らう。踏切を渡り、右に折れるとすぐ向こうが小さな藤野駅だ。東端に跨線橋を持つ島式ホームは異様に細くて長く、10両の通勤電車が来ることを思い出させる。ただ、入ってきた電車は懐かしい横須賀線色の6両編成で、なんとなくほっとした。
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